401(k)も529も、クセモノ手数料にご注意!

リタイヤメント準備も学資の貯蓄でも、ミューチュアル・ファンド(投資信託)をお使いの場合が多いでしょう。プラニングする際には、月々あるいは毎年いくらずつ積み立てればよいかとか、最適なリスク・リターンはどのくらいか、アセット・アロケーションはどうするかなどということに心を砕きます。そのどれもプラニングの重要な要素ですが、しかしながら最もまず第一に気をつけたいのは手数料です。逆に言えば、手数料をしっかりマネージしていないと、ほかの要素がいくらカンペキであっても、大きな打撃を受けることになります。

昨今では、さまざまな企業がさまざまな形でゴミのような手数料を、手を変え品を変え徴収しようと手をこまねいているように思います。そして投資の世界でも、これは同じ・・・どころか、ともすると最もタチの悪いものといっても過言ではないかもしれません。ファンド・マネージャーの得ているケタ違いの報酬をご存知でしょう?それは、まさにあなたの手数料が行き着く先です。

 

なぜファンドの手数料はタチが悪いか。。。

手数料が、投資額のパーセンテージで徴収される

たとえばホテルのResort Feeであれば、定額で徴収されます。この前ラスベガスのホテルに泊まったら、一泊につき$30でした。えらく高いと思いますが、でもね、$30です。$30払えばおしまい。

ところが、ファンドの手数料!こちらはパーセンテージで徴収されます。手数料が1.5%だったとしたら、$1,000を投資すれば$15ですが、$100,000なら$1,500です。手数料をとるからには、それに見合ったなんらかのサービスがあって当然ですが、そのサービスは、投資資金が$1,000の場合と、$100,000とでそんなに内容や度合いが違うものでしょうか。おそらくそうではないでしょう。額が大きくなればある程度は複雑度や手間が増すかもしれませんが、$15と$1,500の差は正当化できるものではないような気がします。

 

手数料は非常に「見えにくい」

先ほどのホテルのResort Feeの場合なら、請求書や領収書に明示されるはずなので、もしも泊まる前に見落としていたとしても、かならず後で判明します。銀行のMinimum Balance Feeなども、月々の明細書さえ確認するならすぐに見つけられます。

ところが、ファンドの手数料!非常に「見えにくい」のです。そしてそれには訳があります。

「見えにくい」ほうが都合がよいと考える人がいるからです。そう、ファンドを提供する会社などですね。。それから、ファンドを売るアドバイザーやブローカーです。場合によっては、財務・会計のレコード・キーピングを委託された第三者ということもあります。

これらの人たちはみんな手数料を得ます。ファンド・マネージャーは投資媒体の選択や維持などのサービスを、アドバイザーやブローカーは顧客に最適なファンドを吟味・提案するサービスを、レコード・キーピング会社は財務・会計記録を維持するというサービスを提供しているわけで、それに対して報酬を得ることは当然です。

ただ問題は、どれだけのサービスを提供してどれだけの手数料を払っているのかが、「見えない」こと。あなたがもし、401(k)や529などのアカウントをお持ちでしたら、ご自分が払っている手数料がすぐに答えられますか?難しいでしょう。私も同じです。ホテルの領収書や銀行の明細書のように、すぐわかる形で明示されていない場合が多いので当然です。本当にいくら払っているのかを知りたければ、あれこれ情報を集めてうえに自分で計算したりが必要な場合もあるかもしれません。とにかく把握が難しいのです。

手数料は、毎年毎年かかり続ける

ギフト・カードのActivation Feeであれば、使い出した後で$10とられたことが判明し、歯がゆい思いをしても、でも$10。これできっと二度と同じギフト・カードは使わないでしょう。

ところがファンドというのは、1年ごとに乗り換えたりしませんね。何十年も持ち続けるものでしょう。リタイヤメント・ファンドなら30年、40年かもしれません。先ほどの1.5%の手数料を例にとれば、毎年、毎年、1.5%です。しかも、投資残高は時を経ることに増えていくはずですから、同じ1.5%でも絶対額にしてみれば、最後のほうは最初のほうの何十倍かもしれません。株価暴落で残高が減ったって?もちろんそれでも、手数料は1.5%です。増えても減っても1.5%。

 

手数料のこわさ

ファンドに投資する際の手数料には大きく分けて、投資し始めるときや解約するときにだけかかる一度きりのものと継続的にかかるものとがあります。また、継続的にかかるものにも、レポートされないのでなかなか把握しがたい費用とレポートがある程度義務付けられているものがあります。このような各種類の手数料についての詳細は次回シリーズでお届けしようと思います。

今回は種類のことは置いておいて、とりあえず手数料がいかに投資パフォーマンスに影響を与えるかについてみてみましょう。

年々かかる手数料が1) 0.20%だった場合、2) 1.00%だった場合、3) 2.00%だった場合の3つのケースを比べてみます。手数料は直接的にリターンを減らします。ファンドの手数料前のリターンが6%であるとすれば、1)の場合は実質的なリターンは5.80%、2)では5.00%、3)では4.00%となります。この差は毎年蓄積され、長期間の投資であればあるほど、差が開いていくことになります。その効果を上の表で見てみましょう。月々$1,000ずつ30年間、リタイヤメント資金を貯めていくというシナリオを考えます。Annual Percentage Yieldには、1) 5.80%、2) 5.00%、3) 4.00%の実質的なリターン値が入力されています。30年後には1)と3)の1.80%の差では、30年後の投資残高に$256,972の差ができます。1)と2)の0.80%の差でさえ$125,788の差です。

投資をしていると定期的に明細書がきます。多くの場合絶対額がどのくらい増えたかという表示はありますが、実質的なリターンの表示はありません。なんとなく絶対額が増えているからいいやと思っていたり、6.00%はリータンがあるはずだ・・などと思っていても、実のところ手数料などが差し引かれ、予想通りのリターンが出ていないということもありえます。明細書では、容易に手数料が確認できないのです。そしてこれは、意図的にそうなっているのだと私は思います。消費者・投資者であるわたしたちは、自分の払っている手数料をきちんと確認し、自分たちの大事なお金を責任をもって運用していきたいものですね。

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4 comments

  1. 今もうすぐ6歳になる子どもの口座を開設しようと思っています。こちらのサイトを拝見していて529やUTMAなども候補かなと思っていましたが、この記事を読んで、少々躊躇しています。やはり旦那が言う joint account( credit union)が手堅いでしょうか。

    1. joint accountというのは預金口座のことでしょうか?手数料にはたしかに気をつけねばなりませんが、投資自体は否定しないほうが良いと思います。銀行口座だけではインフレを考えるとお金が増えるどころか目減りする一方なので、きちんと選んだ投資をすることは必要だと思います。VanguardやFidelityなど、低手数料の529もあるはずですからご覧になるとよいと思います。

  2. 昨年米国企業に就職しました。新たに401kを始めようとパンフレットを見ましたが、手数料がどれも1-1.5%で非常に高いため、会社のマッチング分だけ設定し、個人で別の金融機関で401kを開設する事はできるのでしょうか。あれこれ調べましたが、転職による止むを得ない複数口座の存在はあれど、新規の口座開設は個人事業者のみの様な情報にしか辿り着けませんでした。

    1. 401(k)は雇用主を通して提供されるので個人で開くことはできません。IRAは個人口座ですので、年収制限などありますが利用できる可能性があります。もしご結婚されていれば、配偶者の分も使えます。

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