息子がよく言います、「ママ、ケチ!」 「新しいiPhoneにアップグレードしていい?」-「今のが十分使えるのにどうしてアップグレードするの?」-「ケチ!」とか、「たったの$10ドルで、このおまけがついてくるよ」-「そういうおまけに心を奪われるのではありません!」-「ケチ!」という具合。「じゃあ、そういうのにどんどんお金使って、カレッジに行くときは自分で借金して払いなさいというほうがいいわけ?」と言い返すも、自分は本当はケチなのではないかと一抹の不安も。今日は、倹約家とケチの違いについて考えてみよう。。。
お金が使えない人・・・
この消費社会のアメリカにもいるそうです、お金が使えない人。お金を貯められない人にしてみるとちょっとうらやましかったりするみたいですが、とにかく何につけてもお金を使うことができないというのです。そして往々にして、そういう人はお金がない人というよりは、お金がある人の中にいるらしいのです。英語ではChronic saver(慢性的節約家)とか呼ばれるようで、日常の必需品から医療サービスまで、とにかく買ったほうがいいものにでさえお金を費やせない、あるいはお金を使うことが怖い、使うと罪悪感を感じるというような人たちです。
多くの場合、心の根底にある否定的な考え、たとえば「お金がなくなってしまう」とか「自分にはお金を使う価値がない」というような考えが原因になっているとのこと。お金は十分あるのに、貯めても貯めてもお金がないと思う状態。自分には価値がないから、新しい服を買う必要はないという考え。。やせてもやせても自分を太っていると思ったり、生きる資格がないから食べてはならないと思ったり・・・拒食症と慢性的節約、まるで似ても似つかない分野のように思いますが、実は同じようなところに問題があるのかもしれません。
お金があるのに・・・
考えてみれば、私だって、ちょっと贅沢して大きなお金を使ってしまったときなど多少の罪悪感も感じないと言えばうそかもしれないし、それに$3,000のバッグを見たら「いやあ、私には似合わない」と思いますから、実は同じ穴のむじなかな?お金をSmart & Responsibleに使いたいと思ってこのサイトを始めましたが、ではSmart & ResponsibleとCheap(ケチ!)の違いは何なのか。
あるファイナンシャルプラナーの話。自分のクライアントで、慢性的節約家がおり、リタイヤメントにはもう十分な資金が貯まっているのにもかかわらず、とにかく貯め続けないではいられない人がいるそうで。外食もしなければ、新しい服も買わない。買い物はもっぱらガレージセールかフリーマーケット。バケーションもここ何年もとっておらず、人が少しはお金についてリラックスするように言うと、メディケアやソーシャルセキュリティなどを持ち出し、将来の不確定性について語り、断固として拒否する。。。
あるいはこんな例も。。。老後に入ったオペラ好きの80歳を過ぎたおばあさん。老後の生活を送るのに十分な資産があるのに、必ずオペラは地下鉄で見に行く。最後まで見た場合、会場から地下鉄に乗るまで人ごみにもまれるのを心配し、毎回インターミッションで出て(もちろん地下鉄で)家に帰るという。。最後まで見てゆっくりとタクシーに乗って帰宅するのいうのも、80歳過ぎたら贅沢ではないと思いますが。。
お金があっても・・・
億万長者ウォーレン・バフェットは、倹約家であるとはよく言われますがどうなんでしょう。億万長者になった今も、億万長者になる前、1958年に$31,500で購入したネブラスカ州オマハの家に住み続けているのは有名な話。この家の今の価格は$700,000だそうですが、億万長者でなくとももっとキラキラした家に住んでいる人が多いのを考えると、随分質素な感じがします。 ニューヨークのプラザホテルに泊まっているとき、ホテルの高いドリンク代を払わなくていいように、ペプシの6パックを友人に頼んで持ってきてもらったという逸話もあります。しかしウォーレン・バフェットは、リスクを的確に判断した上で価値があると思ったら、ズバッツとお金が出せる人ですね。だからこそ億万長者になれたんだから。そういうのは、やっぱりケチとは違いますね。
ちょっと比べてみました、ケチとSmart & Responsible風倹約家の違い。。。
ケチとは。。
- 値段だけに焦点を当てる。
- 一番安いものに飛びつく。
- お金との付き合い方で最善の方法は、使わないことと考える。
- お金を貯めること自体が人生のゴールであり、お金はあればあるだけよいと考える。
- たとえ必要なものであっても買わない。
- 値段がゆえに、質の悪いものを買う
- 子ども料金で入場するため、子どもの年齢を偽ったりしても平気。
- 決して(たとえ小さくとも)贅沢はしない。
- 人のためには何も買わない、あるいは買っても自分が要らないようなものを平気でプレゼントする。
- 外食はほとんどしない。してもチップをケチる。
Smart & Responsible的生き方
- 価値と値段の両方を考慮する。価値のあるものには、お金を費やすのはよいと考える。
- お金は、充実した人生を生きるために必要なツールだと考える。
- 評価レビューやパフォーマンステストなどの情報を集め、性能や価値の割には値段が安いものを選ぶ。
- セールの情報やクーポンを集めたりするものの、セールやクーポンがゆえに購入せず、必要なときにだけ利用する。
- 値段がゆえに、劣悪商品を選ぶことをしない。
- 大きな出費が必要なときは、むやみに全額出さず小額を少しずつ出費する。
- 消費の前には、それが本当に必要なものか、ただあったらいいものかを注意深く吟味する。
- 人のために何か買うときは、自分にものを買うのと同じ基準(あるいはそれ以上)で選ぶ。
- チャリティーやファンドレイジングなど、価値ある目的のためには惜しまないでお金を出す。
- 外食は頻繁すぎないが折をみて出かけ、チップも適切にする。
- たまには、はじけてもOKとする。
つまり、ケチとは、お金を貯めること自体が目的で、貯めたお金の残高そのものが評価基準になってしまっていることを指すのでしょう。たとえ使ったほうが自分の人生や人の人生を豊かにするというような場合でも、そういうことは考慮に入れないで、ただ使わないことがベストの選択とする姿勢です。
一方、Smart & Responsibleな生き方とは、一生懸命働いて得た(あるいは家族が働いてくれて得た)お金を、最大限有効に使おうとする生き方です。お金は単なるツールであり、お金自体が目的ではなく、1ドルあたりのお金のパフォーマンスを最大化する、つまり1ドルで得られる価値を最大化することに心を配ります。高い意識と賢い選択をもってお金を使います。人生を楽しく豊かに生きるためにお金はあると考え、お金には支配されず、お金からは完全に自由である生き方をしたいと願います。
聖書のことばをひとつ思い出しました。。。
私たちは何一つこの世に持って来なかったし、また何一つ持って出ることもできません。(聖書 第一テモテへの手紙 6:7)
・・・ということで、息子には胸をはって、「ママはケチではない!」と言うことにいたします。
アーメン!