アメリカ大学のファイナンシャルエイドとスカラシップ オファーレターを読み解く

大学の入学アプリケーションを提出して、待ちに待った結果がきました!おめでとうございます!合格通知の次に来るのがオファーレターです。オファーレターは、奨学金やローン、ワークスタディなどがいくら受けられるかを列挙し、いくらを自費でカバーせねばならないかの確認ができるようにつくられているものです。これによって学生とその家庭は、合格した大学のうちからファイナンシャル的に無理をしすぎないで通うことのできる大学を選択することができるわけです・・・というはずなのですが、どうも実情はそうではないというレポートが出ました。

守られないガイドライン

GAO(Government Accountability Office)というところが、オファーレターを発行する上で大学がフォローするとよいベスト・プラクティス・ガイドラインの10項目というのを出しています。これは強制ではなく、大学が自主的に従うべきものらしいのですが、どうやら自主的に従う大学は大変に少数ということでした。

GAOの今回の調べでは、アメリカの大学全体を代表するサンプルとして176大学を選び、調査が行われました。そのうち、10のガイドラインをすべて守っている大学はなんとゼロ。9つを守っているのが3%。2/3の大学が10のうち5以下のガイドラインしか守っていないということでした。

ほんとうにいくらかかるのかがわからない

その意味するところは、大学から各学生に出されるオファーレターには、ファインシャル的にベストなデシジョンメイキングをするために必要な情報が、すべて含まれていないということです。つまり、実際にその大学に通ったとき「いくらを自費でカバーしなければならないか」、あるいは「学費から生活までかかる費用のトータルはいくらか」などが正しく確認できず、どちらかというと判断ミスを起こすような提示の仕方が往々にしてされているということです。

もっとも顕著な問題としては、ネットプライス(自費でカバーすべきコスト)が正しく確認できないことです。約41%の大学のオファーレターで、ネットプライス自体の表示がありませんでした。約50%の大学のオファーレターでは、すべての費用が含まれておらず支払うべき費用が本来の費用より少なく表示されているか、あるいはネットコストの計算にローンも含められていて(返済の必要のあるローンが、返済の必要のないスカラシップなどと同じくくりで、ネットコストを減らすように表記されていて)、誤解を招く表示でした。結果として全体的には約91%の大学で、正しいネットコストの確認ができなかったとのことです。

加えてGAOのガイドラインでは、Direct Costs(大学に直接支払う必要のある費用:授業料や寮費&食費など)とIndirect Costs(大学に支払う必要はないが、大学で学ぶにあたりかかる費用:教科書代や交通費など)を項目ごとに表記し、トータルでの費用がどのくらいか確認できるようにすることや、返済の必要のないエイドやスカラシップと、労働の必要のあるワークスタディ、返済の必要のあるローンとは別々に記載すること、Parent PLUS loanは一緒に記載しないことども含んでいます。

マーケティングツールになっている!

オファーレターは正しくコストを表示するという目的よりも、大学が学生を囲い込むためのマーケティングツールになりさがっている節があるようです。たとえば、こんなケースがありました。

体験談:合格した大学のうちから行きたい大学を3つに絞りました。そのうちの一つの大学から、きれいに装丁されたりっぱな手紙が届き、「$20,000のメリットスカラシップ(返済不要)がおりました。おめでとうございます!」と書いてありました。すごくうれしかったです。もう二つの大学のうち一つからは小さなスカラシップが出て、残りの一つの州立からはなんのスカラシップもおりませんでした。この州立大学は私の住んでいる州の大学ではなく、Out-of-stateのくくりになりコストが高いのです。最終的に父と一緒にExcel Sheetでコストの最終確認をしてきました。それで結局わかったことは、$20,000のスカラシップがおりた大学は、スティッカープライス(大学公示の標準価格。Webページで確認)が大変に高すぎて、たとえ$20,000減額になっても、Out-of-stateの州立大学の費用より高いことがわかりました。

法制化までの間は自分で確認が必要

今回の調査を踏まえて、GAOはベストプラクティスの法制化を叫んでいます。法律になれば、すべての大学が一定の書式でオファーレターを作成し、大学間のコストの比較が大変に簡単になることでしょう。それまでの間は、学生とご両親はこの確認と比較を自分でするしかありません。

情報整理と比較のためにお役に立つかもしれないExcel Fileを共有します。それぞれの状況に応じて、変更も自由に加えてお使いください。

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