学費ローンの種類と決め方

Last Updated on 2017年5月21日 by admin

今年、ハイスクールを卒業された方々は、これからカレッジ入学への準備が本格化しましたね。ファイナンシャル・エイドの選択・決定や、必要経費の把握や支払いはお進みでしょうか? 今回は、とくにファイナンシャル・エイドの中のローンの選択や利方法についてまとめてみることにしました。この記事では、Undergraduateで利用できる連邦政府のローンに焦点をあてています。この中のいくつかはGraduateにも利用可能なものもありますが、あくまでUndergraduateでの利用を念頭に置いています。

ローンを比較する場合のポイント

連邦政府のローンは一種類しかオファーされない場合もあれば、何種類かを組み合わせてオファーされる場合もあります。オファーの内容は、各学生のFAFSAの申請内容に基づき、それぞれの大学が決定します。ローンは種類によって利子発生のタイミングや利率など条件が異なります。条件を知り、有利な選択をすることが必要です。どのローンが有利なのかを比較する際のポイントは以下のとおり。

 

Subsidized 対Unsubsidized : Subsidized(助成あり)とは、在籍中に発生する利子に関しては、連邦政府(Department of Education)が負担(助成)するということです。つまり、大学に在籍中は、ローンを借りている本人は無利子で借り続けられるということです。Subsided Loanはファイナンシャル・ニーズがなければ(EFCがある程度以下でなければ)受けることができません。

反対に、Unsubsidized(助成なし)とは、連邦政府の利子負担がなく、ローン借り入れが始まった時点からすぐに利子が発生するものです。Unsubsidized Loanの利用はファイナンシャル・ニーズが存在する必要はありません。借入者は、在籍中に利子だけ払うか、あるいは発生する利子をローン元本に加えるか(capitalize the interests into the principalという)を選びます。

 

利子: Perkins Loanが5%で最低、学生ローンのStafford Loanは6.8%、親が借りるPLUS Loanは7.9%です。

Origination Fee: ローン発行のための手数料であるOrigination Feeは、Perkins Loanはなし、学生ローンのStafford Loanは1.051%、親が借りるPLUS Loanは4.204%です。

 

ローンの種類

条件がよいものから順番に並べるとこのようになります。

 

Perkins Loan

Perkins Loanは、ファイナンシャル・ニーズが特に高いと認められる(EFCが一定以下である)場合に提供されるローンで、連邦政府からファンドの供給を受けた大学が提供する、つまり大学から借りるローンです。大学がローンの提供・不提供とその額を決定します。ファイナンシャル・ニーズが非常に高くないと得られない、規模としては限られたローンです。学生ローンの中でもっとも条件のよいローンです。

  • Subsidized Loan(在籍期間+その後9ヶ月の利子なし)
  • Undergraduateでは、最高で年間$5,500まで、借り入れ合計は$27,500まで
  • Origination Feeなし
  • 利子は5%(2014)
  • 卒業後9ヶ月後から返済開始で10年間で返済
  • 抵当不要、クレジットチェック不要、CosignerあるいはEndorser要
  • 返済不能に陥った場合、Stafford LoanやPLUS Loanより寛大な返済免除(Loan Forgiveness)あり

Perkins Loanについては、詳しくはこちらをご覧ください。

 

Stafford Subsidized Loan

連邦政府からの利子助成がある(Subsidized)ローンで、Perkins Loanの次に条件のよいローンです。連邦政府から借りるローンですが、各大学がローン額を決めます。ファイナンシャルニーズがある(EFCがある程度以下である)場合に提供されるローンです。

  • Subsidized Loan(在籍期間+その後6ヶ月の利子なし)
  • Orinigation Fee 1.051% (借り入れ時に、借入額から差し引かれる)
  • 利子は6.8%(2014)
  • 卒業後6ヶ月後から返済開始で10年間(標準)から25年間(延長)で返済
  • 抵当不要、クレジットチェック不要、CosignerあるいはEndorser要
  • 1年目は最高$3,500まで、2年目は$4,500まで、3年目以降は$5,500まで

 

Stafford Unsubsidized Loan

こちらはUnsubsidized(利子助成なし)のローンです。Perkins とSubsidized(利子助成あり)の限度額まで借りてもまだ借入の必要がある場合に考慮します。Subsidizedとは異なり、ファイナンシャル・ニーズが存在する必要はありません(EFCが一定以下である必要はなし)。連邦政府から借りるローンですが、各大学がローン額を決めます。在籍中は利子だけ支払うか、あるいは発生する利子は元本に加えるかを選びます。

  • Unsubsidized Loan(借り入れ時から利子発生)
  • Origination Fee 1.051% (借り入れ時に、借入額から差し引かれる)
  • 利子は6.8%(2014)
  • 卒業後6ヶ月後から返済開始で10年間(標準)から25年間(延長)で返済
  • 抵当不要、クレジットチェック不要、CosignerあるいはEndorser要
  • 借入最高額は、SubsidizedとUnsubsidizedの合計額で判断: 1年目は$5,500まで、2年目は$6,500まで、3年目以降は$7,500まで (たとえば1年目の場合、Subsidizedが$3,500オファーされたのなら、Unsubsidizedは$5,500-$3,500=$2,000のオファーとなります)

