最近、悪質なDMが来ます。カラーでギラギラした広告がたくさん載ったDMならば、すぐさまジャンクメールとして捨てますが、悪質なものほどシンプルな白黒で、いかにもお役所からのオフィシャル通知のような態を装って来るのです。ちょっと前は、「あなたの車のワランティが切れてしまいます!今すぐアクションを!」というもの。車のエクステンデッド・ワランティーを売るものでした。今回とりあげるのは、「モーゲージローンの利子削減プログラム」です。
一見、非常に重要そうで、いかにも無視してはならないという感じをかもし出しています。
いかにもオフィシャルに見える:
封筒もジャンクメールっぽくなく、コンサバな白黒。なので開けてみると、レターもオフィシャルっぽい白黒。読まなくてはと思わせます。
2ND Attemptと左上に書いてある:
いかにも、1ST Attemptを私が見逃しており、それが非常に重大なことのような印象を受けさせ、早く応答しなければと思わせます。
公的っぽい差出人名:
右上にある差出人の名前はLoan Payment Administrationとあり、いかにも公的な機関の一部署のような印層を受けさせます。この名前は実は通称で、本当の会社名はNationwide Biweekly Administration, Inc。これだとずいぶん俗っぽい名前ですね。
うちのモーゲージ会社の名前を使っている:
右上のRegarding yourというところには、New American Funding loanと書いてあり、これは我が家のローン会社です。すでに取引をしている会社の名前を出せば、信憑性もグンと上がるというもの。とはいっても、モーゲージ情報は立派な公的情報なので、ちょっと調べればモーゲージ会社やローンがいくらあるかなどは誰でもすぐにわかるものです。
アイキャッチングな冒頭の書き出し:
「New American Fundingはあなたに説明していないかもしれませんが、Bi-weeklyプログラムとアドバンス・オプションをご存知ですか?」といういかにも、お得なプログラムがあるのに知らないでいるのではないかという焦りを起こさせる書き出し。「これらのプログラムを選択することで節約できるお金は、すべてあなたご自身のものになり、金融機関には入りません」とくる。そりゃ、早くローンを返済して利子が浮けば自分のものに決まっているのですが。いかにも、ローン会社が顧客の得になるようなプログラムを隠しているところ、このオフィシャルっぽく見える団体が通知してくれているかのような言い回しです。
もっともげな数字を出している:
我が家の現在の30年ローンを24年支払いのBi-weeklyローン(月に一度ではなく二週間に一度払う)に変更すると、全部で$76,000の利子の削減になり、13年支払いのBi-weeklyローンにすれば、全部で$216,000の削減になるといいます。下にfineプリントで、「現在支払っている利子は5%として計算」とあります、この数字は我が家が実際支払っている利子よりずいぶんと高いわけで、「利子削減」の数字を大きく見せるための故意の操作です。
ダメ押し:
その下には、「6月10日までに、このお得なBi-weeklyプログラムとアドバンス・オプションをアクセプトする旨、ご報告ください。もしあながたがこのオプションを拒否するのであれば、自らの責任でこの利子削減とローン期間の短縮を選択しない旨、確認させていただきます。」とあります。拒否するのは相当なおバカ・・・とでも言わんばかりの言い回しです。
価値がないことを売る
そもそも、もしBi-weekly返済にしたいのであれば、自分のローン会社に直接リクエストすれば、すぐに対応してくれるはずです。オンラインでBi-weekly返済に変更手続きができるようにしているローン会社も多いでしょう。これは決して、big dealではありません。ローン期間を24年や13年にしたいのであれば、それも自分で短い期間のローンにリファイナンスすればいいだけのこと(24年とか13年というローンがあるかは疑問ですが、少なくとも15年や20年ならあるはず)。なにも仲介の会社を通さねばならない理由はひとつもありません。いかにも大仰な書き方がしてありますが、つまるところ自分で簡単にできるできることです。
しかも、Bi-weekly返済というのは、多くの人にとって非常に賢くない選択です。月ごとに給料やコミッションをもらって生活している人は、マンスリーベースでのバジェット管理が一番簡単です。これをBi-weeklyにすると、月によっては同じ月のうちに2度返済がくることになり、十分な蓄えがなかったりすると返済に事欠くことになります。もし事欠かなかったとしても、やりくりは簡単ではないでしょう。また、ローン期間も、家の購入時によく計画して決めた年数であれば、簡単に30年をいきなり13年にするというのは無理があって当然です。また、むやみにローン期間を短くしてしまわないほうがよい場合も多くあります。現在のローンをそのままキープしつつ、余裕のあるときに上乗せ返済するというだけでも、かなりの利子の節約ができ、わざわざ「プログラム」に加入する必要などまったくありません(詳しくはこちら)。つまり、最初から多くの人には価値のないものを、いかにもすばらしい選択かのように膨らませているだけです。
罪状あり
ちょっと調べると、このLoan Payment Administration、別名Nationwide Biweekly Administrationについては、オンラインにたくさん苦情レポートが出てきました。
ワシントン州政府は、この会社が適切なライセンスをもたずに金銭の仲介者としてビジネスをしていることと、消費者の誤解を招く表現をしたとして、$150,000の罰金を課しています(2013年8月)。他の消費者の苦情などと合わせると、顧客からローン返済金を預かり、 Bi-weekly返済スケジュールに合わせて、返済金を顧客のローン会社に送金するというしくみなのに、預かったお金をローン会社に送金せずそのままになっているとか、クリアな説明なしに手数料を勝手にとるなどということをしているようです。利子が大幅に節約できると信じてローン返済金をこの会社に送っても、それがローン会社に届かねば、モーゲージの返済が滞ることになり、利子の削減どころか遅延ペナルティを課せられたりクレジットスコアに傷がつくことにもなります。非常に悪質です。
このように、いかにもオフィシャルっぽいレターの中には、悪質な会社からのものもあるということですので、お気をつけを。あれ・・・と思ったら、まずは会社名でgoogleサーチするのがいいでしょう。
うちも、この手のDMよく来ます。うちの場合は、
1.車のワランティ・エクステンション
「5万マイルのファクトリーワランティがExpireするから、これ入っておかないと大変になりますよ」といった内容で、ディーラからでも無い、怪しい内容のオファーDMが、それっぽく見せて(袋とじの封書っぽくして)きます。たとえディーラからでも、そんなにいい車に乗って無いので、全く興味ないです。(Usedですが最近の車は壊れにくいので)
2.モーゲージの借り換え
今回ブログに書かれていらっしゃるような感じのものがきます。
うちはCashで買っているので借り換えも何も、全く興味ないです。
3.TaxやDeed関連を装ったフィッシング系
家を購入した当初、この手のものがよく来てました。当初はよくわからずに、それっぽい形式のレターで来るので見破るのに苦労しました。カウンティとかから来るOfficialのものかどうかを判別するのに、いろいろとGoogleで調べてました。家の所有者が替わると、カウンティの情報に所有者の名前が登録されるので、個人名だとすぐに分かってしまうんですよね。わからずに引っかかってしまって、DeedのタイトルチェックとかTaxのアプレイザルのチェックとか、数百ドルのフィーを請求されるようですが、そのほとんどはまったく意味が無く、自分で調べれば簡単にできるものです。
中には、さらに陰湿にタイトルまで書き換えられてしまうケースもあるのだとか。。
4.その他のジャンク系
最近、家族がようやくクレジットカードを持った(それまではヒストリーが無いので持てなかった)のですが、その直後から急に、DirecTVとかのオファーがDMで来るようになりました。これ、明らかにどこかから情報が漏れてるのか、正規な形で情報売買されているのか、名前と住所だけ分かればいいので、大した情報ではないのかもしれませんが、やめてほしいです。
といった感じです。
ジャンクメールではないですが、つい最近、Chaseのクレジットカードで悪用(見知らぬサイトでの利用)があったのですが、トランザクションされる前にChase側でProtection機能が働いて、Eメールで「このトランザクションOK?NO?」というメールとSMSが来ました。こういうインテリジェントな機能は大変便利です。結局、カードを再発行することになりました。今回は正規のEメールのアラーとでしたが、この手の機能を模したEメールのフィッシングも相当多いかもしれませんね。
Luneさん、よくもまあ、美しくまとめてくださってありがとうございます。いろいろありますね、本当に。まずは、Google検索が力強い見方ですね!カードは問題なく対処できてよかったですね。信頼の置けるクレジットカード会社は本当に心強い見方です。。