ぜったい避けたい ソーシャル・セキュリティ6つのミス

リタイヤメントというと401(k)だのIRAだのに議論が行きがちで、「ソーシャル・セキュリティ年金をどう戦略的に活用するか」なんて記事はあまり目にもしませんが、しかしながら、このソーシャル・セキュリティ、ばかにしてはなりません。あまりよく知らないまま老後に突入し「もらえる分だけもらえばいいや」なんて態度だと、何千ドル、いや何万ドルもの損になることもあります。そこで、今回は「こんなミスは避けたい」という点を6つリストアップしてみました。

Mistake1:当てにならないから、当てにしない

老後の生活は、「ソーシャル・セキュリティの年金だけに頼っていたのでは成り立たない」のは事実ですが、だからといってそれは、「ソーシャル・セキュリティは当てにならないから計画に入れるべきでない」というのではありません。それだけでは頼りにならないソーシャル・セキュリティですが、額が少ないしシステムに不安があるからと、真っ向から無視するのはかえって高くつきます。

たとえ十分でなくても、ソーシャル・セキュリティの年金は毎年毎年死ぬまでもらえるものです。月に$2,000でも年に$24,000です。年金開始後30年間生きたとすると、$720,000の給付です。決してばかにできる額ではありません。また、以下で書きます「正しいもらいかた」をするか、「うっかりしたもらいかた」をするかで、もらえる額にかなりの差が生まれます。つまり、あらかじめソーシャル・セキュリティの年金を計画のうちにいれ、他の資金源とのコーディネーションを計って、なるべくたくさんもらえるように計画することが得策なのです。あてにしないからそもそも考えにいれないといのは、痛い失敗につながりかねません。

Mistake2:そろそろリタイヤしようかな

23歳から働き始め、途中3年間大学院に戻ってまた仕事に戻り、今年60歳でリタイヤしようと思います・・・このケースは60歳リタイヤメントとあって、キリがいい感じがしますが、実はとてもキリが悪いのです。この場合、34年間働いたことになりますが、あと1年余分に働くだけでソーシャル・セキュリティ年金の額を、一年で数千ドルもアップさせることが可能かもしれません。

Benefits算出の計算には、過去35年の収入(35年以上働いた場合は、もっとも高いほうから35年分)の平均値が使われます。働いた年数が 35年に満たない場合でも、割り算の分母は35ですから、収入のない年があればあるほど、Benefitsの額が引き下げられる結果になります。結果的 に、できるだけ長く、できるだけ多く収入を得ることが、Benefitsの額を引き上げることになります。

自分が何年働いたかを知って、計画的にリタイヤしましょう。

 

Mistake3:夫婦それぞれで決めましょう

夫と妻で、それぞれが受けられるソーシャル・セキュリティ年金を、個別で考えるのは危険です。それぞれ個別ではなくて、夫婦ふたりの受ける年金をセットで考え、夫婦レベルでいかに多くもらえるようにするかというプラニングが必要です。これをするかしないかで、夫婦ふたりで受ける生涯年金総額に、何万ドルもの差がでてくることもしばしばです。

夫婦の年齢差、シングル・インカムだったかダブル・インカムだったか、健康状態や寿命予測などを考え合わせて受給計画をします。一般的には、夫婦のうち収入が低かったほうは、受給が可能になり次第受給を開始し、収入が高かったほうは70歳までRetirement Benefitsの受給を伸ばすというのが、ふたりの生涯受給額を大きくするする方法だと考えられています。

 

Mistake4:とりあえず受給してみよう

ソーシャル・セキュリティ年金を受け取ることができる最低年齢は62歳ですが、62歳になったからといってさっそく受給を開始すると、長期的に見た場合非常に損な結果になりかねません。Full Retirement Age(生まれた年により決まり、65歳から67歳の間)以前に受給を開始すると、受給額は減額され、満額あるいは基本額より少ない年金になります。そしてこの減額は一生、年金を受け取る間ずっと続きます。

安易に開始してしまったので、ちょっと受給を止めたいと思った場合、12ヶ月以内ならば受けた全額を払い戻せば、開始しなかったことにしてもらえます。しかし。それ以降はもうやり直しができません。いったん受給開始して12ヶ月が過ぎたら、後悔先に立たず。減額された額が少なすぎるので、やっぱりもう少し待ってから受給をしたいと思ってもやり直せません。とりあえず62歳で受給を始めたけど、63歳になったらパートの収入が入るようになったので、しばらく受給をストップしたいと思っても、それもできません。

