2009年の金融恐慌以降、投資にかかる手数料は全体的に減少してきています。10年以上前は大変に手数料の高い401(k)プログラムもたくさん存在し、また手数料開示を義務付ける法律もなかったこともあり、いったいどのくらいの手数料を払っているのか、401(k)プラン参加者には見えない部分もたくさんありました。その後、手数料などに関する情報開示が義務付けられ、また投資媒体を懸命にリサーチをし選択する高手数料のアクティブファンドの利用が少なくなり、投資媒体を選ばず市場全体にまんべんなく投資する手数料の低いパッシブファンドへの乗り換えが進み、さらには401(k)の市場自体が大きくなり競争が高まったことで、全体的に手数料は継続的に低下傾向です。
手数料はばかにできない
ただそれでも、ファイナンシャルプランをお受けするに、それぞれの401(k)で提供されているファンドのラインナップ、手数料にまだかなりのばらつきがあるのに気が付きます。低手数料の良質なファンドに投資できるか、あるいは手数料がいろいろと差し引かれるかで、たとえ毎年同じ額を401(k)に積み立てたとしても、20年後、30年後の投資残高にはかなりの差がでます。
たとえば、毎年$10,000(月々$833)ずつを20年間積立てるとき、401(K)のトータル手数料が0.20%だった場合には20年後で$323,755まで成長するのに対し、トータル手数料が1.50%だった場合には$282,796となり、約$41,000の差が出ます。 TDAmeritrade の調査によると、401(k)参加者の27%が自分の払っている手数料を知らないという結果だったそうです。みなさんは、いくら支払っているかご存じでしょうか。
手数料の種類
401(k)の手数料には、大きく分けて2種類があります。ひとつはファンド手数料、英語ではFund Expense RatioとかFund Feeと呼ばれるもので、これはファンドを運営するマネージャーへの手数料です。十数年前までは1.0%とか2.0%というようなえげつないレベルでの手数料もありましたが、現在ではほとんどが1.0%以下です。選ぶファンドごとにこの手数料は異なります。
もうひとつは、401(k)プランの運営費、英語ではAdministrative FeeとかPlan Feeとか呼ばれるもので、これは401(k)プランに参加する人に課される事務費です。最近ではこの運営費は課されないプランもかなり増えたように思います。
雇用主規模で差がある
BrightScopeの調べによると、ファンド手数料とプラン運営費の合計、つまりトータル手数料は全体的に減少傾向にあり、2009年には平均で1.02%だったのが2016年には平均0.96%になったとのことです。ただ、トータル手数料は、雇用主規模にかなり関係するということも明らかになりました。大企業で優良401(k)プランを提供しているとされるトップ30社のトータル手数料は平均0.22%という結果でした。401(k)全参加者が投資しているトータルの投資資産が$100ミリオンを超える大企業の場合は、押しなべてトータル手数用は1%以下で、とくに特大企業においては0.50%以下という結果です。大企業はその規模のゆえに一人当たりの運営費も小さく保つことができるうえ、ファンド手数料も大規模雇用主としての特別ネゴがきくため低くすることができます。一方で、小規模雇用主の場合は1.5%~2.0%のトータル手数料を課されている場合も多く、ときには2.0%以上のプランもあるという結果でした。
2.0%というトータル手数料は、たとえ5.0%の利回りを生んでいても実質3.0%しか手にできないということで、リタイヤメント資産準備の速度を著しく遅らせます。BrightScopeは、小規模雇用主の中で、このような高いレベルでの手数料を課すプランを採用していることが多いのはショッキングであるとしています。
調べてみる
まずは、ご自分の401(k)のトータル手数料を調べてみましょう。
ファンド手数料
前述のとおりファンド手数料の開示は義務付けられていますので、401(k)の投資ファンドリストを調べれば、ファンド手数料がいくらかは見つかるはずです。もしも見つけにくい場合は、ファンドの名前で手数料が検索できます。下のサイトで、ファンド名あるいはファンドについている4文字から5文字のアルファベットコードで検索してみましょう。
https://tools.finra.org/fund_analyzer/
たとえば、T. Roweのターゲットデイトファンド2040(コードはTRRDX)ならファンド手数料は0.70%です。
プラン運営費
こちらも401(k)のプラン詳細のWebサイトあるいは小冊子には必ず開示がありますが、ちょっと見つけるのが大変かもしれません。手っ取り早いのは、オンラインかあるいはPDFファイルで、“fee”とか”expense”などのキーワードで検索をしてみることです。少し忍耐が必要かもしれませんが、どこかに401(k)プランが課している手数料が見つかると思います。
前述のとおり、あながた大企業・大組織で働いていらっしゃるなら、おそらく低手数料のファンドが提供され、またプラン運営費もないかあっても極小レベルで401(k)に参加できている確率が高いです。一方で、中小企業にお勤めの場合は、手数料について今一度確認のうえ、あまりに手数料が高い場合は、以下のアクションが必要かもしれません。
- ファンド手数料が高い場合で、代替の低手数料ファンドがある場合はのりかえる。
たとえば、上のターゲットデイトファンド以外に、下のような低手数料ファンドが見つかったらば、401(k)プラン内での乗り換えを考えます。下のVanguardの同等ファンドなら、手数用は0.09%に下げられます。
- トータル手数料が高い場合は、Benefit 担当やHuman Resources部にプラン吟味の提言をしてみる。
BrightScopeは、小規模雇用主だからといって高手数料の401(k)プランしか利用することができないかというと、そんなことはないとしています。規模が小さな401(k)であっても、低手数料プランは常に見つけることができるはずで、きちんと比較検討すればトータル手数料を1.0%以下に保つことは十分可能、さらには0.50%以下も決して夢ではないとしています。もしかしたら、Benefit/HR担当が知らないだけかもしれません。雇用者への価値ある福利厚生サービス提供は、かれらの責任でもありますから、手数料低下のためのプラン乗り換えをリクエストしてみるのも賢明かと思います。たとえば、下のようなサイトで、他の中小企業のプラン規模と内容を比較してみることができます。
https://www.employeefiduciary.com/sample-fee-comparisons/
たとえばですが、下の企業などは401(k)参加者はたったの3人、投資残高合計で$120,000をちょっと超えるだけの大変小規模はプランですが、それでもVanguardの低手数料ファンドで運営費なしでの優良提供をしています。
下では、Fund Expenseがファンド手数料、Provider %がプラン運営費に相当します。
3.どうしても高手数料で望みがないのなら、雇用主マッチ(あるならですが)を受けられるまでは401(k)に積立て、あとはVanguardなどの低手数料会社でIRAを開いて個人的に投資する。
たとえばVanguard Target Retirement Fund2045は個人的に開いても0.15%のファンド手数料で、IRA口座ではその他のプラン運営費や口座維持費などは一切かかりません。
会社を経営してるのですが401kの手数料が高く
模索中です。
いつも参考になる記事をありがとうございます。