Medigap:Original Medicareのカバーを補足する

Medigapは、Medical Supplement Insuranceとも呼ばれ、第三者保険会社によって提供され、Original MedicareでカバーされないDeductible、Copayments、Coinsuranceなどの“ギャップ”を補足カバーするために用いられます。プランによっては、米国外の滞在中の医療サービスをカバーするようなものもあります。Medigapの加入にあたっては、Original Medicare であるPart AとPart Bに加入していることが条件となり、また、Medigapは後述のMedical Advantageとは一緒に使うことはできません。Medigapは、処方箋はカバーしていないので、Medicare Plan Dを別に購入して処方箋カバーを追加する必要があります。

MedigapはMedicareをアクセプトする医師や医療機関でのサービスをカバーし、後述のMedicare SELECTでない限り、米国全土が対象になります。反対に、医師や医療機関がMedicareをアクセプトしていなければ、そこでのサービスはMedigapではカバーされません。Medicareをアクセプトする医師は全体の7割程度と見積もられています。

 

標準化と州の独自性

Medigapは、英文字AからNで表わされるプランの種類があり、それぞれのプランでは内容が標準化されています。Medigapプランを比較するときは、同じ英文字のプランであれば、プラン内容には差がありませんから、なるべく安い保険料のプランが好ましいことになりますが、ただカスタマーサービスや使い勝手では差があることが多く、レビューやレイティングなどを調べて選ぶことが賢明です。Medigapは個人ごとの契約になり、夫婦で加入する場合は、夫と妻とで別個のMedigapプランを購入することになります。なお、マサッチューセッツ、ミネソタ、ウイスコンシンでは、プランの提供がこれとは異なり州独自のものになります。

州によってはMedicare SELECTと呼ばれるMedigapポリシーを購入することが可能な場合もあります。Medicare SELECTはフルに特典を受けるためには、特定の医師、病院を利用することが指定されているプランです。MedicareはMedicareをアクセプトしている医療機関であればどこでもカバーしますが、Medicare SELECTに関しては、in-networkという概念があり、ネットワーク内の医療機関のみをカバー(エマージェンシーは例外)するので、加入する際にはその旨覚悟が必要です。

 

加入保証と保険料

Medigapは、Medicare Part Bにエンロールした時点から6か月以内のオープンエンロールメント期間にサインアップするのがベストです。オープンロールメント期間であれば、たとえどんな健康上の問題があっても、またどのMedigapプランを選ぼうとも、なんの健康上の問題のないひとと同じ保険料でサインアップできることが保証(Guaranteed Issuance)されています。しかしながら、いったんオープンエンロールメント期間を逃すと、その後細かく指定された条件を満たさない限り、メディカルスクリーニングを受けたり、その結果加入を拒否されたり、また健康上の問題を理由に保険料が上がることがあります。

Medigapポリシーの保険料の設定は3種類あります。ひとつめはAttained-ageポリシーと呼ばれ、年齢が低いうちは保険料が低く年齢が上がるにつれて保険料があがるものです。ふたつめはIssue-ageポリシーと呼ばれ、サインアップ時の年齢で保険料が決まり、その後は年齢が上がっても保険料は上がりませんが、ただインフレーション増加分だけの値上げがあるものです。このタイプは、通常Attained-ageポリシーより当初は保険料が高めですが、その後の大きな値上がりを見ることは少ないものです。みっつめはCommunity-rateポリシーと呼ばれ、特定のエリアに住む人は年齢によらずすべて同じ保険料を支払うものです。長期的に見ると、Issue-ageとCommunity-ratedポリシーのほうが総合的な保険料が低くすむ傾向が高いといわれています。

Medigapを選ぶ際は、英字のどのプランにするかが決まったら、そのプランの種類を提供している保険会社からレビューのよいものを選ぶとともに、保険料を比べる際にはどの料金設定の仕方がとられているかに注意します。

 

簡単ではない途中加入

自分のMedigapプランに満足であれば、年々そのまま持ち続けるのがふつうです。Medigapのベネフィット内容はプランごとに標準化されており、内容が劇的に変化することはありません。ただ、自分の状況の変化などにより、カバレッジに不足があったり、保険会社に不満があったり、場合によってはより安いプランに変更する必要があったりという場合には、他のMedigapプランに乗り換えたいということもあるかもしれません。

しかしながら、新しいMedigapプランに加入することは、当初のオープンエンロールメント期間に加入したときに比べると簡単ではありません。オープンエンロールメント期間では、どんな健康状態の人でも “Guaranteed Issuance(加入保証)”というルールにより加入が保証されていますが、それを過ぎてからはこの保証がありません。特例的に“Guaranteed Issuance(加入保証)”がある場合が、現在入っている保険会社が経営困難などによりなくなる場合や、Medicare SELECTを持っていて該当外の州に引っ越した場合、保険会社に詐欺などの問題があって現在のプランをキャンセルすることがやむを得ないような場合です。

ただし、州によってはもう少し寛容な政策をとっているところもあります。具体的にはカリフォルニア、オレゴン、ミズーリでは、Birthday RuleとかAnniversary Ruleと呼ばれるルールをとっています。それぞれの州でルールは異なるので詳しくは述べませんが、たとえばカリフォルニアの場合であれば、毎年、自分の誕生日から30日以内に、現在のMedigapポリシーと同等プランかそれ以下のプランに、メディカルスクリーニングなしに加入が保証されています。また、ニューヨークとコネチカットでは、Guaranteed Issuanceが当初の年だけでなくAnytimeとされているので、いつでも新しいMedigapポリシーにメディカルスクリーニングなしに加入できることが保証されています。

またこれ以外の場合でも、保険会社自身が、特定のMedigapポリシーを“Guaranteed Issuance(加入保証)”して売っている場合もあるので、完全に変更をあきらめる前に調べる価値はあるようです。

 

次回は、Medigapの各種プランのうち、どんなものを選ぶのが良いかを具体的にみていきます。

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