Disabilityのあるお子さんのための529  ABLE 口座

税優遇を受けながらカレッジ資金を貯める529口座の知名度は高くなり、利用も一般的になりました。2014年にはこれとは別に529Aという法律が通り、Disabilityのある方のための様々な費用に備えるために、税優遇を受けながら資金を貯めることができるABLE口座というものができました。正式名称をAchieving a Better Life Act(略してABLE)というこの法律、529と似たようなしくみであり、積み立てたお金は利回り非課税で増やすことができ、Disabilityがある方のための医療費、交通費、ハウジング、教育、介助用具やサービス費用など基準をみなす費用のためなら、そのまま非課税で引き出して使うことができるというものです。

 

529口座のDisability版

ABLE口座も529口座と同様、ベネフィッシャリーを指定して運用を始めますが、ABLE口座のベネフィッシャリーは、26歳以前に盲目あるいは一定の基準を満たすDisabilityになった人という要件があります。ABLE口座への積立は誰でもすることができ、親でも親戚でもあるいは、Disability 者本人でも積立することができますが、「26歳以前」という限定がついていることからも、大前提としては親がDisabilityのある子どもの将来のために資金作りをすることを念頭に置いているように思います。

大学資金だけでなくもっと広範囲なDisability介助のための資金を積み立てたいという場合には利用価値の高いものです。529口座とは違い、年間積み立て限度額が設定されており、年$15,000(2018)までとなっています。また529ではひとりにつき何口座でも作れますが、ABLE口座はDisability者ひとりにつき一口座となっています。これまでは本人名義の資産が少しあるだけでSSI(Supplemental Security Income)がもらえなくなっていましたが、ABLE口座を使えば、SSI資格を失うことなしに$100,000まで資金作りをすることができます。

また今回の法改正で、既存の529口座からABLE口座にロールオーバーをすることも可能になりました。今までは大学資金に使う以外の目的で529口座から引き出しをするとペナルティが課せられましたが、これが回避できることになります。ただし、ロールオーバーには上限が設定してあり、それは年間の積み立て限度と同じ$15,000(2018)です。ロールオーバーを可能とするこの法律は2025年まで有効という期限がついています。

 

Special Needs Trustと比べると・・

いままでは、Disabilityのある子ども(あるいはその他家族や親戚)のためにまとまった資金を用意したい場合には、Special Needs Trustが用いられてきました。このトラストは、正しく設立されて運用されれば、必要に応じてフレキシブルに積立・引き出しもでき、相続も残った家族へとスムーズに行われるものの、設立・運用は複雑でコストもかかり、そのうえ毎年のタックスリターンが必要で、トランスト内の利回りは最高税率で課税されるというデメリットもありました。

今回 ABLE口座が使えるようになったことで、Trustは敷居が高いという人々が、より気軽に簡単に将来の資金作りをできることになりました。

ただしABLE口座にもデメリットもあります。まず、SSI(Supplemental Security Income)を受けている場合は、口座残高が$100,000を超えるとその受給資格が制限されます。また、Medicaid payback provisionというのが設定されており、Disability者が死亡したとき、ABLE口座に残高がある場合は、生前受給したMedicaid分だけは、ABLE口座より行政へ返済することになっています。そのうえで、残金は相続者へ相続されます。トラスト内の金額は、そっくりそのまま相続されるSpecial Needs Trustに比べるとこれは大きな痛手ではありますが、ただ、子どもが小さいうちにこつこつと非課税で(トラストの最高税率課税を受けることなしに)資金作りをし、大人になってからはMedicaidも受けつつABLE口座からのお金も使いつつ、クオリティの高い生活を確保できるならば、亡くなった時点で残った額はMedicaid返済でゼロになったからといって、大きく嘆く必要もないかもしれません。返済額は生前受けたMedicaidのベネフィットよりずっと小さい額であり、ABLEがあったからこそ生活クオリティが確保できたと考えるなら、決して分の悪い話ではないように思います。またSSIもMedicaidも受ける資格がそもそもないのなら、これは気にする必要もありません。

 

各州が提供するABLE

ABLE口座は、529同様、各州がプログラムを提供し、州によっては積立額に対して州の所得税控除ができるケースもあります。また、529同様、居住している州のABLE口座でなく、他州のABLE口座を開設することも可能です(他州からの開設を許していない州もあります)。2018年1月末時点で、33州とワシントンDCの34プランが提供されています。

多くの州で、VanguardやFidelityなどの低手数料ファンドが提供されており、トータル手数料(ファンド手数料とアドミニストレーション手数料などの合計)は、0.30%から0.40%くらいまでのものが多いようです。529だと、大学入学年をターゲット年として、年齢が若いうちは株比率の多いアグレッシブなアロケーションで始め、ターゲット年が近づくにつれ、次第に債券比率を上げ保守的なアロケーションに自動調整していくファンドが多く提供されていますが、ABLEの場合はターゲット年というものが設定しにくいため、アロケーション自動調整型のファンドは少ないようです。よって、アグレッシブ型とかモドレート型のような固定アロケーション(株比率と債券比率が時間経過とともに変わらないもの)のファンドが多いようです。低手数料の固定アロケーションファンドで、お子さんが小さいうちは株比率を上げて始め、5年ごとぐらいに見直しを掛け、少しずつ株比率の低い固定アロケーションファンドへ自分で移行していくとよいでしょう。

各州のABLE口座情報はこちら:

http://www.savingforcollege.com/529-able-accounts/

複数の‘ABLE口座の詳細を比較したい場合はこちら:

http://www.ablenrc.org/state_compare

 

 

 

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