タックスリターンはお済でしょうか?もしあなたが雇用者(employee)であるなら、タックスリターンに欠かせない書類がW2 Formと呼ばれるものです。毎年1月になると雇用主から発行されるこのW2。よくご覧になったことはありますか?もし、CPAやTax preparerにタックスリターンをお願いしているなら、会社から受け取ったW2はそのままCPAへ渡しておしまいという方もいらっしゃるでしょう。最近では、Turbo Taxなどのソフトを使えば、W2の情報をオンラインでダウンロードしてそのまま入力ということも可能です。じっくりW2を前に置いて眺めるという機会は、少なくなっているかもしれません。しかしながら、自分の収入、自分の税金の情報がまとめられているW2、本来なら無関心ではいられませんね。今日は、そのW2をじっくりながめてみることにしましょう。
W2とは?
IRSの規定で、雇用主は$600以上の収入を得ている雇用者に対してW2を発行し、収入や税金情報をリポートすることが義務付けられています。発行は、前年度12月31日までの情報について、翌年1月31日までに行うことになっています。W2は雇用主が雇用者に関して行うもので、同じ会社で働いていても、雇用者としてではなくIndependent Contractor(請負、委託者、派遣社員)として働いた場合はW2は発行されません。この場合は、Form 1099という別の書類の発行を受けることになります。
W2は全部で6枚発行され、Social Security Administration、IRS、StateやCityなどのTax Officeへの通知に使われるもの、雇用主コピー、雇用者コピーなどですが、最近ではE-fileも多く、印刷発行されたW2を見ることは以前より少なくなったように思います。
W2は、収入と税金についての情報をまとめたものです。一年を通じで得た給与、給金、チップなどの様々な収入をまとめ、それに対してFederal Tax、Stateやその他のLocal Tax、Social Security Tax、Medicare Taxなどの様々な税金がいくら源泉徴収(withheld)され各所轄に収められてきたかについてまとめたものです。
自分にいくらの収入があり、どのくらいの税金を払っているかはタックスリターンに使われる1040 Formで全体像をとらえることができますが、雇用者の場合はその基本情報がW2にありますから、W2を吟味して自分の雇用が収入・税務上どのような形になっているのかを把握しておくことは意味があることです。
どれが本当の給料?
W2には、Box1のWages, tips, other compensationと、Box3のSocial security wages、Box5のMedicare wages and tips、Box16のState wages, tips, etc.など、いくつかの収入欄がありますが、いったいどれが自分の給料なのか・・と迷ったことはおありでないですか?年棒や、あるいは月給の12倍+ボーナスを計算しても、どうも数字が合わない・・という経験です。
実際、W2はあなたがいくら給料をもらっているかということより、あなたの給料のうちいくらが課税対象となるかということにフォーカスを当てています。また、Federal Tax、Social Security Tax、Medicare Tax、State Taxなどそれぞれ課税対象となる収入部分が違うので、それぞれの欄にリポートされた収入が違ってくるということになります。こういうわけで、Box1のWages, tips, other compensationと、Box3のSocial security wages、Box5のMedicare wages and tips、Box16のState wages, tips, etcのどの額も実際の収入よりは低いいのがふつうです。
実際より低い額ということは、税金もそれだけ少なく払っているということです。ある意味で節税ができているということで、喜んでよいことといえましょう。税金のかかり方(課税対象のしくみ)の差や給与の税控除策の利用によって、実際の給与と各Boxの給与との間の差が生まれます。
Box1Wages, tips, other compensationとBox2 Federal Tax withheld
Box1には、401(k)などの税控除対象となるリタイヤメントプランへの積立額が含まれません。たくさんこれらのプログラムに積み立てていればいるほど、ここでの収入は低くなります。同様に、ここには雇用主提供の健康保険に加入している場合の、本人負担分も含まれません。Flexible Savings Accountに入金している場合のその額もここには含まれません。
Box2は源泉徴収された額を示しています。この額が、1040 Formで計算された税金より少なければ追加で税金を納めることになり、反対ならばリファンドを受けることになります(他に収めているEstimated Taxなどがないと仮定しています)。源泉徴収の額の大きさ設定は、人事・給与管轄部門にW4 Formを提出して行います。
Box1の課税収入が少ないことは、ある意味でリタイヤメントプログラムにたくさん積み立てをしており節税効果を享受しているということなので○印ですが、Box2の控除額が少なすぎて源泉徴収が小さすぎるのは、あまりよいことではありません。もし過度に小さすぎる場合は、源泉徴収不足でペナルティが発生することもありますし、そうならなくともタックスリターン時に多額の追加税を納めることは家計プラニングを難しくします。一方で、反対に多すぎるのも、無駄に源泉徴収がなされているということでよくありません。家を買ったなど大きな変化があると、この源泉徴収の額も見直す必要がでてきますから、タックスリターン時には次年度の源泉徴収も吟味するとよいでしょう。
Box3 Social Security WagesとBox 4 Tax Withheld
Box3はSocial Security Taxの課税収入です。この額はBox1のFederal Tax課税額と差があることがほとんどです。リタイヤメントプランの積立額はここでは控除されず、このことはBox1よりBox3の額を大きくする効果がありますが、一方でSocial Security Taxの課税収入には上限限度額が設定されており、2015年の場合は$118,500です。これを超えての収入がある場合には、Box3はこの上限額が入っています。よって$118,500より収入が少ない場合でリタイヤメントに積み立てをしている場合はBox1の額のほうが小さく、$118,500を超えて収入がある場合にはBox3の額のほうが小さく、収入が$118,500に近い場合にはケースバイケースというような状況になります。
現在のSocial Security税率は雇用主負担が6.2%、雇用者負担が6.2%ですので、Box4のSocial Security TaxはBox3の額の6.2%です。
Box5 Medicare Wages and Tips とBox 6 Tax Withheld
Box5はMedicare Taxの課税収入です。Social Security Taxの課税収入には上限がありましたが、Medicare Taxには上限がありません。また、ここでもBox3と同様、Box1のときのようにリタイヤメントプログラムへの積み立ては控除になりませんので、Medicare Taxの課税収入は往々にしてBox1、Box3と比較しても最も大きい数字になりがちです。高額所得者の場合には、とくにそうです。
現在のMedicare Tax税率は雇用主負担が1.45%、雇用者負担が1.45%ですので、Box6のMedicare TaxはBox5の額の1.45%です。ただし、Box5が$200,000以上の場合は、その部分に追加で0.9%の追加課税がされます。
Box 7 Social Security Tips とBox 8 Allocated Tips
チップ収入がある人の場合には、Box 7に雇用主に報告済のチップ収入が記載されます。この数字はBox1の額に含まれており、他の収入と合わせてBox2で源泉徴収が行われています。Box8は雇用主があなたの取り分として割り当てたチップ収入で、これはBox1の額と合わせてタックスリターン上の収入としてリポートする必要があります。
Box 10: Dependent Care Benefits
子どもやその他の扶養者(Dependents)のケアのために雇用主からサポートを受けている場合にはここに数字がはいります。このうち、$5,000までは非課税ですが、これを超えた部分はBox1、Box3、Box5に含まれることになります。
Box 11: Non-qualified Plans
Non-qualified deferred compensation plan(給与やボーナスなどが将来の一定時点まで支払いが伸ばされるもの)の収入がある場合はここに数字が入ります。多くの場合は、この数字はBox1にも含まれていますが、プランのタイプによってはそうでない場合もあります。
Box 12: Catchall Area
ここには、ケースバイケースでいろいろなコードが記載されます。それぞれのコードが何を意味しているかは、W2の裏に説明があるはずです。
下は一般的な説明です。不明なものがあれば、人事管轄部に問い合わせれば教えてくれるはずです。
A – Uncollected social security or RRTA tax on tips
B – Uncollected Medicare tax on tips (but not Additional Medicare Tax)
C – Taxable cost of group-term life insurance over $50,000 (included in your wages at boxes 1, 3 and 5)
D – Elective deferrals to a section 401(k) cash or deferred arrangement plan (including a SIMPLE 401(k) arrangement)
E – Elective deferrals under a section 403(b) salary reduction agreement
F – Elective deferrals under a section 408(k)(6) salary reduction SEP
G – Elective deferrals and employer contributions (including nonelective deferrals) to a section 457(b) deferred compensation plan
H – Elective deferrals to a section 501(c)(18)(D) tax-exempt organization plan
J – Nontaxable sick pay
K – 20% excise tax on excess golden parachute payments
L – Substantiated employee business expense reimbursements
M – Uncollected social security or RRTA tax on taxable cost of group-term life insurance over $50,000 (former employees only)
N – Uncollected Medicare tax on taxable cost of group-term life insurance over $50,000 (but not Additional Medicare Tax)(former employees only)
P – Excludable moving expense reimbursements paid directly to employee
Q – Nontaxable combat pay
R – Employer contributions to an Archer MSA
S – Employee salary reduction contributions under a section 408(p) SIMPLE plan
T – Adoption benefits
V – Income from exercise of nonstatutory stock option(s)
W – Employer contributions (including employee contributions through a cafeteria plan) to an employee’s health savings account (HSA)
Y – Deferrals under a section 409A nonqualified deferred compensation plan
Z – Income under a nonqualified deferred compensation plan that fails to satisfy section 409A
AA – Designated Roth contributions under a section 401(k) plan
BB – Designated Roth contributions under a section 403(b) plan
CC – HIRE exempt wages and tips (2010 only)
DD – Cost of employer-sponsored health coverage
EE – Designated Roth contributions under a governmental section
はじめまして。いつも貴重な情報をありがとうございます。とても勉強になります。ひとつ質問があります。お時間のあるときに教えていただけないでしょうか?私はIndependent Contractorで1099で雇用されSmall Corporationでタックスの処理をしてきました。が、今度新しく契約のとれた会社がW2しか出せない、1099はだすことができないといいます。フルタイムにならずに臨時職員として雇われる予定ですが、時間的にはフルタイム以上に働くことになり、今までの1099の仕事を少なくしなくてはいけません。この記事にW2しか出せない会社でも、Independent Contractorを雇う場合は1099で出さないといけないとあり、その会社から言われたことと違っていたので、どういうことなのかな、と思いました。W2しか出せないとは、どういうことなのでしょうか?私はIndependent Contractorであるかぎり、その会社では働いてはいけないのでしょうか?
