Medicare Advantage vs. Medigap

Original Medicare(Plan A &B)だけでは、十分な医療保険のカバーが得られないので、Medicare加入者は、Medigapで穴を埋めるか、あるいはMedicare Advantageを購入してカバーを広げることになります。今日は、まずMedicare Advantageについて調べるとともに、Medigapを選ぶのかMedicare Advantageを選ぶのか、どちらが自分にとっては適切かを考えるためにポイントとなる点についてまとめます。

Medicare Advantageとは

Medicare Advantage Planは別名Medicare Part Cとも呼ばれ、Medicareと提携した保険会社が提供する、Medicare Original(Part AとPart B)の代替プランです。Medicare Advantage Planは最低限Medicare Originalのカバーするアイテムはカバーし、多くの場合それに加えて追加アイテムをカバーします。また、処方箋もカバーするプランもありますが、カバー範囲はプランによって大きな差があります。今日では、Medicare対象者の7人にひとりがMedicare Advantage Planにサインアップしています。

Medicareに加入したうえで・・・

 

Original Medicareの代替プランというと、Original Medicareに入る代わりにMedicare Advantage Planに入るというイメージがありますが、そうではありません。Medicare Advantageに入るためには、Original Medicareに入っている必要があります。Original MedicareのPart Aは、勤労期間に保険料の払い込みは終わっているのでふつう保険料がありませんが、Part Bには保険料があります。このPart Bの保険料を支払った上で、さらにMedicare Advantageの保険料を払ってはじめて、Medicare Advantage Planに加入することができます。Medicare Advantageを持っているということは、実質的にはMedicareを受けているということですが、ただ、消費者は保険会社と直接やりとりをし、保険会社が代わってMedicareとやりとりをするということになります。保険会社によって、Medicare Advantageのカバー内容には違いがあり、自己負担や医療サービスの受け方もまちまちです。また、保険料もさまざまです。一年に一度、エンロールメント期間が設定さており、その期内に他のMedicare Advantageに変更することができます。この点ではMedigapより加入が楽といえます。

ネットワークと自己負担

 

Medicare Advantage Planは、使い勝手的にはMedicareに入っているということはほとんど意識せず、それまで雇用主やInsurance Market Placeなどを通して加入していたふつうの健康保険と同じような感覚で使います。HMO、PPO、PFFS、MMSA、SNPプランなどがあります。Medicare Advantage Planには、サービス・エリアの指定があり、サービス・エリアはカウンティ、州、その他の地域で、そのエリアに住む人だけがそのエリアのプランに参加でき、そのエリアで医療サービスを受けることになります。ただし、非常時(Emergency CareとUrgent Care)については、全米でサービスが受けられます。医療サービスを受ける場合にはCopayが設定されていたり、Deductibleが設定されていたり、Coinsuranceが設定されていたりと、これまでの健康保険と同様、プランごとに内容が変わります。プランによって、ネットワーク内の医療サービスのみをカバーするものや、スペシャリストに会うためにはプライマリー医師のリフェラルが必要なもの、ネットワーク外は自己負担が多いものなど、通常の健康保険同様、内容がさまざまです。Medicare Advantageでは、Maximum out-of-pocketが設定されており、それぞれの年に、Deductible、Copay、Coiunsuranceなど自己負担の最大限度が設定されています。

自己責任の範囲

 

Medicare AdvantageはMedicare人口の30%のシェアを獲得しています。保険料の安さと医療以外のベネフィットもひとつの保険でカバーできる気安さから人気を集めてきました。Medicare Advantageは、限られた差を除いてOriginal Medicareの提供しているサービスはすべてカバーしなければならないことに定められています。しかしながら保険会社や提供プランの種類によって、その内容にはさまざまな差がありますので、安易な選択はNGです。

Medicareはそれぞれのプランの質を評価するために、5スターの評価制度を使っています。この評価の全体的な平均は、このところ少しづつ向上してきており、2013年には平均値が3.71/5.00だったのが、2015年には3.92/5.00まで上がりました。すべてのMedicare Advantageのプランのうち60%は4スター以上であるとしています。

消費者団体や専門家は、まず第一に4スター以上のプランにだけ絞ることを勧めています。何年かのデータを見てみて、安定して4スター以上を得ているプランは比較的安心できるといえましょう。これはわざわざいうまでもなくあたりまえのことのようにも思いますが、Kaiser Foundationのリサーチでは、65歳以上のMedicare人口においては、このようなレイティングのチェックをしないで購入するケースが多いうえ、いったん加入したプランについては、たとえレイティングが悪くなっても、よりよい他のプランを見つけて乗り換えるということは多くないとしています。このようなチェックが億劫だと思われる場合には、敢えてベネフィット内容が安定的なMedigapのほうを選ぶほうが安全かもしれません。

しかしながら、スター評価のチェックははじめの第一歩にすぎません。それ以外にも、プランの質を確認する作業は必要です。

New York Timesのレポートによると、Medicare Advantageプランは連邦政府の監査で、コンプライアンス上の問題が見つかることもしばしばであるとのことです。具体的には、十分な根拠なしに医療サービスや処方箋のベネフィットを拒否したり、医師からの診断情報を十分に考慮していないようなケースや、拒否の場合のアピールの権利やプロセスについて患者に十分周知を行っていないなどの問題がレポートされています。消費者団体でも、MedicareやMedigapについての苦情を受けるより、Medicare Advantageに関しての苦情を受けるほうが多いとレポートしています。

Medicare Advantageは、Medigapのようなレベルでのベネフィット内容の標準化がないこと、毎年プランの内容が変更になったり、場合によってはプラン自体が急になくなるような可能もあることなどもあり、その選択にあたってはプランの質をよく吟味して加入すること、その後も毎年ベネフィットの内容やネットワーク医師の変更など、ある程度のチェックが継続的に必要です。また、Preapprovalでの拒否や、カバーすると思って受けたサービスのカバー拒否などがあった場合は、アピールする努力が必要です。Medicare Advantageを選ぶ場合は、消費者側のそのような努力が必要であることを覚悟しておくことが大切です。

 

Medigapか、Medicare Advantageか

コスト

Medigapは保険料が高いが、ある程度の医療サービスが必要な場合、よいカバーのプランを持っていれば最終的な自己負担額の総計は低くなる傾向があるのに対し、Medicare Advantageは月々の保険料では節約できるが、病気やケガが続けば自己負担額は膨れ上がる傾向があります。Medigapはいってみればローリスク・ローリターンで、月々の保険料はある程度かかるが、どれだけ病気をしてもケガをしても、しっかりとカバーできるプランも存在しています。Medicare Advantageは、一方でハイリスク・ハイリターンで、月々の保険料は節約できるが、多額の医療サービスを受けると、CopayやDeductibleやCoinsuranceがかさみ大きな出費になる可能性も秘めているプランです。最悪、それぞれのプランで設定しているOut-of-pocket Maximum (自己負担額の年間上限)までは支払う覚悟がいります。2016年のOut-of-pocket Maximumは$6,700です。

加入資格

Medigapは、65歳になる月からの6か月間のOpen Enrollment期間であれば、メディカルスクリーニングなしに、無条件で加入できることが保証されています(Guaranteed Issuance)が、それを超えると、特別なケースに該当しない限りメディカルスクリーニングを受けることになります。一方、Medical Advantage は、年々のエンロールメント期間に加入することができます。各プランのサービス区域に住みOriginal Medicareに加入していれば、End-Stage Renal Diseaseでない限り加入することができます。この意味で、加入の厳しさという面ではMedigapのほうが厳しく、Medicare Advantageのほうは毎年加入機会があり、より加入資格がゆるいといえます。

ネットワーク

Original MedicareやMedigapにはネットワークという概念がなく、アメリカのどこでも、Medicareをアクセプトする医師、医療機関、スペシャリストであれば誰にでもサービスを受けることができます。Medigapのプランによってはアメリカ国外での医療サービスもカバーします。移動や旅行が多い人には、Medigapのほうがベターといえましょう。一方、Medicare Advantageは、ネットワークの概念があり、利用できる医師や医療機関に限定があります。またスペシャリストに会う場合も、プライマリー医のリフェラルやPreapprovalが必要なケースもあります。

処方箋

Medigapは処方箋はカバーしないので、処方箋のカバーが欲しければ、Medicare Plan Dを購入する必要があります。Medicare Advantageは、処方箋もカバーする場合もあります。もしなければ、Plan Dで付け足します。

