オバマケアとタックスリターン

Last Updated on 2021年2月17日 by admin

2014年度のタックスリターン・シーズンが始まりました。今回のタックスリターンはオバマケアが導入されてからの初めてのタックスリターンになります。何がどうなるのが押さえておきたいところを見てみましょう。

まず、2014年度から保険を持っていたかどうかのチェックと、持っていなかったならその場合のペナルティ徴収が、個人のタックスリターンにおいて行われるようになります。

保険の加入義務

2014年に保険を持っていたかのチェックは、おなじみ1040のタックスフォームに新たに加えられたLine 61で行われ、健康保険を持っていたならばここにチェックをすることになります。この健康保険はどんな健康保険でもよいわけではなく、オバマケアで規定している最低限の条件を満たした健康保険です。条件を満たしている雇用主提供の保険、各州が運営しているHealthcare Marketplaceで購入した保険、その他個人で買った保険、Medicaid、Medicareなどや、Children’s Health Insurance Program、Veterans保険などを持っていれば、この項目にチェックすることができます。

Healthcare Marketplaceで提供されている保険はすべてオバマケアの最低条件を満たしていますが、雇用主提供の保険や個人で買った保険などは必ずしも条件を満たしているとは限りません。2016年度からは雇用主提供の保険が条件を満たしたものかどうかについて、雇用主が雇用者に対して通知をすることが義務付けられていますが、2014年、2015年度は移行期でその義務付けがないので、通知を受け取ることのないケースも多いでしょう。そのため、雇用主の保険が基準にあったものかどうかの厳格な施行は徹底されることは難しいと思われます。また、個人で買った保険、たとえば日本の旅行保険などのようなものも、おそらく基準に満たないものがほとんどだと思われますが、こちらも厳格なチェックは難しいかもしれません。しかしながら、ここ1,2年の移行期で次第に施行が厳しくなっていくのではないかと思われますので、加入者側でもその旨心構えをしておくことが必要です。

また、保険加入を正当な理由でしていない場合はexemptionとして加入義務が免除になります。どうしてもaffordableな保険が見つからなかった、宗教的な理由から保険に加入しない、ドメスティック・バイオレンスやホームレスなどの困難な状況があるため加入が現実的でないなどの場合がそれです。

加入していなかった場合のペナルティ

*後日追記: 2019年プランからこのペナルティは廃止されました。

条件を満たす保険に加入していなかった場合のペナルティは、2014年の場合は世帯収入の1%か、一人につき$95(18歳未満の子供の場合半額)のどちらか大きいほうです。このペナルティの大きさは2015年には世帯収入の2%か一人につき$325のどちらか大きいほうに上がり、2016年以降には世帯収入の2.5%か一人につき$695のどちらか大きいほうに上がります。ペナルティに関しても、ここ1、2年で次第に本格施行に移行していくということを意味しています。

ペナルティは保険加入をしていなかった月に対して支払いますが、3ヶ月まで無保険であってもペナルティのない恩赦期間があります。2014年の場合はこれが4ヶ月で、2014年3月31日までにMarketplaceを通して保険に登録すれば、保険が開始される以前の月に関してペナルティは発生しません。例えば、申し込み期間最終日である2014年3月31日に保険に登録し、実際保険開始が5月1日であったとしても2014年1月から4月の保険がカバーされていない期間に対しペナルティは発生はしません。

助成金(Premium Tax Credit)

家族の人数と収入によっては、Premium Tax Creditと呼ばれる健康保険の保険料に対する助成金が受けられる可能性があります。連邦政府の定める貧困レベルの400%以下の所得である場合に得ることができます。貧困レベルなどと聞くととても貧しくなくては助成金をもらえないかと思いがちですが、貧困レベルの400%、つまり4倍が限度となっているので、それなりの収入があっても家族の人数が多ければ助成金を受けられる可能性が高まります。収入が増えるにつれ受けられる助成金が減っていきます。個人なら年収$11,670-$46,680 、4人家族なら年収$23,850-$95,400 の範囲で、助成金が受けられます。

この助成金は、Healthcare Marketplaceで保険を購入した場合に限り受ける事ができます。助成金は直接保険会社に支払われ、個人はもともとの保険料と助成金の差額を、個人負担の保険料として支払います。Marketplaceで保険を購入する時点では、その年の年収を予想して入力しますが、実際の年収がわかるタックスリターン時に最終調整が行われます。Marketplaceで購入した保険に関しては、Form1095A(Health Insurance Marketplace Statement)という書類が手元に届くはずで、それに保険料や助成金がいくらであったかという記載がされています。それを使ってタックスリターンを行います。予想より年収が多ければ、助成金をもらいすぎたことになりタックスリターン時に払い戻すことになり、反対に実際の年収が少なければ、タックスリファンド(あれば)に上乗せして追加で助成金を受け取ることになります。

2015年度オープンエンロールメント

Healthcare Marketplaceでの健康保険加入・変更はオープンエンロールメントと呼ばれる期間にのみ可能です。2015年のオープンエンロールメントは2014年の11月15日から始まっており、本年2月15日までです。この期間を過ぎると新たに結婚した・子どもが生まれたなどのライフイベントに適用されるスペシャル・エンロールメント時にのみにしか加入・変更ができないことになっています。

なお、雇用主提供の保険やMedicareなどの場合は、それぞれのオープンエンロールメント期間が設定されていますので、この限りではありません。

2014年にすでにMarketplaceで保険を購入していた場合は、その保険は2014年12月31日で終了しています。2015年以降も引き続き加入がしたい場合には更新手続きをし継続加入をするか、あるいは他の保険を新たに購入します。保険によっては自動的に更新がされるものもありますが、その場合でも2月15日までであれば変更が可能です。年収が変わったり家族構成が変わった入るすると、助成金の額も変更になってきますから、必ず毎年正しい助成金が受けられているかを確認することをお勧めします。

また、もし、2月15日を過ぎてしまったという場合も、とりあえずMarketplaceにコンタクトしてみることをお勧めします。まだ導入の初期段階であり、ある程度の混乱は予期されているため、なんらかの対応を受けられる可能性があります。

追記:米国医療保険制度改革法の在留邦人への適用について(2015年8月)シアトル日本領事館のサイトより転記

2014年1月1日から医療保険制度改革法(Affordable Care Act)が本格施行され、米国に在住する個人は、通常、同法の定める基準を満たした医療保険に加入する、あるいは確定申告の際、shared responsibility payment(SRP)を支払うことが求められています。医療保険制度改革法の関連規定が在留邦人にどのように適用されるかについて、米国政府の回答を受け整理した結果は以下のとおりです。

1.健康保険組合、共済組合又は全国健康保険協会によって運営されている医療保険

健康保険組合、共済組合又は全国健康保険協会によって運営されている医療保険については、米国政府から、医療保険制度改革法の定める基準を満たした医療保険と認められる旨の回答を受けています。したがって、これらの保険の加入者については、米国の医療保険に加入していない場合であっても、確定申告の際、SRPを支払う必要はありません。

2.国民健康保険制度及び後期高齢者医療制度

国民健康保険制度及び後期高齢者医療制度については、米国政府から、医療保険制度改革法の定める基準を満たした医療保険とはみなされておりません。したがって、別途、同法の定める基準を満たした医療保険に加入していない場合、 確定申告の際、SRPの支払が求められると考えられます。
なお、一年以上継続して生活の本拠が米国にある在留邦人については、原則として、国民健康保険制度や後期高齢者医療制度の被保険者資格を喪失することとなります。被保険者資格の詳細については、住民票を登録している各市区町村にご相談ください。

One comment

  1. ピンバック: 健康保険 | aomi3 now

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください