Traditional IRAをRoth IRAにコンバートする?

Last Updated on 2013年1月9日 by admin

Roth IRA コンバージョンということばをお聞きになったことがあるでしょうか?アメリカでのリタイヤメント準備についての記事を読んでいると、このRoth IRA コンバージョンはここ数年よく目にするちょっとしたハヤリ用語です。これは、手持ちのTraditional IRAをRoth IRAにコンバートする(Traditional IRAから資金を引き出してRoth IRAに入れ替える)ことを意味します。

2010年に税法が変更になり、より多くの人がこのコンバージョンをすることができるようになりました。Roth IRAは、今税金を払ってしまえば、その後リタイヤメントまでの蓄積期間も、リタイヤメントしてからの引き出し時にも、一切税金がかからないという利点があるのと、国家的財政赤字のゆえ将来的には税金が上昇していくだろうという危惧とがあいまって、今のうちにTraditional IRAをRoth IRAにコンバートしてしまうのが有利だというする考えが広まりました。でも、このコンバージョン、いつでも誰にでも有利というわけではないみたいです。よく考えないでコンバートしてしまうと、後でアレレ?なんてこともありますから、自分にとってはどうなのか、よく吟味することが大切のようです。コンバートすべきかどうかを決める二大要素を考えます。

1.そもそも、TraditionalとRothどっちがベターか

ただコンバートしたら有利そう・・というのでそうするというのではなく、そもそも自分にはTraditional IRAかRoth IRAのどちらがぴったりなのかを考えます。一番のポイントは、現在のタックス・ブラケットとリタイヤメント後のタックス・ブラケット。一般的には、現在の所得税率がリタイヤメント後の所得税率よりも高いならTraditional IRAが、反対ならばRoth IRAが有利ということになります。また、自分のリタイヤメントのためというよりは、子どもや孫にお金を残したいというニーズがある場合には、Roth IRAのほうが利用価値が高いでしょう。この二つの点については、詳しくはこちらをご覧ください。

 

2.コンバージョンのための資金があるか

コンバージョンするとお金がかかる?  そうです、かかります。Traditional IRAは通常、所得税控除(税金を払わずに)で積み立てますが、Roth IRAは所得税を払った後で積み立てます。結果的に、今あるTraditional IRAをRoth IRAにコンバートするとなると、コンバートする額に対して所得税を一度に支払うことになります。$10,000をコンバートする場合、所得税が25%だとすれば$10,000×0.25=$2,500を、コンバートした年に収めねばなりません。この税金を払うのには、1) 手元にあるお金から$2,500を払う、2) コンバートする$10,000の中から$2,500を払うのふたつの方法が考えられますが、2)は極力避けることをお勧めします。2)の場合、Traditional IRAの資金をリタイヤメント以外の(税金を払うという)目的に引きおろすので、所得税に加えて10%のペナルティもかかってしまいます(10%ペナルティの適用条件について詳しくはこちら)。つまり、税金で$2,500($10,000×0.25)、ペナルティで$278(合計$2,778の10%)となり、この合計額$2,778が元本の$10,000から差し引かれたあとの、残りの$7,222がRoth IRAの残高となるわけです。せっかく貯めたリタイヤメント資金の元本$10,000が$7,222に減ってしまうわけで、投資元本が少なくなれば投資の利回りも少なくなり、(たとえ将来的に非課税という利点があったとしても)リカバーできない打撃を受けることになりかねません。

これに対して、1)の場合、手元にある余剰金(課税対象のインベストメントなど)から$2,500を支払うのであれば、リタイヤメント資金の元本を減らすことなく投資が継続され、将来的には非課税という利点を活用することができます。つまり、コンバージョンは、コンバージョンに必要となる税金が手元にあってはじめて考慮するべきものということですね。

 

コンバージョン・カリキュレータ

自分のケースはどうなのか吟味するには、シュミレーションが一番!ここで、便利なカリキュレータをご紹介します。入力要素は以下のとおり。

Current Age : 現在の年齢

Age when income should start : IRAから引きおろしを開始(リタイヤ)する年齢

Number of years to receive income : 引きおろしをする年数(リタイヤから寿命まで)

Before-tax return on savings (%-accumulation phase) : リタイヤまでの税前利回り

Before-tax return on savings (%-distribution phase) : リタイヤしてからの税前利回り

Income tax bracket(%-accumulation phase) : リタイヤまでのタックス・ブラケット

Income tax bracket(%-distribution phase) : リタイヤしてからのタックス・ブラケット

Current IRA balance ($) : Traditional IRAの残高

Non-Deductible portion of IRA balances ($) : 上記残高のうち、税控除なしで積み立てた額。通常の控除ありの積み立てのみなら、入力はゼロです。

How will you pay the conversion tax? : コンバージョン時に必要となる税金をどう支払うか。 手持ちの(IRA以外の)資金から払うなら1)。Traditional IRAを引き出した資金から払うなら2)を選びます。

 

たとえば、下記は現在45歳で、65歳にリタイヤメント予定の人が、$50,000をコンバートする場合。タックス・ブラケットが現在よりリタイヤメント後のほうが低くなることと、コンバージョンのための税金を払う資金が手元になくTraditional IRAから引き出してカバーする必要があるため、リタイヤメント後に受け取る予想月額は、コンバートせずTraditional IRAのまま持ち続けたほうが大きくなります。

これに対し、同じ人が、リタイヤメント後のタックス・ブラケットが上がると予想し、また加えて、コンバージョン時に必要となる税金を払う資金が他に用意されている場合、月々の受取額はRoth IRAのほうが多くなりますので、コンバートしたほうが有利なのがわかります。

どうでしょう?お役にたってでしょうか?リタイヤメント準備や、実際のRoth IRAへのコンバージョンをお考えの場合は、ぜひ専門家に相談のうえ慎重になさってください。

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2 comments

  1. 詳しい情報ありがとうございます。SIMPLE IRAやSEP IRAもROTH へのコンバージョン可能でしょうか?

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