悪い借金を完済する

借金のすべてが悪いとは限りません。選び方、使い方によってはよい借金というのもあります。

しかしながら、金利や返済条件のよくない「悪い借金」は、なかなか厄介な存在です。一般的にこれに当てはまるのは、クレジットカード負債やその他の消費者ローンです。最低返済額を地道に返済していてもちっとも残高が減らなかったり、返済を滞ったりすると借入残高がドンと増えたりします。悪い借金を抱えている限り、貯蓄まで手が回らないのも事実で、リタイヤメントや学費準備などへも悪影響を引き起こします。今日は、悪い借金絶滅のための方法を考えてみます。

完済への決意を確認

まずは、借金返済をどのくらいしたいかという自分の決意を確認しましょう。「完済できたらいいな」くらいでは、おそらく最後まで戦いきれません。決意は内側から来るものです。自分の外側にあるツールやサービスに解決法を求めると失敗します。まずは、自分の家計を把握し、自分を見つめ、自分の生活を変える覚悟をしっかりと確認します。

家計の吟味

家計のデータを集め、借金返済に充てられる資金源を見つけていきます。

削れる支出は?

マンスリーキャッシュフローを吟味します。現在の支出を細かく洗い出します。すべての支出項目を、「絶対必要」、「必要だが、なくてもなんとかなる」、「あまり必要でない」、「必要でない」に分類していきます。「絶対必要」はなければ生活が成り立たないものです。これ以外のものは、すべて節約対象です。自分ひとりでは感情が先立って整理しつくせないこともあるので、配偶者、友人、ファイナンシャルプラナーなどと一緒にレビューするのもいいでしょう。

完全にキチキチの生活だとやる気がすぐ失せるので、ある程度は生活を楽しむための余裕金も残しておくのもコツ。その上で、すべての削減できる支出は、借金返済のための資金とします。

処分できる資産は?

バランスシートを吟味します。今持っている資産で「売れる」ものはないですか?たとえば、眠っているブランドもののバッグとか、昔凝っていたコレクターアイテムとか、だんじりも交えて必要ないものをお金に換えましょう。

乗らない車などもそのうちかもしれません。アメリカは車社会ですが、メトロエリアに住んでいるなら、地下鉄やバスである程度動きがとれることもあるでしょう。夫婦なら2台ではなく1台でなんとか(少々不便はあっても)生活できることもあるでしょう。車を売れば、そのお金が借金返済に回せますし、税金・ガス代など月々の支出も減らせるので一石二鳥です。

収入を増やす方法は?

副収入を得る方法はありますか?ベビーシッター、チューター、Youtuber、余分な部屋をレントするなどなど。。あれば、借金返済に拍車がかかります。

借金返済の戦略をつくる

ここまでで、家計の吟味が終わり、借金返済に充てられる資金源が認識できました。、今度はそれをもとに、具体的な返済戦略を練っていきます。

ローンを金利の順に並べる

まず、抱えているローンを金利の順に並べてみます。おろらくクレジットカードがもっとも高金利の部類に入るでしょう。低くても10%、高いと25%です。0%とか数%のIntroductory rateが設定されている場合は、それらがいつ切れるのかのいう期限も確認しましょう。その次に金利が高いのはプライベートのスチューデントローンです。高いもので十数%という金利です。その次がフェデラルのスチューデントローン、自動車ローン、エクイティローン、モーゲージの順になるかと思います。

基本的に金利が高いローンから返済をしていきます。ただし、ローンによっては利子が税控除になるものもあります。フェデラルのスチューデントローン、エクイティローン、モーゲージなどです。その場合は、税控除のベネフィットも考慮に入れます。

まずは非常時の蓄えをつくる

上で借金返済の順番が決まりましたが、借金返済にいきなり入るのはよくありません。はじめに非常時の蓄え(エマージェンシーファンド)をつくることを考えます。エマージェンシーファンドとは、急な事故や病気のためまとまったお金が必要になったり、仕事が一時期できなくなったような緊急事態に備えるためです。通常の生活費のうち純生活費(外食や趣味、余興など絶対必要でない経費を除いた生活費)の3ヶ月から6ヶ月分の用意が目安です。ただ、いきなり6ヶ月が無理ならまず2ヶ月分から始めるとよいでしょう。

非常時の蓄えがないと、なにか起こったとき結局借金をして対応することになり、また最初に逆戻りということになりかねません。月々の資金源の半分は非常時の蓄えづくりに、残り半分は借金返済にというように同時進行で行うとよいでしょう。ある程度の蓄えができたら、借金返済にまわす額を少し増やすというのもよいでしょう。

返済のプライオリティを決める

複数ローンがある場合は、それぞれの最低支払額(Minimum Payment)は必ずしっかり支払います。すべての最低支払額を払ったあとの残ったお金は、金利の高いローン、税控除のないローンを優先に、決められた返済の順序に従って返済します。

最低支払額はほぼ利子ばかりで、それを支払っていても借入残高はなかなか減りませんが、まとまった余剰金を返済に充てると直接的に残高を減らします。減った残高は今度は利子を減らします。利子が減れば、今度はより残高返済に充てられる資金が増えます。このように余剰金を返済につぎ込むと、雪だるま式に借金が減っていくことになります。これを高金利のローンからはじめて、一番低金利のローンまで続けていきます。

金利を下げることも考える

返済に励むことも大切ですが、同時に現在の金利を下げられる可能性があるかも考慮します。金利を下げる方法には以下があります。

バランス・トランスファー

金利を下げるために、クレジットカードのバランス・トランスファーを考慮するのもひとつの方法です。バランス・トランスファーとは、新規クレジットカードを開いて、現在の負債をそこに付け替えることです。プロモーションで、6か月とか12か月とかの決められた期間、金利がゼロあるいは非常に低金利で借りられることがあります。

ただし、そのためには「自分は借金返済のためにバランス・トランスファーをするのだ」という覚悟が必要です。プロモーションの期間中に、積極的に負債を返済してしまうつもりでがんばります。「トランスファーをしたからには、必ず当初の返済スケジュールに忠実に返済をし終える」という覚悟がとても大切です。

そのそもクレジットカード会社はなぜ0%APRというようなプロモーションをするのでしょう?クレジット・カード会社は計算されたギャンブルをしているのです。バランス・トランスファーをする顧客の中には、0%APRの期間のうちにすべてのカード負債を返済してしまわないどころか、新しく購入した分も負債に加わり、結果的にたくさんの利子を払うことになる人たちがいることを知っているのです。思ったつぼにはまり銀行の餌食にならないように、しっかりとした覚悟が必要です。

ただし、正しい使い方をすればバランス・トランスファーは金利を下げ、より早い借金返済に大きく寄与します。すべては自分次第!こちらの記事もご参考に:クレジット・カードのバランス・トランスファー成功の秘訣(1)クレジット・カードのバランス・トランスファー成功の秘訣(2)

エクイティローン

家をお持ちであれば、家を担保にしたエクイティローンを開くことで、すべてのローンをエクイティローンにまとめることが可能かもしれません。エクイティローンは、クレジットカード利子に比べれば金利がかなり低めです。

ひとつにまとめた負債は、返済も簡単になります。

ローン間での調整

新しい口座を開くのではなく、すでにあるローンの中で、低金利のローンでクレジット限度まで達していないものがあれば、高金利のローンから残高を移すことができるか見てみましょう。なるべく低金利に残高を集中させるよう、ローンの間で残高の整理を行います。ただし、Introductory rateが設定されている場合は、その期間内で返済が終われる確認をしてから残高を移すこと。

借金返済を実行し続ける

ここまでで、借金の統合や金利の削減、具体的返済の順番が決まりました。あとは実行に移していくだけですが、返済がどう進んでいくかのロードマップを作ることも大切です。

ロードマップをつくる

実際に返済をするにあたって、何ヶ月でどのくらい返済できるか、完済するのはいつかというプランをあらかじめ作っておきます。ここまでで、今もっているローンとその額、借金返済に充てられる資金がはっきりしていますから、そのデータを使い3ヵ月後、6ヵ月後、9ヵ月後、12ヵ月後・・・といった具合に、各時点での借金残高、エマージェンシーファンドの目標値を出しておきます。借金残高はどんどん減り、エマージェンシーファンドはどんどん増えていくはずです。

返済計画を実行していくにつれて、定期的にその目標に沿った結果がでているか確認します。出ていなければその理由を確認し、調整・反省を行います。出ていればお祝いし、さらなる返済の励みとします。

リワードを喜ぶ

支出の見直しのところで、ある程度は生活を楽しむための余裕金も残しておくということを書きましたが、できれば月に10ドルとか20ドルずつ余裕金を貯めておいて、6ヶ月たって目標レビューをしたとき、きちんと目標が達成できていれば、余裕金を好きなように使うというお楽しみを盛り込みます。

借金返済システムがうまく稼動しだすと、目に見えた数字で成果が出ますので、それ自体もかなり励ましになるはずですが、加えてちょっとしたご褒美もあるというしくみです。

リバンドのない変身

ここまで借金返済にフォーカスが当たっていますが、実はこれは内側からの体質改善です。より無駄のない支出プランのリズムができ、自分の家計をよりよく把握し、責任ある支出をすれば借金が減り資産は増えることを体験することができます。貯めた余裕金を罪悪感なして自由に使う開放感を味わうと、もう前のサイクルには戻りたくないと自然と思うはずです。

5 comments

  1. 車を購入したのですが、0%の金利で買いました。この場合は60回ぎりぎりで払ったほうがいいのですよね?

    早く返しても多分利点はないと思うのですが、借金がある、という不快感が続くなあと思うのですが、利息がつかないなら早く返す意味はないと思うのですが、これはもうしょうがないですよね。

    1. わかりますよ、その不快感。気になるなら別にどんどん返してしまってもいいんじゃないでしょうか。理想は、本来ならば返済にまわす分を貯金や投資で増やせば、実質的には0%で借りて、ウン%で増やす・・ということになり、よろしいよろしい・・ということになるわけですが。。

  2. 以前ファイナンス計画を立てていただいたものです。 このたび息子が結婚しまして、プレゼントでファイナンスアドバイスのサービスを進呈したいと考えてますが、もうそのようなお仕事はされてないのでしょうか?

    1. まあ、おめでとうございます!なんと素敵なプレゼントでしょう。
      実は、今サービスを見直している最中で、新規のお客様の受付をしていない状態です。
      すぐにお役にたてずすいません。

      1. お返事遅れました。 サービス再開したら、ぜひこのサイトで周知してください。 
        よろしくお願いいたします。 

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