車のローンとリースでは、ギャップ保険もお忘れなく!

中国人のお友達から、「2012年のGMCのYukonという車を買ったんだけど、急遽中国に帰国することになり、車を売りたいのだけど・・・」という電話をもらいました。3ヶ月前に$46,000で買ったばかりなのに、購入したディーラーに持っていったら、「$37,000で買い取ります」と言われたそうす。彼女の場合は、誰かもう少し高く買ってくれる人を捜せそうですが、これが事故でいきなり廃車、あるいは盗難ということだったらどうでしょう。え?保険がおりるって?そうです、自動車保険でコリジョン・コンプリヘンシブに入っていれば、保険はおります。でもいくらおりるでしょう?おそらく、$46,000よりはずっと低い、$37,000とは言わないでもそちらにかなり近い額だと予想されます。

 

ギャップ保健はなぜ必要か

コリジョン・コンプリヘンシブで補償される額は、キャッシュ・バリューからDeductibleを差し引いた額です。キャッシュ・バリューというのは、Edmunds.comKelly Blue Bookなどで調べる市場価格あるいは時価といったものに近い額です。購入価格とこのキャッシュ・バリューの差はDepreciated Value(減価分)です。$46,000のYukonを購入し、ディーラーの駐車場から出た瞬間からこのDepreciation(価値が下がること)ははじまります。

このDepreciation(減価)は1年目ほど激しく、時を経るにしたがってだんだんと緩やかになっていくという特徴があります。平均的な新車は、1年目に30%もその価値を失うというデータがあります(Edmunds.com調べ)。3年目までには50%の価値を失うそうです。賢い消費者は、1年目、2年目おちのマイレージが少ない車を好んで買うというのはこのためです。新車は他の人に高い値段で買わせておいて、状態はまだまだ新車に近いものを、ぐんと値下がった額で購入するということです。

問題は、$46,000のYukonを買って、半年で廃車、あるいは盗難の憂き目にあってしまい、保険会社からは$37,000しか補償が得られなかった場合です。この中国人の彼女の場合は、キャッシュで買っていますので、差額の$9,000は支払い済みのお金であり、自分で損失を飲み込んで$37,000を新しい車を買うために使うことになります。

しかしもし、ローンを組んでいたらどうでしょう。頭金は$2,000払って5年ローンを組んでいた場合、半年後のローン残高は$41,000ほど。そうすると、$41,000-$37,000=$4,000のギャップは自分のポケットから一括で支払うことになります。また、車をリースしている場合も同様な問題が起きる可能性があります。廃車や盗難にあったとき、リース会社に契約で決められた残高を一括支払いせねばなりません。ローンの場合と同様、保険会社からの補償と支払わねばならない額との間にギャプが生じることになります。

ギャップ保険は、このギャップをカバーしてくれる保険です。ローンやリースの残高と保険会社の支払うキャッシュ・バリューとの差額を補償してくれます。上の例でいくなら、$4,000を補償してくれるということです。ちなみにギャップ保険の「ギャップ」はもともとはGAP=Guaranteed Auto Protectionという意味だそうです。

 

ギャップ保険を買ったほうがいい場合は?

ローンを組んでも、頭金を十分に出していればローン残高が低くなりますから、たとえ1年目に廃車になっても、ギャップはおそらく存在しないでしょう。つまり、保険金の補償額でローン残高を払いきってもおつりが来るということです。こういう場合はギャップ保険は要りません。

反対にギャップ保険が必要な場合は、Depreciationの激しい車(新車)を頭金をあまり払わずに買った、リースした場合や、長期のローンを組んだので最初のうちはローン返済をしても残高がなかなか減らないような場合です。ギャップ保険の必要性を考慮したほうがいいケースは・・・

  • 車をリースした
  • 60ヶ月以上のローンを組んだ
  • 頭金が20%以下
  • Depreciationが激しい車である:depreciation(減価)はメーカーや車種によって、パターンが違います。一般的に、日本車はDepreciationがゆるやかといわれています。
  • 一年に15,000マイル以上乗車する:乗れば乗るほどDepreciationがより大きくなります。

