一般的に401(K)といえば、雇用主がベネフィットの一部として提供し、所得税控除で積み立てることのできるリタイヤメント積み立てプランです。これ以外にもRoth 401(k)や、After-tax 401(k)というものが提供されている場合もあります。違いは何なのか、どう使い分ければいいのかについて考えてみます。
いろんな401(k)積み立て
401(k)の積み立ての種類は4つあります。下の表の最初の三つは雇用者が自分で積み立てるもの、最後の雇用主マッチは、雇用者の積み立てに対し一定のルールで雇用主がマッチアップしてくれるものです。
401(k)プランは、雇用主によってその提供の度合いはまちまちです。会社によっては401(k)がまったくない場合もありますし、雇用主マッチもあったりなかったり、ある場合のその条件も会社によりまちまちです。ふつうの401(k)はあっても、Roth 401(k)やAfter-tax 401(k)がない場合は一般的で、かえって提供しているところはまれです。ただ、昨今、提供されている会社も増加傾向であるように感じています。
なお、ふつうの401(K)は、場合によってはTraditional 401(k)とかPre-tax 401(k)などとも呼ばれることがありますので、追記しておきます。
まずは401(k)かRoth 401(k)を決める
いろいろなプランが提供されている場合のまず第一歩は、401(k)かRoth 401(k)を決めることです。この二つは、合わせて年間積み立て限度があります。組み合わせて限度額内で両方に積み立てることも可能ですが、あまりそのような使い方はしません。
401(k)かRoth 401(k)かを決めるのは、Traditional IRAかRoth IRAかを決めるのと同じロジックを使います。現在税金を払ってしまってあとあと払わなくていいのをとるか、現在所得税控除を受けあとで払うほうをとるかの選択になります。現在、中~高レベルの所得があり所得税ブラケットが高く、将来の老後は税率が下がるだろうと想像できるなら、今控除を受けた方が有利で401(k)を使うことになります。反対に、現在は所得税ブラケットがそれほど高くないが、将来にはブラケットが上がると思われるならRoth 401(k)を選びさっさと税金をはらってしまって、老後は非課税で引き出しができるほうが有利です。多くの場合は、おそらく401(k)のほうに軍配が上がるかと思います。
401(k)でも、Roth 401(k)でも、とにかくこの二つをまず限度の$19,000内で積み立て、もしそれでも余裕があるならば、After-tax 401(k)を考慮することになります。
After-tax 401(k)
法律では、401(k)、Roth 401(k)、After-tax 401(k)、雇用主マッチの401(k)積み立てのすべての積み立てトータルでの限度額が定まっており、2019年の場合は、50歳未満で$56,000です。たとえば、401(k)を最大限まで積み立て、$6,000の雇用主マッチを得た場合は、$56,000-$19,000-$6,000=$31,000までをAfter-tax 401(k)で積み立てられることになります。
After-tax 401(k)はその名の通り、所得税を納めた後での積み立てになります。将来引き出すときには、元本は非課税で引き出せますが、ただ利回り分は課税されます。同じ課税後の積み立てでも、この点がRoth 401(k)と違う点です。この利回り分の課税を非課税にするために、下のようなロールオーバーをすることができます。
ロールオーバー
After-tax 401(k)に積み立てた資金をRoth バージョンにロールオーバーすることで、利回り分への課税も回避することが可能です。いろいろなパターンがあります;
1. 雇用主のプランが許していれば、After-tax 401(k)に積み立てたものを、Roth 401(k)にロールオーバーする: いつロールオーバーできるか、いくらをロールオーバーできるかなどの条件は雇用主によりまちまちです。ロールオーバー時の利回り部分に対しては所得税が発生しますが、ロールオーバー後は、利回りも非課税になります。ラッキーなことに積み立てて短期間でロールできれば、利回りが最小限で抑えられ、その後の課税は全く回避できます。
2. 雇用主が許していれば、After-tax 401(k)に積み立てたものを、Roth IRAにロールオーバーする: ケース的には許されていることはまれですが、もしも許されていれば外部のRoth IRAにロールオーバーすることで、その後の利回りは非課税になります。
もしもふつうの401(k)とAfter-tax 401(k)が混在している場合は、After-tax 401(k)だけのロールオーバーは許されていません。401(k)はTraditional IRAへ、After-tax 401(k)の元本部分はRoth IRAへ、After-tax 401(k)の利回り部分は課税前であるためTraditional IRAへ、それぞれロールオーバーします。
3, 雇用主のほとんどが離職後には、上のロールオーバーを認めています。離職後に、上と同じ要領でロールオーバーをします。
ポイントとしては、After-tax 401(k)は、引出時に元本部分は非課税で降ろせるものの、利回り部分が課税されるので、これを完全に非課税のRoth状態へと変換したほうがいいということです。1)の場合は、雇用主提供の401(k)のプランのなかでAfter-tax 401(k)からRoth 401(k)へと変換(In[-plan rolloverと呼ばれる]、2)の場合は離職前にAfter-tax 401(k)を外部のRoth IRAに変換(In-service rolloverと呼ばれる)、3)の場合は離職してからAfter-tax 401(k)を外部のRoth IRAに変換というパターンです。どれが可能かは、雇用主のプランの条件によります。401(k)プランの説明文書に明記されているはずですので、ご確認ください。
Roth IRAかAfter-tax 401(k)か
Roth IRAは、After-tax 401(k)と同じ、課税後のお金を積み立てるものという点では同じですが、Roth IRAは元本も利回りも非課税であるのに対し、After-tax 401(k)は元本は非課税ですが利回りは課税対象のまま残ります(これが、上のロールオーバーをする動機)。その意味ではRoth RIAを優先的に積み立てた方がよいでしょう。
ただ、Roth RIAには収入限度が設定されており、Married filing jointlyの場合は、AGIが$193,000から積立限度の制限が始まり、$203,000で完全に積み立て不可となります。この層の方には、After-tax 401(k)が心強い味方です。また積立限度がなかったとしても、IRAは年間$6,000(2019、50歳以上は$7,000)までしか積み立てられませんので、これを超えて積み立てたい方はAfter-tax 401(k)に頼ることになります
私の会社では、年棒の12%がAfter Tax 401K拠出の上限となっています。
法律的には、会社は更にこの上限を引き上げる余地があるんですね。どうして、12%の上限を決めているんでしょうか?もちろん、拠出後はさっさとRothにロールオーバーしています。
そうですね、なぜ12%なんでしょうね? 全体額に限度があるので、401(k)とマッチングと合わせると、平均的な社員の給料を考えた場合12%くらいがAfter Taxには適切ということなのでしょうか? 401(k)については、全社員に対してDiscriminateしないよう設定すること云々、いろいろルールがあるので、それらとの兼ね合いなんでしょうか?よくわかりません。
401Kを2019年3月まで加入してました。転職先の会社は2020年から401Kに加入可能です。2019年の9ヶ月分をtraditional IRAに加入することは可能でしょうか?
Traditional IRAに積み立てることは401(K)の加入とは関係なく可能です。ただ、積立額がいくらまで控除になるかが、年収で変わります。以下で確認ください(Traditional IRA Deduction limits)。
https://www.fidelity.com/retirement-ira/contribution-limits-deadlines
在職中での401kロールオーバーで質問がありますのでよろしくお願いします。混在の場合、After-tax 401(k)だけロールオーバーはできないとありましたが、わたしの場合、同じ401kの中に普通の401k(
pretax)とAfter-tax 401(k)それぞれの額が出ています。この場合でもAfter-tax 401(k)だけロールオーバーをしてはいけないのでしょうか?これが可能な場合の質問ですが、After-tax 401(k)の元本部分はRoth IRAへ、After-tax 401(k)の利回り部はTraditional IRAへとありました。After-tax 401(k)の元本部分と利回り部分をすべてRoth IRAへロールオーバーして税申告時に利回り部の税金を払えばいいのではないでしょうか?よろしくお願いします。
401(k)は各Employerがこまかいルールを決めますので、このあたりは人事分ベネフィット担当に確認いただくことになります。
こんにちは。
インターンシップ中の医療保険や401Kなどについて、ご相談させて下さい。
医療保険:
EPO/HMO Plan
PPO Plan
Comp/Indemnity Plan
Savers Health Saving Account(HSA) Plan
上記から選択できる様ですが、どう選ぶべきでしょうか。
401K:
Employee contributes 3% or 4% – Employer Match at 1%
から
Employee contributes 9% or more – Employer Match at 5%
401Kは、多く拠出する方が得と言う考え方で間違いありませんか?
ご助言頂ければ幸いです。
どうぞ宜しくお願い致します。
健康保険については、それぞれページ左帯上のキーワード検索をしていただくと、記事が出てくると思いますのでお読みください。「一般にどれがいい」と簡単には言えない(個々の状況のよる)ので、ある程度内容をご理解いただき、ご自分で選ばれるしかありません。
401(k)はEmployer Matchが得られるまでは拠出されるのが良いように思います(手取りが少なくなって困らなければ)。「多く拠出する方が得」とはどういう意味でしょう?「得」というのが、たくさん所得税が控除できるという意味ならそうです。また、長期的に投資運用ができる額が増えるという意味でもそうです。余裕があるのなら、401(k)にできるだけたくさん拠出するのはリタイヤメント資産準備という意味では大変意味があると思います。