Smart & Responsibleはじめ・いま・未来(2)

2011年10月に立ち上げたこのサイト「アメリカ暮らしのファイナンシャルプラニング Smart & Responsible」ももうすぐ8年が経とうとしています。これまで提供させていただいていたファイナンシャルプラニングサービスは、現在お休み中です。2019年秋をターゲットに新しいシステムへの以降を予定しています(このブログは同じような形で続けていく予定です)。今回はこれまでを振り返り、初心を思い起こし、また今後どのような形でサービス展開をすべきかを探っていくような記事を、何回になるかもわかりませんがお届けしていきます。よかったら、このJourneyをご一緒ください。

 

Smart & Responsibleの由来

なんでこんな舌を噛むような名前にしたのか。。。Smart & Responsibleという名前は、私自身そうなりたいな~という希望をこめて作ったものです。

 

Smart・・・

 

私たちはお金を使ってモノを買ったり、サービスを買ったりして生きていますが、賢く消費するために必要なものごとのしくみについてできるだけの理解をすることと、自分たちの権利をしっかり知ることがとても大切だと感じています。そうでないと、あふれるPR情報に流されてしまい、“ものを買わされ”ているのに、それさえにも気づかないような鈍感な者になってしまいがちです。

私が大学生のころ、ヨーロッパに遊学に行きました。半年アルバイトしてお金を貯め、その後の半年はロンドン、ミュンヘン、カンヌにそれぞれ2か月ずつ滞在し、英語とドイツ語とフランス語の学校に通いました。当時(年がわかる・・・)インターネットはなく、赤坂にある日米教育委員会に通い、そこに揃えられた各国の語学学校を選び、電話とファックスで連絡をとりつつ、授業や滞在先を申し込みました。Google Mapなどないので、そこにたどり着くのもドキドキもの。地図と「地球の歩き方」を片手に手探りで行きました。自分の子どもがその年になった今、振り返ってみれば、弱冠21歳の娘をよく一人で遠くヨーロッパまで旅に出した(ケイタイ電話もない時代!)と親にもあっぱれと思う一方で、振り返ると自分もよく行ったものだとも思います。考えるに、これは日米教育委員会が、洗練された学校の確かな情報をそこに準備していてくれたからだと思います。そこまで行けば、たしかな情報があったのでした。感謝なことです。

現在は、赤坂まで行かなくても、インターネットで情報はすぐ見つかります。今や、情報がない時代ではなくて、情報がありすぎてどう選んでいいのかわからない時代とでもいいましょうか。Fake Newsの時代でもあります。確かそうに見えて実は落とし穴があるような情報も、大きな顔でネット上に居座っています。

目に良くつくひとつ、ふたつの情報をみてすぐ飛びつくのは賢明ではないでしょう。広く情報を見渡しつつ本当に信頼のできそうなものだけを見極め、自分にとって必要な情報やものを選択していくということも大切だと思います。またものやサービスは比較して初めて、それの良いところ悪いところが浮き上がってくるので、多少面倒でも比較検討を怠らず納得のいく決断をする姿勢を持っていたいとも思います。それが私にとっての賢い消費者であり生活者です。難しいことですが、あきらめたくないチャレンジです。

また、賢い消費者というのは、決して「うまく得する」というのだけではないかとも思います。賢い消費者には、責任ある姿勢も共存するように思います。アメリカは返品社会なので、たとえば庭仕事があって一時的にスコップが必要だというとき、Walmarttに走り購入して、すぐ使って返すということは十分可能です。パーティーに来ていくドレスをタグ付きのまま着て、パーティーが終わったら返品するという人もいます。返品自由なオンラインショッピングなら、いるかどうかわからないけど、とりあえず手あたり次第オーダーして必要なかったら返せばよい・・というのもひとつの考え方でしょう。こういうやりかたも致し方ない時には選択肢に入るかもしれませんが、できればあらかじめ計画したり調べたりして、なるべく責任のある買い方をするというのも大切に思います。それが、結局は責任のあるお金の使い方、管理の仕方、家族の守り方にもつながっていくようにも思います。

 

Responsible・・・

 

アメリカは自由の国。私たちにはいろいろな選択肢があります。日本で育ち、日本の企業で働いた私には、アメリカにきて降りかかってくる「自由」が少し怖くもありました。健康保険ひとつとってみても、日本ならどこに住もうが、その会社で働こうが、働いていなかろうが、病院によってお医者さんの良し悪しはあるかもしれないけれど、同じ治療の値段が違ったり、自己負担比率が違ったりなどということはありません。税金だって、会社員なら自動的に源泉徴収され、ほぼ自動的に年末調整までやってもらえます。ところが、アメリカに来れば、健康保険もよりどりみどり、タックスリターンも自分でせねばなりません。節税策もいろいろとありますから、知っているか知らないかで差が出ます。

