Last Updated on 2016年6月11日 by admin
お勤めの方のリタイヤメント準備の2本柱は401(k)とIRA(Individual Retirement Arrangements)です。これらの口座は税遅延で利回りが増えていくので、たとえ少額であってもなるべく早い時期から定期的に積み立てていくと、リタイヤまでの何十年の間に資金は確実に増えていくはずです。
2016年の積み立て限度額を下記にまとめます。積み立てはこれからという方は、ぜひいずれかの方法で積み立てをはじめられるとよいでしょう。積み立てをしてきたという方も、余裕が少しできたなら額を増やしてみたり、今までの口座に追加してほかの口座も利用してみるという見直しをされるとよいかと思います。
401(k)かIRAか・・・
まず基本ルールとしては、401(k)の雇用主マッチングは最大限に利用しましょう。マッチングは「タダでもらえるお金」ですから、もわらない手はありません。最大限もらえるように401(k)に積み立てをします。その後の使い分けは、あくまで自分のニーズに合わせてすることになります。提供されている401(k)の投資の選択肢が自分のリスク・リターンの条件にあったものであり、また課せられている手数料がリーゾナルブル(できれば0.3%以下を望みたいところ。0.5%でまずまず。1%以上は高いと思います)であれば、401(k)を積み立て限度まで利用することもいいでしょう。反対に、401(k)の選択肢が不足している、あるいは手数料が法外というのであれば、IRAを通して幅広い選択肢からニーズにあった低手数料のファンドを選んだほうがいいでしょう。また、エステート・プラニングや老後の税金対策が重要だというのであれば、Roth IRAを利用するのが得策でしょう。
IRAについて
Roth IRA |
Traditional IRA |
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所得税面の優遇 | 積み立ては所得税の控除なし、非課税で運用、引き出すときにも無税。 | 積み立ては所得税控除あり、非課税で運用、引き出すときに税金がかかる。 |
資格(年齢) | 年齢制限なし。ただし勤労所得があること*。 | 70歳半以下で、勤労所得があること*。 |
資格(収入) | Max Contribution(上限額まで積み立て可):Single File=$117,000まで、Joint File=$184,000まで | Maximum Deduction(上限額まで控除):
職場のリタイヤメント・プランあり→Single=$61,000まで、Joint=$98,000まで、 職場のプランなし→Single/Joint =無制限、 配偶者だけが職場のプランあり→$184,000まで |
Reduced Contribution(減額で積み立て可):Single File=$117,000から$132,000まで、Joint File=$184,000から$194,000まで | Reduced Deduction(控除減額):
職場のリタイヤメント・プランあり→Single=$61,000から$71,000、Joint=$98,000から$118,000、 配偶者だけが職場のプランあり→$184,000から194,000 |
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Max Contribution(積み立て上限額) | $5,500、ただし50歳以上なら$6,500。所得がそれより少なければ、所得額が限度 | |
引き出し時の所得税 | 元本:いつでも非課税で引き出し可能 | 元本:課税 |
利子:積み立てから5年以上たち、かつ、1) 59歳半以上、2) 死亡、3) ディスアビリティ、4) 初めての持ち家 のどれかに当てはまれば非課税 | 利子:課税 | |
10%ペナルティ | 1) 59歳半以上、2) 死亡、3) ディスアビリティ、4) 初めての持ち家の条件か、5) 高額医療費、6) 高等教育費などの条件のどれも満たさない場合には、課税対象部分に10%ペナルティが課せられる。 | |
Min. Required Distributions(最低引き出し額) | なし | 70歳半より、残高と年齢で決まるRMD(Required Minimum Distribution=最低額の引き出し)が必要 |
* Spousal IRAという制度もあり、Joint Returnをしている夫婦の場合は、収入がないあるいは少ない配偶者も、もうひとりの配偶者の所得をもとにIRAに積み立てをすることができます(コメント欄をご覧ください)。
1.投資媒体の選択肢がたくさんある
