Last Updated on 2022年2月21日 by admin
しばらく前に「変化する金融市場」というブログ記事のシリーズをご紹介しました。シリーズ第三回目には、アメリカを離れるとそれまでアメリカで持っていた口座が維持できなくなる可能性についてとりあげました。口座が維持できたりできなかったりはそれぞれの金融機関の方針によるもので、非アメリカ居住者に対してフレンドリーな機関もあれば、そうでない機関もあるというお話を書きました。フレンドリーな金融機関としてとりあげたCharles Schwabについてですが、読者の皆さんの中から、「口座を開設しようとしたが、申請フォームの中にあったFACTA reportingに関する一節に対して疑問が残りフォームにサインができなかった」というコメントをいただきました。この件について、今回は中間報告をいたします。
IRA口座の開設申請書にある一節
コメントいただいた方は現在アメリカ在住の方。「勉強になったので、本日Charles Schwabで口座を早速開こうとしたら、申込書の最後の部分の署名する条件に”I am exempt from Foreign Account Tax Compliant Act (FATCA) reporting とあり、毎年FORM 8938を出している関係で、『これは虚偽になる』とで申し込みの送信ボタンを押せませんでした。」というコメントをいただきました。
問題の申込書はこちら。これはアメリカ居住者がアメリカ内で開くいわゆる“ふつうの”IRAの申込書で、将来日本に帰るとかアメリカを離れるといった問題は現申し込み時点では無関係です。この申込書の7項目目にこうあります。
FATCAでは、アメリカに住むUS Person(市民及びグリーンカード保持者)が、年度末に$50,000以上あるいは、年を通して一時的にでも$75,000以上の金融資産をUS以外の国で所有した場合は、タックスリターン時にForm 8938でIRSへ報告することが必要とされています。上の方は、国外に$50,000の資産があるためForm 8938で申請を行っている、つまりFATCAの条件にひっかかっているわけで、“I am exempt”というと虚偽になるということです。
FATCAの資産限度額は$50,000と比較的低い設定であることもあり、もしこれをそのまま理解すれば、多くの人がSchwabではIRA口座が開けないことになります。海外生活者フレンドリーなグローバル展開を狙っているSchwabとしてはどうも腑に落ちない条件であります。
他にも困っている人がいた・・
Google検索してみると同じような壁にぶちあたった人の例が出ていました(明記はされていませんが、アメリカ居住のアメリカ人だと思います)。この人がこの点をSchwabに問い合わせたところ、
“You can ignore it […] we just want to make sure you’re not in trouble with IRS”.
と言われたということでした。しかしながら“I certify under penalty of perjury..”とは少々強い法的表現ですから、単に”ignore“できないでしょう。この人は該当部分を横線消去して申込書を提出したいとSchwabに伝えたところ、”They said I could scratch out the condition and include a W8-BEN to proceed.“という答えを得たと書いています。ただW8-BENは、アメリカ非居住者が源泉徴収などを免れるために金融機関に提出するファームですから、この人には当てはまりません。結局よくわからずで終わっています。
Schwabに聞いてみましたが・・・
。。ということでSchwabに直接確認しようと思い、まずChatをしました。
Generally, the Foreign Account Tax Compliance Act (FATCA) section of our account application only applies to foreign entities (non-individual persons) opening an account at Schwab. These entities would include Foreign corporations, partnerships, trusts, and estates. FATCA requires those foreign entities to report all U.S. account holders. Consequently, if you are NOT a foreign entity opening the account at Schwab (i.e. you are an individual U.S. person), you would indicate that you are exempt from FATCA reporting on the account application.