自由度が高いということは一見いいことのように見えますが、自分が得意でないことや専門的知識がいるような判断は、どちらかというと万人に良いものを誰かうまいこと選んでくれて、上から与えられるものを安心して使うほうがずっと楽です。自由があるということは、自分が選択をしなくてはならないということであり、選択をするということはその結果に責任を持つということです。これが「自己責任」というものです。

アメリカの常とう手段として、”You are free to choose from so many selections.”と選択の自由を売り物にしつつ、単純比較があまりに難しく、結局企業側が儲かるような選択をせざるをえないようにしくみができていたり、選択の自由にフォーカスを当てその裏にある責任から目をそらすようなやりかたがあります。たとえば、自分の選択できるたくさんの健康保険プランについて、全部よく理解し、すべてを比較検討してみ、「あ~これこそが自分のニーズにぴったりあうものだ!」と確信をもって選択しているかたは何人いるでしょう。あまりに多くの考慮点があるうえ、自分がどのくらい病気やケガをするかなど想像の範囲でしかなく、どれがベストかを正確に測ることはなかなか難しいのではないでしょうか。健康保険会社は統計的に多くのデータを持っていますし、すべてのケースの平均値というか、全体的傾向で予測があっている限り利益が出る計算になっています。一方で、個人はあくまで「1」です。大けがをするか、大病をするかで、結果が大きく変わってきます。こう考えるとき、自由は重い責任だと知ります。

スチューデントローンの例でも考えてみましょうか。この国では、自分の生きたい大学に行って(合格できればですが)、学びたい学問を学べる自由があります。大学の費用が自力で用意できない場合には、ファイナンシャルエイドも用意され、それでも足りなければお金を借りて大学に行くこともできます。これはすばらしい自由です。けれども、借りて大学に行くという権利の裏にある、借りたものはきちんと返済しなければならないという責任をよく体で理解してから権利を行使しないと、結局は返済に追われる人生、自己破産しても消えない負債の奴隷となり、大きな不自由を味わうことにもなりかねません。

 

自由の国アメリカで、私たちに許されている選択の自由、行使できる権利をよく知りながら、その裏にある責任もしっかり理解して、賢く責任のあるお金との関係をつくる・・・これが目指すものです。

今まで8年間、さまざまなお客様をお手伝いしてきて感じることは、きちんと財産管理をして将来への着実な蓄えをしている人、決して収入は莫大に多くなくとも大きな資産を作っている人というのは、このSmart & Responsibleを共通項として持っていらっしゃるということでした。

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4 comments

  1. 今まで役立つ情報を提供して頂き有難うございました。
    なるほど、仰る通りだと思います。
    ファイナンシャル インディペンデント・ピースな方はSmart & Responsibleを共通項の要素持っておりファイナンシャルリタラシーを得るためにそれなりに勉強し色々な経験をした方だと思います。
    今はインターネットで情報は無限ですので、自分でチョイスする時代になりました。そのためにはKeeping up with Jonesから離れる、テレビやインターネットのPRにも惑わされない。自分に合ったお金の使い方の行動パターンを構築すると思います。難しいですが、感情に惑わされず、予算を組んで知識・知恵で判断する。アメリカに来て、全てが自己責任と最近気づき、あらゆる判断も慎重に考えることになりました。ある時は1ドル単位まで考えます(笑)。またSmart & Responsibleからの情報や他の本のお陰でフィナンシャルリタラシーが高まりました。今後も本を読みながら、勉強していきたいと思います。
    有難うございました。

  2. 5年ほど前、義理の家族の家庭崩壊に際して、経済援助を行うことになり、それまでないがしろにしてきた家計に向き合うことになったのがきっかけで、smart and responsive のサイトを見つけました。

    健康保険、投資、年金など、英語で読んでも、完全に理解できていないところがかなりあったことに、こちらのサイトで勉強させていただいて気がついた次第です。やはり母国語で説明していただけると大変助かります。

    この5年で、色々学ばせていただきました。
    今では、経済援助額を含めた毎月のお金の流れはもちろん、半年単位のフロー、また5年後、10年後などの大まかな目標などのビジョンをもち、主人とも定期的に話しあったりして、お金と心地よい関係を持てるようになりました。何よりお礼を言いたいのは、おかげさまで、これまで401kのみだった年金に加え、私と主人それぞれ、ヴァンガードで個人年金口座を開いたことです。

    秋からの新たなスタート、心待ちにしております。またこれまでのサービスに心より御礼申し上げます。

    1. すばらしい! そうやってお役に立てているかと思うとうれしいです。BrodyさんにしてもAmyさんにしても、そういう共通の思いを持っている方とつながっていられることがうれしいです。

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