投資の手はじめ(2) - 自分の許容リスクを知る

自分の許容リスクってどうやって決めるの?リスクに見合ったリターンってどういうこと?という質問にお応えする 投資の手はじめ、第2弾。儲かりそうだから投資してみるとか、人に薦められたから買ってみたなんてことないですか?それが、自分たちに本当に合った投資であると自信が持てますか?とくにリタイヤメント資金準備など長期にわたる投資では、計画なしで走っていると、目的地に着いたとき(リタイヤしたとき)「こんなはずじゃなかった!」ということにもなりかねません。

リスク。誰でもとりたくはないですね。でも実はわたしたちは、日々リスクをとりつつ生活していること、リスクはとらずしてリターンは期待できないことについて 投資の手はじめ(1)で 一緒に考えてみました。復習しますと。。。

  • リスクとは、いいこともあるが悪いこともあるという不確定性のことである。
  • リスクの大きさは、不確定性の大きさに比例する。不確定性が大きいこと、つまり予想しうる最悪の結果と最高の結果の範囲が広いほど、リスクが高いことを意味する。
  • 高リスクなら高リターン、低リスクなら低リターンというように、リスクとリターンは裏腹の関係である。

このことを踏まえたうえで、「では自分はどのくらいのリターンを期待しつつ、どのくらいのリスクをとりたいか」を具体化させること、これが次のステップです。

人はだいたいリスク・アバース(リスクを回避したい)なものですが、その程度はまちまちですね。カジノに入った瞬間気が大きくなって数百ドルをポン!と賭けられる人から、不安定な株式市場のニュースを聞いただけで安眠できなくなる人まで。。。ただし、投資の許容リスクというのは、人の性格タイプだけで決めるものじゃありません。

許容リスクを決める要素とは

1.投資の期間

たとえ一時的に値下がりしても、長期の投資であればあるほど、値がもとに戻りさらには値上がりするまで待てることになりますから、結果的にリスクをより許容できることになります。市場にはアップ・アンド・ダウンはつきものですから、この長期的投資スパンというのは、許容リスク・レベルに最も影響をあたえる要素のひとつです。

2.途中の不確定要素・阻害要素の有無

長期的に投資できると思ったものの、途中、家の修理が入って引き出すことが必要になったり、雇用が不安定になって投資アカウントに手をつけざるを得なくなるなど、長期的投資を阻害するようなことが起こらないか、万が一の場合の余剰資金が別に確保してあるかというようなことも考慮に入れます。長期スパンで比較的リスクを高めに投資していたら、前述のような不慮の事態となり、投資が値下がりしているのにもかかわらず、引き出したりあるいは解約したりを迫られることになれば、当初の投資の目的を達成できないばかりか、予期せぬ損失をこうむることにもなります。このような途中の不確定要素・阻害要素が少なければ少ないほど、よりリスクを許容できることになります。

3.あなたの投資や市場に対する知識

わからないもの、理解できないものほど、人を不安にさせます。不安になると人は最善でない決断をしてしまうことがあります。たとえば、市場暴落の際、これは大変だとあわてて売りにでてしまうなどというのがこの例です。また、投資を始めたあとは、定期的に(6ヶ月~1年に一度)、目標に向かって自分の投資が機能しているかのチェックが必要です。これはある程度の知識があればできることで、そんなにハードルは高くないですよ。それでも、必要な知識を取得して自分でやろうという気があるほうが、リスクをより許容する準備があるということになります。

4.目標とするリターン

たとえば、「××ドルの元手で○○年までに△△ドル貯めたい」という目標がある場合、では逆算するとどのくらいのリターンが必要になるかを割り出すことができます。このアプローチは、「許容リスクをまず決めて、それに伴ったリターンを得る」の姿勢の逆をいくもので、「必要なリターンがこれこれだから、そのくらいのリスクを許容する」という姿勢です。投資の手はじめ(1)でお話したように、リスクとリターンは裏腹ですから、リスクを決めればリターンが決まるし、リターンを決めればリスクが決まるというわけですね。

では、自分の許容リスクとリターンを、具体的に知るにはどうすればよいのでしょうか。ひとつWebサイトをご紹介しましょう。フィデリティ投信がアセット・アロケーション(資産分配)のための許容リスク診断テストを提供しています。やってみてください。ただしここで、注意事項。これは日本人向けテストなので、最後に出てくるアロケーション全体的に安全志向になっています。ちなみにアメリカ市場向けテストですと、こんなのがあります。アメリカの投資者は全体的に投資リスクに対して許容度が高いので、同じように答えても少しリスキーなアロケーションになっている気がします。アメリカに暮らすあなたは、いったいどちら派でしょうか。

いきなりアロケーションの話になってしまい、戸惑った方もおられることでしょう。アロケーションというのは、手持ちの資金を、どのような割合で投資商品のタイプごとに割り振るかを決めることです。これについては、次回 投資の手はじめ(3)でご説明します。

許容リスクとリターンを決めると自ずからそれに見合ったアロケーションが決まってくるので、上記のようなテストの結果は、許容リスクごとのアロケーションで表されることが多いのです。今日のところはこれくらいにしましょう。ごくろうさまでした。

 



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