家計のことに関して、私たちにはいろいろな疑問や不安が浮かびます。たとえば、こんな思いがありませんか?
- 自分の家計がいったい妥当なものなのか知りたい
- もっと簡単にわかりやすくお金を管理したい
- 多分大丈夫だとは思うが、一応確認しておきたい
- 家計を改善したいがどこから手をつけていいかわからない
- ファイナンシャルプラナーに相談したいが、具体的に見せられる数字がない
その他にも、もっと具体的な課題があるかもしれませんね。たとえばこんなかんじで。
- 家計が赤字だがどうしたらいい
- 生命保険が必要なのかどうか、必要ならどのくらい必要なのか
- すすめられたアニュイティを買ったほうがいいのか
- 現金で持っておいたほうがいいのか、投資がいいのか
- 家を買うかレントするか、買うならいくらの家が買えるのだろう
- 車の買い替え時期はいつがいいのか
- 学資はどのくらい貯めるべきなのか
- ロボアドバイザーを使ったほうがいいのか
- 大学の授業料払って税金安くなりますか
まあ、さまざまな質問があるのではないかと思いますが、これらすべての質問や疑問や不安に対して、私たちは往々にして間違ったアプローチで答えを見つけようとしていることをご存じでしょうか?ものには順序というものがあり、これは家計診断においてもあてはまります。まずは、間違った入り方から見てみましょう。
家計で悩んだとき、最初にしないほうがいいこと
家計のやりくりを工夫したり、パーソナルファイナンスでの大切な決断を迫られたとき、私たちはついつい「外」に回答を求めがちです。まあ、自分の中で答えがわからないから、目を外に向けたいと思うのも当然ではあるかもしれませんね。よくありがちな間違った最初の切り口はこんなものがあります。
ふつうみんなどうしているかを調べる
「ふつうどのくらいだったらいいでしょうか?」、「4人家族の月の生活費は平均的にどのくらいでしょう?」、「こういう場合みんなどうしているのでしょう?」といった具合に、「ふつう」や「平均値」を求めることは、最初の切り口としてはいけません。それは必ずしもそれを調べたり、参考にしたりするのがいけないということではないのです。ただ、まずは自分の置かれた現状や我が家の家計に目を向けることが最初の第一歩だということです。外ばかり見ても自分たちにとっての最善の方策は見つからないのです。あくまで順序としては、「己を知ること」、そして必要に応じて参考として「他と比べる」という運びがよいように思います。
プロのおすすめを聞く
自分がよくわからないから、よく知っている人に聞くというのは当たり前のようにも思います。ただ、いつも心に留めておきたいのは、「自分のお金に対して一番思い入れがあるのはあなた自身である」ということです。
私は投資や商品を売らず、時給ベースでお客様の立場で働くプラナーとして働いてきました。ですから、お客様のお金は自分のお金であるかのように、いつも第三者的で中立的な立場で投資や保険などを吟味・提案してきたつもりです。それであってもやはりお客様のお金は私のお金ではないのは事実です。そういう意味で、自分の好みや価値観を全く振り払って、お客様の立場になりきって考えるということはなかなかできるものではないことを思い知らされます。私たちは人間ですから、完全中立ということはあり得ないのではないかと思うのです。
ましてや、商品を売ることでコミッションや手数料を得る専門家であれば、みなさん人間ですから、どんなに最善を尽くしてもどうしても偏った提案になることもあるでしょう。ですから、あくまで自分の現状とニーズを知ったうえで、自分にとって納得のいくものを自分で決めていくというスタンスはとても大切なように思うのです。プロはあくまで情報源として活用するのがよいでしょう。
ひとつひとつ対応する
もう一つ、私たちの陥りがちな問題は、「保険をどうしよう」、「家を買ったほうがいいか」、「ロボアドバイザーを使うか」、「節税法はないか」などを考えるときに、それらを一つ一つ独立の問題として取り扱ってしまうということです。
保険と家とロボアドバイザーと税金は、まるで無関係のように思えるかもしれませんが、深いところでつながっています。保険を買ったら月々の保険料が発生し、家の返済に充てられる額が少なくなり、その分買える家の値段が下がるかもしれません。しかしながら、必要な保険ならば買っておかないと、何か大きなこと(早期死亡や自然災害)が起こったときに、そもそも家計が破綻し家を手放さなくてはならなくなるかもしれません。
貯蓄型保険の代わりに、掛け捨て保険にしてロボアドバイザーを使うのも考慮したほうがいい選択しですし、ではロボアドを使うのと401(k)を使うのと、どちらが税金面でベストか持考えたほうがいいです。つまり、家計の様々な要素の決断は、それぞれ一つ一つでするのではなくて、全体的に考えて行く必要があるのです。
家計で悩んだとき、まずするべきこと
では、まずどうすればいいのか。
自分のからだで考えてみましょう。「どうも胃がすっきりしない」、「何かおかしいかも」と思ったら、まず「じゃあどんな手術や薬が必要か」をいきなり決めませんね。まずは健康診断を受けます。パーソナルファイナンスも同じです。まずは、家計診断を行います。健康診断ならば、BMIや血液検査を受けて、今のからだの状態を把握しますね。また、運動を日ごろからしているか、何時間くらい寝ているか、どんな食事をしているかの日ごろの生活パターンの把握もあります。
家計診断も同じように考えます。つまり、今の家計の状態と日ごろのお金の生活や行動パターンの把握を行います。家計のチェックでは、これをバランスシートと家計簿という2つのツールで行います。
バランスシート =今の家計の状態の把握
