投資の手はじめ(3) - アセット・アロケーションとは?

Last Updated on 2017年1月29日 by admin

アセット・アロケーションって何のこと?という質問にお応えする 投資の手はじめ 第3弾! 401(k)のアカウント やIRAのアカウントをお持ちの方は、投資会社のWebサイトや明細書で、自分の投資の種類の内訳を示す円グラフなどをごらんになった方があるでしょう。 あれが、アセット・アロケーションです。手持ちの資金を、どのような投資商品に割り振っているかの内訳ですね。この内訳、つまりどのように割り振っている かが、許容リスク・リターン・レベルに見合ったものである必要があるわけです。

まずは、投資の手はじめ(2)の復習です。

許容リスクを決める要素とは;

  1. 投資の期間
  2. 途中の不確定要素・阻害要素の有無
  3. あなたの投資や市場に対する知識
  4. 目標とするリターン

があげられることをお話しました。

また、投資の手はじめ(2)では、自分の許容リスクとリターンを、具体的に知る方法として、フィデリティ投信の許容リスク診断テスト(記事執筆後、フィデリティの方針変更で、フィデリティにアカウントがある方のみ利用可能となりました)とVanguard社の診断テスト(現在のところ誰でも利用可能) をご紹介しました。このようなテストの診断結果は、それぞれの許容リスクレベルにあったアセット・アロケーションを提案してくれることもお話しました。

そ のアセット・アロケーションをもう少し深く説明するために、まずアセットという言葉について考えて見ましょう。アセットとは通常、「資産」と訳されます が、ここでは「投資資産」とでも訳したほうがわかりやすいでしょうか。この場合のアセットは、通常3種類に分けられます。それらは、1)キャッシュ同等品 (マネーマーケットや預貯金などの短期金融商品のこと。非常に安全。)、2)ボンド(国債や社債などの債権。キャッシュ同等品よりはリスクがあるが、ス トックよりは安全)と3)ストック(株。もっともリスクがある)との3種類のアセットです。それぞれのアセットの特徴をまとめるとこのようになります。

キャッシュ同等品
(短期金融商品)
-「投資」というよりは「現金」に近いもの
-マネーマーケットや預貯金など
-低リスク・低リターン
-短期的投資向き
ボンド(債権)-国債や社債など
-Fixed Income商品と呼ばれるものも多く、固定収入が期待できる(債権に対する利子を定期的に受け取ることができる)。
-債権自体の値の上がり下がりも(株ほどではないが)ありえる
-中リスク・中リターン
-中期から長期投資向き
ストック(株)-配当金と値の上がり下がりが会社の成績により決まる
-高リスク・高リターン(上がり下がりが大きい)
-長期的投資向き

自分の許容リスク・レベルにあうように、持っている資金をこの3種のリスクの異なるアセット・クラスに分配(アロケーション)することをアセット・アロケーションといいます。 前述のような許容リスクのテストをすると、テスト結果は「あなたは、安定・成長型です」というように、あなたの許容リスクレベルとそれに見合ったアセッ ト・アロケーションを提案してくれます。「元本確保型」、「安定型」、「安定・成長型」、「成長型」、「積極型」はそれぞれ許容リスクレベルに応じた、ア セット・アロケーションのタイプです。「元本確保型」というのは、最も許容リスクが低く、最も安全な預貯金にしか投資していないのに対し、「積極型」とい うのは、最も許容リスクが高く、最もハイリスク・ハイリターンである株式への投資比率が高くなっているのがお分かりでしょうか。この3種類のアセット(場 合によっては、キャッシュ同等品を除外し、ストックとボンドだけの2種類のみを考慮することもあります)へのアロケーション(分配の仕方)を変化させるこ とにより、自分の許容リスクに見合ったリターンを確保しようというのがアセット・アロケーションの目的です。

(*注;この記事執筆時点では提供されていたフィデリティ投信のリスク許容テストがなくなったため、本文にあるアロケーションタイプ「元本確保型」、「安定型」、「安定・成長型」、「成長型」、「積極型」について説明したページも消去されてしまったのですが、下記が参考になるかと思い掲載します。「安定型」はModerate with income – Moderate、「安定・成長型」はBalanced – Growth with income、「成長型」はGrowth with income – Growth、「積極型」は  Growth – Aggressive growthで、この型のネーミングと区切りは、実は金融会社によってばらつきがありますので、あくまで目安としてください。)

fidelity asset allocation

ち なみに、このアロケーションによってどのような効果を作り出すことができるかがわかるのが下の表です。これは異なるアセット・アロケーションごとに、もし その投資を1926年から2010年まで持ち続けたとしら、年平均何パーセントの利回りであったかという実績データです(アメリカ市場のデータです)。こ こでは、Short-term reserves(「キャッシュ同等品」と同義)にはアロケートがされておらず、ストックとボンドだけのアロケーションですが、それでもアロケーションの 効果自体はご確認いただけるかと思います。

異なるアセット・アロケーションでのリターン実績(1926-2010) - Vanguard社

 1926-2010のリターン(年率)
5.5%
6.7%
7.8%
8.7%
9.4%
10.0%

上記の表では、ボンドの比率が高くストックの比率が低いほど、安全型であり、それに見合ってリターンも低くなっています。反対に、ボンドの比率が低くストックの比率が高いほど、積極型であり、それに見合ってリターンも高くなっています。

さてさて、あなたに見合ったアロケーションは見つかりましたでしょうか。以上、投資の手はじめ(3)でした。

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