Credit Freezeのすすめ

個人情報の流出、なりすまし被害など不穏な事件は後を絶ちません。それに対処する策として、消費者が自分のクレジットレポートを守りID詐欺を未然に防ぐための方法として、2013年からCredit Freeze(クレジットレポートの凍結)が可能となりました。あれから7年経ち、Credit Freezeも発展しました。以前はFreezeをするのに料金があり、Unfreezeするのに料金がありと、何かとお金がかかっていたのがなくなりました。また、Freeze/Unfreezeのしやすさも各段に改善されました。2020年になってみて私が思うのは、自分のクレジットレポートはFreezeしておくというのがデフォルトになってもよいのではないかということです。今日はそのことについて考えてみます。

Credit Freezeとは?

Credit Freezeを行うと、個人のクレジットレポートは完全にアクセスができない状態になります。ローンやクレジットカードの発行では、必ずクレジットレポートへの照会が必要ですから、アクセスが不可能ということは新しい口座を開くことができないということになります。個人情報を盗み本人になりすましてお金を借りたりクレジットカードをつくるというタイプのID詐欺は、完全に防止できることになります。

Equifax、Experian、TransUnionの三つのクレジットビュローに対して、Credit Freezeを申請します。それぞれのサイト/電話番号はこちら。それぞれクレジットビュローによって、“Freeze Credit Report”とか ”Security Freeze”とか “Freeze Credit”などと、表現が違いますが全部意味は同じです。それぞれの管理している個人のクレジットレポートをアクセスができないように凍結するということです。

凍結は3つのビュロー全部に対してする必要はありませんが、せっかくならば全部凍結するのがより精度の高い保護になると思います。以下からできます。

Equifax
Equifax.com/personal/credit-report-services
800-685-1111

Experian
Experian.com/help
888-EXPERIAN (888-397-3742)

Transunion
TransUnion.com/credit-help
888-909-8872

Credit Freezeは、いわば自分のクレジットに関する個人情報の保管場所にカギをかけるようなものです。ローンを開くとか、クレジットカードを申し込みたいとかで、自分自身が誰かにクレジット情報を審査してもらわねばならない場合でも、カギを開けて見られるようにしなくてはなりません。これがUnfreezeです。これも上のサイトからそれぞれのクレジットビュローに対して申請します。“Unfreeze”とか”Life a Freeze”とか“Remove a Freeze”など表現は違いますが、同じことを指しています。

Credit Freezeの要点

  • 誰かが本人に成りすまして新しい口座を開ける、クレジットカードをつくる、ローンを申し込むなどの詐欺を防止することができます。
  • ご自分が新しい口座を開ける、クレジットカードをつくる、ローンを申し込む必要があるときには、各会社にクレジットレポートへのアクセスを可能とするためUnfreezeする必要(無料)があります。
  • 一年に一度自分のクレジットレポートを無料で閲覧する権利であるfree annual credit report は引き続き使うことができます。Credit Freezeでなりすましなどの詐欺は防げるはずですが、それでもローンの返済/カードの支払いなど間違いの報告が掲載されている可能性はありますから、一年に一度はチェックします。
  • 新規口座のなりすまし開設は防げるものの、既存銀行口座の悪用、既存クレジットカードのなりすまし利用などは防げません。既存口座は、Credit Freezeとは別にきちんとモニターする必要があります。
  • ダイレクトメールや電子メールでの各種金融商品の宣伝がなくなるわけではありません。それらをなくしたい場合はl 888-5OPTOUT (888-567-8688) か onlineで手続きをします。
  • Freezeをしても既存のローン債権者/カード会社などは、クレジットレポートにアクセスすることができます。また、Court OrderやSearch Warrantなどによりアクセスが法的に認められた場合は当該機関がアクセスすることができます。
  • Freezeするときには、各クレジットビュローに対し、name, address, date of birth, Social Security numberなどを提供する必要があります。オンラインの場合は、そこが本当にクレジットビュローのサイトであること(なりすましサイトでないこと)を確認します。不安であれば、こちらのFTC(Federal Trade Commission)のサイトから直接リンクをたどってください。
  • Unfreezeするときには、オンライン/電話で申請すると1時間以内に対処されます。Unfreezeは永久にすることもできますが、一定期間(たとえば3日間だけなど)だけすることもできます。

Fraud Alert(詐欺注意)というのもあります

ID詐欺に対して心配がある場合、Fraud Alertをつけておくと、クレジットカード口座やローン口座などの開設のために、カード/ローン会社がクレジットレポートにアクセスをした場合、本人確認のためにより高い精度で臨むというものです。クレジットレポートへのアクセスが凍結されるわけではありませんが、注意書きを見ることでカード/ローン会社がなりすましでないかについてより高いセキュリティチェックを行います。

以前は、お財布をなくしたとか、ソーシャルセキュリティーカードをなくしたとかで、ID詐欺に遭う確率が高い場合にCredit Alert、実際に詐欺に遭ってさらなる被害を防ぎたいときにCredit Freezeというような使い分け(一応の)が提唱されていましたが、現在ではCredit Freezeのほうが一般的になってきているのではないかと思います。