使い勝手

Medigapは、Original Medicare(Plan A &B)、Medigap、Plan D(加入すればですが)と3枚のカードを持ち歩くことになりますが、ただ選ぶプランによってはほとんど自分のポケットから支払う必要もなくなり、MedicareとMedigapがシームレスに連携し支払い作業をしてくれるので、自分でしなければならない事後の請求処理やチェックなどは最低限といえます。一方で、Medicare Advantageは、ネットワーク内外の事前チェックや、DeductibleやCoinsuranceなどの管理、請求処理など事後の作業も残ります。

おまけ

Medigapは医療サービスだけのカバーである一方で、Medicare Advantageは、Drugはもとより、Vision、Dentalなどおまけでエキストラのサービスをカバーする場合も多いです。しかしながら、VisionやDentalなどは内容をよく見てみると、それほど充実した内容でもない場合も多く、どれだけの価値があるものかは吟味が必要です。

カバー内容の安定性

Medigapの各プランは標準化されています。AからNまでの英数字で表される各プランは、保険会社が違っても提供されているサービス内容は画一です。このためプランの比較が簡単であり、また年々プランの内容が大きく変更されることがないという安定性が期待できます。一方、Medicare Advantageは、標準化という概念がないので、それぞれの保険会社が独自の方針でプランの内容や条件を変更することもしばしばです。一度は加入したら、あとはよほどのことがない限り変更せず、毎年面倒なチェックもせず持ち続けたい場合には、Medigapのほうが適しているといえましょう。Medicare Advantageは、毎年のプラン内容のチェックは必須といえます。

6 comments

  1. 日本人専業主婦で働いて8クレジットしかありません
    もうすぐ65歳日本から年金はもらっています
    結婚して25年になります

    主人は年下でまだ働いています
    定年を自分で選べる職種なので後15年くらい働く予定です

    結婚が10年以上なので主人のSSは半分もらえることは
    わかるのですがmedicareがよくわからずこちらのサイトに行き着きました

    先日SSオフイスに伺ったところまったくmedicareはもらえないと
    言われそのままになってしまいました
    私の保険は主人の会社で支払っていますがほんとうにもらえないのでしょうか?

    というのも主人はもうすでに30年以上働いているし
    ジョイントのタックスですし...
    マリッジライセンスやグリーンカードほかにパスポートなど
    そして去年のタックスリターンなどを持っていけばいいのでしょうか?
    それとも専業主婦は主人が65歳になるまでまたないといけないのでしょうか?

    SSでダメと言われて受ける受けないにしてもファイルしないということさえ
    知りませんでした
    専業主婦のmedicareはどうしたらいいのでしょうか?

    1. 全くもらえないとは、どういう理由でのことだったのでしょうね。。詳細はわかりませんが、以下のページに詳しくメディケアの受給資格が載っています。もしもらえないと言われたら、このページの情報のどこの部分に該当しないのでだめなのか、確かめてみてください。
      https://www.hhs.gov/answers/medicare-and-medicaid/who-is-elibible-for-medicare/index.html

      1. 迅速なお返事ありがとうございました
        この間にマイナーな手術があったので遅くなってしまいました

        主人の会社のHRにエキスパートがいると言うので主人が聞いてきたところ
        主人が62歳にならないとSSと同じでmedicareも主人が62歳に
        ならないと私はもらえないと言うことでした

        日米租税条約というのは年金だけの話しなのでしょうか?
        確かにここでは8クレジットしかないのですが..
        日本と合算すると25年以上払っているのですが...

        今回の手術でEKG一つの検査に$300の請求書がきました
        この後ストレステストと手術の費用の請求書がくるのが怖いです
        この国の保険はほんとにひどいですね

        もう少し体の回復を待って教えて頂いたサイトのコピーをもって
        SSオフィスに聞きに行こうと思います.
        本当にありがとうございました

        1. 日米租税条約は年金だけでなく、所得税を中心にカバーしている条約のようです。
          そうですね、この国は医療サービスを受けるのが怖くなりますね。保険の内容をよく把握するのと、可能であればHealth Savings Account やFlexible Spending Accountもお使いになるといいと思います。

          1. あまりにも知らない事が多過ぎて恥ずかしい限りです
            一つ一つ勉強していきたいと思います
            HSAとFSAも早速調べました
            ほんとうにこのサイトに出会えてよかったです
            ありがとうございました

          2. 大丈夫ですよ。知らないことがあると分かった時点で、知ることができる人生になりますから。知らないことも知らないと進展はありませんが。いつか、体系立ててみなさんが勉強できるようなしくみをつくれたらいいな~と思っています。

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください