ファイナンシャルプラナーのいろいろ

ファイナンシャルプラナー、ファイナンシャルアドバイザー、アセットマネージャー、インベストメントアドバイザーなどなど、いろんな名前が存在します。実際、これらが具体的にどのような仕事するのか、はっきりとした定義はありません。Certified Financial Planner (CFP)_やCPA/PFS(Personal Financial Specialist)などは、パーソナルファイナンスのプラニングをするアドバイザーが持っていることの多い資格ですが、この資格がなくともファイナンシャルプラナーとかアドバイザーと称することは可能です。ファイナンシャルプラニングの領域については、前回のブログでまとめてみました。今回は提供するサービスやお金のチャージのしかたによって、どのような種類があるかをざっとまとめてみます。なお、Smart&Responsibelは、CPA/PFSを持ち、一番最後のHourly Feeタイプにてサービスを行っています。

 

Sales Commissionタイプ:

 

これは最も古くからあるタイプで、投資ファンドや保険ポリシーなど金融商品の販売によりコミッションを得るタイプです。販売においては、細かく顧客の状況を聞き、必要なシュミレーションなどもしながら、商品の長所・短所を説明する必要がありますが、このようなコンサルテーションは無償で提供します。その代わり、商品が売れた場合には販売時の手数料や、あるいは年々の運営手数料の一部を継続的に受け取ります。金融商品を持ち続ける顧客は、必要に応じて、販売したアドバイザーに連絡をとり、継続的なサービスを受けることができます。

 

Asset Under Management(AUM) Feeタイプ:

 

過去数十年の間に、販売によるコミッションベースから、販売によらない手数料(Fee)ベースへのシフトが急速に進んできました。とくに大きく発展したのが、AUMモデルです。Asset Under Managementとは、アドバイザーが投資・管理する投資資産のことで、通常は401(k)などのリタイヤメント口座は含まず、アドバイザーが直接手を下し選択したり売り買いのできる投資資産をいいます。

AUM Feeは、投資資産の大きさによっても変化しますが、平均は1.02%/年(2017 AdvisoryHQ study)です。投資資産が大きくなるとパーセンテージが下がるのが普通です。反対に投資資産が小さいと、パーセンテージが上がったり、あるいはそもそもサービス提供を受けてもらえないこともあります。$1,000,000投資資産のあった場合の1%は、年間$10,000収入になりますが、$100,000の1%は$1,000であり、アドバイザーにとってサービス提供が効率的でないからです。$250,000程度が最低投資資産ラインに設定されていることが多いようです。Feeは、ファンド自体のファンド手数料に追加でかかります。

AUMは必然的に、投資マネージメントに焦点があたります。保険などエリア外のことは、カバーされないことがほとんどです。

 

Robo Advisorタイプ:

 

BettermentやSwellなど、最近よく話題に上るロボアドバイザーは、いわばAUMモデルのロボット版です。AUMはアドバイザーという人間が投資ポートフォリオを組み、その後リバランスやアロケーション変更などの管理を行いますが、ロボアドバイザーはこれをソフトウエアで行うというイメージです。ソフトウエアで自動化する部分が大きいため、AUMモデルのように一定の投資資産をもっていることを必要条件にされることもなく、誰でも気楽に始められます。Feeは、投資資産の0%(少額投資)から0.89%程度までで、平均は0.40%/年です。Feeは、ファンド自体のファンド手数料に追加でかかります。

また、Vanguard やSchwabなどロボアドバイザー機能に加えて、必要なら人に直接話せる機能を合わせて提供しているところもあります。いずれにせよAUMモデルと同じく、焦点は投資マネージメントにあたります。

自分の投資スパンやリスクに対する姿勢、その他の財産などを入力し、自分にカスタマイズしたポートフォリオを安価に組んで欲しいというニーズがある場合には、力づよい味方になるでしょう。また、投資額が小さいうちは%ベースの手数料は絶対額にして非常に小さい額ですから、とりあえず若いうちはロボアドバイザーで始めておいて、そのうちもっとパーソナルファイナンスが複雑になったら(結婚した、家を買う、子どもが生まれたなど)、必要に応じ広い範囲のプラニングサービスを使うというのも悪くないでしょう。

低手数料のインデックスファンドを使ったBuy&Hold(いったん買ったら持ち続ける=売り買いをしない)のパッシブ投資が、最近では大きなトレンドになってきています。低手数料インデックスファンドを4つも合わせれば、リスクを広く分散させた優良ポートフォリオが簡単に作れる時代です。このことは、Do-it-yourselfer(自分でやるひと)には追い風で、AUMモデルにせよ、ロボアドバイザーにせよ、ずっとかかり続けるFeeに渋い顔をし、自分でやろうとする顧客層も存在します。

また、最近ではリタイヤメントのTarget Date Fundや、学資準備の529のAge-based Portfolioなど、いつ退職するか、いつ入学するかというターゲット年に合わせて、時間経過するにつれ自動的にリスク調整を行うファンドも人気を博しており、このようなファンドを使えばわざわざAUMやRobo Advisorはいらないとする人たちもいます。

 

Retainer タイプ:

 

AUMタイプではカバーされない投資マネージメント以外のさまざまなパーソナルファイナスの要素をカバーするモデルで、月ごとの料金(Monthly Retainer)か、年間料金(Annual Retainer)かの形で、継続的に料金を支払い、必要に応じ継続的にサービスを受けるモデルです。アドバイザーによっては、まず初回は数千ドルで包括的なファイナンシャルプラニングを行い、それ以降は月/年の料金を徴収しながら、プランしたことの実行を助けたり、その後の投資モニタリングを行ったり、必要に応じて質問に答えたりなどの継続サービスを提供するというタイプもあります。

料金は、AUMのように投資資産に対して一定パーセンテージがとられるというのではなく、誰が利用しても一定額です。典型的な料金は、年間にして$2,000から$7,500の間です(Nerdwallet)。

Charles Schwabがロボアドバイザーに加えて、Retainerタイプのサービスを始めました。最初は、オンラインで入力された情報をもとに1時間のミーティングででファイナンシャルプランを作り(初回$300)、その後月々$30で必要なヘルプ、相談を提供する(30分ミーティング)というものです。バジェットつくり、リタイヤメント、学資などのゴールのための投資などまで相談にのってくれます。比較的短時間でシンプルにプランを作り、実行するためのヘルプもちょこちょこっつと欲しいというタイプの方にはお手頃なサービスだと思います。

 

Hourly Feeタイプ:

 

このタイプは、単に必要な時間だけ必要なサービスを提供し、かかった時間に対し時間給でチャージします。ポートフォリオの見直しだけ、生命保険のチェックだけというように、単発課題だけを取り組むこともあれば、全体的かつ包括的なファイナンシャルプラニングとして、すべての要素を分析することもできます。Smart & ResponsibleはこのHourly Feeシステムを使っています。

Hourly Feeは$200~$400程度が典型的です。Hourly Feeモデルでは、ひとつひとつの案件にかかる時間数を見積もることが必要となりますが、これが実はなかなかむずかしいものです。やりはじめて分析していってはじめてわかる要件というのもあって、見積もった以上に時間がかかることも少なくありません。よって、Hourly Feeの考え方をベースにしながら、案件ベースでFlat Fee(固定料金)を課すモデルもあります。Flat Feeでは、案件によりますが、$1,000から$3,000が典型的な範囲です。一般的に収入が多いほうが、資産構成も複雑になる傾向があり、同時にプラニングの複雑性も高まります。一般に、収入の1%から2%程度が包括的ファイナンシャルプラニングのコスト目安とされています。

Hourly Fee/Flat Feeベースのアドバイザーの多くは、包括的パーソナルファイナンスをカバーする場合が多く、全体的なプラニングをし、アクションプランの実行は必要に応じ時間給でヘルプするというような形が主です。

 

 

5 comments

  1. 今回も貴重な情報提供ありがとうざいます。
    恐縮ですが、どんな方(ケース)にファイナンシャルプランナーは必要なのでしょうか?そもそも投資額が小さい場合でも必要なのでしょうか? 小さい場合は401KとIRAのINDEX FUNDで充分だと理解しておりました。例えば、年間のFEE 5000ドル以場合、10万ドルの投資ですと5%がFEEになり、RETURNが少なると思います。50万ドルの場合は1%で少し余裕に見えますが、5000ドル自体は大金に思えます。
    宜しくお願い致します。

    1. 投資額が大きくても小さくても、長期投資に関しては”401KとIRAのINDEX FUNDで充分”な場合が多いと思います。インデックスのパッシブBuy&Holdでの投資をされる方は、自分でローコストのインデックスファンドを選ばれれば、投資に関してはそれで十分な場合がほとんどです。ファイナンシャルプラニングの意義は、投資ファンドの選択を超えて、学費やリタイヤメントなどどう優先させて積み立てるかとか、保険が十分でなくリスクが残っている部分はないか、将来への積み立てと現在のニーズ(今の生活への出費や家の購入など現時点のお金の必要)と将来(学費やリタイヤメント)への準備をどうバランスをとるか、節税できる可能性はないか、老後は具体的にどのように引き出して使うかなど広い範囲での分析・計画にあるかと思います。

      1. なるほど、リタイアメントをどうしても重視してしまいました。お金の使い道を全体的HOLISTICに見る際、プランナーに相談すれば良いのですね。ありがとうございました。

  2. 岩崎さんのブログは大変参考になります。
    様々な情報をありがとうございます。

    素人の私で、お恥ずかしい質問ですが、どうか教えてください。

    1)IRAの貯蓄分(約100K)をポートフォリオマネージャーに管理してもらい、膨らませていきたいのですが、ポートフォリオマネージャーの方々の腕前の違いというのはあるのでしょうか。現在SchwabにIRAを設置していますが、そのIntelligent Portfolios Premium ($300 無期限の登録料、月$30管理費)を利用するのがいいか、知人に紹介してもらった大手フルサービスのブローカー(CFA)に1%のコミッションで管理をお願いすべきか迷っています。

    2)コロナショックで今後の株価も不透明ですが、だからこそ今すぐポートフォリオマネージャーにお願いすべきなのか、今しばらく様子を見るべきでしょうか、岩崎さんはどのようにお考えでしょうか。

    お忙しいところ恐縮ですが、アドバイスをいただければ幸いです。
    よろしくお願いいたします。

    1. こんにちは。いただいたご質問ですが、これは、何を目的に投資するか、リスクについてどういう姿勢をとるか、パッシブ投資とアクティブ投資についてどう考えるかなどなど、いろいろな要素を考慮してはじめて答えが出ることかと思います。リタイヤメント目的、いったんセットアップしたら何もしないで投資し続けるというのであれば、基本的インデックスファンドを使ってマネージャなしでやるのが一番と私は思いますが、もちろん巷にはいろいろな考え方があります。ローコストインデックスファンド投資や、市場の状況をみてのタイミングをとることについては、このブログにもたくさん記事がありますので、ご覧になってください。

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