インベストメントの手数料にお気をつけを!(1)-Sales Load

401(k)や529、あるいはそれ以外の投資アカウントで、ミューチュアル・ファンド(投資信託)をお使いの方は多いでしょう。ミューチュアル・ファンド、誰からどういう形で買うかによって、まったく同じファンドに投資するのでも、投資結果が違ってくることがあるのをご存知でしょうか?それは、買い方・選び方によって手数料が違ってくるからです。ミューチュアル・ファンドにまつわる手数料にはたくさんの種類がありますが、今回はそのうちのひとつSales Loadに焦点を当てます。

401 リタイヤメント 529 ファンド 手数料

Sales Loadとは

Sales Loadとは、ミューチュアル・ファンドやその他、株や債権などの投資媒体を、ブローカーを通して購入した場合にかかる手数料(コミッション)です。ブローカーの販売活動に対しての報酬として、ブローカーに対して支払われます。ブローカーとは、あなたの使うファイナンシャル・アドバイザーであったり、インベストメント・アドバイジング・サービスを提供している銀行の担当者であったり、大きな投資ブローケージ会社であったり、あるいはそのファンドを運営している金融機関の内部アドバイザーであったりします。

Sales LoadはそれぞれのファンドのProspectus(投資媒体についての説明書)で確認します。もうすでにファンドに投資しているのであれば、Prospectusは郵便でお手元に届くと思います。なくしてしまった場合や、今から投資するというのであれば、オンラインでも見ることができます。

Sales Loadは、401(k)や403(b)、457などのリタイヤメント・プランなどを通して購入した場合はかからないのがふつうですが、529やIRAなどをブローカーを通して購入した場合はかかることがありますので、注意が必要です。

SEC(アメリカ証券取引委員会)は、Sales Loadは8.5%までと定めています。8.5%とは、投資残高の8.5%ということで気分が悪くなるほど高い数字です。通常のSales Loadは8.5%までは高くないにしても、3%~5%というようなSales Loadはよくあるようです。Sales Loadのかかりかたにはいろいろな種類があり、個人投資家の立場からすると、わざわざわかりにくくするために複雑にしているのではないかと疑いたくなります(実際そうじゃないかな。。)。どんなものがあるかというと。。

 

Front End Load

Front End Loadは通常クラス Aシェア(クラスについての説明は後ほど。。)に対して課されるSales Loadであり、ただ単にSales Chargeとも呼ばれます。ブロカーを介してファンドのシェアを購入した場合、そのブローカーに対して支払われる販売手数料です。Front End Loadは投資する元本を直接的に減らします。たとえば、$10,000を投資する際、5%のFront End Loadを課するファンドに投資するとすれば、$500($10,000x0.05)は販売手数料としてブローカーに支払われます。それを差し引いた投資元本は$9500($10,000-)となります。

401 529 投資 手数料 ファンド投資元本が少なくなるということは、その後の投資利回りもその分少なくなるということです。たとえば年利6.0%を見込めるミューチュアル・ファンドに投資するとき、Front End Loadが5%であった場合とブローカーに支払う手数料がない場合を比べると、投資期間が長くなればなるほど、利回りに差が開き、30年投資した場合では、投資バランスに$57,435-$54,563=$2,872の差がでます。$10,000の投資で$2,872の差は大きいですね。

投資元本が大きいほど、Front End Loadの絶対額も大きくなっていきます。投資額が一定以上であれば、そのパーセンテージがディスカウントしてもらえるしくみもあるようですが、できればFrond End Loadは極力避ける買い方をしたほうがいいでしょう。

 

Back  End Load

Back  End Loadは通常クラス Bシェアに対して課される販売手数料であり、Deferred Sales Charge(遅延販売手数料)とも呼ばれます。ファンドのシェアを買ったときではなく、売ったときにかかる手数料で、買ったときのブローカーに支払われます。買ったときにすぐかかる手数料に難色を示す人が多いため、考案されたのではないかと思われます。

最も典型的なBack End LoadはContingent Deferred Sales Load(CDSL)と呼ばれ、何年そのシェアを持ってるかによって変化していきます。たとえば、最初の1年目は5%で設定されており、これはもし1年目にシェアを売ったら(ファンドに対して売り戻したら)かかる手数料です。1年ごとにこの手数料パーセンテージは減少していき、2年めでは4%、3年目では3%というぐあいで、6年たった時点で、Back  End Loadは0%、つまりシェアを売っても販売手数料がかからない状態になります。

Back End Loadは、Front End Loadのように最初に引かれる手数料ではないので、(その他別途課されるPurchase Feeなどがないという前提なら)所持金の100%が投資元本に回ることになります。また、十分長く(上記の例であれば5年間以上)シェアを持ち続ければ、Back  End Loadが全くかからなくなるというのもいいですね。ただ、CDSLタイプのBack  End Loadの場合は、ふつう別途12b-1 Fee (Operating Expenses, Distribution and/or Service Fee )がかかるよう設定されています。この12b-1 feeは年々かかる手数料です。つまり、Sales Loadは安くしておくけど、年々ある一定額の手数料はいただきますという販売方法ということです。これも個人投資家の目をくらます手法ではないかと疑いたくなります。

 

Low  Load/No Load

上記のCDSLの期間が短く、購入後短期間でSales Loadがかからない状態になるものをLow Loadといい、またSales Loadが全くないシェアをNo Loadといいます。このようなタイプはクラス Cシェアと呼ばれます。聞こえはいいのですが、その分、先ほどの12b-1 Fee (Operating Expenses, Distribution and/or Service Fee )が一番高めです。つまり、Sales Loadはほとんどありませんが、年々の手数料はたんまりいただきますという販売方法ということです。

下の表で、クラスA、B、Cを比べてみましょう(字が小さくてごめんなさい。クリックすると若干大きくなります)。これはPIMCO Total Return Fundという、リタイヤメント・プランなどではよく使われるボンド・ファンドです。

投資 529 401 リタイヤメント ミューチュアル・ファンド 手数料

クラスというのは、Sales LoadやFeeなどのとり方、かかり方の違いによって定義されるもので、購入するファンド自体には何の差もありません。どのクラスで購入してもひとつのシェアの投資内容はまったく変わりがありませんが、買い方によってただとられる手数料が違うのです。PIMCO Total Return Fundにはこれ以外にも5クラスの設定があり、つまり全部で8クラスあるわけですが、今回は、Sales Loadの違いに焦点をあてて、のクラスA、B、Cだけを比較してみます。

 

クラスAは、Front End Loadが非常に高く、年々の12b-1Feeが比較的低いシェアです。クラスBは、Fron End Loadの代わりにBack End Loadが高く、加えて年々の12b-1 Feeの設定もあります。クラスCはFrontやBackのSales Loadがほとんどない代わり、年々の12b-1が非常に高くなっています。

 

Sales Loadをどうとらえるか

さて、ではどれを買うか。。。どのクラスを買っても、Sales Loadや12b-1 Feeでたんまりとられていきますね。どうしても、この中から買い方を選ばねばならないのなら、長期的に投資するならAかB、短期しかもたないつもりならCというところでしょうが、究極の選択かもしれません。。

ところで、Sales Loadも12b-1Feeもゼロで買うことができたらどうします?そう、ブローカーを通さずに購入すれば、可能なのです。先ほども書きましたように、401(k)などのリタイヤメントの場合はおそらくこのような買い方も多くの場合可能でしょう。529やIRAの場合ならば、ブローカーを通さないで、自分でファンドを選び直接ファンドのサイトに行って口座を開く(シェアを購入する)手続きをすれば、低手数料の買い方が可能です。

ただし、どのファンドもこの買い方ができるとは限りません。ブローカーを通してSales Loadを払ってでしか買うことができないファンドがあるのも事実です。しかし、Sales Loadを払わねばならないファンド(Load ファンド)は、ブローカーを通さないのでLoadも12b-1 Feeも課せられない(Pure No Loadファンド)に比べて、そんなにすばらしいファンドなのでしょうか?余分な手数料を正当化できるほど儲かるものなのでしょうか?

 

Loadファンド vs No Loadファンド

過去の様々なミューチュアル・ファンドのパフォーマンスを見る場合、Load ファンドとNo Loadファンド(ここでいうNo Load ファンドとは、ブローカーを通さないで買うもので、Loadも12b-1 Feeもないファンドであり、厳密にはPure No Loadと呼ばれるものです)とでは、その差はないというのが多くの調査の物語るところです。格付け会社MorningstarがLoadファンドとNo Loadファンドを比較したところ、過去3年間、5年間という期間では、No Loadファンドのほうが成績がよかったとのことです。つまりLoadは、「特別にブローカーを通してでしか買えない優秀なファンド」を買うときにかかる手数料というより、単にどんなファンドでもブローカーから買ったときにかかる販売手数料ということです。

わたしが個人的におすすめするのは、なるべくSales Loadは避ける(なるべく12b-1 Feeも避ける)買い方をすることです。ブローカーを通さないで買えるNo Loadファンドを選ぶということです。ブローカーなしのNo Loadファンドの中からでも十分投資目的に合致するよいファンドが見つかるはずです。自分でファンドを選ぶのがちょっと・・・という場合は、ファイナンシャル・アドバイザーのアドバイスが必要ですね、その場合は、「Loadや12b-1 Feeを課すCommision-basedのアドバイザー」ではなく、「 一時間あたりいくらという形でチャージするFee-basedのアドバイザー」を使い、かかったアドバイスの時間だけお金を払い、目的にあったNo Loadファンドを提案してもらうとよいのではないでしょうか。

 

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