ソーシャル・セキュリティの受給開始はこの意味で一生モノの選択ですから、あらかじめよく考え、他のリタイヤメント資金や労働収入と合わせて計画的に開始することが必要です。

Mistake5:働きながら年金ももらいます

仕事を完全には止めないである程度の収入を得ながら、ソーシャル・セキュリティ年金も受けつつ、快適な暮らしを送りたい・・・う~ん、理想的なかんじがしますねえ。でも、これ、ちゃんと計画に基づかないと高くつきます。

Full Retirement Ageにいったん達してしまえば、どれだけ働いて収入を得ようがそれは問題ではありません。しかしFull Retirement Age以前に労働収入を得るのはちょっとばかりの注意が必要です。この場合には、ある一定以上の収入を得ると、ソーシャル・セキュリティの年金額が減らされることになります。

たとえば、2012年の場合なら、$14,640以上の年収があると、これを超える収入$2につき、年金が$1減らされます。$20,000の収入があったとしたら、($20,000-$14,640)÷2=$2,680も年金が減らされます。いったん受給されたソーシャル・セキュリティ年金を、あとで払い戻すなんてことにもなりかねません。

いつまでどのくらい働くかと、いつからソーシャル・セキュリティをもらい始めるかもきちんと計画する必要があります。

Mistake6:ソーシャル・セキュリティは非課税でしょ。。

ソーシャル・セキュリティだけが収入源だというのなら税金はおそらくゼロでしょう。しかし、給料やフリー・ランスなどからの労働収入、利子や配当金などの投資収入などがある場合は、ソーシャル・セキュリティ年金の一部に所得税がかかる可能性があります。最高で、受け取った年金の85%に所得税がかかります

ソーシャル・セキュリティ年金$30,000、労働収入$15,000、利子と配当金$5,000、401(k)からの引きおろし$20,000で生活しているご夫婦がジョイントでタックス・リターンをする場合、設定されている収入の上限(収入と計算の仕方は込み入っていますので割愛します)を超えることになり、ソーシャル・セキュリティ年金の$30,000の85%に所得税がかかります。所得税を25%とすると、$30,000×0.85×0.25=$6,375もの税金を納めねばなりません。

上の例で、401(k)からの引きおろしを$9,000にとどめ、差額の$11,000をRoth-IRAかAnnuityから引きおろしたとしましょう(トータルの収入額は同じでどこから引きおろすかを変えただけ)。そうすると、ソーシャル・セキュリティ年金にかかる所得税は$3,750となり、$2,625もの節税になります。

リタイヤメント・プラニングというとお金を貯めるところに焦点が行きがちですが、貯めたものとソーシャル・セキュリティ年金とを総合的にとらえ、どのタイミングで使っていくかも重要なプランイングです。

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26 comments

  1. つれあいはFullまで常勤の仕事があったこともあり、Fullまで待って受給しはじめました(ウチは年の差夫婦^^)が、62歳時点で無職や受給に影響しない程度の収入だった友人たちは62歳で受給開始しました。彼ら(男女とも)の計算によると、80歳未満で死亡するとFullまで待つほうが総受給額が少ないそう。つまり80歳まで生きないと思ってるわけですね(^^)
    逆に日本で80歳まで仕事をしていた知人は70歳まで待ちました。仕事といっても彼はプライベートで英会話を教えていただけで裕福ではなかったですよ。でも日本の収入だけで細々と暮らしながら預金もし、アメリカのSSも10年間満額預金。そして円高の頂点で日本の預金をドルに変えてアメリカへ引き上げたんです。ほんとに運が良かった。
    こういうことって計画しても運がかなり左右しますねー。

    1. ほんと、運ですよね。為替も株も金利も。。。ま、ファイナンシャル・プラニングなんて、いくらやっても運だけはどうにもならないということです~。私も運よくcachacaさんのような優雅なセミ+ホンモノ・リタイヤメントしたいです~。。つれあい様は、退院おめでとうございました!

  2. 私はソーシャル.セキュリティーに関しては将来当てにできないかもしれないから、当てにしないと言う考えです。もちろんもらえる権利があるのはわかっていますし、もらえたら当然喜んでもらいますが、アメリカ市民ではないので、将来万が一もらえない可能性もあるかもと思うと、アメリカ人の友人の様にもらう気満々と言う訳には行かないので、ソーシャル.セキュリティー以外に、その他のリタイアメントプランも組み込んでと思っています。

    1. 当てしないでいて、でも覚えておくだけ覚えておいて、もらえたらラッキーというスタンスが一番ですね~。もらえたとしても十分でないのは明らかですものね。

  3. とてもおもしろい内容でした。おくが深いですね。ソーシャルセキュリティの税金でよくわからないのが、401Kを
    たくさんおろすと税金がかかり、IRSとANNUITYだと税金が低いのは
    なぜですか?