というお返事で、申込者が個人ならば(Form 8938申請をしていても)exemptという理解になるということでした。
しかしながら、Schwabの理解はどうであれ、FATCAの条件では、個人であっても年度末に$50,000以上あるいは、年を通して一時的にでも$75,000以上の金融資産をUS以外の国で所有した場合には、レポートが必要とされているわけで、決して“I am exempt”とはいえないのではないかと再質問すると、上で返答した以上の回答は持ち合わせていないと言われ、International Departmentに電話をするように言われました。
開こうとしているのはアメリカ在住者が開くふつうのIRA口座なので、なぜInternational Departmentに・・と思いましたが、一応電話して話をすると、やはりその部分はわからないと言います。IRAの申込書ならばGeneral Customer Serviceに問い合わせてと言われ転送されました。
General Customer Serviceに状況を説明すると、今までその部分で問題になったことはないので気にしなくてもいい・・とは直接言わないけどそういうニュアンスのことを言われました。やはりFATCAについては細かくわからないということで、International Departmentに転送するというので、今そこから転送されたからというと、じゃあNew Accounts Teamに転送するといいます。状況を説明すると、やはりわからない・・。しかもChatで始めたセクションがNew Accounts Teamだったので、アメリカではよくあることですがたらい回しがこれで一巡したわけです。
どうやらSchwabの中でも、口座開設の担当者のレベルにおいては、この一節の意味をよく把握している人はいないということなのでしょう。申込書をつくるとき法務担当者か誰かがさらっと入れた一節なのかもしれません。
壁にぶち当たったので、最後の担当者に“どこかオフィシャルレターで質問を送れるところはありませんか”と聞くと、“本当はそういうセクションはないんだけど”といいならがら、Operations Departmentの住所をくれました。一応そこに書面で質問を送ってみました。お返事がきたらご報告します。
ここからは私の個人的意見ですが(間違っている可能性もありますのでご了承ください)、その一節が虚偽になる場合は、その部分を横線消去して署名すればよいのではないかと思います。それでSchwabが何か言ってきたらば、それに対応するという姿勢でいいのではないかと推測します。
すみません。ここ最近出張が多く拝見してませんでした。非常に詳しい解説誠にありがとうございます。ここまで持ってくるのに相当時間が掛かったと思います。大変感謝致します。Schwabに再チャレンジしてみます。
大変有意義な情報ありがたいございます。その後Schwabからなにか返事ありましたでしょうか?Schwabで口座作りたくてその後どうなったのか気になった次第です。
すいません、この件、いまだフォローしきれておりません!
最近Chatでこの件について質問したところ以下のテンプレート回答をもらったので、一応ここに報告させていただきます。解決にはなっていないですが。。
FATCA requires foreign entities to report all U.S. account holders associated with the account being opened. Schwab needs to know this, since there are stricter U.S. withholding requirements on payments made to Foreign entities that fail to report their U.S. accounts to the IRS. Consequently, while the IRS may need to know if individuals have foreign accounts, that is NOT what Schwab is asking to acknowledge on our account applications.
共有ありがとうございます!何度か読みなおしましたが、どうも私には咀嚼が難しいです。でも、ありがとうございました!
やはり納得するのは難しいですよね。頻繁に聞かれる質問のようで、すぐにこの回答が出てきましたが、規約の変更を検討していただきたいものです。
本当にそう思います!!
初めまして。皆様の深い探求心に感謝いたします。私もシュワブの口座を開けたい、、と思っていますが、
いつか日本に帰る、または、アメリカを出る際のことを考えているので、この内容を見て、少し引いてしまいました。「ペナルティ」というコメントにびくついてしまうところが小市民です(笑)
とは言え、元々、シュワブの口座を開きたい大きな理由が「非居住者に優しいで」したので開設すると思いますが、日本のマイナンバー制度のように予期せぬ事態が起こることを考えておく必要もあるかな、と皆様のコメントを拝見していました。改めまして、改めまして、皆様のコメントに感謝しておりますこと、お伝えしたくコメントさせて頂きました。
VeggiEさま、コメントありがとうございました!
1年3か月ぶりにコメントをさせて頂きます。皆様の鋭いご意見、勉強になります。なかなかシュワブとコミュニケーションをとる時間が取れませんでしたが、やっと先日口座を開くことができました。Admin様の仰るように、”I am exempt from Foreign Account Tax Compliant Act (FATCA) reporting” の部分を横線消去、イニシャルして署名したら問題なくアカウントができました。ご参考まで。
それはすばらしい情報です!ありがとうございます。
本題から外れてしまい恐縮ですが、FORM 8938というのはFBAR FinCEN Form 114 に加えて提出が必要ということでしょうか?これまでFBAR FinCEN Form 114のみ提出していました。日本で収入はありませんが、日本の銀行口座に$75K以上の貯金があります。
詳しくは会計士さんに確認されたし・・ですが、以下の記事がご参考になるかと。。
変化する金融市場(1)~アメリカ市民権および永住権を持っている場合
ありがとうございます。
円高を待って日本の銀行口座に眠っているだけのお金を米国の口座に移してしまいたいです。。。
初めまして、日本からもアクセス可能の
Charles SchwabでIRA口座とチェッキングアカウントを作ろうと思い、
こちらのブログを拝見しました。
口座開設前に知ることが出来て嬉しいです。
コメントのYoshi様(2021年7月6日)のように
私もこれから「”I am exempt from Foreign Account Tax Compliant Act (FATCA) reporting” の部分を横線消去、イニシャル」で口座開設しようと思います。
とても有益な情報を共有して下さり有難うございました。
また無事に作れましたらご報告させて頂きます。
はい、ぜひご報告ください。みなさんの情報に感謝します。
先日アカウントを作ると言ってた者ですが、本日
オンラインで作ったのですが手書きでアカウントを作れるのだと
思ってたのですが、オンラインで最後のページを全部ボックスにチェックを
入れないとダメで、その後サインするのかななんて思ってそのまま
送信ボタンを押してしまいました。つまり、横線消去などできぬまま
そのままオンラインでサインしたことと同じことになってしまったようです(汗
ダウンロードページは”Not currently available”となってて、今現在は無いようです。
こちらのコメントで横線消去をしてから提出された方たち
はダウンロードでの申し込みをされたんでしょうか?
https://www.schwab.com/forms-and-applications
オンラインでアカウントを作るやり方でも、
サインは自分で手書きしてから、最後に出てくるページをスキャンして送るのとばかり思ってました。
この後どうなるのかななんて思ってたら
結局もうアカウントが出来てしまい、どうしよう!となってます。
もしよろしければ、何かアドバイスを頂けますでしょうか?
そのままにしてたら、マズいことになりはしないかと心配です。
実は私はGCホルダーですが再入国許可の申請をして来年早々に2年ほど
帰国します。その後戻ってきて更に再入国許可の申請を延長する予定です、
その後の事は未定です。
場合によっては5年くらいでGCは返すかもしれません。
シュワブが今後もずっと海外からでも大丈夫ならいいのですが・・・
すみません先ほどの件で追記なんですが、トラディショナルIRAのアカウントをオンラインで作ったのち、これから他の銀行からIRAを移行した後、(IRA→IRA)IRAからRoth IRAに変更しようと思っていたのでシュワブの方に問い合わせたら、Roth IRA Conversion Form and Account Applicationという申込用紙をemailで(PDFファイルで添付したものを)送ってもらったので、その用紙から手書きで申し込みできることになりまして、そちらの申込用紙には例のこちらで話題の文章を横線消去して提出するつもりです。きっとあの文章はどの申込用紙にも必ず書いてあるものなんでしょうね。Roth IRAの方は横線消去で挑みます。
おお、よかったですね。ダウンロードはできなくとも、担当者とやり取りしてPDFで送ってもらえばいいいんですね!
私は、オンラインだとその消去はできないので、勝手に窓口で口座を開かれたのかなと思っていました。
個人的な確かな根拠のない意見ですが、おそらくまずいことになる確率は低いとは推測しますが。。
どうしても気になられれば窓口まで出向いて、口座をいったん取り消ししてでも、マニュアルで再度開かれてはどうでしょうか?
Shcwabがずっと海外から使えるかは何の保証もありません。国ごとに対応も異なってきていて、いつダメになるかは予想もつかないという感じかと思います。
こんにちは
VanguardやFidelityの申込書を見ていて思いました。VanguardやFidelityは署名の部分はW-9の文章をそのまま使っていますよね。でも、Charles Shcwabは何故か文章を変えてしまっている。。。少なくとも選択できるようになっていればいいのに。
Vanguard/Fidelity
FATCA code(s) entered on this form (if any) indicating that you are exempt from FATCA reporting are correct.
Vanguard/Fidelityの書類をみても、どこにもFATCAコードを記入するところはないと思いますが。。。
ほう、細やかな観察と情報をありがとうございます!