High Yield Saving か CDか・・・

High Yield Savingに興味があるのですが・・というお話をよく聞きます。我が家でも、家の買い替えで、前の家が売れてから次の家を買うまでの間、頭金をAmex BankのHigh Yield Savingに入れておきました。家の買い替えにはなんと4年もかかり、Savingに入れておくにはもったいなかったかもしれませんが、何せ、いつ気に入る家があわられてすぐ引き出す必要があるやもしれません。そのあたりの銀行のSavingよりは金利が高く、すぐ現金を引き出せるSavingである必要がありました。Savingよりは金利のよいCD(Certificate of Deposit=満期付預金)も考えましたが、うまく引き出しのタイミングがあわないと面倒だと考え、やはりHigh Yield Savingとなったわけです。今日は、このHigh Yield Savingと昔からあるCDとを比べてみます。

 

そもそもHigh Yield Savingとは?

フツウの銀行(窓口を持つ従来の銀行)のSavingの利子はひどいと0.01%、大口預金などだとよくて0.15%という現状です。これに比べHigh Yield Savingだと0.95%という利子に跳ね上がります(2014年3月現在)。つまり利子が高いからHigh Yieldという形容詞がついているわけですね。High Yield Saving口座を提供している銀行はほとんどが、オンラインバンクとよばれる銀行で、窓口のある物理的な支店は持ち合わせていません。結果的に、オーバーヘッド費用が少なくてすみ、浮いたコストを利子に反映させるというしくみになっています。High Yield Savingの利子はすぐ比較できる形でネットのあちこちに掲載されていますし、そのそも顧客ターゲットがネットを利用し比較検討するタイプの人なので、顧客獲得競争は激しく、結果的に利子もかなりコンペティティブになっています。

High Yield Saving口座はオンラインで簡単に開けます。口座はフツウの銀行のCheckingやSaving口座と同じく、FDIC(Federal Deposit Insurance Corporation)の$250,000までの元金保証があります。口座開設にあたっては、利子だけでなく、条件も検討することが必要です。オーバーヘッドを軽減するため、口座利用に対しての制限があることが常だからです。フツウの銀行のようにチェックブックを自由に使ったり、送金を限度なしでしたりということは制限される場合が多いでしょう。

 

現在(2014年3月半ば)のHigh Yield Savingの金利は、0.85から0.95%あたりです。一方、1年ものCDの金利は、1%から1.05%です。2年ものCDの金利は1.10%から1.15%あたり、5年ものになると2.00%から2.25%ほどになります。さて、High Yield SavingかCDかどちらを選びましょうか。

 

金利が安定している時代ならCD

CDは満期があります。その間、元金は引き出さないことを前提に金利が設定されています。もしも満期以前にお金を引き出す場合は、Early Withdrawal Penaltyという罰金が課されます。このPenaltyは銀行によってまちまちで、良心的な線で金利1ヶ月分、ひどい例だと一律$25の固定額プラス元金の3%という例もあるそうです。元金の3%というと、利子が案外ついていたとしても、結果的に元金割れする可能性大ですから注意が必要です(FDICの現金保証はペナルティによる元金割れには適用されません)。平均的なところでは、1年もの以下であれば、3か月分の利子、1年をこえた満期であれば6か月分の利子というところです。

金利が安定しており、CDの金利のほうがHigh Yield Savingよりも魅力的な場合は、おそらくお金が必要となることのない期間を考えて、それにあわせた満期のCDを選ぶのがよいでしょう。非常時の蓄え(エマージェンシーファンド)などで、おそらく当分は必要にならないが、すぐに現金化できることが大切なお金に関しては、ペナルティがそんなにひどくないのであれば、敢えて5年などの長期満期を選んでもいいでしょう。もしも万期前に引き出すことがあったとしても、ペナルティを払っても十分な利子が残るという計算です。

あるいはCD Laddering(Ladderははしごのことです)といって、元金をいくつかに分けて段階的に数口座のCDに入れるという手法もあります。たとえば、$40,000をひとつの5年ものCDに入れる代わりに、$40,000を$10,000ずつに分けます。今日まず$10,000を1年ものCDに入れ、3ヶ月後にもう$10,000を新しく1年ものCDに入れ、さらに3ヵ月後とそのまた3ヶ月後に同じように繰り返すことで、4つの1年ものCDを作ります。これにより、3ヶ月ごとにある程度の現金が満期を迎える状態をつくりだし、ペナルティの可能性を減少させることができます。

 

低金利時代はHigh Yield Savingのほうがいいかも

ただし、今はかつてない低金利時代。金利はこれから上がるしかない時代です。問題はいつどのように上がっていくかですが、こればかりは私たちには知る由もありません。金利がこれから上がっていくことを前提にするなら、少々現在の金利がいいCDよりHigh Yield Savingのほうが得策かもしれません。CDは満期が来るまで当初の金利が固定されますが、High Yield Savingの場合は、市場の金利に合わせて利子が推移するからです。加えて前述のように、ペナルティなしでいつでもお金を引き出せるというフレキシビリティもあります。

 

これから2年間のうち徐々に金利が1%上がる場合を考えて見ましょう。2年もののCDに$10,000を入れると2年間で利子は$230ほど、High Yield Savingなら2年間で$270ほどになります。

 

