今年のことです。春先に、主人の同僚が2015年度のタックスリターンをファイルしようとしました。すると、「あなたのタックスリターンはすでに終わっていますから、受け付けることはできません」というエラーメッセージが届いたそうです。知らないうちに誰かが自分のタックスリターンをファイルしており、リファンドマネーもすでに支払われていたそうです。結局、詐欺ということがわかり、その旨の手続きをしたそうですが、リファンドを受けるまでには不必要に長い時間がかかることになりました。
このようなタックスリターン詐欺は最近急激に増加しています。2015年12月までの時点では、1ミリオンもの詐欺リターンがファイルされました。ただ、政府とIRSもそれなりの体制をもってチェックを進めており、8割がたの詐欺リターンはブロックされているそうですが、それでもそのまま支払われるタックスリファンドは残り、年間数ビリオンドルのタックスマネーが盗まれています。
このような詐欺の裏には大きな犯罪組織がからんでいるそうで、ソーシャルセキュリティナンバーやその他のパーソナル情報を盗む者、それを使ってタックスリターンをファイルする者、リファンドマネーを素早く受け取るためにアレンジする者、それらをコーディネートして統括する者がそれぞれ関わり合って大掛かりな詐欺を実行しているのだそうです。情報入手やタックスリターン、リファンド取得までのプロセスで、情報システムや電子プロセスを知り尽くし、すばやいスピードで詐欺を推進していくのが特徴だそうです。詐欺リターンはタックスシーズンの早いうちにファイルされ、本人がタックスリターンをするころにはリファンドも終わってしまっていることになります。本人は、IRSからの通知ではじめて自分のリターンが誰か他の人に詐欺ファイルされていたことを知ることになります。
ソーシャルセキュリティナンバーやその他の個人情報は、個人のPCやネットワーク上でのやりとりから漏れることもあるでしょうが、それだけでは決してありません。職場、学校、病院、ナーシングホームなどからも情報は漏れているとのことです。今年、Pivotal Labsというソフトウエア会社でこんな事件が起きました。当社のCEOから社員にEメールが届き、W2情報を送るようにとの内容でした。CEOからのメールであったので、社員は自分の名前、住所、収入についての詳細、ソーシャルセキュリティ、タックスIDなどを返信しましたが、実はそれは詐欺メールであったことがわかりました。
気を付けること・・・
IRSは下記のAlertを出しています。
ALERT: The IRS does not send unsolicited email, text messages or use social media to discuss your personal tax issues. If you receive a telephone call from someone claiming to be an IRS employee and demanding money, you should consult the IRS Tax Scams/Consumer Alerts webpage: http://www.irs.gov/uac/Tax-Scams-Consumer-Alerts. If you know you don’t owe taxes or have no reason to believe that you do, report the incident to the Treasury Inspector General for Tax Administration (TIGTA) at 1.800.366.4484 or at www.tigta.gov.
警告:IRSは、個人情報の提出を促すようなEメール、テキストメッセージ、その他ソーシャルメディアでのコミュニケーションを送りつけることはしません。もしも、IRS職員を名乗った者からの電話を受けたり、金銭の支払いを促された場合は、IRS Tax Scam/Consumer Alerts webpage http://www.irs.gov/uac/Tax-Scams-Consumer-Alerts で確認してください。税金の支払いが必要な状況ではない、あるいは必要であるとは思われない場合など、すぐにTreasury Inspector General for Tax Administration (TIGTA) at 1.800.366.4484 か www.tigta.gov にレポートしてください。
もうわかりきったことですが、一応の注意リストはこれら。。
- こちらからコンタクトをしていないのに、受け取ったIRS職員を名乗る電話、Eメール、テキストメッセージは無視する。
- こちらからコンタクトをしていないのに、他金融機関や公的機関などから届いたEメールのリンクはクリックせず、まず出所を確認する。
- 誕生日や住所など、ソーシャルメディアでオーバーシェアしない。
- クレジットレポートを定期的にチェックし、不穏な動きがないか見る。
- PCにはAnti-VirusやFirewallをアップデートした状態で常駐させる。
- 個人情報の入ったファイルは暗号化する。
- 個人情報の掲載された書類は安全な場所に保険し、不要なものはシュレッドする。
もしタックスリターン詐欺にあったら・・・
多くの場合、自分のタックスリターンをファイルしようとしてはじめて、誰かがすでに詐欺リターンを行ったことを知ります。電子ファイルする場合には、リターンが拒否されたという通知を受け取ります。ペーパーベーズでのリターンの場合は、リターンが拒否された旨の文書を受け取ります。
その場合は、IRS Form 14039に必要事項を記入して、IRSに被害を届け出ます。ソーシャルセキュリティーカードと運転免許のコピーを合わせて送付します。
IRSからの確認レターを受け取ったら・・。
誰かが詐欺リターンを行い、IRSが詐欺リターンである疑いにより、そのリターンをペンディングしている場合、Letter 5071Cという文書をもって本人に確認をしてくることがあります。これは無視せず、対応をきちんとせねばなりません。問題は、「IRSから届いた」リクエストのうちどれが本物で、どれが偽物かを見極めることです。
IRSはhttps://idverify.irs.gov にてIdentity Verification Serviceを提供しているので、このWebページを利用するのが一番確かです。Webページにアクセスできない場合には、レターに書いてある電話番号に電話をし確認をすることになります。
繰り返しますが、このようなリクエスト通知はIRSは必ず郵送で送ってきます。同様なリクエストを電話やEメールで行うことはありません。