モーゲージローンを選ぶ – GFEを知る(2)

今回は、ローン申請をしてGFEを集めた時点から話を始めます(GFEを知る(1)はこちら)。GFEを手にしても、その読み方がわからなくては始まりませんものね。では、ひとつひとつ、GFEでカバーされている項目について見ていきましょう。

 

“Loan amount, Years, Interest rate, and Loan type”

まずは、ローン金額、年数、利子、ローン種類などがSummaryとしてまとめられています。

Monthly Payment(月の返済額)は、元本と利子分だけの表示であり、プロパティータックスや持ち家保険料は表示されていません。GFEはあくまでモーゲージローンに関する項目に焦点が当てられているからです。その他、金利が途中で上がることがあるのか、モーゲージの支払いを決められたとおりしていてもローン残高が上がることがあるのか(Interest Onlyを支払う場合など)、月々の支払い金額が上がることがあるか、Prepayment Penalty(前倒しでローン返済したり、リファイナンスするため全額返済したりした場合のペナルティ)があるか、Balloon Payment(一時的にまとまった金額を返済すること)が要求されるかなどの条件もリストされています。これらは非常に重要な部分ですので、わからないことがあれば必ずローン担当者に質問します。

Summary of Settlement Chargesという欄がありますが、この詳細が2ページ目にリストされています。

 

Our Origination Charges

ローンの発行手数料として金融機関やブローカーがチャージする手数料です。以前は、この金融機関やブローカーの「儲け」となる手数料はあちこちにさまざまな名前で散りばめられており、いったい全体でいくらかかっているのか把握しにくいとともに、異なるローン間での比較が困難でした。新しいGFEでは、発行手数料は(processing fees, application fees, administration fees, underwriting, document preparation, wiring of funds, lender inspection, other miscellaneous feesなどがその内訳ですが)、ひとまとめにしてここに表示されます。このOrigination Chargesは金融機関によって非常に大きなばらつきがある項目です。しかも高いほうが質やサービスがよいなどという明らかな相関もない場合が多く、手数料の払いすぎがないか注意が必要です。いくつかのGFEを集めて比較することで大きな節約が可能な箇所です。

 

Your credit or charge (points) for the specific interest rate chosen

このセクションは、クレジット及びチャージ(ポイント)と利子との関係が書かれています。

まずはチャージのほうから見てみましょう。チャージは別名ポイントと呼ばれ、どちらかというとこちらのポイントという名前のほうが知られているかもしれません。ポイントは前払いする利子であり、一般的にポイントを払うとその後継続的に支払う利子は下がるという関係があります。ポイント0で利子4%の基本ローンがあったとすれば、ポイントを1%支払うと(ローン額の1%)その後の利子が3.875%に下がるというような具合です。

一方、クレジットというのは、ポイントの反対で、前払いを迫られる代わりにお金をもらえるものです。クレジットをもらうと利子は上がるという関係があります。前回同様、ポイント0で利子4%の基本ローンがあったとすれば、クレジットを$3,000もらってクロージングの諸手数料に当てることができる場合は、利子は4.125%に上がるというような具合です。ブローカーを使う場合、この4%と4.125%との差の0.125%はブローカーの、金融機関を使う場合は金融機関の利益となります。

このクレジット及びチャージ(ポイント)と利子とは直接的に関与し合っており、利子だけ見て「これは安い!」とか、クレジットだけ見て「こんなにお金を戻してもらえるなんて!」と喜んではならにということです。つまり、すべてを総合的に判断することが必要なのでこのセクションがあるわけです。

ひとつ注意点ですが、モーゲージブローカーからGFEをもらう場合、ブローカーはこのクレジット(Yield Spread PremiumとかLender Creditなどと呼びます)をGFEで明示する義務を課せられていますが、金融機関がGFEを発行する場合は、金融機関はこのクレジットを表示する義務がありません。そもそもクレジットとかチャージ(ポイント)という概念自体がわかりづらく、それに利子と絡むと、どのローンが自分にとってベストかを消費者が簡単に判断することが困難になります。言葉は悪いですが、そこにつけこんで、自分たちに有利なモーゲージ商品を売り込むというような姿勢も少なからずブローカーや金融機関にはありますから、わからないことは何でも聞くという姿勢が大切です。ブローカーと金融機関とのGFEを比較する場合は、GFEに加えて、金融機関のクレジットと利子を総合的に評価(GFE以外の書類で確認できるはずです)することをお勧めします。

ここまで見てきたOur Origination ChargesとYour credit or charge (points) for the specific interest rate chosenをあわせたもの、つまりローン発行手数料とクレジット/ポイントと利子の総合がYour Adjusted Origination Chargesと呼ばれローン自体の総合コストです。

 

次に、GFEのYour Charges for All Other Settlement Chargesのセクションを見てみます。

 

Your Adjusted Origination Chargesはローン自体のコストでしたが、Your Charges for All Other Settlement Chargesはローン以外のコストで、不動産取引にかかる諸手数料をまとめています。

 

Required services that we select

ここでいうweというのはローンを発行する金融機関のことです。ローン発行の審査のために必要となる費用ですが、金融機関やブローカーが課す手数料ではなく、第三者が課す手数料で、たとえばクレジットレポート取得料、不動産査定料(Appraisal)、モーゲージ保険料(Mortgage Insurance)などです。これはら金融機関がローン審査のために利用するサービスであり、したがって金融機関がどのサービス提供者を使うかの選択をします。クロージング時点で実際にかかった料金と、ここで見積もられた金額との差は、見積もりの10%以内でなければならないと定められています。GFEが改良される以前は、このエリアがグレーゾーンで、クロージング近くになってフタをあけてみたら見積もりよりずっと高い料金をとられたというようなこともあったようです。改良後の今は、そのようなケースは防止されていますが、そもそもの見積額が妥当かというチェックは以前として必要です。