リースの場合は、すでにリース契約の中にギャップ保険が含まれていることがあります。その場合は、月々のリース料のなかにギャップ保険料が含まれているということです。Gap Waiverといって、廃車・盗難などの場合には、ギャップ分の支払いは免除されるという条項が織り込まれています。この条項はリースの契約書に書いてあるはずですから、きちんと確認しましょう。Gap Waiverがない場合は、自分でギャップ保険を購入する必要があります。

ギャップ保険、どうやって入るの?

ギャップ保険は高いものではありません。もちろん車種やケースによりますが、1年に数十ドルで済むこともありです。通常、コリジョン・コンプリヘンジョンの保険料と正比例の関係で、高い車でコリジョン・コンプリヘンジョンの保険料が高けければギャップ保険も高くなるようです。いずれにせよ、ギャップ保険は車の一生ずっと必要なものではありません。ローン・リースの残高のほうが車のキャッシュ・バリューより大きい最初の1年、2年だけ持っていればOKです。

多くの専門家が、ディーラーではギャップ保険を買わないほうがいいと注意しています。「ギャップ保険は、ディーラーでしか、あるいは車の購入時にしか加入することができない」と勘違いしている人もいるそうですが、後からでも一般の保険会社からギャップ保険を購入することができます。また、保険料も一般的にそのほうが安いとのことです。ただ、購入直後、リース契約直後が一番ギャップの大きい時ですから、なるべく早く契約することが望ましいでしょう。

自動車保険を提供している会社なら多くの保険会社がギャップ保険も提供しているそうですので、まずは自分の会社に聞いてみましょう(大手でも、StateFarmやGeicoは意外にもギャップ保険を売っていないそうですが。。)。

比較的小さな保険料で、もしもの時はありがたい補償が得られるギャップ保険、ローンとリースの際には考慮をお忘れなく。

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5 comments

  1. これはいい情報ですね。実はギャップ保険に入っていたんだけど、「良かったのかな」とずっと思っていたので、すっきりしました。

    ところで、リースと買い、どちらがお勧めですか? もちろん乗る人のライフスタイルが関係しているとは思いますが。家と違って車はディプリシエーションしていくばかり。しかも年数とともに修理代もかさむ。買いがお得だとは思えなくて、リースを考えているのです。

    1. おっしゃるとおりその人のライフスタイルによるのでしょうね。どんな要素が、リースと買いのどちらがよいかを左右するかがよくわかるシュミレータを見つけました:。比較的新しい車に乗り続けたい、月々のペイメントをなるべく小さくしたい、ルーティン・メンテはちゃんとする、クレジットはいいほう、という方にリースが向いているようです。反対に、一度買ったらある程度長い間乗る(最初のディプリシエーションが激しい数年を超えて長らく乗る)と言う方には、買ってしまったほうがいいのでは。。。そのうちきちんとブログ書きます。。。

      1. お返事ありがとうございます。確かに私リースの条件にあてはまっているかも。しかも運転マイルが年間1万マイル以下だし。なかなか日本人にはリースの観念は浸透し難いのか、周りにリースの人は少ないですね。アメリカ人同僚の話を参考にしているだけなので、いつか書いていただけたら、助かります。

  2. 日本でも、車のリースというのが結構増えてきていますが、日本国内でも、ギャップ保険というのはあるのでしょうか?リースを謳っているHPでは、ギャップ保険のことは、読んだ限りでは、注意書きにも書かれていないようなのですが。米国内情報を発信されているHPで、場違いで申し訳ありません。

    1. いこ様、コメントありがとうございます。残念ながら、私は日本でのパーソナル・ファイナンスの諸事情はよく知りませんで、中途半端な情報をお流しするわけにもいかず、回答を控えさせていただきます。。お役に立てずごめんなさい。

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