スポーツだの習い事だの塾だのと、子どもにはいろいろ学ばせるのに心を砕きますが、基本的なおカネとの付き合い方といいますか、おカネに対する姿勢といいますか、そういうものもきちんと教えておくこともとても大切だと思います。そう思って、「子どもに教えておきたいお金のこと - ショッピング編」を書いたのが3年前。次の編を書こう書こうと思いつつ、伸ばし伸ばしになっていたけれど、気づいてみれば来年の秋には息子も大学に巣立っていきます。そこで今回は、その続きを書くことにしました。
以前は、お金があれば何でもポンポンあんまり考えないで買っていた息子でしたが、ここ何年かで物の買い方についてはずいぶんといろいろ学んできたように思います。たとえば・・・
- 欲しいものはお金が溜まったら買うことを学んだ: 息子の欲しいものの中には、ギターやギターアンプなど値の張るものもあるのですが、お小遣いや祖父母からもらうお金などを貯めながら、いつ買えるのかを計算しながら待つことができるようになった。
- 買い分けを学んだ: 最初は「ティーンはTJ MaxxやMarshalsなどでは絶対買い物はしないのだ」と決め付けていた彼ですが、最近は、どうしてもティーンに人気のブランドモノが欲しい部分と、それ以外のディスカウント系でもいい部分に分けて、買い物をすることができるようになった。
- 安く買う方法を学んだ: ディスカウント系で買うだけが安く買う方法ではなく、ブランドモノでもセールやクーポンを使って工夫すれば節約するすべを学んだ。
- 自分自身の価値判断基準をもてるようになった: iPhoneのアップグレードをする価値があるかどうか、エキストラでお金を払って特別サービスを受ける価値があるかどうかなど自分の頭で考えられるようになった。
- 待てるようになった: 昔は「欲しい」と思ったら「すぐ欲しい」だったのが、「今すぐ手に入れよう!」というマーケティングにあまり心を動かされなくなってきた。あまり・・というのは、巷にはInstant Gratificationに訴える宣伝があまりに多いので、これは継続的課題でもあるからです。我が家は、「明日手に入れたいと思うのだったら、一週間前にオーダーしておけばよかっただけの話・・」を合言葉に、Amazon Primeは入会しないポリシー(大体のものは、それほどすぐに手に入れなければならないものはなく、買おうかな、どうしようかなと考えていて、オーダーするのにも時間がかかっていたりするので、今日オーダーすれば来週の水曜日届く=来週火曜日までオーダーするのを忘れていて、翌日到着するのと同じ効果。。。わかります?このまどろっこしい説明。。とにかく翌日到着サービスはいらない)で、必要なときだけ(炊飯器が壊れたので、すぐ手に入れたいなど)Amazon Primeをトライアルベースで使い(トライアル期間がきれるまで使うだけ)、あとケースでは届くまで待つというやり方をとっています。これで息子も文句を言わなくなりました。(Amazon Primeは使い方によっては利用価値が高いので、決して使わないほうがいいということではありません。我が家の場合は、「待っても欲しいものこそ、本当に必要なもの」ということを知ってもらうために、このポリシーをとっています。)
この3年間少しずつやってきたことのうちにバジェット管理というものがあります。ティーンになるとファッションにもこだわりがでてきて、あれ買え、これ買えとリクエストがくるようになりました。親の見立てたものはもはや着たがらなくもなりました。そこで、衣服については年間バジェットを決めて、その範囲内ならどのように買い物をしてもよろしいが、その代わりいったんバジェットのお金を使ってしまったら、その後何が欲しくなっても新しい年度になるまで一切お金は出ません・・というやりかたでやってみることにしました。
バジェットといっても下のような簡単なもの。シャツ、ショーツ、ジーンズなどそれぞれの項目でいくらくらいのものがいくつくらい必要かについて、息子に計画を立てさせます。一年目は息子も自分の買い物の必要度をよく把握していなかったし、かといって私もよくわからず、ふたりで相談しながらこんなもんでしょう・・と決めていきました。大体一年間$650~$700の範囲で落ち着いています。
幸い一年を通して気候がマイルドな南カリフォルニアの海岸線に住んでいるので、冬場は薄手のジャケットが必要だけれど、あとはずっと同じような格好で暮らしています。そのため季節ごとの衣服を買う必要は少なく、そのためあまりに細かい計画が要らず、初心者のバジェット管理にはもってこいです。
このトータル$706の範囲内で一年間買い物をしていくことになります。買い物をしたら、いくら何に使ったかをExcelシートに入力するのは息子の責任です。一年を通して、どのくらいお金を使い、どのくらいお金が残っているかを管理するのも息子の責任です。そして年度の最後には、最終的にいくら使ったかを報告することになっています。下がそれ。
なんとシャツに$408も使っており、$193のバジェットオーバー。ただ、他の項目がバジェット以下なので、トータルでは$16の赤字(自分のおこづかいから補填)。確かに息子は「Tシャツおたく」とでもいいましょうか、とにかくTシャツばかり買っています。一日に3回も着替えることもあります。洗濯をすると彼のTシャツばかりが山のようになります。以前なら、「Tシャツ買って」→「もうたくさんあるから買いません」→「でもお願い買って。。」のやりとりがありましたが、今は、バジェット内なら買うのは自由。その代わり、ショーツ、ジーンズは多少古く、かけはぎがあったら直してはき続けるというトレードオフ。
一年目、二年目は、このバジェット管理が息子は大嫌いで、「バジェットがあると、自由に使えないからいやだ!」とことあるごとにぼやいていました。”That’s the whole point!”と繰り返す私。最近は、「バジェットがいやだ」と言わなくなりました。ま、なければないのに越したことがないのでしょうが、そうはいかない現実がわかってきたようです。バジェット管理を3年間してきて学んだこと・・・
- 毎月の収入には限りがあって、それを生活のためのさまざまな費用に振り分けて使っていく必要があること。
- あるものにお金を使えば、そのお金は他のものには使えなくなるというトレードオフの考え方。
- なるべく工夫して安く買うと、同じお金でもたくさんのものが買えるということ。
- 自分の衣服にどれくらいのお金がかかっているかの感覚。
- 自分でお金に対しての判断基準と責任を持つことに意味。
これまでは衣服に関してのバジェット管理だけをしてきましたが、これからカレッジに入学するまでの一年間で今度はその範囲を増やし、シャンプーなどのトイレタリーからスポーツジム関係の費用、おこづかいでカバーするはずの交際費や娯楽費の部分までバジェット制でやらせてみようと思っています。