年末を前にするべき税対策リスト

2014年も年末が近づきました。2014年のタックスリターンは2015年の4月15日が締め切りですが、節税など税金上の対策は多くの場合、2014年度末が期限です。年末を迎えるにあたって、税金上チェックしておきたい事項はなんでしょうか。

 

税優遇措置のある口座に追加で積み立てる

401(k)、403(b)、457などの2014年の積み立て限度額は$17,500(50歳以上は$23,000)です。現在の積み立て設定では年度末までの間に限度まで達しない場合で、かつ手元に余裕金がある場合は、積立額を一時的に多くすることを考えます。2014年12月31日までに支払われた給与からの積み立て額が、2014年度の税金控除の対象となります。該当する場合は早めに積立額増額の手続きをしなければなりません。

一方、IRAなどの積み立ての場合、2014年度の税金控除の対象となるためには、2015年の4月15日までに積み立てればOKです。同じく、SEP(Simplified Employee Pension Plan)やHSA(Health Savings Account)の積み立ても4月15日までとなっています。

余裕金のある場合は、まず12月31日限度のものを優先に積み立て、1月から3月でさらに余裕が出れば4月15日限度のものに積み立てるという策がよいかと思われます。

 

源泉徴収を調整する

給与から毎回、源泉徴収(withhold)されている額の年間合計が、実際のタックスリターンのときの納税必要額となるべく近いのが理想的です。源泉徴収のほうが多ければ、無駄にIRSにお金を預けていることになり、そのお金には利子もつきませんし、月々他の用途や貯蓄・投資に使うこともできません。反対に、源泉徴収のほうが少なければ、タックスリターン時に納税する差額が発生し、負担となりかねません。

2014年の納税額を予想して現時点ですでに十分源泉徴収が終わっていると判断できれば、年末までの給与からの源泉徴収を減らすということも可能です。これは、W4を雇用主に提出することでできますが、多くの場合、Human Resource提供のオンラインサイトでできることもあります。また、年末までに間に合わなかった場合でも、4月のタックスリターン時に、2014年の源泉徴収と実際の納税額を比べ合わせ、源泉徴収の妥当性を吟味するとよいでしょう。

 

キャピタルロスを発生させる

リタイヤメントアカウントや529プランなど税遅延のある口座では年々のキャピタルゲインやキャピタルロスは発生しませんが、それ以外の通常の(税金のかかる)投資口座をお持ちの場合、値上がりした投資を売ると、キャピタルゲインが発生し課税対象となります。もしも、反対に値下がりした投資があり、かつその投資はもう将来的に自分のポートフォリオには必要ないと判断される場合は、これを売ることによりキャピタルロスを発生させ、このロスを先のキャピタルゲインを相殺するために利用することができます。また、キャピタルゲインがない場合でも、キャピタルロスは$3,000を限度に給与などの労働収入を相殺します。

ただし、キャピタルロスを生むために投資を売った場合、同じような投資を30日以内に買うと、このロスは無効になります(Wash Saleと呼ばれる)ので、売る投資は将来的に必要にないものであり、買いもどす予定がないことを確認することが必要です。

 

チャリティに寄付する

2014年12月31日までの寄付は2014年度のタックスリターンで控除できます(ただし、Itemized Deductionを選んだ場合のみ)。 年末にはクリスマスなどを機に現金の寄付の機会もあると思いますが、それ以外にも家周りの不必要となった生活用品、衣類、本など、まとめてGood WillやSalvation Armyなどに持っていくというのもよいアイデアです。その場合は、Tax Receiptをもらうのを忘れずに。Tax Receiptはブランクのままくれたりしますので、何を寄付したかは自分で記録しておきます。家具や大型電気製品などを寄付する場合は、あらかじめオンラインや電話でピックアップを依頼することもできます。TurboTaxなどを使ってタックスリターンする場合は、品物とその状態(新品同様、コンディション良好など)を選ぶと適切な控除額を表示してくれますので、いくら控除したらよいかと悩まずに済みます。1月以降の寄付は翌年の控除となり1年待たねばなりません。もし寄付するものがあるのなら、できるだけ年末までに済ませるとよいでしょう。高額所得者は控除額に限度が設定されています。

 

収入を受け取るのを遅らす

給与収入だと雇用主の支払いスケジュールに縛られますので、収入の受け取りを遅らすという選択はないでしょう。一方で、不動産のレンタル収入や受給タイミングを自分で選べるようなボーナスやリタイヤメント口座からの拠出などの場合、2015年1月1日以降に収入の受け取りを遅らすことで、その収入を2014年度ではなくて2015年度の課税対象分に移すことができます。

 

