Last Updated on 2022年9月15日 by admin
401(k)やIRAではないふつうに開く投資口座は、税優遇がありませんから、年々利回りが課税されます。そのような課税口座では、いったいどんな投資を持てばいいのでしょうか?何か税金面で有利な投資というものがあるのでしょうか?今日はそこらへんを探ってみます。
課税口座を使う場合
課税口座を使う理由はいくつかあると思います。
- 税優遇のある口座にはすでに上限まで積み立てているが、それ以上にお金を積み立てたいという場合
- 引き出し年齢制限(59.5歳まで引き出せない401(k)やTraditional IRA)や利用目的の制限(学資だけにしか使えない529)を回避し、いつでも自由に出せるお金として持っておきたい場合
- 相続などでまとまったお金を受け取った場合
などがあるかと思います。
課税口座の課税
課税口座で投資をする場合、以下のふたつのタイミングでの課税があります;
1) 投資ファンドを持ち続けている間、その年に、ファンドが受け取り再投資に回された配当金や利子への所得税課税と、ファンド内での売り買い(個人ではなく、ファンドマネージャーが行った売り買いです)によるキャピタルゲインへのキャピタルゲイン課税。
2) 個人が(ファンドではなく)投資ファンドを売ったので、個人が得たキャピタルゲインに対するキャピタルゲイン課税。
これらについては、ファンド会社から1099-DIVというフォームによって個人に報告され、個人はそれをもってタックスリターンを行うことになります。
売るタイミングを図る
上の2)については、1年以上の保有による長期キャピタルゲインと、1年以下の保有による短期キャピタルゲインがあり、前者のほうが有利な税率です。短期キャピタルゲインは、所得と同じ税率で課税されます。長期キャピタルゲインは、下記のとおり所得によって0%か15%か20%の税率となります。
キャピタルゲインの節税は、1年以上持って長期キャピタルゲインにすることと、所得の低い年に売ることによって、できるだけ低いキャピタルゲイン税率にするということになります。ただ、キャピタルゲイン税率を決める所得の幅が大変大きいので、下の税率ブラケットに動くことは簡単ではないかもしれません。
持つファンドを工夫する
一方、1)については、年々の課税となるため、なるべく税金のかからない投資ファンドを選ぶことになります。そこでキーとなってくるのが、Tax-efficient(税金面で効率がよい)と、Tax-exempt(税金免除)という考え方です。
Tax-efficient/Tax –exemptの方法で、どのくらい税金効率が良いか、税金が免除されるとどのくらいの利点があるかは、実はひとそれぞれまちまちです。その人の支払うべき税率や、持つファンドの種類によって変化するからです。一般的に収入が多くタックスブラケット(最高税率)が高い人ほど、節税できる額が大きくなります。
たとえば、$10分が税金免除になる場合ならば、タックスブラケットが20%の人は$10×20%の$2の節税ですが、ブラケットが35%の人は$10x35%で3.50の節税になります。よって、税率が高い人の方が、Tax-efficientあるいはTax-exemptのファンドを使ったほうが有利となります。反対に税率の低い人は、わざわざ、Tax-efficient/Tax –exemptにするために持つ投資内容に制限のあるファンドに、多少高めになる手数料を支払って投資しても、それに見合う節税ベネフィットが得られないということいなります。
いろいろなリサーチを総合すると、25%~30%の範囲にブレークイーブンがあるようです。税率が25%以下の人はTax-efficient/Tax-exemptのファンドではなく、低手数料の高分散されたインデックスファンドを使うのがよく、30%を超えると多少分散が少なくなって手数料が上がったとしてもTax-efficient/Tax-exemptのファンドを使ったほうが有利であり、25%~30%の間の場合は微妙な部分であります。ブレークイーブンがはっきりと絞れないのは、配当金や利子、キャピタルゲインの出方などで、ブレークイーブンポイントが上下するからです。
Tax-efficientなファンド
Tax-efficientなファンドとしては、Vanguardが提供しているTaxed-managed fundというのがあります。
Vanguard Tax-Managed Capital Appreciation Fund (VTCLX)
アメリカの大型・中型株式に広く分散し、インデックス投資のスタイルととっています。アメリカにある会社の配当金はQualified Dividedとしてより低い率で課税されるのを最大に利用し、外国株は排除しています。Expense Ratioは0.09%、最低投資額は$10,000。タックスブラケットが高い人向きです。
Vanguard Total Stock Market Index (VTSMX)
アメリカ市場の小型~大型株まですべてに分散した最も基本的なインデックスファンドで、これはtax-efficientではない“ふつうのインデックスファンド”です。ただ、インデックスファンドはそもそも大変tax-efficientにつくられています。頻繁な売り買いはしないので、キャピタルゲインが発生することは最低限だからです。上のファンドと同様、アメリカ株のQualified Dividendにより税率を下げながらも、小型株が加わっている分だけ、エキストラのリターンが期待できます。401(k)などの投資や、ターゲットデイトでも基本的ファンドとしてよく使われるインデックスファンドですが、課税口座でも十分耐えうるTax-efficiencyを備えているといってよいでしょう。$3,000以上の投資でExpense Ratioは0.04%。タックスブラケットが30%を超えるのでなければ、このファンドがよいでしょう。
Tax-exemptのファンド
Municipal Bond(地方債)の利子は連邦税が非課税です。州によっては州税も非課税です。Tax-exemptファンドとは、これらのMunicipal Bondに投資したファンドです。
Vanguard Tax-Exempt Bond Index (VTEBX)
低リスクの地方債のうち短期債から長期債までを広く含むファンドです。$3,000の投資でExpense Ratioは0.09%です。.高タックスブラケットの方で、債券投資を臨む場合には好ましいファンドです。
ハイブリッド
Tax-efficientの株式ファンドと、Tax-exemptの地方債ファンドを組み合わせたものもあります。
Vanguard Tax-Managed Balanced Fund (VTMFX)
アメリカの大型・中型株式50%に、Municipal Bond50%を組み合わせたバランスファンドです。Expense ratioは0.09%です。高タックスブラケットの方で、1本で投資が住むバランスファンドをお望みの方には便利なファンドです。
カスタマイズした比率調整をしたい方は、
- Vanguard Tax-Managed Capital Appreciation Fund (VTCLX)と
- Vanguard Tax-Exempt Bond Index (VTEBX)
をご自分で混合するとよいでしょう。
タックスブラケットが将来的にも30%を超えないと予想される場合は、
- Vanguard Total Stock Market Index (VTSMX)と
- Vanguard Tax-Exempt Bond Index (VTEBX)
のコンビネーション、
あるいは、ブラケットが25%以下なら
- Vanguard Total Stock Market Index (VTSMX)と
- Vanguard Total Bond Market Index Fund (VBTLX、Expense 0.05%)
のコンビネーションが良いと思います。
キャプタルゲインの箇所について教えてください。
「1) 投資ファンドを持ち続けている間、その年に、ファンドが受け取り再投資に回された配当金や利子への所得税課税と、ファンド内での売り買いによるキャピタルゲインへのキャピタルゲイン課税。」とのことですが、再投資に回された配当金はプラスマイナスでゼロになりますが、これもキャピタルゲインになってしまうのでしょうか?実際の自身のmonthly statement では、再投資されたものはtotal income には含まれていないので、キャプタルゲインとはみなされないという理解でいました。
配当金はファンド全体でプラスであれば、所得税課税(キャピタルゲイン課税ではなく)されると思いますが、詳しくはファンドマネージャーにご確認ください。