Itemized Deduction – あなたの税控除はどのくらい?

タックスリターンはお済みでしょうか?タックスリターンではすべての収入から、課税対象の収入を計算し、そこからさらに税控除を受けられる額を差し引き、最終的な課税対象収入に対していくらの税金を納めねばならないかを計算しますね。税金を支払うことは、アメリカで働くもの、住むものとして果たさねばならない義務ですが、一方で受けることのできる税控除は利用したいものです。タックスリターンをファイルする時点で、税控除についてはひとつひとつ該当するものを見つけてクレームしていくことになります。みんないったいどのくらい税控除を受けているのだろうとか、自分の税控除は平均と比べると多いのか少ないのか・・・野次馬根性ではありますが、ちょっと知りたいですね。今日はその話。

 

Standard DeductionとItemized Deduction

タックスリターンで税控除をクレームする方法には2つあります。ひとつはStandard Deductionで、もうひとつはItemized Deductionです。Standard Deductionのほうは、ファイリングステイタスによって固定された一律の基礎控除額です。2015年の場合なら、シングルの場合は、一律$6,300を収入から控除できます。夫婦でジョイントリターンの場合は、$12,600です。この額は、誰でもStandard Deductionを選ぶのであれば控除できる額です。

一方で、控除できる項目と額をひとつひとつクレームしていって、合計額を控除するのがItemized Deductionです。Itemized Deductionを使ったほうが、上のStandard Deductionより控除できる額が大きくなる場合には、こちらを選びます。反対にItemizeしてもStandard Deductionに届かない場合は、Standard Deductionを選びます。

Adjusted Gross Incomeが$50,000から$100,000の納税者ではItemized Deductionを選んだのは55%、これが$100,000を超えて$200,000までの層だと84%に上がり、それを超える層では96%以上がItemized Deductionを選んでいます(IRS2011年データ)。

 

Itemizedで控除できるもの

Itemized Deductionで控除できる項目はあらかじめ決まっています。下記にもっともよくあるものを列記します(個人のタックスリターンを念頭に置いています)。

Home mortgage interest: 持ち家を購入した場合のモーゲージローンの利子。$1,000,000までのローン部分が対象となります。場合によっては、エクイティラインなどの家を担保にしたローンの利子も含むことができます。

Charitable gifts: チャリティーなどノンプロフィット団体への献金、献品

State & Local Taxes:州などに収めたインカムタックス、車などのプロパティタックス

Real estate tax: 持ち家のプロパティタックス

Medical Expenses: 医療費。医療施設へのトランスポーテーション費用やLong term care insurance(長期介護保険)などの保険料も、条件を満たせばカウントできるので、単なる「医療費」よりも幅広い費用をカバーできますが、しかしながらAdjusted Gross Incomeの10%以上の部分しか控除できないという痛い制限があります(2016年末までは65歳以上なら7.5%以上の部分をカバー)。よって相当な高額費用でないかぎりなかなか控除できないという現実があります。

Unreimbursed employee business expenses: W2を発行される給与所得者であっても、ビジネス関係で発生した費用で、雇用主から払い戻されていないものは控除対象となりますが、ただAdjusted Gross Incomeの2%を超えた部分のみが控除対象となります。

 

各控除の平均額は?

下表が、各収入層ごとで各控除項目につき平均いくらの控除をクレームしたかをまとめたものです。かっこの中は、各層でこの控除を利用した人のパーセンテージです。

Itemized deduction dollar value

大きいのが持ち家関係の控除です。Home mortgage interestとReal Estate Taxが大きな控除額となっています。$50,000~$100,000の収入層では約半数弱が持ち家関係の控除を利用しているのがわかります。これが$100,000を超えると70%以上の数字になり、多くの人が持ち家関係の控除を受けているのがわかります。また、収入が上がるにつれ購入する家の値段も上がるので、借りるモーゲージの額が増え控除できる利子も増えます。またプロパティタックスも多くなるのが見て取れます。

Charitable giftsも同様に収入が上がるにつれて控除を利用するパーセンテージと控除額が増加傾向にあります。日本ではチャリティーへのまとまった額の寄付というと、なんとなく高額所得者だけのもののようなイメージがありますが、Givingとか社会還元を重んじるアメリカだからでしょうか、比較的低所得者でも千ドル単位の控除を受けています。教会の献金や、ノンプロフィット団体などへの服や生活用品など物品でのドネーションも控除できるので、比較的利用しやすい控除といえましょう。

また、State & Local Taxは、収入が低いなら低いなりに、高いなら高いなりに課税されるものですので、誰もが払わねばならないものであり、収入がある一定以上になると税金額も増えていきます。

Medical Expensesは、おそらく多額の費用を払っている人も多いのでしょうが、なにせAdjusted Gross Incomeの10%以上の部分だけの控除になりますので、これを利用できる人は限られます。ただ、控除を利用している人は、平均ベースでかなり高額の控除をしているようです。

Unreimbursed employee business expensesは、Adjusted Gross Incomeの2%を超える部分だけの控除なので、あまり利用方法がないかと思いきや、割と大きな額を控除している人たちがいるようです。利用者のパーセンテージは$100,000~$200,000の収入層の29%が最高ということで、それほど高率ではありません。これらはセールス関係の仕事も持った雇用者が特に使いやすい控除のようです。

 

控除額の平均パーセンテージ

各収入層でAdjusted Gross Incomeの何パーセントを、それぞれの項目で控除しているかの平均値を求めたものが下表です。

itemized deduction percentage

この表のとおり自分が控除をしていないからといって心配する必要はもちろんありませんが、この平均値の使い方がふたつあるとすれば。。

ひとつは、自分の控除のパーセンテージと比較してみて、あまりに自分のほうが低いのであれば、もしかしたら見過ごしている控除があるのではないか、あるいはもっと本来なら利用できるのに最大限に活用していない部分があるのではないかと見直してみる価値があるかもしれないということです。もうひとつは、反対に自分の控除のパーセンテージがあまりに高い場合は、Auditされる確率が増えることを認識し、より正確な証拠書類やデータの完備につとめるということです。いずれにせよ、平均値はあくまで平均値ですが、なかなか覗き見ることができない他人のタックスリターンの内容を知り自分の位置づけを知るという形でお使いいただければと思います。

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2 comments

  1. こんにちは。初めてメールします。私は以前ホノルルに数年間住んでいて、2002年に日本に帰ってきました。ホノルルで1996年、ニューヨークライフのWhole Life Insuranceに入り、昨年末Full Surrender Requestを郵送し、解約しました。今年になって今まで借り入れLoanしていた金額と金利Interest及び源泉徴収Withheld Amount on Taxable Gainが、利益Taxable Gainから引かれた金額が小切手で送られてきました。計算書の裏側には、This amount will be reported as taxable income to the IRS on Form 1099-R for the year in which the payment was madeとあります。税率は30%になっています。Federal Taxのようです。来年、Tax Returnを行う予定ですが、税理士からは支払調書Form 1042-S,Form 1099-Rが届くはずとのことを言われています。保険会社には日本の住所を登録してあります。日本宛に支払調書は届けられるのでしょうか?よろしくお願い致します。

    1. 小切手が日本に送られてきたのでしたら、税金関係の書類も同じところに送られてくるのではとお察ししますが、これば原さんと保険会社の間でご確認いただくことなので、私には確かなことは申し上げられません。。

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