ファイナンシャルエイドのアワードレターを読み解く

大学に合格するだけでも十分大変ですが、いったん合格すると今度は金銭の心配が始まります。合格通知がきてから数週間すると今度はファイナシャルエイドのアワードレターが届きます。アワードレターはなかなか難解な表示の仕方がしてあるものもあり、いったいいくらもらえるのか、いったいいくら自分で払わねばならないのか分かりにくいケースも多いようです。もちろん学費は卒業まで毎年払い続けるもので、ファイナンシャルプラニングの面からいうと4年でいくらかかるのか、そのお金がきちんと工面できるものであるかをきちんと確認したいところですが、それが難しい場合も多いのです。今日は、アワードレターの読み方のお話。

 

College Shopping Sheet

この問題に対処するために2011年にCollege Shopping Sheetというアワードレターのフォーマットが提唱され、およそ2000校がこのフォーマットを使い始めました。一定の形式に沿ってファイナンシャルエイド内容を表示することで、選ぶ側にとって各大学のオファー内容の比較を容易にするという目的があります。しかしながら、2000校はアメリカ全大学の半数以下であり、まだまだ難解な表示をしている大学も残っており、比較が難しい場合も多くあります。

下がCollege Shopping Sheetのサンプルです。カレッジ費用の内訳とその総額が記され、次にフリーマネーとしてもらうことができるグラントとスカラシップが記されています。差し引いた額がネットコストと呼ばれ、何らかの方法で自己負担する額になります。自己負担のオプションとして、ワーク(学生が何らかのワークプログラムで働く)、ローン(連邦政府のローン)、Other(プライベートローンなど)が列記されています。この方式ですと、カレッジ費用の合計がいくらで、実際にフリーマネーとしてもらえる額がいくらで、差額をどのように支払うオプションがあるのかが明確です。

shopping sheet

 

難解バージョン

こちらは大学独自の方式で表示された、ちょっと難解なアワードレターです。Financial Aid Programとして8項目が列記されています。問題は、フリーマネーとしてもらえるグラントやスカラシップ、ワークプログラム、ローン、その他の分類が明確でなく、混同して表記されていることです。ただでもらえるお金であればネットコストが下がりますが、ワークプログラムやローンはここではファイナンシャルエイドという名の下列記されていても、つまるところは自己負担です。

diff award letter

ここでは最初の2項目がグラント、下の2項目はアワードなのでただでもらえるお金であり、合計で$13,321です。上から3つ目の項目はワークスタディで働かねばもらえないお金です。ワークスタディはアプライして仕事が見つかってはじめて働けるのであり、盲目的に当てにしないほうがいいかもしれません。それ以外のものはローンです。ここではLoanと明記してあるからまだいいですが、記号でLとかLNなどと記載してある場合もありますのでよく読みましょう。

またローンにもいろいろ種類があって大きく分けてふたつの種類、Subsidized(助成あり)とUnsubsidized(助成なし)があります。Subsidized(助成あり)とは、在籍中に発生する利子に関しては、連邦政府(Department of Education)が負担(助成)するということです。つまり、大学に在籍中は、ローンを借りている本人は無利子で借り続けられるということです。反対に、Unsubsidized(助成なし)とは、連邦政府の利子負担がなく、ローン借り入れが始まった時点からすぐに利子が発生するものです。大学生活は4年(もしくはそれ以上)かかるので、1年目に受けたローンの在学中の利子は馬鹿にできるものではありません。それも鑑みて、卒業後無理なく返済ができるのか、よく吟味する必要があります。そういうわけで、できる限りSubsidizedのローンで必要をカバーするのがよいわけですが、これもSub、Unsubのように短縮した形でしか表示がない場合もあり、見極めが必要です。

また、この例ではローンの中にFederal Direct Parent Loanをファイナンシャルエイドのリストの中に列挙していますが、(学生ではなくて)親が借りるこのローンは利子も高く、学生が受けることのできる条件のよいローンに比べると見劣りするものです。このローンを組むのなら、大学を通さないで得ることができるホームエクイティーローンなどのような他の手段のほうが懸命である場合も多いでしょう。実際、最初に見たCollege Shopping Sheetのサンプルでは、Parent LoanはOthersという一番下のカテゴリに入れられ、グラントや条件のよいローンとは別分類されています。つまり、本来であればファイナンシャルエイドという枠組みの中には入るべきでないようなものですが、大学によってはこのParent Loanもファイナンシャルエイドのアワードのパッケージの中に組み込んで表示するため、まるでエイドがたくさんもらえているかのような誤解を生む可能性もあるので注意が必要です。

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