Coverdell Education Savings Account を解約しました。2008年に$2,000を入れてその後10年間ほったらかし。ほとんど忘れていた口座でしたが、Coverdell口座のお金は、Beneficiaryが30歳になるまでにEducationのために使わないと、税金とペナルティがかかります。今、Beneficiaryの息子は20歳の大学生であと2年で卒業予定。大学院にもしかしたら行く可能性もありますが行かないかもしれないし、とりあえず今株式市場は好調なので、現金化するなら今かと思い解約手続きをしました。
2008年の3月に、10歳の息子と6歳の娘のために、深い考えもなく限度額の$2,000ずつをそれぞれを入れました。深い考えもなく適当にミューチュアルファンドを選び、その後追加で積み立てることもなく、メインの教育資金は529で貯めていたので、ほとんど忘れていた口座でした。残高はほとんどチェックもせず、$2,000入れただけだからどうせカレッジ費用の大きな足しにはならないと気にかけてもいませんでした。
529はBeneficiary変更も簡単で、高等教育に使わねばならないという縛りはありますが、そのまま置いておいて子どもの子ども(つまり孫)や親せきなど名義変更がフレキシブルなのに対し、CoverdellはBeneficiaryが30歳になるまでの教育に使わねばならないというルールがあります。存在を忘れてしまって使い忘れないようにと、一応記憶のどこかにはおいていたような、そんな口座でした。
Coverdellについてはこちらの記事を:カレッジ費用を貯める(2) - beyond Roth-IRA and 529
ところが解約してみたら、思ったよりもお金が増えていました。残高は$7,000以上。解約するときカスタマーサービスの人に聞いたら、2008年3月に口座を開設したとのことなので、10年足らずで$2,000が3.5倍以上になったということです。
Morningstarで調べてみるとここ10年の動きは下記の通り。当時の主人の雇用主のリタイヤメント口座にくっつけて開設したので、雇用主指定のTIAA-CREFファンドを使いました。「ファンドのExpense Ratio(手数料)には気をつけましょう! 低手数料ファンドを使いましょう!」と言っている私なのに、このファンドのExpense Ratio 0.71%はちょっと手数料が高いです。。よく見ずに入れて、その後もチェックを怠っていた証拠で、反省・・・。
しかもこのMid-Cap Value Fund、何の考えもなく適当に選んだのを覚えています。$2,000だし、とりあえずこれでいいか・・というようないい加減な選び方なので、何の参考にもしないでください(今ならば、Mid-CapやValue株ではなく、Total Stock Fundでまんべんなく投資をするほうを選んだと思います)。
投資を開始した2008年の3月は上の図の赤矢印の時点です。ちょうど、これからサブプライムバブルがはじける直前、金融恐慌目前の、後で考えれば一番残念な時点で投資をスタートしたことになります。
まとめると・・・
- 適当に選んだファンドである
- 大暴落の直前に買ったファンドである
- Expense Ratioも高すぎはしないが、決して安くないファンドである
というかなり気の入らないいい加減投資でしたが、でも投資期間10年に満たない今、元金の3.5倍になりました。決して失敗ではなく、成功例ですね。この成功の要因は、このブログでもいつもご紹介していることですが、それを今一度振り返りたいと思います。
成功要因は・・
Diversification(多様化):このファンドは、Total Marketなどの市場全体に投資するものに比較すると、ずっと限られたMid-CapのしかもValue株と投資対象が限定されていますが、それでも229種の株に投資しており(2018年1月現在)、Diversificationが確保されていた。
何ももしなかった:金融恐慌時には、元値の半分以下まで値が下がったものの、そのまま持ち続けた。一番上の図を見ると、Quantityは302.01となっています。つまり当初の$2,000で、このファンドの302.01シェアを購入したわけです。1シェアあたりの値段はその後の恐慌で大きく値を下げましたが、売りも買いもしないので、この302.01シェアというシェア数はこの10年間変わりませんでした。その後値戻しの時期も、この302.01のシェアのまま値戻しの上向きの波に乗れたわけです。もしも売ってしまっていたら、シェア数が少なくなりますから、上向きの波には乗れず損だけが残ったでしょう。
10年間経った:これは時間が経っただけ。でも投資においてはこのまとまった時間が大きな味方です。1年、2年では金融恐慌などのように何があるかはわかりません。大きく下がることもあります。3年、4年だと下がった値段が十分戻って上向きになるのにちょっと時間が足りないかもしれません。でも10年あれば、かなりの確率で勝てることになります。思い立ったら投資する・・これが投資で成功する大きな秘訣です。
これがよくDiversifyされた株投資の力です。適当に選んだExpenseも決して最低レベルではないファンドですが、されどUS株式市場の229株式に投資したファンドでした。大きく値が下がった時期もありますが、10年を通算して平均すれば、13.5%/年の利回りです。
ちなみに、同じ2008年の3月に娘にも同額の$2,000をかけていました。こちらも適当に決めたTIAA-CREF Small-Cap Equityで、こちらは現在$8,176です。4倍以上に増えました。この結果で、Small-CapのほうがMid-Capの方がよかった・・ということが言いたいのではありません。これはたまたまの結果とも言えます。ポイントは、よくDiversificationが図られた株式に長期投資することのパワーです。巷では、今はこの株がいい、このファンドがいい・・などといろいろなアドバイスが飛び交いますが、実際どの株、どのファンドと迷うより、とりあえずDiversificationが確保されたファンド(手っ取り早いのはインデックスファンド)に投資しておけば、すでに大きな一歩を踏み出したことになるということです。
ちなみに、たとえば株式投資のパワーを不動産投資と比較してみましょう。2006年から2016年の表になりますので、2018年の傾向はそれぞれの線をなんとなく右に伸ばして予測するしかありませんが、グリーンの全米市場でも黄色のニューヨークでも2008年3月時に比べて、完全に値が戻っていないように見受けられます。サンフランシスコでは2008年に$700,000くらいだったのが、2018年に$900,000くらいには戻っていると予測したとしても、これは1年あたり3%弱の利回りです。
不動産投資の場合、このキャピタルゲインに加えて、年々のレンタル収入が見込めますが、これが10%($700,000の家であれば、すべての費用を差し引いた純レンタル利益が$70,000)あれば、3%+10%で上のミューチュアルファンドの13%ととんとんのパフォーマンスとなります。しかしながらこれは決して簡単に出せないパフォーマンスではないかと想像します。
不動産投資がよくないと言っているのではありません。不動産投資の目の効く人は年間13%より大きな利益が出せる可能性もありますから、どんどんすればいいと思います。ただ、投資などよくわからず、面倒なこともしたくない人には、Diversificationされた株式長期投資はかなり魅力的な選択肢であるということです。もちろん過去にうまくいったことは将来に絶対うまくいくとは限りませんが、アメリカ経済が成長する限り・・いやアメリカだけに限るのはちょと危ないと思えばグローバルに投資しましょう!・・世界経済が成長する限り世界株式市場にDiversificationされた長期株式投資は・・かなりの確率でそこそこの利回りを出すのではないかと予想できます。