クレジット・カード vs. デビット・カード あなたはどちら派?

みなさんはクレジット・カード派ですか、デビット・カード派ですか?どちらもつまるところプラスチックのカードだし、似たようなものと思っていませんか?使うときにはほとんど意識しませんが、いったんカード・リーダーでカード情報が読み取られてから、支払いにいたるまで、この二つには見えないところで大きな違いがあります。今回は、この二つの違いを比べてみたいと思います。

 

バジェットを守る

デビット・カードは銀行アカウントに直結しており、「実際にあるお金を使う」というイメージですから、計画的にお金を使うという面ではより保守的であるといえましょう。使えばアカウントの中の現金はなくなりますから、今月はどれくらい出費があったか、後どのくらい使えるかという計画はしやすいでしょう。ただし、Overdraft Protectionなどのサービスを使っていれば、アカウントの現金がなくなってもまだ使い続けることができ、その上手数料や利子まで取られることになりますから、注意は必要です。

一方、クレジット・カードの場合は、クレジットの上限に達するまでいくらでも消費できるわけですから、計画的にお金を使うという面では本人の自己コントロールに頼るところが大きくなります。しかも、月々のバランスを支払いきらず、リボルビング支払いにした場合、非常に高額な利子を払うことになります。クレジット・カードの金利は数ある負債の中でももっとも高額な部類に属しますので、計画のないクレジット・カードの利用は非常に高くつきます。

バジェット面での軍配は・・・ちょっと微妙・・・自己管理ができるかどうかによります。

 

お金の運用

デビット・カードは、使ったときが支払ったときです。使ったら、その瞬間にそのお金はありません(デビット・カードを「クレジット」オプションで使うと、2日くらいの遅延があります)。

クレジット・カードは、使ったときから最低でも15日、平均で25日、長いと45日もの間、支払う必要がありません。クレジット・カード会社から請求がきて初めて、支払えばいいわけです。うまいお金の運用の基本は、「お金の回収はなるべく早く、支払いはなるべく遅らすこと」です(ただし、払えないから遅らすのではありませんよ。払える支払いをなるべく遅らすということです)。その間、自分のお金として運用利回りを得たり、利子を得たりできるからです。そういう意味では、クレジット・カードは、チェックや現金での支払いやデビット・カードの利用に比べ、支払いを遅らす、つまり自分のお金として運用できる期間を延長することができる魅力的な策です。しかしながら、人によっては、使ったらなくなったほうが管理が簡単と言う人もいるでしょうから、この点をどのくらい重視するからは人それぞれですね。

お金の運用面での軍配は・・これも自己管理によるので、ちょっと微妙・・でも、クレジット・カードにあがりそうかな。

 

プロテクション

デビット・カードは銀行アカウントに直結しています。デビット・カードで$30のものを買えば、ほぼ即時に$30が銀行アカウントから差し引かれます。最近では銀行のATMカードがデビット・カードを兼ねていることが多いですが、これは機能的にはATMで$30をおろして現金で買うのと、デビット・カードで$30支払うのとは全く同じことを意味するからです。

これは便利といえば便利ですが、詐欺などの悪用に対するプロテクションという意味からすると最悪です。デビット・カードを盗まれたりその情報を盗用されれば、銀行アカウントの現金が即時的・直接的に盗まれる可能性があるということです。悪用されたことを銀行にレポートすれば、銀行が調査を行ってくれますが、解決するまでの何週間もの間、なくなった現金は戻ってきません。

また商品に問題があったので返金を受けたい、あるいは請求で問題があったといような場合でも、代金の$30はすでのお店側に渡ってしまっていますから、お店側が応じないといえばそれまでです。

これに対し、クレジット・カードの場合は、お店と銀行アカウントの間にクレジット・カード会社が入ってくれることになります。クレジット・カードで$30のものを買うと、お店はクレジット・カード会社に請求をし、クレジット・カード会社が銀行アカウントから支払いを受けます。悪用された場合も、クレジット・カード会社にDispute(請求内容に同意しないため調査依頼をすること)のクレームを出せば、すぐにその請求は暫定的に消されます。クレジット・カード会社が調査を行う間は、消費者はその請求を支払う必要がありません。

返金を受けたい、請求を訂正してもらいたいという場合にも、Disputeのクレームを出すことができます。まずはお店側に交渉しますが、お店側の対応が不当である場合は、クレジット・カード会社に調査を依頼できるわけです。悪用の場合と同様、その請求は調査の間、支払いの義務はありません。

プロテクション面の軍配は、クレジット・カードに上がります。

 

ライアビリティ(賠償責任)

デビット・カードを悪用された場合のライアビリティは、悪用に気がついた2日以内に報告すれば$50ですが、2日以降は$500、60日を過ぎると全額になる可能性があります。自分が買いもしなかったものの支払いを負わされる危険性があるということです。銀行が自主的に、「悪用の場合のカード会員のライアビリティは最高でも$50まで」というポリシーをつくっていたりしますが、これは法で決められていることではなく、あくまで銀行のポリシーであり、いってみればいつ変更になるかわからないことです。同様に、VisaとMasterは、「悪用の場合のカード会員のライアビリティは$0」とうポリシーを作っていますが、カード会員側の不注意や怠慢行為によって引き起こされた悪用は対象外としています。加えて、支払い遅延があったり2年以内に「悪用」にあったことのある会員は対象外とするというルールもあるようです。いつ変更になるかわからないだけでなく、細かい条件がついていて安定的に頼れるものではない可能性があるということです。

一方、クレジット・カードを悪用された場合のライアビリティは、最高でも$50と連邦法によって定められています。これは一律、法によって定められていることで、銀行やカード会社のポリシーによる必要がありません。

ライアビリティ面での軍配は、クレジット・カードに上がります。

 

リワード

デビット・カードにもリワード・プログラムのあるものがありますが、その規模は比較的小さいようです。キャッシュ・バックなどの特典があっても、対象となるお店が限定されていたり、また期間が限定されています。恒常的なリワード・プログラムというよりはプロモーションを兼ねた販促プログラムという色彩の強いものが多いようです。恒常的なものになると、年会費を課せられるものもあります。

対して、クレジット・カードは、利用に応じてポイントやマイルがたまったり、キャッシュ・バックが受けられるというリワード・プログラムが広く存在します。クレジット・カードもピンからキリまであり、高クレジット・スコア保持者対象の優良カードだと、非常に魅力的なリワードがあるものもあります。キャッシュ・バックのパーセンテージも1%や3%、ひいては5%というものもあり、うまく使えばまとまった額のリワードを受けることができます。

この他にも、レンタカーをした場合、カードで支払えばコジジョン・カバレッジがついたり、Purchase Protectionなど、購入した物が壊れた場合のプロテクションがついているなど、さまざまな特典がついていることもしばしばです。

リワード面での軍配は、クレジット・カードに上がります。

 

クレジット・ヒストリー

デビット・カードはいくら使ってもクレジット・ヒストリーはできませんし、クレジット・スコアもあがりません。あたりまえですけど。。。

クレジット・カードは、計画的に責任を持って使えばクレジット・ヒストリーができ、クレジット・スコアもあがります。反対に、無計画・無責任に使えば、クレジット・スコアは下がります。

クレジット・ヒストリー面での軍配は、(計画的・責任のある利用を前提にすれば)クレジット・カードに上がります。

 

ということで、私個人的には完全なるクレジット派です。ATM/デビット・カードは持っていますが、デビット・カードとして使ったことはほとんどありません。計画的に使うととともにリワードを貯めて、一年に$900ほどのキャッシュ・バックをもらっています。請求で問題があれば、Disputeを出し、ほぼ全件希望通りの解決をみています。お土産にかったお酒を落としてしまいボトルが割れてしまったときも、オンラインのリクエストひとつで全額返金されました。我が家のメイン・カードはAmerican Expressですが、きっと一生使い続けるんじゃないかな・・・

4 comments

  1. 少しお尋ねですが、アメリカのATMカードを日本で使ったことはありますか?私や来日した友人たちが何度か試したことがあるんですが全然使えません。空港ではなく、街中の銀行のATMです。誰か使えたという人がいたら、どこで使えるのか教えてほしいです。

    最近ではアメリカ発行のクレジットカードも、日本のオンラインショップではアマゾン以外使えません。アマゾンはアメリカ企業だから? 楽天とヤフーに出店しているショップですが、拒否された2店に理由を訪ねたら、アメリカだけでなく、海外発行のカードは裏付けを取るのが大変なので一切受け付けないとのこと。要するに日本発行のカードしか信用しないってことです。

    1. そうなんですか。ATMカードが使えないんですね。。私はアメリカのATMカードは、ヨーロッパなど他国で使ったことはありますが、日本ではありませんで。。日本の銀行口座をひとつ残してあり、日本円がATMで出したいときは日本の銀行のATMカードでおろしています。。。「日本で発行されたクレジット・カードONLY」というところは増えていますね。楽天はお歳暮や母の日父の日などに使いますが、私がいままで使っている分にはアメリカのクレジット・カードでもOKでした。アメリカのカードだと詐欺などが多いということなんでしょうか。。便利なようで、不便ですねえ。。

  2. 我が家の場合は、私はクレジット派です。夫の場合は、ATM代わりに使うことがよくあるので、デビットも使います。よくレシートをなくす、ずぼらな私は、ご指摘の通り、クレジットの方がリターンなどで証明しやすいので、すきです。
    支払いも自動に設定しているので、遅れることが無く、この前家を買ったときに、まれに見る超ハイスコア夫婦だと言われました。

    1. えへへ、わたしもドンブリ勘定マクロ派でして、クレジット明細は家計簿代わりでもあります。。。Amexなんかだと、年度末には、Year-End Summaryをくれて、カテゴリーごとに仕分けまでしてくれ、消費傾向までみたりできるので、ますますズボラになりますが。。。

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