 

Title services and lender’s title insurance

ここでは、家の権利のクリアランス(Title Services)や不動産取引の法的手続き(Settlement)、タイトル保険(Title Insurance。タイトル保険には金融機関のためのタイトル保険とバイヤーのためのタイトル保険がありますが、このセクションに出てくるのは前者です)などの手数料が表示されます。この部分は、州によって、また同じ州の中でも場所によって、法律や慣習に大きな差があります。例えば私たちが以前住んでいたバージニア州では、Settlementは弁護士がして、Settlementの費用は通常バイヤーが払います。一方、現在住んでいるカリフォルニア州の場合、北部では保険会社がSettlementを行いバイヤーがエスクロ費用とタイトル保険の費用を支払うところが多いようです。南部ではエスクロ会社がSettlementを行い、セラーがSettlement費用を負担するか、あるいはセラー/バイヤーで折半します。タイトル保険は通常セラーが払います。

このSettlementの費用(エスクロ費用とかクロージング費用とか、違う呼び名もあります)は、大きな費用であるうえばらつきもありますから、自分の地域の慣習と値段設定の慣例を把握して注意を払うとよいでしょう。

 

Owner’s title insurance

上記でご紹介したLender’s title insuranceは金融機関のためのタイトル保険でしたが、ここでのOwner’s title insuranceは新オーナー(つまりバイヤー)のためのタイトル保険です。必ず必要ということはありませんが、新オーナーを、後日浮上する家の権利上問題から守るために、購入するのが普通です。この費用を誰が払うかは土地ごとに違いがあります。南カリフォルニアでは、セラーが払うことが多いようです。他の場所ではオーナーが払うようです。自分が支払う必要がある場合は、言われたままのタイトル会社を使う必要はありません。いくつかのタイトル会社をあたってみるとよいでしょう。オンラインでもタイトル保険を売っている会社が見つかります。大きな節約が可能である場合もあるようです。金融機関のためのタイトル保険と新オーナーのためのタイトル保険を同じ会社から購入すると大きなディスカウントがある場合もあるようです。

 

Required services that you can shop for

これは不動産取引に必要となるサービスですが、バイヤーが自分でサービス業者を選んで購入する権利があるものです。害虫検査(Pest Inspection)、測量調査(Survey)などです。

 

Government recording charges

これは不動産登録の費用で、必ず必要な費用であり、定められた費用を支払わねばならないものです。節約の余地はありません。

 

Transfer taxes

これも不動産売買にかかわる税金で、必ず必要な費用であり、定められた費用を支払わねばならにので節約の余地はありません。

 

Initial deposit for your escrow account

多くの金融機関が、債務者(バイヤー)に対し、エスクロ口座を通してプロパティタックスと持ち家保険料を支払うことを要求します。これらの費用の不支払いのために家の権利に問題が起こることを避けるためです。将来の一定期間必要となるプロパティタックスと持ち家保険料を、クロージング時点で事前にエスクロ口座に入れることを要求される額がここに表記されます。

 

Daily interest charge

クロージングの日から最初のモーゲージの支払日までの利子額を日割りで計算したものです。ローン額と利子から計算されるもので、クロージングの日が前後することで変更になることはありますが、節約の余地はありません。

 

Home owner’s insurance

抵当にとった家が家事で燃えて価値がまったくなくなったのでは困ったことになりますので、金融機関はオーナーが持ち家保険に入ることを要求します。これは、バイヤーが自分で選択することになります。現在、自動車保険などを持っている保険会社をはじめ、その他できれば1,2社見積もりをもらってみましょう。どこも大体保険料は同じと決めつけるのは間違いのもとです。屋根の素材や家の建材などによって、また家の大きさの測り方などでも、保険会社で査定のしかたにかなり違いがあるので、同じ家でも保険料に大きな開きがでることはめずらしくありません。

これらの総合が、Your Charges for All Other Settlementと呼ばれる、不動産取引にかかわる諸費用の総合コストとなります。

 

3ページ目の情報には、このGFEに見積もられた額のうち、どれが変更する可能性があるか、ないかについてまとめています。以前はGFEで適当な額を見積もっておいて、後になって費用をつりあげるというあくどいケースも多く問題になったので、GFE改定後はこのような表記が義務付けられました。3つあるコラムのうち、1) ひとつめは、見積額が最終額と異なる可能性がゼロのものであり、これらは金融機関/ブローカーに支払う費用とTransfer Taxです。 2) ふたつめは、最終額は変更になる可能性はあるが、あったとしても見積額との差が10%以内であるものであり、これらは第三者サービス業者に支払う費用です。3) みっつめは、見積額にかかわらず変更になる可能性があるもので、セラー/バイヤーが自分で選択することができる(よってコストの上下はセラー/バイヤーの選択による)ものです。

その下には、異なるローンを比較するためのチャートがあります。同じ金融機関が提供するいくつかの条件が異なるローンの比較と、他の金融機関からのローンとを比較するためのチャートです。どのような項目について比較すればよいかがリストアップされ表になっていますから、ぜひ活用しましょう。この表を使えば、どのローンが一番条件がよいかが明確になるはずです。

いかがでしょう。家は大きな買い物です。よってローン額も大きなものです。日々必死にクーポンをためて数ドル、数十ドルを節約して頭金を貯めたのに、家のローンではずいぶんとズサンなコスト管理で数千ドルを無駄にしてしまった・・・ということがないように、GFEは大いに活用しましょう。

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