健全な家計では3~6か月分の生活費を、非常時の蓄え(Emergency Fund)として現金で持っておくというのが基本になっています。急な出費や事故、収入が途絶えたり減額になったときでも、問題なく通常の生活ができるための現金プールです。ある程度まとまった現金ですから、これを全額チェッキング口座に置いておくか、それとももう少し高めの利子で増やすかは判断が必要なところです。今回は、そんなときに使われる選択肢となりえる口座の種類について考えてみましょう。
Savings Accounts
銀行のセービング口座は、ご存知の通りチェッキング口座とペアで持つことが多いです。チェックやAMTによる出入金の決済口座としてのチェッキング口座は利子がゼロあるいはほぼゼロに近いですが、これに比較すれば、セービング口座は少し利率がよいはずです。お金の引き出し回数については無制限のものもあれば、制限のあるものもあります。従来の銀行(支店を持つ)のセービング口座は、お金の引き出し回数、最低残高に対する縛りがないものも多いですが、その分利子も0.10%以下のことも多く、お金を増やすことはほとんど期待できません。たとえば、この記事時点でのBank of Americaのセービング口座の利子は0.03%で、あくまでチェッキングよりは少しましというレベルにとどまります。ただ、チェッキング口座と連動させたり、支店ATMで現金引き出しができたりという日常面での便利さは二重丸でしょう。$250,000までのFDICの保証があります。
Money Market Accounts
マネーマーケット口座は、セービング口座と同じように銀行で開くことのできる口座ですが、マネーマーケット口座で銀行が集めた現金は、ローリスクの短期金融商品で運用されるため、セービング口座よりも一般的に利子が高めです。たとえば、この記事時点でのBank of Americaのマネーマーケット口座の利子は0.06%です。運用といってもそれは銀行がすることで、口座のオーナーがすることではありません。よってマネーマーケット口座は、個人にとっては投資運用ではなく、元金も金利も保証されています(後述のマネーマーケット・ファンドとは異なります)。セービング口座と同様、250,000までのFDICの保証があります。
チェックを書いたり、ATMで引き出しができますが、その回数には制限があります。セービング口座と比べると、初めにデポジットするお金や残高に対して最低額が設定されていることも多く、また、最低額を割ると手数料が発生することもあります。
Certificates of Deposit (CDs)
期限付きの定期預金で、初めにデポジットする額と預け入れる期間の長さにより、一定の利子が保証されます。たとえば、この記事時点では、Bank of Americaでは、$10,000を1年預けるCDの利子は0.07%です。定期預金なので、期限まで手付かずで置いておくのが原則です。AMTやチェックによる引き出しはできません。途中で解約することはできますが、その場合はペナルティがかかり、かえって赤字になることもあります。期限まで持っていれば手数料などはありません。250,000までのFDICの保証があります。High-Yield Savings
最近ではハイイールド・セービング口座(高利子のセービング口座)という名前をよく耳にするようになりました。これは、セービングの一種類で、主にオンラインバンクにより提供されるものです。支店店舗を持つ従来の銀行に比べ、オンラインバンクは物理的建物やAMTを持たないためローコストの運営ができるため、その強みを生かし高い利子を提供するセービング口座です。その代わり、お金の引き出し回数には制限がある場合があります。本来はセービング口座の一種なので別枠でとりあげられるのも妙な話ですが、その利子の高さと使い勝手の違いのため、ハイイールド・セービングという名称で一般のセービング口座とは一線を引いて取り上げられることが多くなっています。たとえば、オンラインバンクのひとつAlly Bankの、この記事時点でのハイイールド・セービング口座の利子は、1.85%となっています。他にももう少し知名度の低いオンラインバンクだと2.00%を超える利子を提供しているところもあります。
日常使っている自分の銀行のチェッキング口座とリンクさせておき、ある一定期使わない現金をハイイールドで増やして置き、必要なときだけチェッキング口座に送金するというような使い方が最適です。250,000までのFDICの保証があります。
High Yield CD
オンラインバンクで提供されるCDです。ハイイールド・セービング口座のCD版とでもいいましょうか。たとえば、前述Ally BankのハイイールドCDの利子は、この記事時点では3か月で0.75%~5年で3.00%までとなっています。250,000までのFDICの保証があります。
High Yield Money Market Account
ハイイールド・セービングにハイイールドCDとくれば、お察しのようにハイイールド・マネーマーケット口座もあります。前述Ally Bankのハイイールド・マネーマーケット口座の利子は日々の平均残高によって異なり、$5,000の残高で0.90%~$25,000以上の残高で1.00%までとなっています。250,000までのFDICの保証があります。
Money Market Fund
最後に、ここまで見てきた口座とは少し種類のことなるマネーマーケット・ファンドを取り上げます。マネーマーケット口座と名前が似ているので混同されがちですが、これら二つは大きな差があります。マネーマーケット・ファンドは、ファンドという名前がついている通り投資口座です。投資を扱う銀行や金融機関で投資のための口座を開き、その中でマネーマーケット・ファンドを選び投資します。短期のローリスク金融商品に、口座のオーナーが投資するもので、株式ファンドや債券ファンドよりもずっとリスクが低いもののそれでも投資には変わりなく、金利は固定保証ではなく元本保証もありません。預金口座ではないので、250,000までのFDICの保証がありません。このファンドは、株式や債券ファンドと合わせて最適なポートフォリオを組むために使われるべきファンドで、短期的に現金を置いておく目的のためには使わないのがベストです。