家計簿 =日ごろのお金の行動パターンの把握
バランスシートをつくる ― 今の家計の状態を把握
今の家計の状態、つまり我が家の家計は今どんな状態にあるのかを把握するためのツールがバランスシートというものです。なぜバランスシートという名前かというと、このシートは左側と右側の2つに分かれていて、この2つがバランスする、つまり同額になるように作られているからです。
2つの部分には何が入るかといいますと、左側には持っているもの、つまり資産がリストアップされます。そして、右側には借りているもの、つまり負債がリストアップされます。あら、資産のほうが多くて、負債が少しならバランスしませんね?その通りです。なので、バランスさせるために、そのバランスしない部分(資産から負債を引いたもの)については、右側に純資産としてリストします。このバランスシートの作り方については別の記事で詳しく見ていきます。
バランスシートでわかることは何でしょう?まずは、自分が今何を持っていて、何を借りていて、差し引いて本当に持っているもの(純資産)がどのくらいあるのかということと、それから持っているものや借りているものにはどんな種類のどんなアイテムがあるのか、それらがいくらくらいなのかです。バランスシートは、過去の生活を続けてきた結果つくられた今の状態を示しています。
脂っこいお肉や食塩の高いものを食べ続けてきたので血圧やコレステロールが高いかもしれないように、もしも浪費が重なっていれば借金が膨れているかもしれません。また、健康的なものを選んで食べてきたけれど食べるものに偏りがあったとなれば、体重はオッケーでも大切な栄養素が欠乏しているかもしれません。まさに家計も同じで、純資産は十分にあるようだけれど、資産の配分が適切でなく、持っておいたほうがよい資産が掛けているということもあり得ます。
このように、今の家計の状態を把握するツールがバランスシートです。
家計簿をつくる ― 日ごろのお金の行動パターンの把握
バランスシートが今の家計の状態をチェックするものである一方で、家計簿のほうは日ごろのお金のパターン、つまり収入を得たりお金を使ったりする行動のパターンをチェックするものです。お医者さんは、私たちが運動を定期的にしているかとか、どんな食事をしているかなど、日ごろの生活状況を確認しますね。それと同じように家計簿で、週や月に収入がいくらくらいあるか、週や月にどんなものにいくらくらい使っているかのお金の出入りを把握するのです。
日本語では家計簿という呼び方が親しまれていますが、英語ではマンスリーキャッシュフローと言ったりします。月々に、どのくらいどんな収入が入ってくるかのキャッシュインフローと、どのくらいどんな支出が出ていくのかのキャッシュアウトフローを列挙し、最後に差し引きトータルを計算します。収入から支出を引いたものが黒字なら、月々得る収入の範囲内で家計が回っていることを示しています。反対に、それが赤字なら、月々得る収入以上にお金を使ってしまっているという状態を示します。
もう一度振り返りますが、
バランスシート =今の家計の状態の把握
家計簿 /マンスリーキャッシュフロー =日ごろのお金の行動パターンの把握
です。
バランスシートとマンスリーキャッシュフローの深~い関係
マンスリーキャッシュフローは月々のお金に関する行動のパターンを見るもので、バランスシートが家計の状態を見るものです。たとえ私たちが家計簿を付けていなかったとしても、過去の家計簿に載るはずだったの行動パターンは、月々、年々積み重なっていて、そしてそれが今のバランスシートに今の状態として反映されています。
たとえばですが、今のバランスシートとマンスリーキャッシュフローを見て家計診断をしてみた結果、今度は少し行動パターンを変えてみようということになったとしましょう。これからは、新しい行動パターン(ちょっと外食費を減らしてみるとか、$100多く貯金に回すとか)で生活をしていきます。その新しい行動パターンは、まずは新しい家計簿に反映されます。そして一定期間それが繰り返されたあとは、目に見える形で新しいバランスシートに結果がでます。たとえばですが、費用が減って貯金が増えたなら、バランスシートには増えた貯金分が左側の資産(持っているもの)にあらわれます。この新しいパターンを積み重ねれば積み重ねるほど、バランスシートへの影響は大きくなります。
冒頭の様々な悩みや疑問に対して正しい答をだすには、このバランスシートとマンスリーキャッシュフローの把握がとばしてはならない第一歩なのです。
家計簿/マンスリーキャッシュフロー =日ごろのお金の行動パターン が積み重なって、バランスシート=家計の状態 ができるからです。どこをめざし、どう行動を変えるか、これがファイナンシャルプラニングの目的です。その大切な第一歩が、バランスシートと家計簿/マンスリーキャッシュフローの作成です。今日、これを読んだあなたは大きな一歩を踏み出しました。次は実際に、バランスシートとマンスリーキャッシュフローをつくってみましょう。
こんにちは。
いつも有用な記事を有難うございます。
チャールズシュワブ証券の口座を開設した者です。
毎月、ETFでも積み立てできればと思いましたが、
金利が上がっているので定期預金でも良いのかなと思い始めている所です。
MMFを購入すれば良いと聞いた事があるのですが、
アメリカの証券会社で定期預金をする方法、それに代わる預け方はありますか?
どうぞ宜しくお願いします。
こちらのサイトで、いろいろな金融機関のMMF、Saving、CDのレートが比較できます。
https://www.bankrate.com/banking/money-market/rates/