不要な保険に無駄なお金を払っていませんか?(2)  

なんか正当そうに聞こえるけどホントは要らない保険について考えるシリーズを2回に分けてお届けします。1回目は、保険のカバーする条件があまりに限定的なので、ほとんど必要になる可能性の低いや、もっと広範囲をカバーする保険で一緒にカバーしてしまったほうがずっと合理的だと考えられる保険について考えました。2回目の今回も引き続き、不要そうな保険、もうすでに他でカバーされているような保険を見ていきます。

 

まずは、1回目のAD&D保険、モーゲージ生命保険、車ローンの生命保険などに似た、目的限定型の保険です。

 

クレジットカード支払い保険

こちらは、失業したりDisabilityになった場合で、クレジットカードの請求が支払うことができなくなったときに、ミニマムの支払い必要額をを代わって支払ってくれるという保険です。こちらもモーゲージ生命保険などと同様に、クレジットカードのミニマム支払額だけが対象になっているという非常に狭い目的であることと、その割には保険料が高いこと、Disability Insurance(所得補償保険)を持っていればカバーされることなどの理由でお勧めしません。

また、そもそもこのような場合のクレジットカードの支払いなどには、エマージェンシーファンドで対応できるのが理想です。月々の固定収入の3ヶ月~6ヶ月分くらいを、銀行のチェッキングやマネーマーケットなどにためておくのがエマージェンシーファンドで、給料が一時的にとまった、事故やケガをしたなどの場合にあわてることのないように貯めておくものです。同じお金を使うなら、無駄な保険料を使う代わりに、エマージェンシーファンド構築に使うほうがよっぽど理にかなっています。

 

特定の疾病保険

こちらは、がん保険とか、心臓病保険とかの特定の疾病になった場合に補償金がおりる保険です。たしかにがんとかハートアタックなどになったという話は非常によく聞きますので、自分に起こった場合に備えておこうというのは正当な動機ですが、これらもその病気だけが対象になるという条件の限定があります。治療段階においては、よい健康保険を選んでおればそちらでカバーするほうが効率的です。そしてもしも死亡ということになった場合は、生命保険でカバーするほうが理にかなっています。生命保険に特約をつけて、限られた余命しかない場合は生命保険の補償金の一部を前倒しで受け取ることができるようにもできますから、特別な治療費ややっておきたいことのためにお金を使うということにも対応できます。わざわざ限定的な疾病保険を別に購入する意味は、個人的に特別な理由がない限りあまりないでしょう。

 

子ども/若者の生命保険

「若いうちに入っておけば保険料が安くて済むから」とか、「若いうちに入っておけばキャッシュバリューが長期間貯められて将来のための資金になるから」などよく聞くセールストークですが、多くの場合、お子さんや若者の生命保険は理にかないません。そもそも生命保険は、その人が亡くなった場合、残された人が問題なく生活していけるようにするというのが目的です。お子さんや若者が亡くなるのは、もちろんあってはならない悲しいことですが、しかしながらその人たちに生活を頼っている人がいないのであれば生命保険の購入は必要ないでしょう。またお子さんや若者に限らないことですが、将来の資金を貯めることが目的であれば、保険のキャッシュバリューではなく、低手数料のインデックスファンドにでも投資するほうがずっとベターということがほとんどです。また、お子さんの教育のためなら、529カレッジファンドのほうがよい選択でしょう。

 

自動車保険のコリジョン(古い車の)