今度は、これから3年間のうち徐々に金利が3%上がる場合を考えて見ましょう。5年もののCDに$10,000を入れると5年間で利子は$1,190ほど、High Yield Savingなら5年間で$1,644になります。(最初の3年で金利が3%上がり、その後2年は金利据え置きというパターンの場合)

 

どういう時期にどのくらい金利が上がっていくかによって結果は異なりますが、少なくともこれから金利が上がることが予想される今は、長期CDにお金を入れて「金利が固定されてしまう危険性」にも配慮したほうがいいということです。かえって、現在の時点での金利は低くとも、敢えてHigh Yield Savingを選ぶというのも理にかなっているかもしれません。

 

選択にはあくまでそのお金の目的、必要になりそうな期間とその可能性を鑑みつつ、今後の金利の動向を気にしつつ、Prepayment Penaltyの課せられ方などを考えた上で、総合的に判断するとよいようです。

11 comments

  1. High Yield Saving account、そういうものだったとは、このコラムを読むまで知りませんでした。WebのBanner広告ではチラチラ目には入ってきてはいたんですが、ずーっと無視。

    私はFinancialに関しては、苦手ということもあって保守的。なので、Internet Bankもずっーと選択外。。(そういえば、昔、Internet Bankが出始めの頃はFDICでInsuredされていなかった記憶があって、2000年初頭のバブルがはじけて倒産したInternet Bankにアカウントを持っていた会社の人を思い出しました。どうなったんだろう?)

    Online Bankingも利用していますが、いまだに完全には信頼していないので、大手またはローカルにオフィスが存在している所で、特定の機能しか使っていません。

    でも、この記事を読んで、High Yield Saving accountやってみようかなあと思い始めています。私もAMEX Cardを使っていますが、そこの関連会社であれば信用できるし、Adminさんも利用したと聞けば更に五重丸。

    問題は、私よりももっと保守的な主人を説得すること。今朝、CDとのSavingの差額を計算してさらっと聞いてみたけど、あっさり”NO” ちぇっ。石頭!!

    1. ははは!そういうガンコな人好きだなあ。自分のポリシーがあるというのはいいもんだ!私もそんなにオンライン系のサービスを使いこなしているわけでもないので、人のこともいえません。。夫婦って、うまくそうやってバランスがとれているもので、お互いに頭にきながらも、おかげさまで成り立っているものかもしれませんね。

  2. 先日、アメックスからHigh Yield Savingの案内が来ました。いまどきの通常の銀行のSavingと比べても金利(1%超)が10倍ほども違うことから、友人と「何か厳しい制約があるんじゃないの?」とかなり否定的に捉えておりました。
    が、こちらのブログを拝見して、なるほど、検討の価値がありそうだと感じました。
     前向きに検討してみたいと思います。

  3. いつも勉強させてもらってます :-)

    CDの利子が上がってきてますね。

    元金割れしなかったら、ペナルティ払っても利子の高いCDに蔵替えしてもいいかなーと思い始めました。2017年に開いた五年満期のCDの利子が、オンラインバンクのsavingの利子と肩を並べましたので、どうにかしたいんですよね。。。

    利子はどこまで上がるのかも不明ですし。。

    ハシゴ方式にするほどたくさんの額でもない気もしますが、少額でもハシゴのほうがいいのでしょうか。

    1. ペナルティが、どのくらいで元がとれるかですね。。
      たしかに、CDとHigh Yield Savingの利子が案外変わらないことが多い今日この頃ですね。ハシゴも少額なら面倒ということがあれば、利子の高いHigh Yieldのほうが良いようにも思います。とくにサインアップBonusがもらえれば、それで実質の利子はぐんと上がりますので、それを狙うというのもいいでしょうね。

  4. CDと、High Yieldを比較しているところです。
    この記事から数年が経っていて、SoFiなど新しい銀行も出てきていますが、
    現在のCDとHigh Yeildを比較できる、おすすめのサイトはありますか?
    Nerd Walletなどを読んでいて、AmexやAllyよりも、新しい銀行が魅力的に見える一方、
    やはり、Amexなどのほうが信頼できるイメージがあります。

    1. 記事をアップデートしないといけませんね!
      私がよく使うのはBankrateのサイトです。
      上方のボタンで、CDかSavingかで検索が掛けられます。新しい銀行でもFDIC insuredならば、トライしてみてもいいのではないかと個人的には思います。銀行である限りお金がなくなってしまうことはないと思うので。ただ、オンライン操作や送金時などのやりやすさという意味では差があるかもしれないと思いますが、それでもチェッキングのように常に使うわけではなくて、お金を置いておくだけならば大きな問題もないように思います。

  5. 初めまして。
    High Yield Savingsについて検索していてこちらのサイトに辿り着きました。
    記事はしばらく前の投稿となっていますが、Pink Froggyさんの質問が今年されたものに対する
    回答で「新しい銀行でもFDIC insuredならば、トライしてみてもいいのでは」と書かれていて、まさに同じことを知りたかったのでとても有り難く、トライしてみようと思うことができました。
    日本語で説明をされているサイトがなかなか無く、このような内容や資料を英語で理解することが困難なため一歩が踏み切れずにいたのでとても助かります。
    引き続きサイトをじっくり読ませていただき、勉強したいと思います。
    ありがとうございます。

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