Brokered CDって? 利子が高いCD  利点とリスク

読者の方から、Brokered CDについてのご質問をいただきました。

ご質問:「Brokered CD」というものがVanguard と Fidelity で提供されていますが、どの様にお考えでしょうか? レートはオンラインバンクのCDよりも良いです。

という内容でした。私自身、Brokered CDを使ったこともなく、よく知らない分野でしたので今回勉強してみました。

たとえば、VanguardのBrokered CDを調べてみると、利子がこんな感じで提示されていました。

これに対し、各社が出しているCDを調べてみると、こんな感じです。

比較として1年APRをとってみると、下の表で一番高いCD利子はCapitalOneの4.0%。これに対し、上のVanguardのBrokered CDだと10-12か月で4.55%です。この差は何なのか、CDとBrokered CDは何が違うのか、考えてみます。

Brokered CDとは

Brokered CDは、Brokerによって売買取引されるCDで、Brokerage Accountの中で保有されるものです。ふつうのCDは、銀行での数ある現金運用のうちのひとつ定期預金です。個人が各銀行でCD口座を開いて運用します。一方で、Brokered CDは各銀行で発行されるCDを、投資家がBrokerage口座の中で購入し運用します。銀行のCDほうは、銀行と個人との間の契約ですが、Brokered CDのほうは、銀行が発行するCDが市場で売買取引され、そのCDを個人が買うイメージです。

対比させてみましょう。まずは銀行のCDから。

比較してみる

銀行のCD

  • 各銀行が発行。個人が各銀行で契約。
  • CDの中で生まれた利子は元金に加えられ、それがさらに利子を生む(複利)。
  • 満期の前に解約すると、早期解約ペナルティがある。
  • 満期には、新しいCDに自動ロールオーバーするよう設定できる。
  • FDIC-insured (一機関一人$250,000までが保証される)
  • CDの元金部分が変動することはない。元金保証。

Brokered CD

  • 銀行が発行したCDが市場取引され、個人がそれをBrokerage機関で購入する。
  • 市場で売買取引される(発行後も売買取式される)。
  • 債券に似ていて、元金保証ではない。
  • 債券に似て、市場利子が上がれば価格が下がり、市場利子が下がれば価格が上がる。
  • 発生した利子は払い出され、元金に加えられて再投資されない(単利)。
  • 満期の前に市場で売却することが可能。
  • 満期に自動ロールオーバーはなく、必要なら新しいBrokered CDを購入して継続運用する必要がある。
  • FDIC-insured (発行する銀行一機関・一人$250,000まで保証される)

Brokered CDの利点と欠点

Brokered CDの利点

  • 通常のCDは満期前に解約すると早期解約ペナルティがあるが、Brokered CDは満期前にも売却することができ、ペナルティの心配がない。
  • ひとつのBrokerage Account(たとえばVanguardやFidelityの)で、いくつもの銀行のCDを運用できる。たとえば、Vanguardで、CapitalOneのBrokered CDとAmerican Express BankのBrokered CDとBank of AmericaのBrokered CDを一か所にまとめて運用できる。FDICの保険は、ひとつのBrokerage Accountであっても、発行金融機関ひとつごとに、一人$250,000までカバーされる。
  • Brokered CDのほうが、より長いTerm(運用期間)が提供されていることが多い。20年ものまである。
  • 銀行CDより、利子が高めのことが多い。
  • 満期まで持ち続けるなら、元金割れすることもなく、利子も確約。

Brokered CDの欠点

  • 満期まで持ち続けず売却する場合は、その時の市場金利によって元金割れする可能性もある(発行時より市場金利が上がっていれば元金割れの可能性あり)。
  • 売却時に、取引手数料がかかることがある。たとえば、Vanguardの場合なら、CD$1,000につき$1がかかる(ただし、最高で$250どまり)。
  • Callableである場合がある。Callableというのは、Brokered CDが満期を迎える前に、発行銀行がCall(個人に払い出しをして、CDを解約する)する権利があること。通常、銀行がCallするのは、市場金利が下がったとき(銀行がより低い利子でお金を集められるとき)であり、個人がCallされて受け取った現金は、もはや当初のCDほど高い利子で運用する機会がない場合もある。個人にとってのこのリスクゆえに、CallableなCDは一般にそうでないCDに比べ利子が高い。もしこのリスクを取りたくないのなら、Callableであるものを避ければよい。
  • Brokered CDは銀行のCDに比べ一般的に利子が高いが、これは絶対ではない。Brokered CDより利子の高いHigh Yield Savingsなどもあり得るので、比較検討が賢明。

こういうわけで、Brokered CDはCDよりは債券に似ているとも言えます。債券は、CDのように決まった利子がありますが、市場で売り買いされるので随時売却も可能です。ただ、市場の利子の変動によって債券価格も変動し、発行時より市場利子が上がれば債券価格は下がり、反対に発行時より市場利子が下がれば債券価格は上がります。Brokered CDも同様です。

CDより高い利子を狙いたかったり、いくつかの銀行のCDをまとめて管理したければ、Brokered CDを利用する価値はあると思います。低リスクな使い方としては、Callableなものは避け、満期を決めてその期間まで持ち続けるやり方です。これによって、市場での売却で元本割れをするようなリスクは避けられ、決められた利子はすべて手にすることができ、さらには元金をそのまま取り戻すことができます。VanguardでのBrokered CDの買い方はこちらで確認できます。

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