Credit Freezeをすることの一番の長所は、クレジットレポートに誰もアクセスができない状態になることです。そして、Credit Freezeをすることの一番の短所もまた、クレジットレポートに誰もアクセスができない状態になることです。「誰も」は本人も含み、たとえば本人がローンに申し込んだ場合も、ローン会社はアクセスを許されませんので申請手続きを進めることができません。

ただ前述のUnfreezeの手続きは少々面倒なものの、ただ手続きをすれば済むものなので、他の誰かが不正アクセスをして被る被害を防ぐことができるのなら、あまり余って小さなことのように思います。

7年使ってみて

我が家は夫婦ともに2013年からCredit Freezeをしています。今までの7年間の間どうだったか・・・経験を共有させていただきます。

新しいクレジットカードをつくりました: Chaseのクレジットカードだったのですが、ChaseはExperianからクレジットレポートをチェックすることを確認し(Which credit bureau does 〇〇 use?などという感じでGoogleサーチすると、大手については答えがすぐ出てきます)、ExperianだけUnfreezeしてからクレジットカードをオンラインで申し込みました。審査が通ったらすぐまたFreezeしました。特に問題もなく、Freeze/Unfreeze処理はトータルで10分もかかりませんでした。

車を買いました: 中古車をディーラーからローンを組まずに現金で購入しましたが、それでもクレジットレポートチェックがありました。私たちはチェックがあることを知らずCredit Freezeはそのままでした。ディーラーがチェックしたところ不可能で、“あなたはクレジットファイルがない!”というので、“ああ、Freezeのことだ”と思い、すぐどこのビュローをチェックしているかを聞き、(たしか)TransUnionだったのでその場でFreezeを1日だけはずしました(Unfreeze)。そのまま車は買えて乗って帰ってきました。

家のモーゲージのリファイナンスをしました: オンライン(https://www.mtgprofessor.com)でイニシアルの打診をしたところブローカーから連絡があり、クレジットビュロー3社ともUnfreezeが必要と言われました。他にもいくつか当たってみる予定もあったので、1週間限定で3社ともUnfreezeしました。2社はスムーズにUnfreeze。一社はしたつもりがうまくできておらず、ブローカーとのやりとりが何回かありましたが最後にはきちんとUnfreezeし、ローン申請は滞りなく進みました。

FreezeもUnfreezeもかなり簡単にできますし、無料です。Unfreezeの設定の仕方はビュローにもよりますが、mm/dd/yyからmm/dd/yyまでなどというように期間指定をしてできるので、Unfreeze後再度Freezeの手続きをする必要はありません。たしかに、Unfreezeの面倒なく各クレジット/ローン業者がクレジットチェックをできるのは楽かもしれませんが、それは他のだれかも見られるということ。であれば、多少の手間は覚悟でクレジットレポートはFreezeしておくのがよいなというのが私の感想です。自分の家に外出先からすぐに入れるからと言って、カギを掛けないで出かける人はいませんよね。カギを開ける手間があっても、外出している間の安心のため、盗難など事故の防止のためカギを掛けます。クレジットレポートも同様にカギはしておくというのがデフォルトになってもよいのではないかと思うのです。

4 comments

  1. いつも有用な情報を提供きただきありがとうございます。日頃の生活に参考にさせていただいています。今回、Credit freezeを3社ともやったのですが、Transunion、Equifaxは無料ですが、Experianは有料のメンバーにならなければCreditLockはしてくれないのですね。メンバーになってCreditLockをしただけで、特にnotificationなしにpremiumのメンバーになっていて(月額$24.99)、クレジットカードへのチャージが来てから初めて知りました。条件とかをいい加減に読んで加入してしまい、反省しています。
    これからも記事を楽しみにしています。

    1. Credit Freeze自体は無料なはずです(September 21, 2018からは法律でそうなっているはずです)。モニターリングサービスなどをつけると優良になるのではないかと思います。

  2. 読み始めて数年、初めてコメントさせていただきます。
    ニュースでも取り上げられていますが、私の勤務する会社にも他人が従業員を騙って申請した失業保険の確認レターが来るようになり個人情報漏洩の怖さを身に染みて感じるようになりました。失業保険申請や税務申告については、クレジットフリーズは関係ないのは承知ですが、日々の生活において少しでもトラブルから身を守りたいと想いこの度クレジットフリーズを真剣に考え始めました。その際に、そういえばこちらのブログでクレジットフリーズの経験談が載っていたな、と思い今回読み直し、改めてその詳細と分かりやすさについて感謝しています。
    今後とも有益なポストを楽しみにしています。

    1. そうなんですね。失業保険のなりすましもあるのですね。おっしゃる通りクレジットフリーズだけでは対応できない部分がたくさんありますね。本当に大変な世の中になってしまいました。できることだけやっていくしかないですね。

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