Fine Printsはよく確認する
呼び名は同じでも、金融機関によって、商品によって、細かい条件が異なります。利子の高さだけに目を留めず、きちんとFine Printも読むことと消費者としての注意を怠らないことが必要です。
たとえば、ハイイールドCDで高い利子を歌っていても、これが期間中保証された固定額ではなく、変動する可能性もあります。また、Call FeatureのついたCDというのもあり、こちらは利子は変動しませんが、ただ期限の前に、金融機関が一方的にCall(契約中止)することができるという条件がついていることがあります。せっかく入れたお金も、途中でCDが解約になり利子が最後までもらえません。
また、利子の高さで顧客を引き付け、他の商品を抱き合わせて売るというような手法も出回っています。契約をしに店舗に出向くと、そこでアニュイティなどの商品の説明を聞くことになったというようなケースです。
最後にオンラインバンクの場合はとくに新興の会社も多く、その会社自体のビジネスの健全性には必ず目を向けることが必要です。ある程度実績がありランキングでも好成績を収める会社には、Ally Bank、Capital One、American Expressなどがあります。
毎回、楽しく読まさせて頂いております。
個人的にはEmergency fundはオンラインバンクのセービングアカウントを利用しています。ハイイールドですが、毎月レートに変動がある感じです。オンラインバンクで運用する注意点、リスクはあるでしょうか?もし経営困難になってもFDICがあれば普通のバンク同様安心して良いのでしょうか?bankrate.comのサイトで調べたらsallie mae,american expressは5つ星、citizenが4つ星など違いが分かりません。
よろしくお願いします。
オンラインバンクでも既存銀行でもFDICは同じように適用すると思いますので、安心していいと思います。あとは、引き出し回数制限、チェックが使えるか、ATMアクセス、カスタマーサービスの質などいろいろ差があるでしょうが、自分が使わない機能ならその点は考慮しなくてもいいので、自分のニーズに合わせ選ぶのが良いと思います。新興のオンラインバンクも多いかと思いますが、AllyやAmexなどはトラックレコード的にも信頼がおけるかと個人的には思っています。参考:http://time.com/money/collection-post/4529940/best-online-bank/
安心しました。
アドバイスありがとうございました。
今後もセービングはオンラインバンクでチェキングは普通バンクで管理していきたいと思います。
こちらのサイトから色んな情報を勉強させて頂いてます。
私はAmexセービング利用してますが、初期1.45%~だったものが2%と変動早いです。逆に下落は怖いですが);
定期的にemailでお知らせも来て安心です。
すぐに必要のない預貯金は、Tax控除も考えU CreditのIRAのCD3%利率に入れてます。
vanguardでインベストは未だ勉強しないと無理そうです。
本当に役立つ情報の発信ありがとうございます。
こちらこそ、こうしてコメントをいただき、ありがとうございます!
BofA の定期預金口座が今年の12月23日で満期となるため、これを解約し、チェッキング口座に移行したいと考えています。
BofAのサイトで何とかしようと試みましたが、ウェブ上ではできないようです。
何年か前に「定期預金の解約は本人が銀行支店窓口に行かないと出来ない」と言われた様な記憶もあります。このため、12月に米国に行って解約&チェッキング口座への移行をするつもりです。そこで、12月23日よりも前に手続きをすべきなのか、多少過ぎても大丈夫なのか確認したいのですが、質問フォームも無く、困っています。
知恵を拝借できれば幸いです。
最初に交わしたAgreementにもよると思いますが、満期を過ぎたらまた同じTermで定期になる場合もあるようです。いずれにしてもGrace Periodのようなものがあり、その間であれば現金引き出しできると思います。口座解約はわざわざ出向かなくても済む場合が多いと思いますが、これも銀行によるのかもしれません。Chatか、Emailなどで問い合わせてみてはいかがですか?その銀行に確認するのが一番だと思います。
こんばんは。夜分遅くにすみません。
はじめまして。しまと申します。日本人です。
すみません。「Ally bank」について確認したいことがありまして、いろいろ調べているところこちらのサイトにたどり着きました。
質問させてください。
アメリカの「Allybank」より送金がされている。と依頼者より連絡がありました。しかし、これを私が日本で受けとる場合依頼者に5,000ドル振り込まないと送金されている金額が受け取れない。と連絡がありました。
こんなことってあるのでしょうか??
私も銀行関係者でないので正確なことは言えませんが、そんなことはあり得ないように思います。詐欺事件が多発してますので、どうぞお気をつけて。Alley Bankに直接お問い合わせするのがよいのではないでしょうか。
こんばんは、いつも楽しく読ませていただいております。
在米で、現在一件物件を持っていて、その賃貸収入が米国の銀行(BofA)に振り込まれています。
数ヶ月後に帰国するのですが、それから先、どのように日本でお金を引き出せばいいか考えています。
BofAのクレジットカードで普通の買い物はできますね。
でも、まとまったお金を引き出すにはどうするのが一番良いでしょうか。
BofAから日本の銀行に送金してもらうとなると、今のうちにBofAに尋ねておくべきですね。
他にもあるのようですが、日本から出来るのだろうかと疑問です。
コメントいただければ幸いです。
日本への送金は守備範囲外でよく知りませんが、SchwabかUnion Bankというのがよく聞く選択肢ですが、いかがでしょうか?