控除できる費用を早める

収入を遅らすことの反対バージョンは費用の支払いを繰り上げて支払うことです。2015年1月1日以降に支払ってもよいが、あえてそれを2014年12月31日までに支払うことで、その費用を2014年度のタックスリターンで控除できるようにします(ただし、Itemized Deductionを選択した場合のみ)。たとえば、州税などの納付、プロパティタックスなどが対象となります。モーゲージを繰り上げて支払うことで、利子も控除対象となります。また、多額の医療費がかかっているような場合(AGIの10%以上の医療費がある場合)も、繰上げで医療費を支払うことが有効です。高額所得者は控除額に限度が設定されています。

収入を遅らすのと控除できる費用を早める決断には、その他の要因も関連してくることもあります。たとえば、来年FAFSAの申請をする予定があるならば、収入は今年受け取り来年少なくしたほうがいいかもしれません。また、来年収入が上がる予定なので敢えて来年たくさん控除をして税負担を下げたいというのであれば、控除費用は来年に先送りしたほうがいいかもしれません。総合的な判断が必要です。

 

FSAの残高を確認する

2013年以前は、FSA(Flexible Spending Account)の利用しなかった残高は没収されていましたが、現在では法律上$500までの翌年への繰越が許されるようになりました。ただし、この繰越を実際に許すか許さないかは各雇用主のプランにゆだねられているため、繰越の有無はそれぞれのプランで確認する必要があります。2014年度から繰越がある場合もあれば、2015年度からのプランだけが対象になっている場合もあります。また、FSA残高を使用する期限は12月31日という場合もあれば、年末を越えてもある程度のグレースピリオドが設定されており、翌年4月15日までが期限という場合もあります。なお、この$500繰越許容とグレースピリオドの有無は、雇用主がどちらかを選択して提供することになっており、両方が設定されていることはありません。いずれにせよ、年末を機にFSAの残高をチェックし、計画的に利用をする必要があります。針やカイロプラクティック、医療品や器具など、時期を選べる医療措置、歯科チェックアップや眼鏡やコンタクトレンズなど、利用の方法をさぐってみましょう。FSAで該当する費用の一覧は、各プランのオンラインサイトで確認できるはずです。

 

カレッジ費用と529拠出のチェック

2014年度のカレッジ費用がいくらかかって、そのうちのいくらを529プランからの拠出で支払ったか、American Opportunity Tax Credit(529以外のお金から$4,000を支払って、最大$2,500のクレジット。年収制限あり)のなどのタックスクレジットを最大限に活用することができるかについてチェックします。529プランからの拠出が多すぎたり、American Opportunity Tax Creditを最大限に利用できそうにない状況にあれば、2015年度のカレッジ費用を繰り上げし支払いすることができるかの可能性を探ってみましょう。

 

オバマケア認定の健康保険に入る

Affordable Care Act(通称オバマケア)の導入で、2014年はすべての人に健康保険加入が義務付けられました。2014年からは、一定の条件を満たす健康保険に加入していない人には、ペナルティーが課されます。これまで海外旅行者保険、駐在員保険、短期用医療保険などを持っていた方は、それらがオバマケアで条件を満たす保険として認められるかを確認する必要があります。保健社会福祉省(Department of Health and Human Services)は、外国政府、外国保険会社等が提供している保険については、オバマケアに適合しているとの認定を受けない限り、それを持っていても無保険者であるとの立場をとっています。実際、条件を満たし認定を受ける外国保険は少ないようです。課されるペナルティは2015年度から上がっていきますので、この年末を機に今一度チェックをすることをお勧めします。

2 comments

  1. >> 源泉徴収のほうが多ければ、無駄にIRSにお金を預けていることになり、そのお金には利子もつきませんし、

    自分はいつも源泉徴収を多めにしています。FP的には良くないことだと思いますが、気が楽なので。いつもこのサイトで勉強させて頂いているのにすみません。(笑)
    ですが去年発見したのですがAmazonユーザーかつTurbotaxユーザーであればこんな手も。

    TurboTax Refund Bonus Program
    https://ttlc.intuit.com/questions/1899434-about-the-turbotax-refund-bonus-program

    簡単にいうと年末調整で返ってくるお金をAmazonのギフトカードにすると5~10%の上乗せをしてくれる、というものです。
    例えば1000ドルの返金があってDeluxeバージョンを使っていると100ドル(=$1000*10%)おまけポイントがAmazonのギフトカードでついてきます。このケースだとAmazon Primeの会員費まかなえちゃったりします。
    確か返金の一部だけをAmazonギフトカードにすることもできました。
    自分はAmazonヘビーユーザーなのでかなり嬉しいです。

    これからも勉強させてください。よろしくおねがいします。

    1. bigdata guyさま、コメントいただいておりましたのに、お返事が遅れまして申し訳ありません。コメントをいただいていた旨の通知がうまく届いておりませんでした。
      それは、すばらしいアイデアですね! 少しくらい多めに税金を納めておいても、Checking口座の年利が1%以下という昨今、10%もリワードがあるのなら、そのほうがずっとお得です!Amazonをたくさん使う人には。。

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください