モーゲージ - 無理に15年ローンにしないのが賢明なわけ

15年固定金利ローンと30年固定金利ローンとの利子の開きが大きくなっています。過去の傾向からいく15年ローンの金利は30年のそれより0.25%~0.30%くらい低いというのが普通のようですが、2015年2月では全国平均で0.70%弱の開きとなっています。一年前はもっとこの開きが大きく、1.00%ということもありました。そもそも低金利が続いているのに、その中でもひときわ低い15年ローンの金利は注目を呼ぶもので、この際にぜひ15年ローンにしたほうがいいという売り文句もよく見ます。

 

15年ローンが魅力的なわけ

15年ローンの大きな魅力は、30年ローンに比べて支払う利子の総額を大きく削減できることです。下は$400,000を、15年固定金利と30年固定金利で借りた場合に支払う利子の合計です。

30 vs 15yr interest

15年固定では利子合計が$88,607なのに対し、30年固定では$236,619と2.6倍もの利子を払うことになります。その差額は約$150,000で、この額がリタイヤメントや学資に充てられたら・・とも思うでしょう。こう比較すると30年ローンを組むのはいかにも損な感じがして、「この金利の安いうちに早く借りておいたほうがいいですよ」といわれれば、月$1,000の余分な返済額がなんとか負担できるなら15年ローンにしようと思うのが人情というもの。

 

 

ちょっと待って

この月$1,000が今も今後15年間も恒常的にある程度の余裕をもって出すことができるのであれば、もちろん15年ローンにしたほうがよいでしょう。しかしながら、$1,000を出すことで将来のリタイヤメントの準備が少々おそろかになるとか、今後子どもを大学にやらねばならないのでその間は学資も心配だとか、余裕がある月もあるかもしれないがない月もあるかもしれないなどという状況があるのなら、無理に15年ローンにしないほうがいいことも多いのです。

とくに注意したいのは15年ローンを組んだがゆえにリタイヤメントの準備が後回しになることです。リタイヤメント準備できちんと積み立てをしていけば、リスク中庸の投資ポートフォリオでも6%~8%程度の利回りは見込めるでしょう。それなのに2.750%の利子で借りたいがために無理して15年ローンで返済額を増やしたので、リタイヤメント準備に回すお金がなくなったというのは愚作です。その反対に、3.375%(30年ローンの金利)で借りておいて、浮いた$1,000をリタイヤメントに回し6%~8%の利回りで増やしたほうが賢いやり方です。

でも30年ローンにしてあんなに大きな利子総額を払うのには抵抗がある・・という方もいらっしゃるでしょう。そういう場合のもうひとつのオプションがあります。そのオプションを見る前に、今一歩、なぜ15年ローンと30年ローンで、支払い利子の総額がこれほどまでに大きく違うのかについて考察します。

 

 

なぜ利子総額がこんなに違うのか

15年ローンと30年ローンの金利の差には、理由がふたつあります。ひとつは15年ローンのほうが金利が低いことですが、もうひとつは15年ローンのほうが借り入れ期間が短いということです。そして、このふたつのうちどちらが、利子総額により大きな影響を与えるかというと実は借り入れ期間のほうです。実際の例で見てみましょう。

たとえば30年固定ローンは実は3.375%ですが、もし15年固定ローンと同じ金利である2.750%で借りられたとしたら、利子総額はどのくらい減るかという計算をしてみると、これは$187,867となり、金利が15年ローンと同じ低いレベルに下がったことで節約できる利子額は$48,752でした。

30 yr interest different

 

では、30年固定ローンの金利はもともとの3.375%の高いレベルのまま、ただ、30年ではなくて15年間で返済してしまうとするとどうなるでしょう。利子総額は$110,307となり、利子はまったく一緒でも、払い込む利子額を$126,312も節約することができます。

30yr reduction of loan period

つまり、15年ローンと30年ローンの利子総額の大きな差の第一原因となっているのは、借り入れ期間の長さであり、その次に利子の大きさによることがわかります。借り入れ期間を短くすることができれば、たとえ利子が30年ローンのレベルのままでも、大きく払い込む利子総額を減らすことができるわけです。

 

 

そこでハイブリッド策

そこで出てくるのがハイブリッド策です。これについては以前にもご紹介しましたが、30年固定ローンで借りて、余裕があるときにはどんどん元金を上乗せで返済してしまい、実際は30年よりずっと短い借り入れ期間で済ませるという方法です。たとえば、先ほどのように$400,000借りた場合で、敢えて30年固定ローンで借り入れておいて、月々$1,000の追加返済(この$1,000は当初の15年ローンと30年ローンの返済額の差とほぼ同じ額です)をしたとします。そうすると、利子総額は$114,948に下がり15年数ヶ月で返済できます。

30yr hybrid

オリジナルの30年固定($1,000上乗せ返済なし。真ん中のコラム)と比べると大きく利子が削減できただけでなく、15年固定(一番左のコラム)と比べても税控除前でその差はたったの$26,341です。また、ローンの利子はタックスリターンで税控除(Itemized Deductionを選んだ場合)できますので、たとえばタックスブラケットが28%の方の場合ですと、控除後の実質の差は$18,996という額になります。数千万の差が数万ドルの差に変化しました。

もちろん、コンスタントに月々$1,000が余裕で払えるのなら、最初から15年ローンにすればいいのですが、15年間の間、$1,000の捻出がちょっと苦しい、ちょっと学費に回したい、車を買うのに回したいというニーズがあるとすると状況は違います。30年ローンにしておけば、一時的にこの$1,000の追加返済をやめることができます。あくまで追加返済ですので、するもしないも個人の自由です。これに対し15年ローンの場合は、決められた額、つまり30年ローンよりも約$1,000多い額を必ず返済せねばなりません。しなければデフォルトになります。

 

税控除後の数万ドルの差は、このフレキシビリティのコストと考えれば十分正当化できるレベルではないでしょうか。このようにファイナンシャルプラニングは、ひとつひとつの要素を単独で見るのではなく、全体的で長期的な見方をして進めていくことがとても大切です。

 

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4 comments

  1. いつもとても参考になる記事を掲載してくださいましてどうもありがとうございます。
    現在20年前に家をローンで10万ドル借り入れ、途中、一度リファイナンスして現在、ローン残高が5万5千ドル。(現在の利子は約3.9%です。フィックスではないので毎年5月に多少変動あります)
    毎月の支払いは少ないのですが、見ての通り元金が減っておりません。
    簡単に計算しても今までの支払い額は元金を大分超えていて悲しくなります。
    (が、後戻りできないので恥ずかしながらこちらで質問させていただいています)
    今、残り23年ローンの残高5万5千ドルを一括でペイオフする余剰キャッシュが手元にあります。
    ここで質問です。今一括で払うのと、仮にローン通りに23年後に払い終えるのと、今から払う利子の額に違いはありますか?
    それか、その余剰現金をリタイヤメント資金で運用するべきでしょうか?
    たくさんの質問すみません。

    1. 全額返済すれば、23年分に支払う利子が全部なくなりますので、大きな差があります。
      ローンの利子と投資で出るだろう利回りを比べて、後者の方が多ければ運用する方が良いと思います。
      ただ変動金利というのが気になります。これから上昇しますので。。

      1. 「全額返済すれば、23年分に支払う利子が全部なくなりますので、大きな差があります。」

        この答えがわかってスッキリしました。どうもありがとうございます。
        このことを念頭に入れて、返済するか、運用するか考えようと思います。
        どうもありがとうございました。

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