迷っているヒマがあるなら投資する!

「投資」ということばを聞いてどういう思いをイメージをもたれますか?先日、日本ではまだまだ投資というものが、広く一般の人に受け入れられていないという記事を読んでいたのですが、アメリカでは401(K)やIRAの利用が広まっているので、それに付随して投資というものある程度は身近に感じる社会になっていると思います。投資と言っても、株投資、債権投資、不動産投資などいろいろありますが、今回は、誰にで手を出しやすいインデックスファンド投資(株や債権などの有価証券のインデックスファンド)にフォーカスを当てて、投資というものはなぜしたほうがよいのかという基本的なことについて考えてみます。

 

投資は勇気が必要?

最近では、雇用主が401(k)を通して、デフォルトで一定パーセンテージを給与から自動的に差し引き、デフォルトであらかじめ決められたファンドに投資するというしくみが普及してきました。雇用者が、Opt-outをしてデフォルト設定を拒否することはできますが、その手続きをしなければ自動的に積み立てが行われます。老後の資金不足のトレンドを危惧して、少しでもそれを軽減するようにという社会的取り組みともいえます。デフォルトで投資されるファンドは多くの場合、雇用者の年齢に応じたターゲットデイトファンド(リタイヤ予想年に応じて各種インデックスファンドを自動調合したもの)です。よって、Opt-outさえしなければ、投資を自動的にしているということになります。

ただ自分でIRAを開く、たまっている現金を投資に移すという作業となると、自分で口座を開きお金を移しファンドを選んで買うというステップが加わり、それに対して恐怖を感じたり、躊躇をしたりする人もいらっしゃいます。私の友人の例ですが、不動産物件をいくつか持っていて大きな額をポンポンとつぎ込むことには慣れているのに、インデックスファンドに$10,000積み立てるのが「怖い」と言います。なぜ「怖い」のかというと、一度もしたことがないし、不動産のように物理的なモノがないので不安だと言います。私の観点からいうと、住宅市場が暴落するのはもちろんのこと、隣の家で事故があったり、地震などで地域が影響を受けたりしたら、たった一つの不動産物件に何十万ドルも投資を集中することはとても危険と思いますし、また壊れたり破損したり他の条件に影響される「物理的なモノ」があることのほうが、ずっと「怖い」のですが、これは観点の違いと言えます。どちらが「正しいか」は、その人の望むものと信じるところによると思います。

いろいろな考え方に接したうえで、自分にぴったりの考えはこれだ!というものがあれば、その道を進めばよいと思います。ただ、この記事では、投資についてよく知らず、むやみに「怖がる」ことで、知っていたら掴んでいたはずのチャンスを無にしないように・・・という思いをもって、投資(ここではインデックスファンド投資のこと)の意味や力について書いてみたいと思います。

 

Vanguard社のリサーチから

Vanguard社が行ったリサーチの結果をご紹介します。このリサーチは$1ミリオンの現金があった場合、Lump sum(全額一括)で投資に回した方がよいか、それともDollar-cost averaging方式で一定期間の何回かの小口投資に分けて投資した方がよいかというのをシュミレーションしたものです。Dollar-cost averagingというのは、401(k)や529などでよく使われる手法で、毎月決まった金額を定期的に積み立て続ける方法です。市場が良くても悪くても、常に一定額を積み立てることで、ファンドが高いときに買うこともあるが安いときに買うこともあり、時間軸上の値動きをおしなべた「平均値」で買うことができるという、リスク分散のための方法です。401(k)や529などは、月々の給料から一定額を少しずつ投資するという形態が多いので、その場合は、変に機を見て、今は買い時、売り時と判断するのではなく、定期的に自動的にかつ機械的に積み立てるのがよいわけです。これはこれまでもこのブログで推奨していることです。

今回のこのVanguard社のリサーチは、そのようなラニング収入からのラニング積み立てではなくて、たとえば特別ボーナスとか、相続金とか、あるいはすでに貯まっており銀行に眠っている現金とかなどの、まとまった金額がある場合(リサーチでは$1ミリオンでシュミレーションしていますが、どんな額の現金であっても)、すぐに全額投資したほうがいいのか、小口投資でリスク分散したほうがいいのかという問題です。

Vanguard社が行ったシュミレーションはかなり綿密です。$1ミリオンの投資が10年後にはどのような結果になるかについて、1926年から2011年までのすべての10年間の期間について、実際の株式市場データを使ってシュミレーションしました。投資アロケーションは株式インデックスファンド100%:債権インデックスファンド0%から、株式インデックスファンド0%:債権インデックスファンド100%まで変化させてシュミレーションしました。小口での分散投資期間は、6か月、12か月、18か月、24か月、30か月、36か月まで変化させました。市場データは、アメリカだけでなくUK(市場データは1976年から2011年)とオーストラリア(市場データは1984年から2011年)のものを使い、それぞれの国の株式市場インデックスファンドと国債インデックスファンドを使っています。

結果は、これらのどのような組み合わせでも、総じて2/3の場合で、全額一括投資のほうが最終的成績がよいということでした。裏返して言えば、Dollar-cost averagingで一定期間に購買期間を分散させて小口投資で積み立てたほうが最終結果がよかったのは、1/3のケースという結果です。

 

その意味するところ・・・

このリサーチの結果でいいたいこと(Vanguardも私も)は、なにもDollar-cost averagingでリスク分散して投資する方法はあまりよくない・・ということではありません。前にも書いた通り、給与などから継続的に投資を考える場合は、Dollar-cost averagingがベストです。このリサーチ結果がいいたいことは、まとまった資金がある場合、リスク分散で何度かに分けて投資を始めるよりは、一度にぼんと全額投資を始めた方が2/3の確率で(過去データで多角的なシュミレーションをする限りにおいては・・です。将来への確約ではありません)投資結果がベターだということです。

その理由は、リスク分散で何度かに分けて投資を始めるということは、一定期間の間、その分現金で持つ部分の比率が多くなり、その部分が好ましい利回りを生んでいないことにあります。たとえば、全投資額を12か月にかけて12分割して投資をしていくという方法をとった場合、たしかに12か月の間の市場の好調・不調による値段の上下で投資を買うので、その意味ではリスク分散はされます。しかしながら、12か月の間自分が実現したい投資アロケーション(たとえば株式ファンド60%:債権ファンド40%のような)に比較すると、手元にある未投資の現金があるので、ターゲットアロケーションから外れた現金比率の高いポートフォリオになってしまっているということです。そして、2/3のケースで、その間の失われた利回り(未投資現金に対する)のデメリットのほうが、市場の値動きに対するリスク分散のメリットより大きいというのが、リサーチ結果の裏側にある事実です。

この結果の示唆するところは、もし投資に回せる現金があるのなら、一刻も早く投資するのがよさそうだということです。

 

右肩上がりのパワー

この根底にあるものは、右肩上がりのパワーです。ここでの投資ファンドは前述のように、各国の株式市場インデックスファンドと国債インデックスファンド(主要株式全部、あるいは主要国債全部をまんべんなく持つもの)です。右肩上がりとは、基本的に国の経済は少しずつ成長していくものという前提です。たとえばアメリカの過去のGDPはこんなかんじ。

アメリカの中にはこの期間倒産した会社もあれば、売り上げが激減した会社もあれば、その反対に大きく伸びた会社もあるでしょう。ただ、それらをひっくるめて株式市場インデックスファンドに投資したなら、ここにあるようにアメリカの中の会社をひっくるめた経済成長の恩恵を享受することができることを意味しています。下はS&P500インデックスの値動きデータです。株式市場は一年で40%下がったりまたその反対に40%上がったりということも珍しくなく、値動きはぎざぎざですが、でもここに右肩上がりの大きなトレンドがあるのが見て取れます。

この右肩上がりのトレンドがあるので、お金は現金で眠らせておくのではなく、とにもかくにも市場インデックスに長期投資するほうがよいということなのです。

上のVanguard社のリサーチでは、UKとオーストラリアもリサーチ対象となっていますが、これらの国でも上と似たようなパターンが見られます。

 

オーナーとしての参画

「お金もちになりたいなら従業員ではなくオーナーになれ」という言葉、聞いたことがおありでしょう?立ち行かない企業のオーナーでは困りますが、ビジネスがだんだん成長してうまくいくのであれば、固定給で働く従業員ではなく、成長の利益にあずかることができるオーナーとしての立場は魅力的です。

考えを変えてみれば、市場インデックスファンドに投資することは、国全体の会社のオーナーになることを意味しています。株を直接持つわけではないので株主ではありませんが、インデックスファンドの中にある様々な会社の株を間接的に持つことで、経済成長の利潤の還元を小規模ながら着実に得ることができるわけです。

Vanguard社のリサーチは(少なくとも過去のデータを見る限り)、インデックスファンド投資とはこの右肩上がりのパワーを享受するものであり、資金は今から下がるかもなどと心配せずに、とにもかくにも一刻も早く投資に回した方がよいということを物語っています。もちろん一括投資にどうしても精神的ブロックがある人は、Dollar-cost averaging方式でも構わないと思います。ただ、大切なことは、どちらの方法をとるにしても、投資には参加することが大切だということです。入り方はどうであれ、長期的に国全体の経済成長の利益を受けられる立場を手に入れること、これがインデックス投資の本髄です。

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6 comments

  1. 緊急用のCDを10~20年置いたままでした。お金の事は全く気にしなかったのですが、このサイトを半年位前に見つけてCDは解約してました。時間の取れる月曜日にVangardに電話をし、少し話を聞いて口座を開設します。今日のお話を読んで、当に背中を押された感じです。これからもよろしくお願いします。

  2. 本文で仰られている通り長期間寝かせられるお金を入れる場合、もしくは、”自分でファンドをマネージできる方”なのであればvangardのインデックスファンドでもよいと思います。長期をクライアントの方が何年と捉えているかの確認も大事ですが。

    しかし、それ以外の方、自分でマネージできない=お金を長期間寝かせられないにも関わらず、市場の動きに対応できない(これは、あっちこっちに市場の上下に合わせて動かすという意味ではありません。引き出したい時期を見て動かすという意味です。)、例えばリタイアが近いのにインデックスに入れっぱなし(市場が下がれば、一緒に下がる)になることの意味をよく理解出来ない方には、vangardのインデックスファンドは、個人的にはお薦めしません。

    インデックスファンドのフィーが安いのは何故かを、キチンと理解してから始めるべきだと考えるからです。特に年配の方には注意が必要だと思います。

    それから、アニュイティーは、大手でも月々$50、$250からでも始められます。
    もちろん、大口投資家のみを対象にした会社もありますが、そうでない大手もあります。
    フィーを考慮しても、それを上回る最低rateギャランティーがあり、確実に増える上に、市場の動きに連動し、rateが上がる度にロックされる商品、また、他社になりますが業界大手の商品の中にも、非常に優秀なものがあります。リタイアを10年以内に控えた方、既にリタイアした方にはもちろん、それより若い、ミドルエイジの方にとっても大きな魅力とプロテクションではないでしょうか?

    ソーシャルセキュリティーを含む年金以外は、ミューチャルファンドもどの資産も使いきってしまえば終わりです。

    介護に掛かる莫大な費用をメディケアがほとんどカバーすると勘違いされている日本人の方も多いようです。→これは、年金でなく別のやり方でカバー方法をお薦めする場合が多いですがが。。

    ミューチャルファンド自体は、リスクを分散し少額からスタートできる良さがありますので”大賛成”ですし、個人的にはインデックスファンドは好きです。

    ただし、”インデックス”ファンドは、用途と、スタートする年齢、期間には充分に留意すべきだと思います。年齢に合わせて、どこにいくらお金を入れるかは、慎重にその他の収支と併せてトータルに選択することが重要ではないでしょうか。

    特にインデックスファンドの場合には、その良さと共に、デメリットもよく理解してからスタートするべきだと思います。

    長くなってしまい、失礼しました。

    1. そうですね、インデックスファンドは原材料ですので、原材料のまま持っても、パッケージ化されたアニュイティなどの商品で持っても、あるいターゲットデイトファンドようなプランのもので持ってもよいと思います。時と場合に応じて選ぶことが大切だと思います。貯めるフェーズではなるべく低手数料で貯めておいて、必要に応じて時期がきたら、固定収入化したい部分をアニュイティに変えるというのでもよいように思います。

      1. そうですね。
        仰る通り、時と用途に応じてということをしっかりと認識して頂く事が肝要かと思います。
        何か購入しても、そのまま放ったらかしで、一体何を持っているのか、パフォーマンスがどうかもわからないという方が多いので、敢えてコメントさせて頂きました。

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