生活のしかたで -た(貯or溜)まるもの。

今日は子どもに教えておきたいと思ってつくったお話です。うちの子はきっとyoutubeで一発あてて悠々自適に暮らすというタイプではないと思うので(本人はどう思っているかは知らないけど)、月々入ってくるお金をうまく使って、Smart & Responsibleに生活をしていく術をちゃんと知っておいて欲しいと思うこのごろ。いい大学行って高給がもらえたとしても、お金との付き合い方を知らねば立ち行かないだろうと思いつつ。。反対に給料は安い仕事でも、働けることに感謝しつつ、少ない収入を賢くマネージすることができれば、何とかやっていけるだろうとも思いながら。ということで、今日は3人のキャラクターがでてくるお話です。

 

気の利いた名前を考えられればいいのだけど、哀しいかなクリエイティビティの欠如により、三人をAさん、Bさん、Cさんと呼ぶことにします。3人は同じ年で年収も同じ$50,000です。

Aさんのストーリー

A san

Aさんは、安全性を重んじた、平均的なサイズの小ぎれいな1ベットルームに住み、車は機能性を重視したHonda CRVをリースしています。インターネットと携帯電話とで月々$100内におさめ、電話は機能性にはこだわるが最新モデルである必要はないと思っています。食事は簡単にすませることはあるものの、できるだけ自炊を心がけ、ローカルマーケットで新鮮で安い野菜を買うなどして工夫していています。コスト削減と栄養のバランスを考え、外食は月に$100ぐらいでおさめるようにしています。服を買ったり友達と出かけたりするために$350のバジェットがあり、出かけることが多くて少しお金を使った月などは、服を買うのをやめたりして調節していています。

 

Bさんのストーリー

B san

Bさんは、Aさんよりちょっと広めでジムやプールなどが整備された1ベットルーム・アパートメントに住んでいます。体を動かすのが好きなので、ジムやプールの設備のよいところを選びました。スポーツジムに加入する必要がないので、少々高めの家賃は十分元がとれると考えています。車は前から乗りたかったVolkswagenのJettaをリースしていています。食事をつくるのは苦手で、買ってきたもの(加工品)を食べるのが多くなっています。外食することもよくあります。そんなに無駄遣いをしているとは思いませんが、かといって節約することや貯金することに一生懸命というわけでもありません。欲しいものがあったり遊びたいときには、あまり考えず使っていますが、毎月余るお金があるのはいいことだと思っています。

 

Cさんのストーリー

C san

Cさんは、ゴージャスで広いロフト付1ベッドルームに住んでいます。コンドの設備はなかなかよく、とても満足しています。一生懸命仕事をがんばっているご褒美といってはなんだけれど、車はBMW W1をリースすることにしました。携帯電話は新モデルが出るごとにアップグレードするようにしています。友達が遊びにくることも多く、映画を見たりゲームをすることもあるので、家のインターネットやケーブルプログラムなどは、ハイスピードなオンデマンド環境を整えています。つきあいで遊びに出かけたり外食することは多いです。お金が足りなくなる月もあるかもしれないけれど、カードで繰り越せば問題ないし、月々数百ドルのことなのであまり気にしていません。

 

繰り返しますが3人とも給料はまったく同じ。税金や健康保険料なども同じです。住むアパートは$200ずつの差で、AさんとCさんでは$400の差です。電気・ガスなどはアパートの大きさと豪華さによって$10ずつの差があります。また、3人とも車をリースしていますが、CR-VのAさんとBMWのCさんでは月々$150の差があります。高い車に乗っていれば保険料も上がりますので、CR-VとBMWでは$40の差です。携帯電話のモデルにはこだわらないAさんと、携帯電話も家のネット設備も最新・最速でそろえているCさんでは、$100の差がでています。また、生活の仕方でも差があり、Aさんは自炊中心・外食はそこそこですが、Bさんは外食が少し多くなり、Cさんにいたっては外食のほうが自炊より多くなっています。Aさんの堅実な生活は被服費と娯楽費の使い方にも見えますが、Cさんはあまり考えず使いたいときに使うというやり方です。