車が新しいうちはコリジョンに加入していることが必要ですが、いったん加入したそのまま・・ということもよくありますね。もし10年以上同じ車にのっているなら、コリジョンをドロップしたほうがいいタイミングがもしれません。損害を受けたとき、リカバーできる上限は、修理費かKelly Blue Book などの査定額のどちらか小さいほうが限度となります。 査定額は、車が年をとるごとにどんどん減っていきます。よく使われる目安は、コリジョンとコンプリヘンシブの合計保険料が、査定額の10%を超えた段階で、これらのカバレッジをやめるということ。ただし、コンプリヘンシブもドロップすると、もしも盗難にあったりしたら、誰も補償してくれず、自分で新しい車を買うことになりますから、そのためのある程度のお金と心構えを用意しておくことが必要ですが。コリジョンはやめてもコンプリヘンシブはキープするというのも手かもしれませんが、保険会社によっては片方だけ買えないなど制約がある場合もあるようです。とにかくそのままほうりっぱなしではなく、数年に一回は自動車保険を見直すことが必要でしょう。

 

エクステンデッド・ワランティ

よく店頭で電気製品を購入すると「エクステンデッド・ワランティはいかが」と聞かれるものです。実はワランティは厳密に言うと保険ではありませんが、似ているので挙げました。初期(1年目など)で壊れたのなら通常製品についてくるベーシックの製品ワランティがカバーします。1年目で壊れるというのは欠陥商品も多く、販売者にリターンできることも多いでしょう。ベーシック・ワランティが切れた後のエクステンデッド・ワランティ期間(購入後数年間)に、電気製品が壊れることは非常に少ないですし、たとえ壊れたとしても、実際にかかる修理費用とエスクテンデッド・ワランティのコストはそんなに違いがないことが多いそうです。毎日使うので落としやすいもの、壊れやすいもの(コンピュータや電話など)はもしかしたらワランティ購入も考慮したほうがいいかもしれませんが、動かさない家電系のものはおそらくエクステンデッド・ワランティは必要はないでしょう。電気製品を例にとってみれば、ほとんどの製品自体はお店にとっての利益率が数%から多くても10%(製品価格の数%から10%がお店にとっての利益)であるのに対し、エクステンデッド・ワランティのお店にとっての利益率はなんと50%から60%だそうで強力に進めてきますが、いらないとはっきり言う心の準備を持ちたいものです。また、製品をクレジットカードで購入すると、自動的にエクステンデッド・ワランティがついてきたり、あるいはレモン・プロテクションやパーチャス・プロテクションといって一定期間に製品が壊れ、お店には返品できなかったとしても、クレジットカード会社がその購入額を返金する(一定限度あり)という特典がついてきたりします。クレジットカードの契約説明書をよく読んで利用するのが得策です。

 

レンタカー保険

レンタカー会社のカウンターで保険に入りますか聞かれ、Yesと答えると一日に数十ドルの追加料金になりますね。まず、アメリカ国内レンタカーをする場合、アメリカで運転する自分の車に対してすでに保険を持っていれば、その保険がレンタカーを運転した場合のLiability(賠償責任)もカバーするはずです。Collisionや盗難についても同様です。レンタカーの場合はカバーされるか、またどの国でレンタルする場合ならカバーされるかは、ご自分の保険の冊子に書いてあるはずですので確認しましょう。

また、多くのクレジットカードにCollision や盗難のカバーが自動でついてきます。レンタカー代をクレジットカードで支払うことが必要になります。カードによって、カバーされる範囲(プライマリー保険かセカンダリー保険か、何日間までのレンタカーがカバーされるかなど)が違ってきます。これらはクレジットカードのベネフィットを説明した冊子に明記してあるはずです。その他Personal Accident Insuranceというような名前でケガをした場合の自分たちの医療コストをカバーする保険をオファーされることもありますが、これは医療保険を持っているなら不要でしょう。レンタカーを予約するときには、自動車保険とクレジットカードのベネフィットをよく把握し、無駄な保険は買わないことが賢明です。ただ、事故で車が使えなくなったときなど、自動車保険とクレジットカードとのどちらでもカバーされないような、レンタカー会社独自の事務手数料のようなもので数百ドル請求されたという話も聞きますので、それらがあからじめいくらくらいなのかカウンターで確認しておくことも賢明かもしれません。

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