Last Updated on 2023年3月13日 by admin
銀行がつぶれたら、預けていたお金は?投資ファンドを買った金融機関がつぶれたら、どうなる?アメリカにある程度住んでいらっしゃる方は、FDICとかSIPCという名前を聞いたことがおありでしょう。金融機関が財政難に陥って存続が危うくなった場合に、どちらも消費者のお金を保護してくれる団体です。今日はこのお話。違いを学んでおきましょう。
銀行預金を守ってくれるFDIC
The Federal Deposit Insurance Corporation (FDIC)は、破たんした銀行の口座にあるお金を預金者に対して保証する団体です。FDICが発足する前は、銀行が破たんすると、預けていくお金は早い者勝ちで預金者に振り分けられるため、金融機関の前に長蛇の列ができました。現在では、FDICのおかげで、万が一の破たんの場合にも限度額はでは保証されることで預金者はパニックにならず安心していられます。FDICのメンバー銀行にある口座であれば、一人につき$250,000までの預金(元本と利子)が保証されます。ご自分の銀行がFDICのメンバーかどうかはこちらでチェックできます。
カバーされる口座
- チェッキング口座
- セービング口座
- マネーマーケット口座
- CD
- トラスト口座
カバーされないもの
- ミューチュアルファンド
- アニュイティ
- 株式、債券などの投資媒体
一つの金融機関につき、一口座につき、$250,000の保証ですが、夫婦は一人ずつ別口座と数えられ、そのうえジョイント口座はさらに別口座と数えられ、保証額は$250,000が二人分となり$500,000までとなります。よって同じ金融機関でも、これらを組み合わせることで夫婦なら$1ミリオンまでの現金の保証を受けられます。そんな多額を銀行口座に置く人もあまりいないでしょうが、さらに他の金融機関にも同様な口座をつくれば、そちらも一口座につき$250,000の保証が受けられます。
- 夫、妻、大学生の子ども・・など個人口座ごとに$250,000
- 夫婦ジョイント口座はさらに$250,000x二人=$500,000
クレジットユニオンを守ってくれるNUCA
クレジットユニオンはFDICには属していません。クレジットユニオンは独自の組織、National Credit Union Administration(NCUA)をつくっておりNCUSIFという基金によって、FDICと同じような保証を提供しています。クレジットユニオンに預けたお金は、預金とは呼ばれるシェアと呼ばれますが、NCUAのメンバーであるクレジットユニオンであれば、銀行口座と同様に一人$250,000、ジョイント口座$500,000までカバーされます。ご自分のクレジットユニオンがメンバーかどうかはこちらでチェックできます。
- シェア・ドラフト口座 (チェッキング口座相当)
- レギュラー・シェア口座 (セービング口座相当)
- マネーマーケット口座
- シェア・サーティフィケート(CD相当)
投資口座を守ってくれるSIPC
Securities Investor Protection Corporation(SIPC)は、FIDCの投資口座版です。アメリカで登録されたブローカレッジ機関であれば、SPICのメンバーになることが強制されています。FIDCは限度額までの保証を行う保険機構なのに対し、SPICは保険ではなくて、投資者保護機構で、財政破たんの場合には、いきなりお金の保証を行うのではなくて、次のような段階を経て業務清算のヘルプをするというイメージです。
まず、金融機関が財政難に陥ったとしても、顧客である投資家の資産を経営上の必要を満たすために使ってはならないという厳しいルールあり、顧客の投資資産はこの段階ですでに大きく守られています。どうしても経営が立ち行かなくなった場合は、金融機関は他の金融機関と合併して経営を立て直すか、あるいは事業の一部を切り離すなどして経営を続行します。この場合は、SIPCの出番はなく、顧客の資産はそのまま継続されます。Bear Stearns がJPMorgan Chaseに吸収されたときも、SIPCの関与はなく、Bear Stearnsの顧客はそのままJM Morgan Chaseの顧客になり、顧客自身は何もする必要がなく、口座はそのまま移行されました。
もしも、このような継続がどうしても困難で、Liquidation(業務清算)が必要になった場合は、SIPCが関わり、できる限り迅速に投資家の投資や現金を金融機関から引き上げ投資家へ戻すことに努めます。これは現金での「保証」ではなくて、あくまで投資家が持っていた投資ポートフォリオの中身をそのままの形で戻すことを目標にします。もしも投資家の投資資産のうち、金融機関から引き上げることができず投資家に戻すことができないものがあった場合には、SIPCは一人$500,000(ただし現金はこのうち$250,000まで)を限度にSIPC自体の資産を使って、戻すことができない投資媒体を購入し、そのうえで投資家に戻します。SIPCはできる限り、投資家が持っていた投資資産をそのままの形で戻ろうと試みますが、そうしても手に入れられない投資媒体があった場合には、現金にて戻します。また、これは市場価格の変化による損失を補うものではなく、あくまで経営難に陥った時点で、顧客が持っていた投資そのままの形か、その時価相当を戻すということになります。
なお、この$500,000という数字ですが、SIPCが自分の現金を使って顧客のために投資資産を購入する限度が$500,000までということであり、たとえば顧客が$1ミリオンの投資資産を持っていた場合、$800,000までの資産は金融機関からそのままの形で引き上げることができ、現物で投資家に返却できたが、$200,000はそれが不可なので、SIPCが自分の現金を使って投資媒体を購入し、投資家に戻す・・・というように、投資家の資産が$500,000を超えていても問題がなく全額が戻る場合がほとんどだと想定されます。また、$500,000は銀行口座の場合と同様、個人、ジョイント口座で別々にカウントされます。ただしジョイント口座も口座あたり$500,000の限度で、夫婦でジョイントの場合にも2倍にはなりません。下記のそれぞれで$500,000までとなっています。
- 個人口座
- ジョイント口座
- コーポレイト口座
- トラスト口座
- Traditional IRA口座
- Roth IRA口座