W2 workerか independent contractorかは、働く人と企業との間の契約ですので、残念ながら私が判断できる部分ではありません。もし労働形態がW2ではなくindependent contractorのほうに近いというのであれば、その旨人事とネゴされることも可能なのではないでしょうか?どのような労働形態がどちらに当てはまるかはこちらのサイトが参考になるかと思います。このサイトは企業側が労働者をW2かICに振り分ける基準ですが、労働者側としても参考になると思います。
突然のコメント失礼致します。文章読ませて頂きまして、とても勉強になりました。大変申し訳ないのですが、この場を借りて質問させて頂けたら、と思います。
昨年度の8月から渡米して、一年間の契約でアメリカで働いております。健康保険には会社支給のものに入っております。今年W-2フォームを会社から頂いて、各自個人でtax return をするようにと言われました。tax act を使用して行おうとしているのですが、健康保険入力の所で手間取っております。form1095は頂いておらず、W-2だけで手続きができると言われています。雇用主主体の保険であれば、W-2だけで申請が出来るのでしょうか??
こんな所で簡易的に質問するのは場違いだと思うのですが、如何にもこうにも色々行った上で行き詰まっております。お力貸して頂けたら幸いです。宜しくお願い致します。
会社が健康保険を提供しているのであれば、1095を発行することは義務付けられているはずです。
普通は1095Cが発行されるはすです。参考:https://turbotax.intuit.com/tax-tools/tax-tips/Health-Care/What-is-Form-1095-C–Employer-Provided-Health-Insurance-Offer-and-Coverage/INF27941.html
あるいは1095Bであるかもしれません。参考:https://turbotax.intuit.com/tax-tools/tax-tips/Small-Business-Taxes/How-Does-IRS-Form-1095-B-Affect-Small-Businesses-/INF27938.html
もう一度人事にご確認された方がいいかと思います。
こんにちは。初めての投稿ですがよろしくお願いします。現在主人が働いている職場からのw-2が届くのを待っています。すでに3月ですので遅れているのは雇用主の方も承知なのですが、もう少し待ってくれといわれています。その職場には去年の11月から働いているのですが、給料はいつも遅れていただき、給料明細はない状態です。明細を下さいとお願いしたのですが、そのうちという感じで今まで来ています。Taxのレポートはきちんとしたいのですが、おそらく雇用主の方はきちんと正式に申告をされていないのではと思います。この場合どうゆう手続きを取っていったらいいのでしょうか? お忙しいところすいませんがアドバイスのほどよろしくお願いいたします。
それはお困りですね。通常は1月末までには発行しなければならないことになっていると思いますが。私もタックスリターンの専門ではないのでよく知りませんでしたが、調べてみたらw2が届かない場合は、自分で作成することも可能のようです。ただ情報が必要ですので、結局は人事で管理している情報をもらわなければならないかもしれませんが。。英語になりますが、下記が参考になるかと。。
http://www.bankrate.com/finance/taxes/what-if-you-dont-get-your-w-2.aspx
初めまして。
W2のBox1.3.4について質問させてください。
TurboTaxにW2の数字を入力したところ、Box3に対してBox4の金額が多すぎるため雇用主に払い過ぎた金額を返金するよう要求し正しい金額のW2を再発行してもらうようにとの表示が出ました。
Tipをもらう職業に就いていて、Box1はWagesとTipの合計金額、Box3はWagesのみの金額が入っています。
本来ならBox4にはBox3の6.2%に当たる金額が入るはずが、実際にはBox1の6.2%の金額になっています。
Box3に対してだと10%以上になってしまうためそのような表示が出たのだと思います。
しかし2015年のW2を見てみたところ、同じようにBox4の金額はBox1に対しての6.2%、Box3に対しては10%以上でした。
今まで引かれてきた金額は間違いだったのでしょうか?
それともこのままで良いのでしょうか?
W2を発行された雇用主はひとつですか(ひとつの会社で働かれていますか)?1社でしか働かれていないのであれば、払い過ぎのソーシャルセキュリティは雇用主に訂正してもらい、正しいW2を発行してもらってから、タックスリターンする必要があります。下記が参考になるかと覆います。過去のものもリファンドしてもらえるのではないかと思ますが、ちょっと専門外でよくわかりません。
https://ttlc.intuit.com/questions/1899484-can-i-get-a-refund-for-excess-social-security-tax-withheld
はじめまして、
W2を出す側から質問があります。
近いうちに人を雇う予定でw2が必要と言われたのですが、
経営者側のやる事、負担は何が有るのでしょうか。?
例えば保険やペイロールなど。
申し訳ありませんが、本件は個人のファイナンシャルプファニングの域を超えており、簡単にお答えしかねます。
ここでお答えできる以上の大きな問題ですので、専門の税理士さんにお尋ねください。