401(k)は法律の範囲内で、雇用主が運用ルールを決めますので、比較的たくさんの投資媒体が提供されている場合もあれば、非常に限られた選択肢しかない場合もあります。いずれにせよ、あらかじめ用意されたファンドの中から投資先を決めねばならないわけですが、これに対し、IRAでは比較にならないほど多種多様な選択肢から選ぶことができます。401(k)で提供されている選択肢のうち、リスク許容度や利回り、手数料などの面において、自分のニーズに合うものが見つかれば問題ありませんが、そうでない場合は、IRAを通してもっとぴったりのものを見つけることが必要かもしれません。
2.投資の変更(売り買い)が簡単
ファンドAはどうも思うように利回りがないので他のファンドに乗り換えたい、あるいはちょっとアロケーションを変えたいなど、投資に変更を加えたいとき、IRAであれば大きな制限なくいつでも自由に行うことができます。これに対し、401(k)の場合は、1年に○回までとか、3ヶ月に1回までなどというように、ファンドの売り買いが制限されていることが少なくありません。ただし、よく計画された長期的な投資をしているのなら、そもそも頻繁に売り買いをする必要はないかもしれませんので、その場合は401(k)で十分であるともいえます。あくまで自分のニーズを知っておくことです。
3.手数料が低く抑えられる可能性がある
とくに小さな会社の401(k)などでは、大きな401(k)プランなどに比べて、プランのアドミニストレーションやアドバイザリー手数料などが非常に高い場合も多くあるようで、IRAを通して手数料の安いインデックス・ファンドなどに投資したほうがずっといい場合などもあるでしょう。
4.エステート・プラニング(相続対策)に有利(Roth IRAの場合)
401(k)やTraditional IRAは70歳半を超えると最低引き出し額(Required Minimum Distribution)を引き出さねばならないというルールがありますが(401(k)の場合は、70歳半になってもまだ労働しておれば、引き出し開始をリタイヤ時まで延期可)、Roth IRAはその必要がありません。まったく手を付けず、そのまま子どもにお金を残すことができます。子どもは、税金を払うことなく資金を使うことができます。
5.ソーシャル・セキュリティ年金にかかる税金を低くできる(Roth IRAの場合)
老後、401(k)からの引き出し額やTraditional IRAからの引き出し額は、「収入」として数えられ、所得税がかかりますが、それに加え、ソーシャル・セキュリティ年金にかかる所得税を引き上げるという副作用もあります。言い換えると、401(k)やTraditional IRAからの引き出し額が多いと、ソーシャル・セキュリティー年金への課税が多くなるということです。これに対し、Roth IRAの引き出し額は「収入」には数えられず所得税がかからないうえ、ソーシャル・セキュリティ年金にかかる税金を低く抑える効果があります。老後に支払う税金をなるべく抑えるためには、401(k)、Traditional IRA、Roth IRAやその他の投資プランからの引き出しをうまくコーディネートし、引き出しのタイミングを計ることが必要になります(カリキュレータはこちら)。この点では、Roth IRAの利用価値は高いといえます。
401(k)について
積み立て限度額: $18,000 (50歳以上なら$24,000)
給与から天引きという形で積み立てます。基本的に、自分でまとめて入金することはできません。
1.積み立て上限(Max Contribution)が高い
IRAだけの積み立てではリタイヤメント資金を十分に貯めることは困難な場合が多いでしょう。十分な積み立てをしようと思えば、401(k)を利用する必要があるでしょう。
2.雇用主からのマッチング積み立て(Matching Contribution)
401(k)では、雇用主からのマッチング積み立てが受けられることがしばしばです。401(k)は法律の範囲内で、雇用主が運用ルールを決められるので、マッチングの額やルールは雇用主によりまちまちですが、典型例でいうと、雇用者がする積み立て額の50%を、給与の6%を限度としてマッチングするというようなケースが見受けられるようです。たとえば年収が$80,000の場合、本人が年に$9,600以上積み立てておれば$4,800($80,000×6% かつ $9,600×50%)を、雇用主が積み立ててくれるということです。これは、まさにフリーマネー、もらわない手はありません。一方IRAでは、このような雇用主からの援助はありません。
3.ローンが受けられる
