子ども名義の預金口座と大学費用の話

Last Updated on 2021年7月26日 by admin

ある程度の年になったら子ども名義の銀行口座をつくって、お金を貯めることのたいせつさを教えるというのはとてもいいことですね。お小遣いの一部とか、日本に帰国したときに親戚からもらったお金などを少しずつ貯めておくのもいいでしょう。アメリカ的なご家庭なら、投資を一緒にやってみてお金を増やすことの意義を教えたいという考えもあるでしょう。また、おじいちゃんやおばあちゃんからまとまったお金をもらったので、将来の学資のためにでも、子ども名義で貯めておきたいというニーズもあるかもしれません。

子ども名義にの銀行口座にはいくつかの種類があり、Federalレベルの法律で規定される部分もありますが、州ごとに異なる法律で規定される部分もあり、また銀行ごとのポリーシーも関係してくるので、どのようなオプションがあり、どのような法律やルールがかかわってくるのかは、取引をする銀行でよく話を聞いて決める必要があります。

大雑把に一般的には下のようなタイプがあるようです。

子どもの個人口座: 一定の年齢(13歳など)に達した子どもが開くことができる子ども個人の口座で、子どもが入金も出金も自由にすることができ、またATMカードを持つこともできたりします。

ジョイント口座: 親と子どもがジョイントで所有する口座です。親も子どもも同様の所有権があり、どちらもが入金・出金することができます。子どもにもATMカードをつくることができる場合もあります。

UTMA/UGMA口座(カストディアル口座): 口座の中のお金自体は子どもの所有ですが、一定年齢(通常は18歳、ともすると21歳)になるまでは管理人(親など)が、入金・出金などを含む一切の管理を負います。一定年齢になると、管理は子どもに移ります。

この他にも、親の持っている口座にリンクさせて子ども用の口座をつくったり、ティーネイジャーをターゲットにした口座を利用したりというオプションがあるかもしれません。

どれがいいか?

どれがいいかは個人個人の状況で違ってくるでしょうから一概には言えませんが、それぞれの特徴をここでまとめてみようと思います。

まず子どもの個人口座はほとんどの場合ベストの選択ではないでしょう。子ども個人が所有者になっても、お金を管理したり、それに付随する銀行とのやりとりに責任を持ってしたり、書類処理の決断をしたりなど、まだ完全にやりとげることができないと思われるからです。いくら親でも、口座自体は子ども名義なので、銀行とのやりとりで親が自由に介入することは難しくなりますから、いろいろな手続きが煩雑になる可能性があります。

ジョイント口座の場合は、親も子どももジョイント所有者として同じ権限を持ちます。よって、子どもができるところは子どもが自分でやり、必要に応じて親が介入して助けてやったり、親の意向に沿って口座を管理することができます。ただ、子どもも立派な所有者なので、親に相談なしに口座にあるお金を全額引き出すということも、法律上は可能です。

UTMA/UGMA口座の口座所有者はあくまで子どもですが、親がカストディアン(管理人)として管理を引き受けます。子どもが一定年齢(18歳/21歳)に達するまでは、子どもはカストディアンの了解なしにはお金を使うことができません。通常は、子どもが一定年齢に達すると、カストディアル口座は子ども自身の個人口座に変わり、100%子どものコントロール下になります。

学資積み立てとファイナシャルエイド

子どものためにつくる口座は学資積み立てのために使われることもよくあります。この良き意図でつくった口座が、実はファイナンシャルエイドを得るためにはネガティブに働くことがままあります。FAFSA(Free Application for Federal Student Aid)の計算では、銀行口座を含む子どもの資産はその20%が考慮され、たとえば口座残高が$10,000であれば、EFC(Expected Family Contribution = 自己負担予想額)が$2,000増える、つまりファイナンシャルエイドが$2,000減るというように働きます。一方、親の資産として同じ額$10,000を持っていた場合、こちらは5.64%だけが考慮され、EFCは$564だけ増えるのみです。また、親の資産は年齢などによって、はじめの$40,000~$45,000ほどの資産をまったくカウントしないという除外処置もありますので、この$10,000がはじめの$40,000~$45,000に含まれるとすれば、EFCにはまったく影響がないかもしれません。  その後、この除外措置がの額が激減し、親の年齢にもよりますが、$10,000前後までに下がっています。より低い資産でも、提供されるエイドの額に影響を与えることになっています。

子ども個人の口座はもちろんのこと、ジョイント口座も子どもの資産ですから、どちらもが20%の率で計算に含まれます。ではUTMA/UGMA口座はどうなのかというと、実はこれも子どもの資産としてカウントされます。UTMA/UGMA口座は、親がコントロールを持ちつつも子ども名義で積み立てられるという魅力がアピール、使われる口座です。個人口座やジョイント口座は、マネートレーニングなどのために多く使われ、残高もそれほど多くないかも知れませんが、UTMA/UGMA口座の場合は、まとまった額が入金され、将来の学資のために貯蓄・投資されたりすることも多いでしょう。場合によっては、金融機関がファイナンシャルエイドに及ぼす影響などを説明しないで口座開設をしたりすることもあるようで、後からUTMA/UGMA口座をつくったことを後悔するケースも多いようです。

このようなケースを踏まえて、次回はUTMA/UGMA口座とファイナンシャルエイドについてもう少し詳しく見ていきます。

2 comments

  1. こんにちは。Newsletterに登録して、大正解でした。まだ5歳の子どもの貯金など考えていますが、本当に参考になるサイトですね。これからも活用させて頂きます。お金とは仲良く付き合っていきたいものです。

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