ミューチュアルファンドやETFに投資をしたことがある方なら、Morningstar社つけている評価を参考にした方もいらっしゃるかと思います。Gold、Silver、Bronzeなどのアナリスト評価や、あるいは最高5までのスター評価のことです。これ、もちろんGoldはSilverよりよいわけですし、5つ星は3つ星よりいいのはわかりますが、でもその意味するところは実際何なのか? 今日はその勉強です。
これならカンタン。。。
たとえば下のファンド。ファンドの名前の横に5つスターとGold評価が載っています。これならカンタン。いいファンドということでしょう。
これもカンタン。。。
一つ星だけ。。。寂しいですね。これはきっと買わないファンドでしょう。
じゃ、これは?
3つ星だけどGold評価。。どんなものでしょうね?どう考えたらいいのでしょう。
それに、これは?
5つ星だけでメタルの評価はなし。上のファンドとくらべて評価をどう読めばいいのか。。
ご注意
続ける前にひとつしっかりお伝えしたいことがあります。
Smart&Responsibleでは、おひとりおひとり、あるいはそれぞれのご家庭の許容リスクと必要利回りなどを鑑み長期的に投資を行うことをお勧めしています。そのためには、ダイバーシフィケーションとアロケーションが最適化されたポートフォリオを組むことが必要です。それは、この記事でとりあげているGold評価の5スターファンドを、より集めて投資すればよいということでは決してありません。どんなに評価の良いファンドばかりを集めてもダイバーシフィケーションとアロケーションが整っていないと、よい結果を生みません。ですので、この記事でとりあげるファンドは単に、評価システムの勉強のためにとりあげているだけであり、これらのファンドを現在お持ちのポートフォリオに安易に加えることは、ポートフォリオ全体としてマイナスの効果につながることもあります。ここにあがっているファンドは、あくまで便宜上とりあげたファンドであり、Smart&Responsibleが投資をおすすめするためにとりあげたのではありませんのでご理解ください。
Morningstar スター評価
1つ星から5つ星までであらわされるスター評価は1985年に開始しました。スター評価は、開始して3年以上経過しているファンドに対して付与されます。過去3年間、5年間、10年間の業績を調べ、それをほかの同様なファンドたちと比較して、どのような成績順位であったかによって星の数を付与するものです。下のように、トップ10%であれば5つ星、その次の22.5%に入っていれば4つ星、真ん中35%なら3つ星という具合で、ボトム10%だと一つ星となります。
業績を比較するときには、それぞれのファンドのとっているリスクレベルを鑑みてコンパラブルになるように調整しています(高リスクなら高リターンはあたりまえなので、コンパラブルになるよう人為的に業績を調整)。またファンドのコスト(Expense Ratio)も含んで業績評価するので、高手数料のファンドはその分業績が落ちるしくみになっています。
スター評価は純粋に過去の業績評価であり、すでに起こったことを評価するものです。また、業績比較はリスクとコスト調整後の利回り比較という、純粋な数字上での評価です。
Morningstarアナリスト評価
Gold、Bronze、Silver、Neutral、Negativeの5段階であらわされるアナリスト評価は2011年に開始しました。その名のとおり、アナリストがファンドに対して評価を行うもので、ほかの同類のファンドより業績があげられる傾向や、インデックスファンドであればそのベンチマークよりよい業績があげられる傾向など、ファンドの質的内容を問います。
評価基準には5つの柱があり、それらは、People(ファンドマネージャーの能力・適正)、Parent(ファンド会社のビジネス傾向)、Process(ファンド運用プロセス)、Performance(業績)、Price(手数料などを含む値)です。数的データだけではなく、面と向かってのファンドマネージャーとのインタビューなども含まれ、過去の数字だけに頼るスター評価に比較して、より多くの包括的かつ質的情報を吟味します。実際、この評価システムが導入された裏には、スター評価だけでは光を当てられない部分に光を当てるという目的がありました。
アナリスト評価はファンドやファンド会社の質的評価を含み、今後このファンドがよい成績を収められそうかを判断するために役立つ未来予想型の評価システムです。
ふたつを合わせつつ。。。
どちらもそれぞれの役割がある評価システムです。数的業績・過去振り返り型 対 質的情報・未来予想型 という対比です。
よって、Gold評価で1つ星ということもあれば、5つ星だけどNegative評価がついているということもありえます。前者は、過去の業績はかなり悲しいものだったが、現在のファンドの運営状況を見る限り、将来的にはおそらくほかのファンドよりすばらしい業績があげられそうだと予想されているファンドであり、後者は、過去の業績はすばらしいが、現在のファンドの運営状況は決して良質なものではなく将来的な見通しは非常に暗いということになります。どちらがよいかは、いわずもがなですね。
過去のパターンは将来のパターンを予測するのにある程度の役には立つのは確かです。ただ、投資の世界では、投資媒体の選択に過去の成績に頼りすぎるのはタブーとされています。マーケットの状態や、経済を揺るがす出来事など、まったく同じ状態が将来に引き継がれることはほぼないからです。過去の重大な出来事(たとえばマーケットの暴落のような)のため1つ星になったファンドであれば、同じような状態が繰り返さない限り1つ星ではないともいえますし、反対に、たまたま投資したセグメントが大きく当たりすばらしい業績を出し5つ星になったファンドでも、その当たりをまた出し続けるのは難しいともいえます。
よって、ふたつの評価システムは合わせつつ利用するのがよいですが、どちらか一方を重視するとすれば、それはアナリスト評価です。投資ポートフォリオを組む際には、できればGold、Silver、Bronze評価を得ているもので組みたいものです。