去年のオープン・エンロールメントのとき「健康保険をどう選ぶか - 後で後悔しないために」という記事を書きました。High Deductibleプランが導入され選択肢も増えたので、我が家の選択のプロセスを書いてみました。そしてまたまた、今年のオープン・エンロールメント。年をとると一年が経つのが早くなるといいますけど、このことか。ここで、ここ数年の我が家の健康保険とのストラグルを振り返ってみたいと思います。一家庭の体験でかなりの主観も入りますが、少しでもご参考になればと思い・・・
これが我が家の今年の健康保険プランの選択肢です。去年に比べ保険料が若干上がりましたが、全体的な傾向はあまり変わりなしです。オレンジ帯部分が月々の保険料。「base」と表記のあるKaiser HMOとAnthem Lumenos PPOは同じ保険料で最安です。他の保険プランは、baseプラスいくら高いかという表示の仕方にしました。
前回の記事で、タイプ別の健康保険選択法みたいなものを書いてみました。タイプは下の3つ。
- 特定のお医者さんを選ぶことが大切だという人 : 健康保険プランのタイプからはじめ、PPO、POSを選ぶ
- 「万が一」をしっかりカバーしたいという人 : ボトムラインからはじめ、Deductible(赤丸)/Annual Out-of-Pocket Maximum(青丸)の低いHMOや、POS、PPOを選ぶ
- 健康と無事故に賭けてみたいという人 : High Deductible + HRA/HSA を選ぶ
我が家は保険は「万が一のためのもの」というタイプなので、上の2番目に該当します。比較的健康でお医者さんの選択肢はそんなにフレキシブルでなくていいので、一昨年までは保険料が一番安いKaiser HMOを選んでいました。
小回りがきかなかったHMO
Kaiserはしっかりした会社で信頼はできそうでしたが、ただKaiserの病院のお医者さんにしかかかることができないのが少し不便でした。HMOと一言いっても、HMOにもいくつかのタイプがあり、Kaiserは保険会社と病院が一緒になったようなところで(Staff Model HMOというらしい)、Kaiser自身が医師を雇っています。Kaiserのお医者さんにしか診てもらえず、お医者さんのオフィスに気軽に電話して質問するというようなことができませんでした。自分とお医者さんの間に必ず、Kaiserのセントラル・オフィスが入るかんじで小回りがききませんでした。
子どもがインフルエンザっぽい症状になったので、「診察してもらってインフルエンザとわかったら、タミフルをすぐにもらえるか(そのとき、タミフルが欠乏していて、病院にせっかく熱のある子を引きずっていっても、タミフルを処方されないならかわいそうと思って・・・)」と訊きたかっただけなのに、答えをもらうのに20分もかかりました。小さなお医者さんのオフィスなら、ナースに質問して3秒で答えが得られるところ、Kaiserの場合はすべて最初の入り口がセントラル・オフィスなので、そこでルーティンどおりの対応をされ、「今熱があるか、歩行はふらふらしていないか、脱水症状はないか・・」などなどえらくたくさんの質問をされ、最後に「訳の分からないことを口走っていないか?」と聞かれたときには、「わたしは、ただタミフルがあるのかどうか、それだけが知りたいんです!」と叫んでしまいました。結局20分の質問の後、「とりあえず診察に来たほうがいい」といわれて、病院にいきましたが、お医者さんは「フルーのようですが、そんなにひどくないのでタミフルは飲まなくていいです・・」・・・・・
また、子どもにスピーチ・セラピーを受けさせたいとトライしたこともありました。すぐにテストなどは受けさせてくれましたが、最初から「医療行為が必要なスピーチの問題はないので、スピーチ・セラピーには保険が適用しない」ということを証明するようなテストのしかたという感じがしました。なにせテストをする人もKaiserの人、最初から保険がおりるかどうかがもう分かっているような対応といいますか・・・予想どおり、保険では適用外と言われました。
ちょっとフレキシブルなHMOに格上げ
そこで翌年のオープン・エンロールメントでHealthNetのBlue& Gold HMOに変更しました。表をみていただくとわかりますが、HealthNetにはただのHMOとBlue&Gold HMOというのがあって、Blue&Goldのほうは選べるお医者さんのネットワークが小さいけど(”preferred”ネットワークってやつです)コストは「Kaiserのbase額」+$90、これに対しふつうのHMOのほうは「Kaiserのbase額」+$253とかなり高めです。Blue&Goldはネットワークが小さいといっても、ぱっと見る限り十分選択肢があるように思えたので、とりあえず安いほうのこちらからトライすることにしました。
この変更は下の表(健康状態がいいときから悪いときまで、保険料と自己負担医療費のトータル・コストがどう変化するかの表です)でいうところの、一番下のKaiser HMO(赤字)からそのすぐ上のHealthNet HMO(緑字)に変更したということです。
同じHMOでも、HealthNetはKaiserとは違い自分で医師を抱えるのではなく、複数のMedical Groupネットーワークと契約しており、患者はMedical Groupを選んでそのネットワーク内でManaged Careを受けます。結局、地元の大きな病院が入っているGroup(Aネットワークとします)にしました。小児科の先生に相談し、やぱりスピーチ・セラピーを受けさせようと試みましたが、このMedical Groupからも保険カバーは難しいという返事。
なかばあきらめて自費でセラピーを受けるしかないかと思い、とりあえず地元で評判のいいプライベートのスピーチ・セラピー・センターに問い合わせました。そうしたら、そのセンターの人いわく「当センターはMedical GroupのBネットワークに属していますので、Medical Groupを現在のAネットワークからBネットワークに変更すれば、きっと保険が効いて当センターでセラピーが受けられます」というのです。同じHealthNetのHMOプランのまま、ただHMOのMedica Group選択をBネットワークに変更するだけだそうで。
保険プランはそのままでMedical Groupを変更
Medical Groupの変更はオープン・エンロールメントとは違い、一年を通していつでもできますので、すぐ変更しました。次に、小児科の先生(PCPです。この先生はAネットワークにもBネットワークにも属しています)からそのセラピー・センターへreferralをだしてもらいました。そして、そのセラピー・センターからセラピーのauthorizationをMedical Group/HealthNetにリクエストしてもらいました。
過去2回トライして、スピーチ・セラピーは保険の対象外といわれたし、ネットで調べてもカバーは難しいと書いてあるので、最後の最後まで半信半疑でしたが、2週間でスムーズにauthorizationが発行され、いまでは週に二回、一回につき$15のcopayで良質のスピーチ・セラピーが受けられています。あくまで保険はHelathNet HMOで保険ポリシーは一緒(しかもプランの冊子を読むと、スピーチ・セラピーはほとんどの場合カバーしないと書いてある)なのに、Medical Groupを変えるだけで、OKだったりOKでなかったりするのは摩訶不思議。きっと、このスピーチ・センターがauthorizationのリクエストの仕方をよく心得ていて、保険がカバーするような理由づけをしてくれたのでしょう。
この経験で学んだこと
- 健康保険は使ってみるまで、使い勝手はわからない。
- HMOや小ネットワークだからといって、いいお医者さんがいないわけではない。
- HMOとひとことにいっても、保険会社と病院と薬局が一緒になっているようなもの(Staff Model HMOという)から、保険会社が医師グループと契約しているもの(Group Model HMOとかIPA HMOと呼ばれる)までいろいろな形態があり、使い勝手が違う。
- HMOのMedical Groupは一年を通していつでも変更できる(タイミングには少々の制約あり)。
- スピーチ・セラピー、精神カウンセリング、妊娠、マッサージや鍼などは、健康保険プランやネットワークにより、サービス提供に差があるので、詳しく調べる必要がある。
- どのお医者さんがどのネットワークに属しているかという情報は、自分で把握しておいたほうがよい。
2013年に向けてこの一年ですること
さてさて、ということで今年も引き続きHealthNet Blue&Gold HMOを選んだ我が家ですが、みなさんはどんな選択をされる(た)のでしょう?選んだらおしまいではなく、これから一年かけて、選んだプランが自分たちのニーズに合ったものだったか吟味していくことになります。来年の健康保険選択はさらに複雑になるかもしれないとの予測ですので、一年かけてじっくり考えておいて、来年のオープン・エンロールメントでは、与えられた選択肢をあわてないで自信をもって(?)吟味することができるように準備しておきたいものです。さて、これから一年間の目標です。
使ってみる
健康保険は使ってみないと実際のところいいのか悪いのかわかりません。健康に自信があっても、年に一回はPhysical Check、血液検査、婦人科検診、マモグラムなどを進んで受けたいものです。Webサイトにはアカウントをつくり、医師ネットワークの把握やベネフィットの確認もします。
保険プランの冊子に目を通す
Explanation of Planなどと題された、保険プランのベネフィットやポリシー運用についての冊子があると思いますから、それをまず取り寄せること。保険会社によっては、オンラインに内容が掲載されているからと、リクエストしないと送ってこないこともありますが、その場合はぜひリクエストして(オンラインでできるはず)冊子を取り寄せます。取り寄せたら、copay、co-insurance、deductibleなどのベネフィット表はよく目を通し、その他のポリシーの説明部分もさっと目を通しておきます。
冊子を持ち歩く
ベネフィットの冊子は、お医者さんのオフィスに行くときも、テストを受けるときも、病院へ行くときも、とにかく持ち歩くとよいと思います。医療サービスを提供する側も、いろいろな保険の非常に複雑なしくみを全部把握しているわけではないので、何かヘンだと思ったらすぐ確認することができます。たとえば、血液検査を受けて$15のcopayを払うよう請求されたので、「ラボは全部無料と書いてあります」と見せて、請求が間違いだったとわかったことがあります。ひとつひとつ確認することで、自分の保険に対する理解も蓄積していきます。
請求とEOBを吟味する
医療サービスを受けると、保険会社からくるExplanation of Benefitsに目を通します。お医者さんの言い値である「表示価格」と、保険会社が許す「Contracted Price」の差を見るのも面白いですよ。どう保険が利いて、どのくらい支払われ、どのくらいが自分の負担かという感覚ができます。
来年のことを考えながら保険をつかう
医療サービスを使うたび、どこが不便か、どこが便利か、考えておきます。もしかしたら、前述のようにMedical Groupやネットワークなどを変更するだけで、オープン・エンロールメントを待たずして改善できることもあるでしょうし、翌年まで待って健康保険プラン自体を変更しなければならないものまでさまざまでしょう。変更するにしても、日ごろから考えておけば、直前にあわてることもないでしょう。
ある年、オープンエンロールメントの11月にPPOからKaiserに変え、12月に妊娠発覚。妊娠中の検診(毎回5ドル)から分娩(全部で100ドル)までKaiserで、非常にお得な思いをした経験があります。しかしローリスクの普通分娩だったからよかったというのもありますね。幸い今まで大きな病気もせずにきましたが、年齢を重ねてきていることもあるので、adminさまの分析を参考にさせていただいて、うちもワンランク上のHMOを検討したいと思います!
novemberさま、その時出産されたお子さんは今はおいくつなのでしょうね。同じ病院にかかるのでも、妊娠・出産はいいものですねぇ~。Kaiserも顧客満足度はとても高いようなので、使い方によってはとってもいい病院なんだと思います。。
うちもいろいろ試してみましたが、回りまわって、シンプルで、トータル・コストの一番安いHMOのKaiserに落ち着きました。しかも、現在の先生が、今までお世話になった先生の中で一番気に入っているため、その先生が他のプランに移らない限り、当分、変えるつもりもありません。以前は、主人は主人の会社のMedical Planに入っていましたが、私が安心できるので、それをやめてもらって私のMedical Planに入ってもらい、主人も一緒にお世話になっています。
10年ほど前から、冬から春先にかけて長い時は半年以上も続く咳に悩まされていました。その時は、Health NetのHMOでしたが、Medical Practiceと言うだけあって、Practiceされているんではないだろうかと思うほどいい加減さを感じて、PPOで良い先生がいると聞けば、保険が利かないのにもかかわらず自費で払うということで診てもらいましたが、あまり代わり映えせず、高い保険料を払ってPPOに変える必要もないなあっていう感じ。しかも、私の会社のPPOはUnited Health Care(UHC)で、UHCには以前、Health Reimbursement Accountを使っていた時にうんざりさせられる経験があったので、できれば今後もかかわりたくない存在。HMOのKaiserも、最初の頃は、会社の近くのKaiserを使ったり、隣町のKaiserを使ったりしていましたが、現在の先生に出会ってからはその先生一筋です。その先生は特にフォローアップが素晴らしく、検査も敏速に手配して、こちらが納得するまでいろいろケアしてくれます。数年前からは、先生に直接Emailできて質問できるし、検査結果などもオンラインでチェックできるので、結構、気に入っています。お陰さまで、咳の方も落ち着いて人並みに戻りました。
まあ、Kaiserにもいろいろ問題はあると思いますが、私たちは、シンプルで一番お安いHMOで、今までで一番信頼できるお医者さんに出会えてラッキーかなと感謝してます。
ぴったりの先生+保険が見つかってよかったですね。つまるところ、どの保険がいいかは、地域性がかなりありますね。ひとつの保険をとってみて、地域が変われば医師ネットワークもMedical Groupも変わって来ますから、全く話が別になるのでしょう。Kaiserはわたしたちのニーズにはいまいちでしたら、顧客満足度をみると常にトップクラスの成績をマークしていますので、ニーズにさえあえばよいHMOなのだと思います。健康保険はなかなか一発でここがいい!とはわからないものなので、きっとHannahさんのように、いろいろ試してみて、最終的に一番納得のいくものに落ち着いたというパターンが多いのでしょうね。うちもそうでした。
そうですね。それと、それに関わる”人”によっても随分、変わってくるのではないかと思います。最終的には、やはり”人”も重要な決め手。
同じKaiserのオフィスでも、現在の先生に会うまでは、「どのプランを使っても、医者なんて結局同じ」という感じはぬぐえなかったのですから。。。今の先生に出会わなければ、私も、今でも毎年のように、あっちに変えてみたり、これにしてみたりと流浪の旅を続けていたと思います。
そんな先生に出会えてよかったですね!うちも小児科の先生はそんな先生です。やっぱり”人”ですね!