    1. ソーシャルセキュリティに税金がかかるかどうかは、全体の収入によるからです。全体の収入が高いと、ソーシャルセキュリティ収入にも税金がかかりますが、全体の収入が低いと、ソーシャルセキュリティ収入は非課税です。全体の収入には、401(K)やTraditional IRAなどかけるときに税控除があったものから引き出したお金は含まれますが、ROTH IRAやAnnuityなど課税後のお金で運用したものから引き出したお金は含まれません。う~、長ったらしい文ですが意味わかりますか?

      1. 主人65歳、無職で私は62歳で45Kほどの年収あります。
        主人は失業して2年経ち、私一人の収入では立ち行かなくなり、
        去年は主人の401Kから20Kほどおろして、生活費に当てました。
        今年は、私の5年前くらい前に預けた10K-Rothがあるので、
        それをおろしても良いかとも考えています。
        既に所得税を払っているのですが、タックスリターンの時は
        収入に影響するのでしょうか。
        もし、そうであれば今年も主人の401Kからおろして、タックスリターンは
        夫婦別にした方が税金対策になるでしょうか。
        去年降ろした20Kは今年インカムタックスを払わなくてはいけませんが、
        モーゲージもホームエクィティの利子も払っているので
        追徴金はないとは思うのですが、心配しています。
        来年主人が66歳になったらSSを受給するので心配はなくなります。
        今年が正念場です。

        以上宜しくお願い致します。

        1. コメントありがとうございます。Roth IRAを下しても所得税はかかりません。401kからの引き出しは所得税の対象となります。多くの場合は夫婦はジョイントリターンのほうが節税できますが、いろいろな要素が関係してくるので、ここで一言でお答えできるものではありません。あと4年でご主人がフルリアイヤメントエイジなのですね。がんばってください。

          1. ありがとうございます、Rothの件、安心しました。

            いろいろSSの受給の仕方を検索したのですが、
            主人も私もまだフルリタイアメントに達していないので
            なにもできなさそうです。
            ですが、主人も私も1954年以前に生まれているので、
            来年、主人が66歳になって、もし、私が仕事を辞めていたら、
            レストリクテッドアプリケーションを申請して
            主人の半分のSS年金を受給、経済的に可能なら、
            主人のSSは70歳まで待って受給できればと思っています。

            去年の11月の改正でファイルアンドサスペンドと
            このレストリクテッドアプリケーションは
            廃止されたと言っていたのですが、
            年齢でまだ可能だとわかり、
            できれば利用使用と思っています。

            そう思われますか?
            ご意見をお聞かせ頂ければ助かります。

  4. ソーシャルセキュリティとJointTax申請で相談があります。

    私は既婚者、そして、自営業です。日本とアメリカの間で社会保障制度がある事を聞き、主人のSNNと混合されないように、Jointではなく、married-separateで毎年申告をしていました。 
    主人は無職で収入がありません。将来は、離婚を考えています。
    でも、JOINTでTAXを申請した方が節税できると聞いたのですが、もし、Jointで申請した場合、ソーシャルセキュリティーは主人と私の分、両方に還元されてしまうのでしょうか? 
    私のソーシャルセキュリティーだけに、納めたい場合は、やはり今まで通り、Married-separateで申告しないといけないのでしょうか?

  5. わたしはアメリカ人の夫とは再婚です。子供が日本に居ます。夫が先に逝った場合、子供の住む日本に帰ろうかと考えています。グリーンカードはありますが、わたしの国籍は日本です。アメリカの年金はアメリカ国内に居住していないと受け取れないのでしょうか?

    1. ゆきこさん、アメリカの年金はアメリカ国内に居住していないと受け取れないということはありません。こちらに日本にいながらの受給についてでています。

  6. うちは一回りくらい年下の夫なので、夫が62歳になったらいったん受給してわたしが半分もらって、夫のは70歳までまとうか、、、と思っていましたが、それが今年が最後でできなくなるとマネーマガジンに載っていた、と夫が言ってました。

    ガーン、です。こういう場合年下の夫だと困りますね~。しょーがないから、彼が62歳でもらい始めるのがうちの場合は特なのかなあ~って思いますが、ま、まだ夫は39才。まだまだルールは変更されたりするでしょうし、今から考えてもしょーがないですね~。

    ま、夫になるべく長く働いてもらいましょう~。

    1. そうなんです、俗にいうFile-and-suspendというその方式は、できなくなることになりました。そのうち記事にしなければと思っていたところです。。でも、ご主人が一回りも若いというのは、何にもまして力強いですよ!かきつばたさんがリタイヤメントエイジになっても、まだまだがんがん働けるというのが一番です!

  7. 例えば、SSを62歳から受給して仕事もしているとSSがルールに従って、
    減額されますが、66歳を過ぎたら、どれだけ収入があっても
    SSが減額されないというのは本当でしょうか。

    それと66歳を過ぎて働く場合は、それ以前と同じようにタックスリターンで
    ブラケットによりIRSに税金を払うと言う理解で良いでしょうか。

    管轄のSSのオフィスに電話したのですが、いまいちはっきりしませんでした。

    1. 66歳がFull Retirement Ageで、Full Retirement Ageに達する月を待ってベネフィット受給開始をするのであれば、減額はないはずです。詳しくはこちら。ただ収入があがれば、受け取るベネフィットに税金がかかる可能性が高くなり、税金がかかる部分が増えることにはなります。詳しくはこちら

      1. 何時もありがとうございます!
        きりっと言っていただけるので、とても安心、不安がなくなります。
        フルリタイアメント年齢後、仕事をしていても
        ソーシャルセキュリティは減額されなくて良かったです。

        主人と老後のプランを話しをしていて、
        またもやもやと質問ができてしまいました。
        具体的な例ですが、主人が来年の春、66歳になり、63歳の私が、
        仕事を辞めたとして、主人のSSの半分を配偶者として
        受給し始める、そして、私が70歳になった時点で、
        私自身のSSに変更して受給すると、
        24%だか32%(66~69/70)かはっきりしませんが、
        私の66歳のSSの金額に加算されて、
        それが一生受給できるということでしょうか。

          1. 早速の返事ありがとうございます。
            ご教示いただいたとおりよく読みましたら、
            配偶者の年金を私が64歳、
            フルリタイアメント年齢の66歳以前に受給し始めたら、Restricted Applicationは出来ないようです。

          2. 法が変わって残念ですね。でも、もらえるだけ良いと思って、ポジティブサイドを見ていきましょうね。

  8. こんにちは
    いつもこちらのサイトを参考にさせてもらっています。
    質問なのですが、【フルリタイヤメント前に働きながらSSを受給開始すると減額される】この場合、一定の労働収入(2012年なら$14,640)というのはTaxを引かれる前の金額ですか?
    控除を受けたTax file後のきんがくなのでしょうか。その場合前年度の労働収入が該当するのでしょうか。
    又、労働収入からSS taxが引かれると思いますが、その分はいつか還元されることはあるのでしょうか。

    1. 以下Social Securityのサイトからの抜粋です。Earningsという表記は税前の金額を意味します。
      What counts as earnings:

      When we figure out how much to deduct from your benefits, we count only the wages you make from your job or your net earnings if you’re self-employed. We include bonuses, commissions and vacation pay. We don’t count pensions, annuities, investment income, interest, veterans or other government or military retirement benefits.

  9. 色々と参考になります。

    日本でも働いた事のある人の場合、WEP (Windfall Elimination Provision)も結構重要になってきませんか。私の理解は、SSが40クレジット=10年以上になると、日米社会保障協定の適用から外れWEPが適用されるというものです。となると、10年以上アメリカで働くなら、WEPの適用を再び免れる30年以上働かないと大分損な気がします。

    1. WEPの影響はどのくらいかというと、2016年ですと、最初の$856が90%カウントされるところが、最高で40%カウントまで下げられるかもしれないということですが、そうすると$770が$342となり$500くらいのベネフィット減少、一年で$6,000くらいのベネフィット減少ですね。インカムが大きかった人であればこの影響は小さいといえますが、インカムが限られていた人には比較的大きな影響があるかもしれません。30年以上働けば、減少がなくなりますが、29年まででは減少がたくさんで、30年からはいきなり減少なしというしくみではなくて、これは全部Gradualです。ですので、29年は28年よりいいし、28年は27年よりいいということですので、30年に至らなくてもそれなり長くSSにカバーされて働いていればそれなりによしというようなしくみです。くわしくはこちら。https://www.ssa.gov/pubs/EN-05-10045.pdf

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