雇用主によって運用ルールは違いますが、一般的に401(k)からはローンを受けることが許されている場合が多いようです。これに対し、IRAからはローンを受けることはできません。Roth IRAの元金はいつでもペナルティなしに引き出すことができますが、これはあくまで資金の引き下ろしであってローンではありません。人生でちょっとお金がいるという局面で、ちょっと借り入れをしたいというような場合には便利です。ただし、あくまで計画的に。借りるわけですから、ちゃんと返す必要もあります。
4.Sales Loadなどの手数料が免除されることがある
まったく同じミューチュアル・ファンドに401(k)を通して投資した場合と、IRAを通して投資した場合、手数料が違うことはよくあります。たとえば、大きな会社の401(k)プラン経由で購入すれば、個人がIRAなどを通して投資する場合に必要となるSales Loadなどの販売手数料が免除されるケースも多いでしょう。購入するチャネル(誰から購入するか)によって、同じファンドを買うのでも、販売手数料が異なり、より大口の交渉力のある団体や会社を通して購入したほうが、手数料が安いというわけです。自分の401(k)プランにはどのような投資の選択肢があり、手数料はどのくらいか、それは個人的に投資する場合より有利なのか、そうでないのかを把握しておくといいでしょう。
Roth IRAの資格のところに、勤労所得がある人、というふうに書いてあるのですが、以前銀行に問い合わせたとき、もし、わたしに収入が一銭もない場合は、夫の収入からContributeできるが、わたしに収入が少しでもある場合は、わたしの収入額までしか入れられない、と言われたと思うので、ちょっと気になりました。今は働いているのでわたしとは直接関係はないのですが、ふと気になりました。制度が変更になったのか、わたしの勘違いか確認できたらと思いました。
かきつばたさん、おっしゃるとおりで、Spousal IRAというのがあります。収入がない人でも、配偶者の所得額によってIRAに積み立てることができます(Joint Returnが必要)。具体的には、所得がある配偶者の所得からその配偶者のIRA積立額を引いた残りの額と、年間の積み立て限度額とのふたつの、どちらか小さいほうまでの額を限度にSpousal IRAに積み立てることができます。Spousa IRAを利用するには、「所得が全くない」必要はありません。ふたりともに所得がある場合は、夫婦の収入の合計と年間の積み立て限度額とのどちらか小さいほうが、ご夫婦の限度額となります。記事内に追加記入しました。ご指摘ありがとうございます。
早速お返事ありがとうございます。
銀行の人は、わたしに所得があると、わたしの所得の範囲内でしか入れられない、と言ってたんですよねえ。その頃はパートで週に6時間とかしか働いていなかったので。
まあ今はもうちょっと働くようになったので実際には関係ないことなのです、ふと気になってしまいました。
はじめまして。いつも有益な情報をありがとうございます。
在米で小さい子供が2人いますが、529ではなくRoth IRAに入れて
Roth IRAでリタイアメントと教育資金を貯めているのですが、
やはりこれとは別に529も持っていた方が良いでしょうか?
こんにちは。こちらの記事が参考になるかと。。カレッジ費用を貯める(1) - Roth-IRA と 529
ありがとうございます!
初めまして。貴重な情報をありがとうございます。
Roth IRAの口座をどこかで作ろうと思っているのですが、条件に書かれている収入とは、Gross Incomeのことでしょうか?
宜しくお願い致します。
Modified Adjusted Gross Income (MAGI)のことです。多くの方の場合、タックスリターンのAGIと、MAGIは一緒のことが多いです。詳しくはこちら。
初めてコメントさせて頂きます。
大変役に立つウェブサイトで、本当に勉強させて頂いております。
日々リタイヤメントのことを考え地道に貯金をしている者です。
もしご存知でしたら1つご相談させて頂けますでしょうか?
私は今まで401kのある会社に入社したことがありません。なので401kのアカウントもありません。
個人的にリタイヤのためにと30歳の時に個人でindex universal life insuranceに加入しました。
定年まで年間決められた額を保険会社に払い、保険会社が私に代わって運用をしてくれるというものです。
そして私が定年になった際はTax-freeのincomeとなり、100歳まで受給できるようです。
IRA, 401Kはいろんなところで聞きますし、実際に私もRoth IRAのアカウントを最近開きました。
ただ、このindex universal life insuranceがあまりリタイヤメントの貯蓄方法として世間で話に出てこないのでこの方法の貯蓄だけで良いのか心配になってきました。
このindex universal life insuranceだけ、またはリタイヤメントの運用場所が1か所だけではやはりリスクはあると思いますでしょうか?
