タックス・リターンをどうするか(4) -人に頼んでも、無くならないあなたの責任

「タックス・リターン、やっぱり私は人に頼もう」と思うのも無理はありません。面倒ですものね。でも、人に頼んでも自分のタックス・リターンに対しての最終的な責任は自分にあるのです。全4回シリーズでお届けしてきました「タックス・リターンをどうするか」の今回は最終回。1回目は、自分でするといいところ、人に頼むといいところを考えてみました。2回目は自分でするか、人に頼むかをどう選ぶかとその心構えについて考えました。3回目は自分でやってみよう思うけどちょっとコワいと思っている人のために、そして最終回の今回は人に頼もうと思う人のために気に留めたいポイントを考えてみます。

 

プロの質を見極めるのは自分

タックス・リターンはどうしても自分ではできそうにないというケースから、能力的には十分できるがしている時間がないというケースまで、プロに頼むほうがベターな場合は多くあります。プロにお願いする場合は、プロの質を見極めるというプロセスが重要になってきます。

2010年以前は、タックス・リターンをするサービス提供者に対して、政府によるライセンスの登録や能力管理のしくみがありませんでした。いわば、誰でもサービスを提供できる状態でした。お金を払ってタックス・リターンをしてもらっているのに、内容的にはそれに見合ったクオリティがないという場合も多く存在したようです。

この問題を調査するため、2006年にGovernment Accountability Officeというところが、タックス・リターンのサービス提供者に匿名でリターンの発注(全19件)をしたところ、すべてのリターンに間違いが発見され、そのうちのいくつかは当然申請されるべき控除が忘れ去られていたとのことです。

このような背景を受け、2010年からすべてのサービス提供者が政府のシステムに登録すること、基本的な能力テストを受けること、その後も継続的な専門トレーニングを受けることが必要となりました。しかしながら、このシステムが全州で安定的に効果を発揮するのには何年も要すると予想されており、サービスを使う消費者側はまだまだ注意が必要です。

適切なタックス・リターンというのは、言うは易く行うは難しです。なぜなら税法は複雑であるだけでなく、必ずグレイ・ソーンが存在するからです。最低限のルールだけに固執し超安全圏から一歩も出ないやりかた(先ほどの例のように、申請できる控除さえも申請しないというような)であれば、必要以上に税金を払う結果になってしまうかもしれません。一方、グレイ・ゾーンを極度に曲解したあまりにアグレッシブなタックス・リターンは、節税にはなるかもしれませんが一歩間違えば脱税です。最適は、その中庸。法律の範囲内で、合法的に、しかしできる節税は出る限り行うのをヘルプするのが、真のプロということになります。

タックス・リターンを誰かにお願いすることはできますが、その「誰か」が真のプロかを判断するのは消費者である私たちの責任です。

注意したいことは、以下のとおり:

  • 他よりも大きなリファンドが期待できると宣伝していたり、出来高報酬(リファンドの固定%を要求する)の専門家は要注意。
  • 後日、IRSから通知がきたりAuditに選ばれたとき、必要なヘルプが受けられること(タックス・リターンの時期だけでなく、ビジネスが継続的に存続すること)を確認する。
  • 弁護士、CPA、Enrolled Agentsの資格を有するかを確認する。
  • 継続的なトレーニングや倫理面での基準を必要とするプロフェッショナル団体に属しているかを確認する。
  • どのようなケースをどのくらい経験しているかを確認する。

 

自分でやってもプロがやっても、最終責任は自分

タックス・リターンは納税者としての個人の責任です。自分でやっても、誰かに頼んでも、自分のタックス・リターンに対しての最終的な責任は自分にあります。

自分でやっても、誰かに頼んでも、必ずタックス・リターンにはサインをせねばなりません。いつもサインしているこの1040の2ページ目の最後のところを、ちゃんと読んだことはありますか?そこには、「このタックス・リターンと添付のscheduleやstatementsをよく吟味したことと、私の知識と信ずるところによる限り、これらは偽りなく、正しく、完全であるということを宣誓いたします。タックス・リターンを私に代わって作成した人の宣誓も、その人の知っているすべての情報に基づいています。」と書いてあります。

「プロに頼んでタックス・リターンをしてもらいました。後でAuditにひっかかり、間違いが見つかりました。追加でタックスを払わねばならないうえ、ペナルティと利子もかかりますが、これはリターンを作成したプロの責任だと思うので、どうしたらいいですか」という質問をしている人をオンラインで見かけました。

それに対して返答をしているアドバイサーの答えは、「あなたはサインをする前に、タックス・リターンにちゃんと目を通しましたか?自分のタックス・リターンですから、最終責任はあなたにありますよ。」というものでした。

たしかにIRSから通知がきたり、Auditが入ったりした場合、ちゃんとしたプロであればあなたをしっかりサポートし力となってくれるはずです。また、あなたがすべての情報を正しく提供したのにもかかわらず、プロの手違いで最終的なタックスが間違っていのなら、ペナルティや利子もプロが負担してくれる場合も多いでしょう。

ただし、1040の2ページ目の一番最後にある、自分のサイン欄の下のところに、タックス・リターンを作成した人がサインしたことを確認しておくこと。ここに、リターンを作成した人のサインがないと、自分で作成したということを意味し、ペナルティや利子さえも自分持ちということになりかねません。

ちなみにこれは、タックスソフトの場合も同じで、H&R BlockもTurboTaxも、ソフト上のエラーで追加タックスが必要となった場合の、ペナルティや利子はそれぞれの会社が負担すると明記しています。

しかしながら、追加で払わねばならない税金は、あなたの税金ですから、自分で負担せねばなりません。タックス・リターンは納税者の責任であり、支払わねばならない税金は、たとえプロがミスしようがなんだろうが納税者に支払い義務があります。

注意したいことは、以下のとおり:

  • ブランクのタックス・フォームには絶対サインしない。鉛筆ではサインしない。
  • サインする前には、リターンに目を通し、わからないところは質問する。
  • リターンを作成した人がサインしたことを確認する。
  • リターンのコピーをもらう

タックス・リターンは納税者の義務。人にやってもらうにせよ、自分の責任はきちんと果たすスタンスを守らねばならないということですね。

以上、全4回でお届けしました「タックス・リターンをどうするか」シリーズ、今回を持ちまして終わりです。おつきあいいただいた方、ありがとうございました。

 

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください