ご質問にお答え:Vanguard 課税口座で何に投資する?

ご質問:最近まとまった額のお金が入りお薦めの課税口座を探しています。以前、課税口座のことを書いておられたブログにVTSMX (Vanguard Total Stock Market Index Fund Investor Shares)をお薦めされていたと思うのですが、どうもClosed to New Customersのようで、購入ができません。Vanguard Total Stock Market Index Fund Admiral Shares (VTSAX)がその代わりになると考えているのですが、御指南いただけますか。

また、VANGUARD TOTAL STOCK MARKET ETF(VTI)、VANGUARD S&P 500 INDEX ETF(VOO)、VANGUARD TOTAL WORLD STOCK ETF(VT)などに関しては上記の投資と比べ、課税口座としてどのようにお考えですか。

ミュチュアルファンドInvestor Shareの廃止

おっしゃる通り、Vanguard Total Stock Market Index Fund Investor Shares (VTSMX)は、ミューチュアルファンドの編成変更により、現在、提供されていません。同じもののAdmiral Share(投資額$3,000以上の場合に購入できるShare)がVanguard Total Stock Market Index Fund Admiral Shares (VTSAX)です。これらはどちらも、US市場全体の3,600以上の株式に投資するインデックス型のミューチュアルファンドです。まとまったお金がおありとあるので、おそらく投資額は$3,000以上でしょうから、VTSAXを購入されるのもよいのですが、下を読み進めてください。

Vanguard Total Stock Market Index Fund ETF(VTI)は、内容的にはVTSMXやVTSAXと全く同じですが、ミューチュアルファンドではなくETFです。内容的には全く同じですが、VTSAXのほうは手数料が0.04%、VTIのほうは0.03%です。内容は全く同じなので、VTIのほうが良いと思います。

ETFの進化

ミューチュアルファンドとETFの違いですが、法的な成り立ちに違いがあります。詳しくはこちらの記事:ETFを知る - ミューチュアルファンドとどう違う? をご覧ください。法的な成り立ちの違いの故に、税効率性が違い(ETFのほうが効率が高い)、よってそれが手数料の差に表れています。以前は、ミューチュアルファンドが端数シェアでも買える一方で、ETFは端数シェアが購入できず(整数でしか買えず)、ドルコスト法で月々定額を投資したいような(常に端数シェアが出る)場合には、ETFは向きませんでした。また、ミューチュアルファンドは自動投資が可能な一方で、ETFは市場での売買が必要なため、自動ではなく都度マニュアルで売買作業をすることが必要でした。この点は、質問者さまのように、一度きりの一括投資なら大きな問題にはなりませんが、月々の自動投資には、その都度取引が必要で大変な頭痛でした。しかしながら、次第に金融機関側の対応が改善してきました。まずはETFでも端数シェアでの投資を可能する金融機関が増え、さらにはETFを自動投資する仕組みを提供するところも増えました。Vangurdに関しては現時点ではETFの月々定額(端数シェア)自動投資ができるしくみが提供されています。

こうなると、ミューチュアルファンドとETFの差は、ほぼ手数料の差だけといってもよく、であるならETFを使った方がよいと言えるでしょう。なので、質問者さまのような一括投資でも、あるいは月々のドルコスト法の自動投資でも、VTSAXではなくVTIでの投資に軍配が上がることになります。

いろいろな組み合わせで同じ効果

Vanguard S&P 500 ETF(VOO)は、VTIの中に含まれる3,600強の株式のサブセットであり、USのトップ500の大型企業の株だけに投資をするものです。大型企業にリスク集中させたい場合にはよいですが、より広いリスク分散を目指したならVTIのほうがよいです。代替として、大型株のVOOとともに、中型株のVanguard Mid-Cap ETF(VO)と小型株のVanguard Small-Cap ETF(VB)とを組み合わせて、VTIと同じようなミックスをつくることもできます。

Vanguard Total World Stock ETF(VT)は、VTIの3,600強のUS株式に加え、6,100強のUS以外の外国株式を含んでいます。トータル9,700強の全世界市場の株式に投資するものです。代替として、US株式のVTIと外国株式に投資するVanguard Total International Stock Index Fund ETF(VXUS)とを組み合わせて、VTと同じようなミックスをつくることもできます。

粗さと細やかさのトレードオフ

というわけで、世界分散する場合、いろいろなファンドをミックスして同じような効果を生み出すことができますが、それをどのレベルでやるかは、個人の決断です。ファンドが細かすぎて多すぎるとリバランスなどが煩雑です。一方でファンドが大まかすぎて少なすぎると、小回りが利きません。小回りが利かないというのは、たとえば現金化が必要な場合、VTしか持っていなければ、世界の株式全部を売ることになります。一方でもしも、VTIとVXUSを持っていれば、「今はアメリカ株のほうが好調だから、VXUSはそのままにして、VTIだけ売ろう」という小回りが利くわけです。

リタイヤメント口座などの非課税口座では、ファンドの乗り変え(売り買い)をしても課税されないので、最初はVTで投資しておいて、後々それを売ってVTIとVXUSにばらしてから、小回りを利かせてどちらかだけ売るということできますが、課税口座ではそうはいきません。「ばらす」時点で、キャピタルゲインが出ていればキャピタルゲイン課税が起こります。よって、課税口座ではとくに、リバランスが面倒すぎない程度のファンド数で、でもある程度小回りも効くファンド数であることが肝要です。

4ファンド型が基本

これは、ある程度個人差があると思いますが、スタンダードな考えは株式と債券の4ファンド型です。(わかる長期投資:これだけ押さえてしっかり運用(4)参照)

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