Stafford Subsidized&Unsubsidized loanについては詳しくはこちらをご覧ください。

Direct Parent PLUS Loans

学生の親が利用することができる連邦政府のローンです。学生が借りるPerkins LoanやStafford Loanに比べ、利子とOrigination Feeが高めであるため、学生が借りられるローンを借り入れてもまだ借入が必要な場合に考慮します。親のクレジットが判断材料に使われます(だたし判断基準は緩やかです)。

  • Unsubsidized Loan(借り入れ時から利子発生)
  • Origination Fee 4.204% (借り入れ時に、借入額から差し引かれる)
  • 利子は7.9%(2014)
  • 返済は、借り入れから60日後から開始。ただし、卒業から6ヶ月した時点まで返済開始を延期するオプションあり
  • クレジットチェック審査あり
  • 借入最高額は、カレッジ費用合計(Cost of Attendance)から、その他のファイナンシャル・エイドや学生ローンの合計額を差し引いた額

PLUS Loanについては、詳しくはこちらをご覧ください。

 

知っておくポイント

  • これらのローンが必要であれば、FAFSAを申請する必要があります。合格を待たず、入学の年の1月から(2017年度から前年の10月からに変更)申請ができますので、早めに行っておくことです。
  • ローンをAcceptする、Loan Entrance Counselingを受けるのに加えて、ローンを受けるためにはもうひとつ、Master Provisionary Note(MPN)にサインする必要があります。MPNはローン条件にしがたい返済を約束する法的書類です。ローンの条件が詳しく明記されていますのでよく理解してからサインをします。たとえば、「大学からドロップアウトしても、卒業後仕事が見つからなくても、返済は必要」という項目も含まれています。
  • 大学によっては、オファーを受け取ってから、Loan Entrance CounselingとMPN提出までの期間に期限を設けている場合もあるので気をつけましょう。
  • 在籍中、毎年ローンが必要であれば、毎年FAFSAを申請し、必要に応じて上記の処理を繰り返す必要があります。
  • ローン額は連邦政府からダイレクトに大学の各学生のアカウントに入ります(disbursementという)。大学は、各学生のアカウント内で支払いが必要となっている授業料、手数料、寮費、食費、その他の大学費用に対して、ローン額を適用します。もしローン額が余れば、学生にリファンドされます(カレッジ関係費用に利用しなければなりません)。この学生アカウントはオンラインでチェックできる場合が一般的です。
  • ローンを受け取った後で、ローンの全部あるいは一部が必要がなかったと分かった場合は、ローンの全部あるいは一部をキャンセルすることができます。大学ごとに、学校側にキャンセルをリクエストする期限が決まっていますので確認してください。必要ないローンを借り続けて不要な利子がかからないよう、必要なだけ借りるプラニングが必要です。
  • ローン額が各学生のアカウントに支払われる(disburseされる)タイミングは、年に数回です。セメスター、トリメスター、クオーター制であれば、それぞれの学期ごとに一回、それ以外は年度の初めと中間の合計二回というような具合です。フレッシュマンの最初の学期は、学期が始まってから30日間ほど時間がかかる場合があります。
  • FAFSA申請後、大学がローンのオファー額を決めます。オファー額の通知がきたら、必要なローンを選びオファー額の範囲内で必要な借入額をAcceptします。受け取ったオファーは、年間を通していつでもAcceptできる学校もあれば、21日以内にAcceptしないとオファーは取り消されるというような条件がついている場合もあるようですのでよく確認します。
  • 上記の学生ローン(PLUS Loan以外のローン)を受けるためには、Loan Entrance Counselingを受ける必要があります。学生ローンを借りるとはどういうことを意味するのか、カレッジ費用をどう節約・管理するか、連邦政府のローンの借入者としてどのような責任と権利があるかについて学ぶよい機会です。卒業後、ハンドルできないほどの借入をしてしまわないよう、賢いローン利用について考えるよいチャンスですので、前向きに取り組むといいでしょう。Counselingは、実際にカウンセラーと会って行う場合もありますが、多くは大学のオンラインサイトで受けるのが一般的です。

 

賢いローン利用のコツ

 

  • オファーされた全額を借りる必要はないこと、借りてしまってから一定期間内ならローンをキャンセル(その期間の利子はかかります)することができることを知っておくこと。
  • 借りる時点で、返済のある程度のめどは立てておくこと。学生ローンは学生自身が返すことを念頭に置くのなら(親の援助なしに)、初任給の年収が無理なく返済できるローン残高合計の目処と考えるとよいかと思います。
  • 在籍中、利子が発生するローンについては、少なくとも利子だけは払っておく(在籍中に)と、ローン残高が膨れ上がるのに歯止めが掛けられます。未払いの利子は元本に加算されますので、たとえばフレッシュマンの最初に借りた$3,000のPLUS Loanで利子を払わないまま卒業した場合、4年後の卒業時にはローン元本が$4,000以上にまで膨れ上がっています。未払いの利子は加速度的に元本を増やしますから、なるべく利子だけでも支払っておくとよいでしょう。
  • 学生ローンを借りて、親が返済を援助することは十分可能ですので、出来る限りPLUS Loanで親が借りるのではなくて、Stafford Loanなど学生が借りる条件のよいローンを優先させるほうがよいでしょう(だだし、これから人生を始める子どものクレジットスコアを傷つけてしまわないように、あくまで返済可能な範囲で)。
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