ファイナンシャルプラニングって何?

ファイナンシャルプラニングと聞くと、みなさんどんなものを思い浮かべますか?実は、この言葉ははっきりした定義がありません。お金にまつわるプラニングをすれば何でもファイナンシャルプラニングです。たとえば、401(k)にいくら積み立てようか・・とか、月々のバジェットをつくろう・・・など、限られた範囲の小さな課題に取り組むことがファイナンシャルプラニングと呼ばれることもありますし、反対に家計でお金が関わるすべてのこと、つまり現在、将来、そしてその方の亡ってからの相続まで含んだ大変広義の意味で使われることもあります。

 

ファイナンシャルプラニングの領域

 

Smart & Responsibleが行うファイナンシャルプラニングは、Holisticアプローチを使っています。Holisticとは「全体」を意味し、たとえば医療などでHolisticといえば、身体面だけでなく精神面や「気」まで考慮にいれた統合的な治療法をさしますが、パーソナルファイナンスに使われる場合も同様にそれに関わる要素を包括的に扱うということをさします。

ファイナンシャルプラニングと一言でいいますが、カバーする範囲は大変に広いです。しかしながら、その広い範囲の一部をとりあげて、他の部分は無視したまま、計算したりシュミレーションしたりして決断をするということも案外よく行われています。たとえば、家を購入するとして、今頭金に出せる資金がいくらあり、いくらいくらの家を購入したら、どのくらいのモーゲージを抱えることになり、月々の返済がいくらか・・というような試算はよく見ますね。頭金もあり、月々の返済もできそうならば、家の購入をしてよいと判断するかもしれません。しかしながら、ここに、リタイヤメントや学費準備についての観点を入れ込むと、もしかしたら、頭金に充てようとしているお金をカレッジ資金準備のための長期投資に回した方がいいかもしれないという選択肢も生まれる可能性がありますし、月々のモーゲージ返済は問題なくできそうだったとしても、モーゲージ返済を少し削って月々の401(K)への積み立てを上げた方がいいという判断が生まれる可能性もありえます。

アニュイティを購入しようとした方は、将来の収入の試算表を手にすることがあるでしょう。それはアニュイティにだけ関わる部分のプラニングです。それだけを見ていても、将来のソーシャルセキュリティと合わせてどのくらいの年金収入になるのか、その収入で将来の必要経費の何パーセントをカバーするのかなどはわかりません。全体的に見て、他にどのくらいのリタイヤメント資産を蓄えておく必要があるのか、今の401(K)で十分かなど、大きな図のなかでとらえる方が最適な決断ができるでしょう。

また、お金をどう使うかだけではなく、それにより税金面での影響はどうかについても考えことも必要です。直接的にいくらかかるかだけではなく、それにより税金が増えればそれは追加の費用として考慮する必要がありますし、それにより控除があり税金が減れば、それは直接かかる費用を削減するものとして考慮せねば、全体的に最適な解は得られません。

雇用主提供のベネフィットの活用も大切な分野です。節税できる可能性がまだ残っているのに、使わないままになっているベネフィットがあるかもしれません。反対に、ベネフィットを使わないほうがいいのに使ってしまっているケースもあるでしょう。雇用主提供の生命保険がトクに違いないと加入していたら、実は別個で個人加入した方が安いということもあります。何を取って何を捨てるか、これも包括的に考えていきます。

さらにはお金をどう守るかも一緒に考える必要があります。十分な貯金、十分な資産運用をしていても、家が火事になった、大きな事故に遭った、家計の大黒柱が病気になって働けない・・など万が一のことがあった場合、一生懸命築き上げてきたものがいっきに崩れるのでは大変なことです。万が一のことがあっても、崩れ去らず何とか持ちこたえることができるセーフティーネットを提供してくれるのが保険です。保険は大変重要ですが、無駄な保険に入ることは大きな無駄遣いです。保険は必要なだけ、ただし無駄なく持つこと、これもファイナンシャルプラニングの大切な要素です。

お金はひとつの場所に使えば、他の場所には使えない・・・といえば当たり前ですが、つねにこのトレードオフを考えつつ、全体的に最適になるようにお金の使い方の配分していく必要があります。

今、現在の収入をどう使い、どう貯めるかという縦方向のトレードオフを考えるとともに、将来的にお金が必要となる時に大丈夫なように、今使う代わりに貯めておくという横方向も考えに入れる必要があります。

ファイナンシャルプラニングはつまるところ、今から死ぬまでの間の収支をうまく合わせることが目的です(もちろん、人によっては、次世代への相続まで考慮に入れる場合もありますが)。今の収支も考えつつ、将来の収支も合うように計画すること、全体図をとらえつつ、さまざまに絡み合う要素を広く考慮して、存在するいろいろな選択肢を比較しつつ自分に最適な道を選んでいくこと、これがHolisticアプローチの意図するところです。

 

ファイナンシャルプラニングの意義

 

ファイナンシャルプラニングの意義は、大きく4つあるかと思います。

 

トレードオフが見える:

今使うか、将来のためにとっておくかという時間軸上のトレードオフや、今この時使うにしても、使うならAに使うか、Bに使うかという使い方の種類上のトレードオフがあります。お金の使い方にはいろいろありますが、それらに優先順位をつけ、順位の高いものからお金を割り振っていくことで、同じ使うにも有効な使い方ができるようになります。

バジェットをつくり守るのが得意な方なら、お金の使いかたを優先順位によって細かくプランしそれに沿って生活するものよいでしょうし、反対にバジェットはどうも苦手という方なら、優先順位の高い部分だけしっかり押さえ、あとはある程度の自由度をもって生活するという方法もあります。

ゴール達成への道が見える:

家や車の購入など短中期的ゴールから、学資やリタイヤメントなど長期的ゴールまで、実現可能性を把握し、それを実現すべく貯蓄や投資などのしくみをつくり、ゴールまでの道を可視化することを実現します。

そもそも自分たちにはどのようなゴールがあるのか、自分たちらしい生き方をするためのゴールは何か、それは現実的なものか、それを実現させるだけの十分な資金や準備期間があるか、どう具体的に準備すればよいかを明らかにできます。このような情報を整理すると、ついつい将来を考えるのを回避して貯めないということも、反対に心配し過ぎてため込みすぎるということも最小化でき、目的意識をもった貯蓄・運用ができます。

安心して使う:

どうしても欲しい服、どうしても行きたい旅行、どうしても参加したいセミナーなどなど、お金を使おうかどうか迷ったことはおありでしょうか。そんな時、トレードオフが良く見え、優先順位の高いものはしっかり押さえ、将来のゴールへの道は軌道にのっていることがわかっていれば、罪悪感を感じずお金を使うことができます。結局ファイナンシャルプラニングは貯めるためにあるのではなく、使うためにあるのです。貯めたままで死にたい人はあまりいないでしょう(子どもに莫大な相続を残したいというのなら別ですが)。将来のために貯めるのも、それは使うためであり、いつもいつも罪悪感を覚えて不安にかられながらお金をつかうのであれば、それは悲しいことです。

やることをできる限りでプラニングしたあとは、使えるお金があるなら安心して自由に使うことができるようになります。

時に流されない:

「今はビットコインが旬」だとか、「〇〇株が期待」だとか、「ゴールドが上昇中」だとか、「××ファンドが二けたの利回り!」だとか、「株式市場は降下傾向」だとか、いろいろな気になるニュースが現れますが、ファイナンシャルプラニングで自分たちのスタンスをつくり、ゴール実現のシステムをつくっておけば、それらに流されることを防くごとができます。

長期的に見て安定的なゴール実現のしくみをつくるので、時がよいときも悪い時も、そのしくみを忠実に守っていく土台を持つことができます。そのしくみには必要な微調整こそすれ、時の良し悪しや流行でちょこちょこ変更を加えることはありません。

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