こちらのウェブサイトで401Kのメリットを読んで改めて401kは欲しいと思い、401kのある就職先を探しています。
上記の本題から外れた内容になってしまっていますが、ぜひご意見をお伺いできたらと思っております。
宜しくお願い致します。
地道にリタイヤメント準備をされているとのことすばらしいですね。Universal Lifeは、そもそもは終身保険であり、それに投資部分が付け加えられたものです。それだけでリタイヤメント準備ができないということはありませんが、401kやTraditional IRAなどは積立するお金が所得税控除になるという利点があり(Universal Lifeにはありません)、また選ぶファンドによっては低手数料で運用ができるという利点もあるかもしれません。可能であれば、401kのある会社を見つけられるとよいと思いますが、それまではIRAなども利用されることを考えられるとよいのではないでしょうか?ご参考までに、こちらもごらんください。
早速回答ありがとうございました。頂きましたリンクを早速拝見させて頂きました。
やはり他の投資で貯蓄を自分なりに調べて頑張って行きたいと思います。
本当にこのサイトは今まで見つけたファイナンシャル関係のサイトで一番分かりやすく、知りたい情報が沢山あり助かっております。
引き続き利用させて頂きます。
ありがとうございました。
こんにちは、アメリカのシステムがわからず、ネット情報の正確さが不明な中、
本当に、信頼できるサイトで、助かっています。
主人の、定年が見えてきたこの頃ですが、401kをロールオーバーの仕方が、判らず不安です。401kはVanguard社ですが、同社のIRAにロールオーバーするとしたら、一度すべてを売却し現金化したうえで、再度、ファンドを購入するのですか?
また、他社にロールオーバーするときはどうなるのでしょうか?
最近の記事で、証券会社はロールオーバーするときに、法外な手数料で利益を出すところもあると、書いてあったので、賢い、ロールオーバーの方法をご享受いただけませんか?よろしくお願いいたします。
そもそもなぜロールオーバーをお考えですか?Vanguardの401(k)でしたら低手数料でしょうし、そのままでもよい気がします。法外な手数料は、ブローカーを通さずにダイレクトに自分でロールオーバー(自分でオンラインなどで手続きする)すれば避けられます。こちらの記事が参考になるのではと思います。
こんちは。
Roth IRA かTraditional IRAのどちらがいいか検討している最中です。そこで、このサイトの情報を拝見していたのですが、表の「引き出し時の所得税」のところで、Roth IRA のところでは、「利子:積み立てから5年以上たち、かつ、1) 59歳半以上、2) 死亡、3) ディスアビリティ、4) 初めての持ち家 のどれかに当てはまれば非課税」 と記載されていますが、利子の部分においては、引き出し時は課税はされると思います。それとも利子の部分も課税されないのでしょうか?
Roth IRAでは、表記の条件に合致していれば利子は非課税(もちろん元本も)です。
早速のお返事ありがとうございます。今日、銀行に問い合わせてアポイントを取りました。今度アカウントを開けに行きたいと思います。説明してくれた銀行のファイナンシャルの方は、401KにMAX毎年入れているそうです。そのため、IRAのアカウントは持てないんだそうです。
それはよかったです。401(k)の積立とIRAの積立は関係ないので、401(k)にMax入れていてもIRAは開けるはずです。ただ、インカムが高くなりすぎるとRothIRAは積み立てられませんが。。
Traditional IRA ついて質問があります。「資格(収入)」についてなのですが、職場のリタイアメントプランがある場合、(401K)、Maximum Deduction(上限額まで控除):するためには、収入が
職場のリタイヤメント・プランあり→Single=$61,000まで、Joint=$98,000まででないと上限額まで控除できないということですか?
Reduced Deduction(控除減額):が適用される場合は、収入が
職場のリタイヤメント・プランあり→Single=$61,000から$71,000、Joint=$98,000から$118,000にある場合ということですか?どのくらい控除減額されるのでしょうか?
例えば、収入がJointで$118,000以上ある場合は、どうなるのでしょうか?
今日 Traditional IRA のアカウントを開けてきましたが、こうした収入面と、控除額についての説明がなかったので、今改めて、Roth IRAのほうがよかったかなと後悔してます。
Q.職場のリタイヤメント・プランあり→Single=$61,000まで、Joint=$98,000まででないと上限額まで控除できないということですか?
A. MAGI(ほとんどの場合AGIと同じ)がこの限度額までなら、積み立てる額のすべてが控除対象になるということです。これを超えると、フルに控除対象にならず、部分的に控除対象になる(Reduced Deduction=控除減額される)ということです。
Q.Reduced Deduction(控除減額):が適用される場合は、収入が職場のリタイヤメント・プランあり→Single=$61,000から$71,000、Joint=$98,000から$118,000にある場合ということですか?どのくらい控除減額されるのでしょうか?例えば、収入がJointで$118,000以上ある場合は、どうなるのでしょうか?
A.そうです。下のサイトでいくらまでが控除対象になるのかが計算できます。
https://www.fidelity.com/calculators-tools/ira-contribution-calculator