タックス・リターンをどうするか(2) - 自分でしても、人に頼んでも・・・

シリーズ1回目では、自分でするといいところ、人に頼むといいところを考えてみました。人に頼むのは簡単でラクではありますが、自分ですると自分のファイナンシャル・ライフの概要がつかめるという利点があること、このような概要をつかんでいると将来のファイナンシャル決断のさまざまな局面で役立つという利点があることをご紹介しました。シリーズ2回目の今回は、では具体的にはどうするか。自分でやるのか人に頼むのか、どのような考えで臨めばいいのかについて考えてみましょう。今回は全4回の「タックス・リターンをどうすか」シリーズ2回目です。

自分でやるのか、人に頼むのか・・・こればかりは、そのひとそれぞれです。下に3つのタイプをまとめてみました。私の個人的おすすめば、この3つのうちのどのタイプに属するとしても、タックス・リターンに対してpassiveな姿勢(「やってもらうもの」という立場)ではなく、proactiveな姿勢(わかろうとする立場)で臨むことです。

タイプ1:自分でする

タックス・リターンはとっつきにくいものかもしれませんが、平均的な勤労者のリターンの場合、市販のソフトウエアを使って十分処理できることが多いものです。とくに1040EZや1040Aを使っている場合や、1040でもStandard Deduction(項目ごとに控除を申請せず、一律標準額を控除する)を選んでいる場合などは、平均的な人であれば容易に自分でできると思われます。1040でItemized Deduction(項目ごとに列挙して控除する)を選んでいる場合でも、とくに複雑なケースでなければ十分自分でできる場合が多いように思います。

タックス・ソフトは質問に答える形で入力をしていきますから、はじめからタックスのことをすべてわかっていなくても大丈夫です。もちろん英語を読んで理解する力は要りますが、税法を読んだりするのとは違い、フツウの言葉で説明してくれますから、ものすごいレベルの専門知識がいるわけではありません。ある程度の英語力に加えて、数字に対してアレルギーがないこと(とはいっても、計算はソフトがしてくれますから、入力するだけです)、また論理的なことが好きであること(といっても、論理的選択もソフトがしてくれます)も適性かもしれません。

Financial Planning Associationが、「自分でする代わりにプロに頼んだほうがいい」と判断する場合の目安をつくっています。つまり、下記に該当しなければ、自分でできる可能性が大ということです。ご参考までに・・

  • 不動産を買ったり売ったりした/する
  • ビジネスを持っている
  • レンタル物件を持っている
  • トラストやパートナーシップから報酬をもらっている
  • 複雑な投資ポートフォリオをもっており、頻繁に売り買いする
  • 離婚、家族の死、相続、転職のための50マイル以遠の引越しなど、ファイナンシャル上の大きな変化があった
  • 19歳から24歳までのフルタイム学生の子どもを扶養している
  • AMT(Alternative Minimum Tax)を払わねばならない可能性がある
  • 収入が大きく増加した

はじめは戸惑っても、1年、2年と繰り返していくうちに知識と経験がたまっていき、楽しくなってくるかもしれませんよ。

タイプ2:自分である程度やって、確認をプロにしてもらう

自分でやろうという気はあるけれど、どうもまだ自信がないという場合は、タックス・ソフトで自分でやってみたあと確認をプロにしてもらうというのも一策でしょう。どうもよくわからないところ、自信がないところを一緒にレビューしてもらったり、見落としがないか確認してもらうといいでしょう。証拠書類も整理して持っていくといいですね。全部やってもらうよりコストは安いはずですし、そのうえ自分の中に知識がたまっていきので一石二鳥かも。。。

 

タイプ3:プロに頼む

家を売った、株を売った、ハリケーンで損害を受けた、レンタル物件を持っている、IRAをロールオーバーした、スモール・ビジネスをはじめたなどの特殊イベントは、タックス・リターンを複雑にします。手に負えないと思ったら、迷わずプロに頼みましょう。

ここで理想的なのは、たとえプロに頼んでも、できあがったタックス・リターンに必ず目を通すこと。やってもらうのはOK、ただやってもらいっぱなしにしないということです。そして、タックス・リターンの概要やポイントはある程度理解できるといいと思います。何もすべての書類に目を通さなければならないわけではありません。少なくとも1040(最初の2ページ)とSchedules(あれば)には目を通しましょう。

ポイントは、その年にしか起こらない一度きりのイベント(家を買った、ハリケーンの損害があった、IRAをロールオーバーしたなど)よりも、毎年起こるイベント(モーゲージの利子控除、リタイヤメント・アカウントへの積み立て、レンタル物件収支、スモール・ビジネス収支など)を重点的に把握することでしょう。毎年起こることは、毎年のタックス・リターンに考慮が必要となることですし、また突発的なイベントよりコントロールやプランイングもしやすいものが多いものです。将来の有意義なプラニングのためにも、それぞれの要素がどう関係しあっているのか、だいたい把握しておくのが得策です。。

第3回目は、自分でしようかな~と迷っている人のために、「タックス・リターンをどうするか(3) - 自分でするのは思っているほどコワくない」をお届けします。

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