アメリカでのバンキング ― なるべく高い利子で、現金を安全に便利に運用するには (1)

こんなお悩みはありませんか?

  • ちょっとまとまった現金を置いておくのにふさわしい口座は?
  • オンラインバンキングってどう使えばいい?
  • 銀行に問題があったとき、預金保護はあるのかな?

ICマネーや電子ウォレットが普及してきましたが、それでもほとんどの人がチェッキング口座とセービング口座を持っていると思います。銀行の店舗に実際に行っていろいろな手続きをするということも、めっきり少なくなりましたが、それでもまだ街中には銀行の店舗をみかけます。

投資などと比べると比較的地味なバンキングというトピックですが、それでもまだ銀行は生活の大切な一部です。銀行の選び方と口座の選び方を考えてみます。

銀行を使う目的     

お財布代わり

ほとんどの人が、銀行のチェッキング口座で給料を受け取っていると思います(Direct Deposit)。そこから、さまざまな支払いをしていることでしょう。いってみればお財布代わりといったところです。チェッキング口座は、当座必要な額程度に少し余裕を持ったぐらいの金額を入れておきます。

家や車など大きなものを購入するときには、クレジットカードや通常のチェック(Personal Check=小切手)は使えません。ふつう、Cashier’s Checkという特別な小切手を、銀行の窓口などで発行してもらう必要があります。よくあることではありませんが、お財布代わりの銀行としてはこのあたりの使い勝手も心に留めておく必要があります。

エマージェンシーファンドをキープ

お金は投資運用して増やしたいものですが、手元にあるお金をすべてリスクのある投資に回すのはよくありません。なにか急にお金が必要になったとき、すぐに出して使えるお金は確保しておく必要があります。一般的には、月々の純生活費(娯楽、余興、趣味などの任意で変動できる費用や所得税などを抜いた、生活を回すために必ず必要な費用)の3から6か月分を現金でためておくのがよいとされています。これは英語ではエマージェンシーファンドと呼んでいます。急な病気やけがで収入が途絶えた、家電が壊れた、車の調子が悪い、家回りの修復が必要になった、日本の家族のための急な一時帰国が必要となった・・・などなどの急な(エマージェンシー)出費に対応するための現金(ファンド)です。

エマージェンシーファンドは、何かあったらすぐ出せる形(現金)で置いておく必要があります。

短中期ファンドをキープ

短期的(数年以内)、中期的(5年程度)に必要になる現金も、長期投資に回すのはふさわしくありません。たとえば、家のダウンペイメント、数年後に計画している記念旅行などは、投資にまわさず、現金に近い形で手元に置いておくのが基本です。

一方で、エマージェンシーファンドや短中期ファンドは、当面は引き出さなくていい可能性が高いので、引き出し時に多少の不便があっても、なるべく利子が高い口座を狙いたいところです。

ローンを組む

預けるだけでなくて、銀行からはお金を借りることもできます。チェッキングやセービング口座を持っている銀行から借りなくてはならないということはありませんが、ただすでに口座を持っているとローンを組む上で優遇してもらえることもあります。小さな銀行なら窓口や担当の方との深い関係ができ、直接インバーソンで相談にのってもらえるということもあるでしょう。

     

口座の種類はどんなものがある?

Checking Accounts

お財布がわりに使う口座です。日常のお金の入金、出金が行われる口座です。通常、利子はないかあってもほとんどないのに近い程度です。

Savings Accounts

銀行のセービング口座は、ご存知の通りチェッキング口座とペアで持つことが多いです。セービング口座はチェキング口座よりは利子が高めの設定です。お金の引き出し回数については無制限のものもあれば、制限のあるものもあります。従来の銀行(支店を持つ)のセービング口座は、お金の引き出し回数、最低残高に対する縛りがないものも多いですが、その分利子が非常に低く、お金を増やすことはほとんど期待できません。$250,000までのFDICの保証があります。

Money Market Accounts

マネーマーケット口座は、セービング口座と同じように銀行で開くことのできる口座です。マネーマーケット口座で銀行が集めた現金は、ローリスクの短期金融商品で運用されるため、セービング口座よりも一般的に利子が高めです。運用といってもそれは銀行がすることで、口座のオーナーがすることではありません。よってマネーマーケット口座は、個人にとっては投資運用ではなく、元金も金利も保証されています(後述のマネーマーケット・ファンドとは異なります)。セービング口座と同様、250,000までのFDICの保証があります。

Certificates of Deposit (CDs)