 

さて収支を見てみると、Aさんは月々$767の余剰金が残り、これを毎月、長期投資にまわしたとしましょう。401(k)やIRAなどで積み立てたと考えてもいいですし、ETFなどで自分で投資をしたと考えてもよいでしょう。まだ若いので十分リスクをとった投資ができますから、年々の利回りが7%だったと仮定します。すると5年後には、$54,888にまで残高が成長し、10年後には$132,698にまでに達します。これは、ストーリーをシンプルにするため、給料がこの間まったく上がらないことを前提にしていますが、給料が上がっていったなら、Aさんのマネーマネジメント力をもってすれば、もっとお金が貯まっていることでしょう。

Asan B san Csan

一方Bさんは、月々の余剰金は$127です。比較的小さな額ではありますが、でもこの額をAさん同様長期投資に回したとします。5年後には$9,068、10年後には$21,924になります。AさんとBさんでは、月の生活費の差は$640の差です。$640というとはした金ではありませんが、大金でもない額です。しかしながら、これが積み重なると5年で$45,000、10年で$110,000の差にまでなります。この差はあっても、Bさんはまだたまっているものが、プラスの数字であるだけでも喜ぶべきことです。

 

最後にCさんとなると、たまっているものは資産ではなくて借金です。Cさんは月々、収入より$400ほど支出のほうが多く、本人はたった数百ドルの赤なのでたいして気にもしていませんでしたが、これも積もれば大きな額になります。悲しいことにカードローンというのは非常に利率が悪く、10%以上は常、ひどいと25%ということもありますから、月々の借入額が少なくとも長期放って置くだけでどんどん大きな額になっていきます。5年で$37,000の借金、10年で$116,000の借金になります。実際は、こんなに大きな借金になる前に、借金返済を試みるでしょう。給料がグンと上がったので、一気に借金返済ができたというラッキーなケースもあるかもしれません。あるいは、条件のいいバランストランスファーなどを使って、きちんとした返済計画の下、完済までがんばったというシナリオになるかもしれません。Cさんは、やりたい放題、あまり考えないでお金を使うことに慣れているので、完済をするには生活の見直しと考え方の方向転換が必要です。方向転換があいまいだと、借金を他の形の借金に変えただけで、まったく残高は減らないどころか増えてしまったというようなことにもなります。やむをえない借金はいたしかたがりませんが、生活のしかたがゆえにできる借金は、万策を講じて防ぎたいところです。一度マイナスになると、マイナスを処理してからでないと、プラスに入れません(当たり前のことですが)。

 

話をAさんに戻しますが、Aさんは今は資産があります。そのまま貯め続けることもできれば、一部を頭金にして家を買うこともできます。あるいは車が先かもしれません。Aさんは堅実な生活をしてきたので、10年前はCさんに比べれば華やかな生活ではありませんでしたが、10年後の今はCさんよりも多くのオプションを手にしています。家を買うか、車を買うか、それともバーケーションに行くか、学校に戻って学位を取り直すなど・・・、選択できる自由がある、これが本当のファイナンシャル・インディペンデンスというものです。

2 comments

  1. すごく現実的でいいです!
    うちはAさんパターンですねえ。
    今でも車はコンパクトカー1台、モーゲージはボストン市内で1br借りるより低いです。
    ただ、10年たっても余裕が無い!笑
    いや。アメリカ基準では「ある」のかも。
    ここが分からないんですよ。自分の基準で言ったら、今後もお金が上手に使えない気がするんです。そろそろトラストを作成し、長期の計画をプロと一緒に立てていこうかと思っています。

    1. お金って、あっても「ない」と思っていたり、ないのに「ある」と思っていたりってことありますよね。基準は、いったいどこにあるのか、なかなか難しい問題ですね。。長期的な計画は面倒だけど、やってみるといろいろ見えてきたりして価値があると思います。

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