期限付きの定期預金で、初めにデポジットする額と預け入れる期間の長さにより、一定の利子が保証されます。定期預金なので、期限まで手付かずで置いておくのが原則です。AMTやチェックによる引き出しはできません。途中で解約することはできますが、その場合はペナルティがかかります。期間が短ければ赤字になることもありますが、ある程度以上預けていればペナルティがあっても利子が出ることが多いです。期限まで持っていれば手数料などはありません。250,000までのFDICの保証があります。

6か月、1年、3年、5年などといくつかの異なる満期のCDを組み合わせて、運用するという手法もあります。これをラダリング(はじごのように、いくつかの段階に分けて運用するので)といいます。ラダリングすると、一定期間おきにある程度のお金が満期になるので、その時使うか、あるいは必要がなければまた運用に回すというフレキシビリティが確保できます。

High-Yield Savings

ハイイールド・セービング口座(高利子のセービング口座)という名前が、かなり浸透してきました。これは、セービングの一種類で、主にオンラインバンクにより提供されるものです。支店店舗を持つ従来の銀行に比べ、オンラインバンクは物理的建物やAMTを持たないためローコストの運営ができるため、その強みを生かし高い利子を提供するセービング口座です。その代わり、お金の引き出し回数には制限があったり、送金なども時間がかかったりすることもあります。本来はセービング口座の一種なので別枠でとりあげられるのも妙な話ですが、その利子の高さと使い勝手の違いのため、ハイイールド・セービングという名称で一般のセービング口座とは一線を引いて取り上げられることが多くなっています。

日常使っている自分の銀行のチェッキング口座とリンクさせておき、ある一定期使わない現金をハイイールドで増やして置き、必要なときだけチェッキング口座に送金するというような使い方が最適です。250,000までのFDICの保証があります。

High Yield CD

オンラインバンクで提供されるCDです。ハイイールド・セービング口座のCD版とでもいいましょうか。250,000までのFDICの保証があります。

High Yield Money Market Account

ハイイールド・セービングにハイイールドCDとくれば、お察しのようにハイイールド・マネーマーケット口座もあります。。

Money Market Fund

最後に、ここまで見てきた口座とは少し種類のことなるマネーマーケット・ファンドを取り上げます。マネーマーケット口座と名前が似ているので混同されがちですが、これら二つは大きな差があります。マネーマーケット・ファンドは、ファンドという名前がついている通り投資ファンドです。投資を扱う銀行や金融機関で投資のための口座を開き、その中でマネーマーケット・ファンドを選び投資します。短期のローリスク金融商品に、口座のオーナーが投資するもので、株式ファンドや債券ファンドよりもずっとリスクが低いもののそれでも投資には変わりなく、金利は固定保証ではなく元本保証もありません。預金口座ではないので、250,000までのFDICの保証がありません。このファンドは、株式や債券ファンドと合わせて最適なポートフォリオを組むために使われるべきファンドで、短期的に現金を置いておく目的のためには使わないのがベストです。

銀行の種類にはどんなものがある?

銀行の種類には以下のような形態があります。下記は一般的な利点と欠点です。それぞれの銀行で特徴には差がありますし、また残高の額によっても差が出ますので、以下はあくまで一般論としてご理解ください。

銀行の種類、口座の種類をざっと見てきましたが、次回は実際に銀行や口座を選択する場合のポイントを考えていきます。

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8 comments

  1. 「Brokered CD」というものがVanguard と Fidelity で提供されていますが、どの様にお考えでしょうか? レートはオンラインバンクのCDよりも良いです。

    1. よい質問をありがとうございます。コメント欄で簡単にお答えできなさそうなので、別途記事にしようと思います。しばらくお待ちください。

  2. 別途記事はとても参考になりました。ありがとうございました。

  3. つい先日、私が加入しているクレジットユニオンから、Insured Money Management Account (IMMA), a Money Market Checking, or a Certificate をオープンしてはどうかと勧められました。おそらく、今回こちらの記事でお話しされたことと同じだと解釈しています。銀行を使う目的、種類をしっかり見極めたいと思いました。

  4. 資産運用をほとんどしたことがない素人です。
    現在眠っているキャッシュを使ってこの先3年程度の期間で貯蓄を増やそうとする場合、その間特段現金を引き出すことなく比較的安全に運用することを考えれば、株式等他の手段よりもHigh yield savingがおすすめでしょうか。

    1. はい、そう思います。特に現在は高金利環境なので、3年程度と期限が決まっているなら、High YieldかあるいはCDかがいいかと思います。

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